「まとも」って、なに!?
まともじゃないのは「わたし」も一緒!?
まったく噛み合わない2人が繰り広げる「まともじゃない」ラブストーリー『まともじゃないのは君も一緒』を紹介します。
映画『婚前特急』の前田弘二監督と脚本家の高田亮が再びタッグを組んだオリジナルストーリーに、成田凌と清原果耶がダブル主演を務めました。
数学一筋、コミュ力ゼロの予備校講師・大野と、知識ばかりで恋愛経験ゼロのJK・香住が、普通の恋愛を目指し奮闘するドタバタラブコメ。
噛み合わない会話を繰り返しながらも、実は互いを良く理解しあっている大野と香住。2人が見つけ出した普通(まとも)の答えとは?
映画『まともじゃないのは君も一緒』の作品情報
【公開】
2021年(日本)
【監督】
前田弘二
【キャスト】
成田凌、清原果耶、山谷花純、倉悠貴、大谷麻衣、小泉孝太郎、泉里香
【作品概要】
コミュケーション能力ゼロの大野と、知識ばかりで恋愛経験ゼロの香住が、普通の恋愛を求め繰り広げるラブストーリー。
映画『婚前特急』(2011)『わたしのハワイの歩き方』(2014)を手掛けてきた、監督の前田弘二と脚本の高田亮コンビが、「普通じゃない2人の、まったく噛み合わない会話劇」をコンセプトに作り上げた、全く新しい普通じゃない恋愛ドラマ。
ダブル主演となった成田凌と清原果耶の、まったく嚙み合わないけど、息ぴったりの言葉のラリーに注目です。
映画『まともじゃないのは君も一緒』のあらすじとネタバレ
森の中で静かに目を閉じ、聞こえてくる音に耳を傾ける男。予備校講師の大野は、数学一筋のコミュケーション能力ゼロ男です。
一方、彼の教え子のJK香住は、自分は普通と思っている意識高い系女子高生。青年実業家・宮本を崇拝し、講演会に足を運んでは近付くチャンスを狙っています。
そんな大野と香住は、顔を合わせれば噛み合わない会話を繰り返していました。埒が明かない大野に苛立つ香住は、「先生、もったいないね。中身がまともだったらモテるのに。このままじゃ、一生結婚出来ないよ」と助言します。
その言葉にかなりのショックを受けた大野。このままずっと一人でいることへ不安を抱えていた大野は、香住に普通の恋愛をするための指南を頼みます。
大野の頼みを引き受けることにした香住は、ある作戦を思いつきます。それは、大野を利用し、憧れの存在である宮本の婚約者・美奈子にアプローチさせ、結婚を阻止しようという魂胆です。
「何で?」と質問ばかりする大野でしたが、香住の小賢しい作戦に乗せられていきます。次第に、美奈子に本気で好意を持ち始めた大野は、自分を変える最後のチャンスだと思って頑張ります。
大野のクセの強さで、作戦が上手く進まないことにキレてばかりの香住は、「もうやめよう」と持ち掛けます。
大野は、「僕には君が必要なんだ。普通の教えてくれるのは、君だけだから」と懇願。これまでの悩みを打ち明けます。
始めて誰かに必要とされた香住は、大野の言葉にときめいていました。「この感情ってなに?」。大野のことが気になって仕方ありません。
香住の想いとは反対に、大野は美奈子に近付くことに成功。会話も噛み合い、心を許し合う仲に進展していました。
2人の後を付けながら作戦の失敗を願う香住。大野と美奈子の距離が縮まる瞬間に「うわぁー」と奇声をあげ邪魔に入ります。
「なんで邪魔するの? どういう感情?」と、大野は香住に詰め寄ります。自分の気持ちに気付いた香住は、周りを巻き込み大騒ぎです。
大野は美奈子との間に特別なものを感じていました。意味のない会話も楽しいのです。ありのままの自分を受け入れてくれる美奈子。大野は勝負にでます。
大野と美奈子が一緒にいることを知り落ち込む香住のもとに、憧れの宮本から連絡があります。待ち合わせ場所に変装して現れた宮本は、香住をホテルに誘い込むのでした。
映画『まともじゃないのは君も一緒』の感想と評価
映画の見どころは、なんと言っても、コミュ力ゼロの予備校講師・大野(成田凌)と、口ばかりで恋愛経験ゼロの女子高生・香住(清原果耶)の噛み合わない言葉のラリー戦にあります。
「何で?どうして?」「質問を質問で返さないで」「それってどういう感情? 定量的に言って」など、キャッチボールとは言えない剛速球の投げ合いが、次第に心地よく感じてくるから不思議
です。
大野は、すべてに納得する答えを求めるあまり聞き返すという癖があり、笑いのツボも独特。「普通な人」になって、恋愛をして結婚したいと考えています。
香住は、意識高い系のやけに大人ぶった女子高校生を装っていますが、中身はピュアで計画通りに進まないとパニックになってしまいます。
物語は、そんな恋愛経験ゼロの香住に、大野が恋愛指南を頼んだことで、予想外な方向へと動き出します。
大野は香住に「普通(まとも)じゃない」と指摘され、かなりの衝撃を受けます。この機会を逃したら一生誰とも恋愛も出来ず、女性とまともに話すことさえ出来ないかもしれない。
大野の必死さに若干引くも可愛く見えてしまうのは、大野を演じた成田凌の庇護欲を刺激する容姿にあるように思います。
近所のスーパーで格安で買ったジャケットに、クタクタのズボン。ボサボサの髪で、つまらない冗談を言い、ぐふふっと気持ち悪く笑います。
「ちゃんとすればカッコよくなるのにー」と、はじめの大野を見れば思うはずです。それがどうでしょう。
香住の恋愛指南を受け、髪型を整えスーツに身を包んだ大野は、見違えるほどの成長ぶりを見せます。「自分だけが知っていた彼のかっこよさが露見してしまった」という寂しさ。
まさに、成田凌の魅力が全開になる瞬間です。大野は、最終的に普通に疲れ、元の恰好に戻ってしまいますが、経験を積んだ良い顔になります。その変化も上手く演じています。
一方、香住の魅力は、大野を好きだと気付いた時の戸惑い方に出ています。同級生のカップルに「いつから好きになったの?」と突撃取材したり、オヤジ達に酔っ払いのように絡んだりとクセがすごい。
香住を演じた清原果耶のコメディーな演技に癒されます。成田凌との息もぴったりで、間髪入れず言い返すテンポの良さに、コメディエンヌの可能性を感じさせます。
物語が進むにつれ、「普通じゃないようで普通の大野」「普通のようでいて普通じゃない香住」がそれぞれ現れてきます。
また、大野と香住の他に、青年実業家の宮本とお嬢様の美奈子のカップルも登場しますが、この2人の普通(まとも)じゃない部分にも注目です。
誰もが「普通の部分」と「普通じゃない部分」、どちらも併せ持っていることに気付きます。それこそが個性であり、その人の魅力と言えるのではないでしょうか。
まとめ
全く噛み合わない2人の普通じゃないラブストーリー『まともじゃないのは君も一緒』を紹介しました。
「普通(まとも)」になろうと努力する大野と香住の姿をコミカルに描きながら、「普通(まとも)って何?」と問いかけます。
あなたの普通が他の人には普通じゃないかもしれない。人と人とのコミュニケーションで大事なことは、「普通に囚われ過ぎない」ということなのかもしれません。
「そのままでいい」と言ってくれる人がきっといるはず。「まともじゃないのは誰もが一緒」なのですから。