映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』は2023年3月24日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開!
殺し屋女子二人組の笑いあり・殺しありの生活を描き、劇場公開時にはロングランヒットを記録した青春エンターテインメント『ベイビーわるきゅーれ』(2021)。
その続編となる作品が、2023年3月24日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開を迎える映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』です。
このたびの劇場公開を記念し、主人公である殺し屋女子二人組の一人・まひろ役を再び演じ、スタントパフォーマーとしても活躍する伊澤彩織さんにインタビューを行いました。
伊澤さんの目に映った阪元裕吾監督の姿、前作が引き続き“バディ”を組んだちさと役の髙石あかりさんとの“阿吽の呼吸”な共演、前作からさらにパワーアップした本作の魅力など、貴重なお話を伺うことができました。
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楽しみながら“先”を見つめる監督・阪元裕吾
──『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(以下、『2』)は2021年に公開されロングランヒットを記録した『ベイビーわるきゅーれ』(以下、『1』)の続編ですが、“続編製作”のお話をお聞きになってどう思われましたか。
伊澤彩織(以下、伊澤):とても大好きなチームとともに『1』を撮ることができたので、「また一緒に作れるんだ」とうれしかったのを覚えています。
『1』の撮影時にも、阪元監督は「『ベイビー』の『5』では……」と話されていたんです。
当時の私は『1』のことだけで頭が精一杯だったんですが、どんどん先を見つめて映画を作り続けている監督を見て「この人の頭の中では、どこまで展開しているんだろう」「その構想に、自分もついていこう」と感じられました。
──伊澤さんご自身は、阪元監督をどのような魅力を持った映画監督だと感じられているのでしょうか。
伊澤:カメラのモニターの前で、あんなに楽しそうに笑ってくれる監督さんは初めてかもしれないです。モニターで芝居を見られる監督は少なくないですが、中でもとりわけ1番楽しそうに芝居を見てくれるんです。「笑い声が入っちゃうよ」と思うぐらいに(笑)。
その場のアイデアでもよく取り入れてくれますし、自由に実験もさせてもらえました。映画作りの過程を誰よりも楽しんでいるのが、監督の魅力の一つかなと思います。
アクションの“キレ”が進化した理由
──『1』からさらにパワーアップした『2』のアクションの魅力をお聞かせいただけますでしょうか。
伊澤:『2』は『1』以上にアクションシーンが増えたんですが、「違う映画のアクションシーンを観ているんじゃないか」と感じられるほどに、それぞれの場面でテイストが違うアクションをそれぞれの場面で撮影しているんです。
コメディ要素が強いものもあれば、乱闘もあり、“真剣勝負”なアクションもある。そしてどのアクションも見応えのあるものになったと思います。
また『2』のアクションでは、『1』の時よりも自分の感覚としては体の中で大きな変化が起こったんです。
『1』に引き続き、アクション監督の園村健介さんに、アクションに不可欠な“体の動かし方”そのものを教えてもらいました。
パンチ一発を撃つにしても、「体幹をどう固定するのか」「股関節のどこを伝って、力を移動させるのか」「股関節から力が伝ってきた上で、肩甲骨をどう締めるのか」という風に精神を研ぎ澄ませ、体の内部とひたすら向き合う時間でした。
『1』の時は、アクションになった途端、基礎が体の中から外れて、アドレナリンと勢いだけでどうにか乗り越えてた部分もあったので。より体の連動を意識して練習を見てもらいました。
『2』では、『1』の時よりも“体の動かし方”についてより深い場所までたどり着けたと感じています。私の体の中で起きた変化なので、アクションを観ただけじゃ伝わりにくいかもしれませんが、肉体も精神もより研ぎ澄まされたことで、一つ一つの動作にも“キレ”として表れていたらいいなと思っています。
“肉体の在り方”そのものが変化する
──アクション監督の園村さんが語られた“体の動かし方”について、より詳細にお教えいただけますでしょうか。
伊澤:園村さんは年齢を重ねるごとに「筋肉を一生懸命に使うのではなく、楽に強くパンチを撃つ方法」を模索し続け、その結果として、人間の骨と筋肉の構造に基づいて徹底的に考え抜いた“体の動かし方”にたどり着いたそうです。
