「発光病」細胞異常により皮膚が発光し、その光は死が近づくにつれて強くなるという。
佐野徹夜のデビュー作にして累計発行部数30万部を突破したヒット作『君は月夜に光り輝く』の実写映画化です。
監督・脚本は『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督。今作でも死生観をテーマに、儚くも美しい命を懸命に生きる若者たちの純愛ラブストーリーとなりました。
死が近づくほど、美しく輝きだす命。死が2人を分かつまで一緒に生きると誓った2人の未来とは。残された者のその先にあるものとは。映画『君は月夜に光り輝く』を紹介します。
映画『君は月夜に光り輝く』の作品情報
【公開】
2019年(日本)
【原作】
佐野徹夜
【監督・脚本】
月川翔
【キャスト】
永野芽郁、北村匠海、甲斐翔真、松本穂香、今田美桜、優香、生田智子、長谷川京子、及川光博、斉藤慎二
【作品概要】
デビュー作にして、第23回電撃小説大賞にて大賞を受賞し、累計発行部数30万部を突破した、佐野徹夜の人気小説『君は月夜に光り輝く』の実写映画化です。
監督・脚本には『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督。今作でも「死生観」をテーマに、ひたむきに愛に生きる若者たちの純愛ラブストーリーが完成しました。
発光病という不治の病に悩みながらも健気に生きる少女・まみず役には、朝の連続テレビ小説『半分、青い』で演技力の高さが評判となった永野芽郁。
同級生の卓也役には、『君の膵臓をたべたい』でアカデミー賞新人俳優賞を受賞した北村匠海。今をときめく2人の旬な共演にも注目です。
映画『君は月夜に光り輝く』のあらすじとネタバレ
緑の芝が光り輝く昼下がり。ひっそりと葬儀は行われていました。渡良瀬まみずの墓には、白い花が添えられていきます。
まみずの母親から渡された寄せ書きの裏には、まみずの字でこう書かれていました。「私は私でよかった」。
高校生の岡田卓也は、クラスで書いた寄せ書きを届けに病院に来ていました。
見舞いの相手は、一度も会ったことのないクラスメイト、渡良瀬まみずです。まみずは、不治の病、発光病を患っていました。
発光病とは、細胞異常により皮膚が発光し、その光は死が近づくにつれて強くなると言われています。そして、成人するまで生存した者はいないということも。
卓也は発光病を知りながらも、その病気について、ましてや命の重さについて、どこか考えることから逃げるように生きていました。
卓也は、発光病にもかかわらず元気に振る舞うまみずに、興味を持ちます。まみずも、卓也にはわがままを言えるようです。
ある日お見舞いにやって来た卓也は、まみずの大切な父からのプレゼント「スノードーム」を落として割ってしまいます。
弁償したいという卓也に、まみずはある提案をします。それは、私のしたいことを代行して欲しいという願いでした。
「私は、余命0年なの。私っていつ死ねるのかな?」と言うまみずに、姉の姿を重ねる卓也。
卓也の姉も同じ言葉を残し、交通事故で亡くなっていました。事故のような自殺のような死に、卓也の母親もまた前に進むことが出来ずにいました。
まみずの「したいことリスト」の代行が始まります。ジェットコースターに乗りたい、でかパフェが食べたい、新型のスマホを並んでゲットしたい。まみずの願いは、女子高生なら誰もが出来ることでした。
代行体験は、卓也にとって思いがけず楽しいものでした。まみずも喜んでくれます。
そんな卓也に、まみずは自分の変わりに父親に会いに行き、離婚の本当の理由を聞いてきて欲しいとお願いします。
まみずの父に会う卓也。表向きには妻からの離縁となっているが、まみずの治療費のため偽装離婚をし、娘には会えない状態ということを聞かされます。
父の離婚の原因を聞いたまみずは、仲が悪くなったわけではないことを知り喜びますが、自分の病気のせいで、まわりを不幸にしていると嘆きます。生まれてこなければ良かった。その言葉は卓也にも重くのしかかります。
まみずの力になりたい。卓也は素直にそう感じていました。携帯電話で外の映像を見せながら一緒にデートを重ねます。自転車に乗って、買い物やカラオケ、メイド喫茶でバイトを始めました。
メイド喫茶のバイト仲間リコの出現に、やきもちを焼くまみず。卓也をバンジージャンプさせてスッキリします。
まみずが雑誌で欲しい靴に印をつけているのを発見した卓也は、その靴をプレゼントします。喜ぶ、まみず。2人は惹かれ合っていました。
「最後の願いがなくなったらどうする?死にたいとか言うなよ」と聞く卓也にまみずは「毎日思っているよ」と答えます。どうやっても死からは逃れられません。
2人の仲が深まるにつれ、まみずの母親は心配していました。嬉しいことも悲しいことも、まみずにはストレスになってしまいます。出来る限り穏やかにそっとして命を伸ばしたい。そう考える母親は、卓也にもう会わないで欲しいと告げます。
検査結果が良かったら海に行こうと約束していた卓也とまみず。検査結果は悪く、外泊の許可は取れませんでした。
落ち込むまみずの病室に、こっそりやってくる卓也。その手には、望遠鏡がありました。今夜は、月がひと際大きく見える「スーパームーン」です。
2人は屋上へあがり、卓也のプレゼントした靴を履き、月の観察デートを始めます。世界に2人しかいないみたい。お互いの気持ちに触れそうで触れられない距離。
しかし、卓也の告白を、まみずは軽く流してしまいます。先のない恋を始める勇気はありませんでした。
発光し始める、まみず。「もう来ないで。私を忘れて楽しく生きて」。まみずの死が近づいていました。
映画『君は月夜に光り輝く』の感想と評価
死期が近づくと発光する発光病という不治の病を患った少女と、その死に向き合いながら共に生きることを選択する少年の、あまりにもせつない純愛ラブストーリー映画『君は月夜に光り輝く』。
ファンタジックな要素もありながら、好きな人の死をどのように受け止めるのか、前を向いて生きるとは、死生観を考えさせられる物語です。
ラストシーンでは、卓也が代行で行った場面に、まみずが登場し一緒にデートを楽しむシーンが流れます。叶えられなかった夢は、2人の心の中にだけ存在していました。
あまりにもせつなく、悲しい結末に涙せずにはいられません。
限られた時間を精一杯生きること。これは、病気でも健康でも言えることです。人はいつか死にます。命には限りがあります。その命をどう使って生きるのか。命を輝かせて最後まで生きたいものです。
不治の病を患ったまみず役を演じた永野芽郁は、その病名「発光病」のごとく内側から光出る透明感が魅力的でした。ほとんど病室の演技となったにも関わらず、恋をする気持ちや病気に苦しむ姿が表情を通して伝わってきました。
同級生の卓也役には、『君の膵臓をたべたい』でも生き残る役柄を演じた北村匠海。今作でも、治らない病と知りながら、側に寄り添うことを決意。それでも襲い来る悲しみを、みごとに演じています。淡々とした演技がどこか現実的で、残された者の悲しみをより表現しています。
まとめ
佐野徹夜の人気小説を、『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督が、実写映画化した『君は月夜に光り輝く』を紹介しました。
『世界の中心で、愛をさけぶ』『君の膵臓をたべたい』と並ぶ、「生と死」に向き合う純愛のラブストーリーが待望の映画化です。
大事な人の死を前に、人はどう向き合えばいいのか。限られた時間を精一杯生きた先に待っている未来とは。
大事な人と見て欲しい映画『君は月夜に光り輝く(キミツキ)』。何よりも一緒に入れる時間を大切にしてください。