映画『山逢いのホテルで』は2024年11月29日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
切なさ溢れる大人の恋愛映画『山逢いのホテルで』。
主演を、マチュー・アマルリック監督『バルバラ セーヌの黒いバラ』(17)でセザール賞主演女優賞に輝いたフランスの名優ジャンヌ・バリバールが務めます。
監督は、本作で長編監督デビューを果たしたスイスの新鋭マキシム・ラッパズ。
映画『山逢いのホテルで』が、2024年11月29日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開されます。
障害を持つ息子への深い愛と、彼との生活を守るためにこそ現実逃避せずにいられない主人公のクローディーヌ。彼女は最後にどの道を選ぶのでしょうか。ただただ切なく美しい大人の恋愛映画の魅力をご紹介します。
映画『山逢いのホテルで』の作品情報
【公開】
2024年(スイス・フランス・ベルギー合作映画)
【監督】
マキシム・ラッバズ
【脚本】
マキシム・ラッバズ、マリオン・ベルノー
【キャスト】
ジャンヌ・バリバール、トマス・サーバッハー、ピエール=アントワーヌ・デュベ、ベロニク・メルムー
【作品概要】
スイスの壮大な山々と湖畔に囲まれた、世界最大級のグランド・ディクサンス・ダムの麓に実在するホテルを舞台に、息子への献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れる女の姿を描く作品です。
主演は、マチュー・アマルリック監督『バルバラ セーヌの黒いバラ』(2017)でセザール賞主演女優賞に輝き、『ボレロ 永遠の旋律』(2024)では圧巻のダンスを披露した、フランスの名優ジャンヌ・バリバール。熟年を迎えた女性の孤独から、息子に無償の愛を捧げる母としての優しさ、情熱的な恋に落ちる女性の可憐さまでを見事に表現します。
監督・脚本を手掛けたのは、ファッションデザイナーとして活躍したのちに本作で長編監督デビューを果たした、スイスの新鋭マキシム・ラッパズ。俳優たちの魅力を掬い取る繊細な眼差しや、じっくりと時間をかけて感情の変化を紡ぎ出す演出に、長編デビュー作とは思えない手腕を発揮しています。
映画『山逢いのホテルで』のあらすじ
スイスアルプスをのぞむ小さな町で、障がいのある息子をひとりで育てる仕立て屋のクローディーヌ。
彼女にはもう一つ別の顔を持っていました。毎週火曜日、彼女は息子を隣人に預け、山間のリゾートホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しんでいました。
そんな中、現れたある男性との出逢いが、彼女の日常を大きく揺さぶることになります。
もう恋を追いかけることなど想像もしなかったクローディーヌでしたが、再び女として目覚めようとし……。
映画『山逢いのホテルで』の感想と評価
優しく哀しいピアノ曲をバックに、ひとりの女性の愛と苦悩を映し出す名作です。
腕のよい仕立屋のクローディーヌは、障害を持つ息子のバティストとふたりで暮らしています。純粋な瞳を持つ、ダイアナ妃が大好きなバティストを、クローディーヌは深く愛しています。
しかし、彼女は当然ながらその囚われた生活に疲労していました。心のバランスをとるために、毎週火曜日は息子を隣家に預け、ロープウェーで上がった高い山の上にあるホテルを訪れ、宿泊客とのひとときの快楽を楽しんでいます。
ダムの脇に伸びる、人ひとりいない道を歩いてゆくクローディーヌ。シンプルなワンピースが、彼女の類い希な美しいプロポーションを際立たせます。顔には皺が刻まれているものの、女性としての魅力は溢れんばかりで、男性たちが皆すぐに誘いに応じることにも頷けます。
クローディーヌも相手に選ばれた男たちも肌のハリは失っており、後に彼女と恋に落ちるドイツ人男性・ミヒャエルも贅肉のついた中年男性です。それでも彼らの束の間の恋には、美しいと感じさせる純粋さがあります。
やがて、ミヒャエルと恋に落ちたクローディーヌは、息子への愛と義務、そして女としての幸せを追い求める心との間で引き裂かれていきます。
ただの現実逃避だったはずのアヴァンチュールが、自現実の生活に侵食してきてしまったクローディーヌは、果たしてどのような人生を選び取るのでしょうか。
どうぞ最後まで彼女の心の行方を見守ってください。
まとめ
スイスアルプスの山間に実在するホテルを舞台に、大人の切なすぎる恋愛をまるで絵画のように美しく映し出す名作『山逢いのホテルで』。
女性なら誰もが抱くであろう厳しい現実と夢の狭間で揺れ動く思いを、本作がデビュー作となるマキシム・ラッパズ監督が丁寧にすくい取りました。
観ているうちに、いつの間にかクローディーヌの心にシンクロしてしまうことでしょう。
映画『山逢いのホテルで』は2024年11月29日(金)よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開です。