美しい済州島の風景と、切ない年の差恋愛に魅せられる!
ベテラン海女とテレビプロデューサーという、親子ほど年の離れた2人が惹かれあっていく姿を描く韓国ラブストーリー『輝く瞬間』。
監督はソ・ジュンムン。済州出身の国民的女優コ・ドゥシムと、『イニョン王妃の男』のチ・ヒョヌが、年齢差を越えた美しい愛を紡ぎます。
年齢や生きてきた時間、生活環境がまったく違いながら、魂が引き合うふたり。美しい海の風景をバックに切ない恋が映し出されます。
映画『輝く瞬間』の作品情報
【製作】
2021年(韓国映画)
【監督】
ソ・ジュンムン
【キャスト】
コ・ドュシム、チ・ヒョヌ
【作品概要】
済州島でオールロケを敢行した、年の差カップルを描くラブストーリー。監督はソ・ジュンムン。
30歳も年齢が離れたベテラン海女とテレビプロデューサーが惹かれ合っていくさまを切なく美しく描きます。また美しい済州島の風景も見どころです。
主演は済州出身の国民的女優コ・ドゥシムと、ドラマ『イニョン王妃の男』(2012)のチ・ヒョヌが務めます。
映画『輝く瞬間』のあらすじとネタバレ
素潜りの達人として有名な済州島の海女ジノク。気の強さでも漁でも、済州で彼女に勝てる者はいませんでした。
ソウルから来たドキュメンタリー番組のプロデューサーであるギョンフンはジノクに取材を申し込みますが、冷たく拒まれます。
しかしギョンフンはそれでもあきらめることなく、ジノクの心の扉を開けようと彼女につきまとい始めました。
海でおぼれかけたギョンフンの命を救ったジノクは、彼が自分と同じような心の傷を持っていることを知り、心を開くようになります。
その後ジノクの「マネージャー」となったギョンフンは済州島、そして海女の人生に深く入り込んでいきました。
次第にジノクはギョンフンに対して、今まで味わったことのない感情を覚え始めます。
ジノクは風邪で寝込んだギョンフンを見舞い、巻き貝粥を差し入れました。ギョンフンの描いた自分の美しい似顔絵を見たジノクは、ようやく取材撮影を受け入れます。
ジノクはカメラの前で海女としての喜び苦しみを語り、海でのシーンを撮影します。
その後、ジノクが育った森で撮影を行いました。ジノクはそこに咲く相思花の悲しい恋物語をギョンフンに話して聞かせます。
映画『輝く瞬間』の感想と評価
70歳のベテラン海女・ジノクと、年若いテレビプロデューサーの青年ギョンフンの、親子ほども年の差があるふたりの切ない恋模様を美しく映し出す作品です。
日に焼けて顔には深くしわが刻まれた、勇ましく凛々しいジノク。対して、ギョンフンはスレンダーで色白な美しい若者です。
はじめジノクはヒョロリとしたギョンフンを「ボンクラ」と呼んでまったく相手にしませんでしたが、ギョンフンの誠実さや優しさ、そして深く傷ついた心を知り惹かれていきます。
雄々しかったジノクの表情が、次第に柔らかなものに変わっていくさまに胸を打たれることでしょう。「少女」とさえ感じる初々しい表情を見せるコ・ドゥシムの演技は圧巻です。突然生まれた初めての感情に翻弄されるジノクを、可憐に演じています。
森でインタビューを受けるために、何よりギョンフンとふたりで過ごすために、新しい口紅をつけて行くジノク。彼女の浮かべる優しい表情にはっとさせられるに違いありません。
両親と娘を自分のせいで失ったと自身を責め続けて生きてきたジノクと、恋人を水難事故で失ったギョンフン。ふたりの孤独な魂は磁石のように引き合い、堅く結ばれます。
失った恋人について語りながら泣き崩れるギョンフンに、ジノクは「人は生まれたらまず泣くんだよ。恥ずかしくない。泣きたいときは泣けばいい」と言いながらまるで聖母のような顔を見せます。
ふたりで生きていくことを決心するギョンフンとジノク。しかし、彼らの関係は、済州島の人里離れた海辺だけで守られるものでした。
上司にふたりの恋を「気持ち悪い」と言い捨てられ、おそらく世間からは冷たい目で見られるようになることをギョンフンは理解します。またジノクには、寝たきりの夫がいました。
積み重ねてきた長い年月にジノクは逆らえませんでした。「海の女」であるジノクが、愛と憎しみ渦巻く海から離れられないことを、ギョンフンは深く理解します。
それでも、ふたりは離ればなれになって生きることを選んだことで、永遠に結ばれたのだと思わずにはいられません。
まとめ
多くの障壁を越えて結ばれた年の離れた男女の純愛を描く『輝く瞬間』。
聖母のような美しさと少女のような純粋さを持つ70歳の海女・ジノクと、深い喪失感と孤独を抱える、都会から来た美しい青年ギョンフン。
互いに必要なものを与え合うふたりでしたが、結ばれることは叶いませんでした。海の女ジノクは、童話で描かれる人魚姫かのように、静かに自分の住処である海へと帰っていきます。
しかし叶わぬ恋だからこそ、人魚姫の物語が長きにわたって愛されているように、その瞬間は永遠となりました。
ふたりは互いへの思いを胸に、それぞれの道を前を向いて歩み続けるに違いありません。