ビックリしたのが、5時間くらいのミット練習を終えた時、稽古場が広く感じた時がありました。整骨院に行った帰りみたいに、視界がクリアになったんです。
骨や筋肉の動作を一つ一つ丁寧に考え続けることで、肉体の在り方そのものが変化し、肉体がそこに在る空間への視野も変化する。
園村さんに見えているものも体感できる“体の動かし方”の稽古は、「人体って面白いな」と改めて考えさせられました。
髙石あかりとの“阿吽の呼吸”もパワーアップ
──『1』から引き続きバディを組むこととなった、ちさと役の髙石あかりさんとのご共演はいかがでしたか。
伊澤:『2』の撮影が始まる前は、『1』の撮影からだいぶ時間が空いてしまったこともあり、「『ベイビーわるきゅーれ』の世界に戻れるのかな」「私たちはちさとに、まひろにちゃんとなれるのかな」と二人で少し心配していたんです。
ただ、実際に脚本の読み合わせを二人でしてみると、お互いが勝手にちさと・まひろになっていく感覚があったんです。「呼吸を合わせよう」と意識していないのに、自然と二人の呼吸が合っていったんです。
アクションにおいても呼吸は大切なんですが、あかりちゃんと一緒にいると楽に呼吸ができる。「息が合う」とか「阿吽の呼吸」というのは、多分そういう状態のことなんだと思います。
また映画のアクションシーンの途中で、ちさと・まひろがお互いにハンドサインを出し合う場面があるんですが、そのハンドサインは事前に決めていたわけではなく、その場のアイデアで。そうした何気ないやりとりでも、あかりちゃんと一緒に考えさせてもらえるのが楽しかったです。
“ジェットコースター”から“コーヒーカップ”へ
──最後に、伊澤さんにとっての『2』の魅力を改めてお聞かせいただけますでしょうか。
伊澤:とても感覚的な表現になってしまうんですが、私は『1』のことを“ジェットコースター”みたいな映画だと思っていたんです。徐々に徐々に盛り上がって、最後はアクションシーンでぶっ飛ばしていくアトラクションと言ったらいいのか。
ですが『2』は、同じ遊園地のアトラクションで例えると“コーヒーカップ”だと感じたんです。
カップには私たちだけでなく、色んな登場人物を演じるキャストさんがそれぞれ乗っていて、監督が面白がって回してくれている。『1』はちさと・まひろの世界を中心に描いていたのに対して、『2』では少し世界が広がって、群像劇の要素がより出てきたからかもしれないです。
ただ「この映画はどうなるんだ?」というワクワク・ドキドキ感は、『1』と『2』の何よりの共通点だとも感じています。遊園地に遊びに来るような気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです。
インタビュー/河合のび
撮影/田中舘裕介
ヘアメイク/西田美香(atelier ism®︎)
スタイリスト/入山浩章
【衣装クレジット】
・A PUPILのブラウス¥30.800(UTS PR/03-6427-1030)
・Folk/Nのリング(プレート付き)¥16.500/¥17.600(UTS PR/03-6427-1030)
・ビンテージのスカート¥13.200(Sick/@sick_shibuyatokyo)
・flakeのピアス¥66.000(flake/03-5833-0013)
・VEGEのサンダル¥19.800(VEGE/03-5829-6249)
伊澤彩織プロフィール
1994年生まれ、埼玉県出身。
スタントパフォーマーとして、映画『キングダム』(2019)、『るろうに剣心 最終章』(2020)、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021)、「ジョン・ウィック」シリーズ新作(2023)などでメイキンキャストのスタントダブルを担当。
役者としての主な出演作に映画『ある用務員』(2020)、『ベイビーわるきゅーれ』(2021)、『オカムロさん』(2022)などがある。
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の作品情報
【公開】
2023年(日本映画)
【脚本・監督】
阪元裕吾
【アクション監督】
園村健介
【主題歌】
新しい学校のリーダーズ「じゃないんだよ」
【オープニングテーマ曲】
KYONO「2bRaW feat. N∀OKI(ROTTENGRAFFTY)」
【キャスト】
髙石あかり、伊澤彩織、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼(ラバーガール)、橋野純平、安倍乙、新しい学校のリーダーズ、渡辺哲、丞威、濱田龍臣
【作品概要】
殺し屋女子二人組の笑いあり・殺しありの生活を描き、劇場公開時にロングランヒットを記録した『ベイビーわるきゅーれ』(2021)の続編となるシリーズ第2弾。1作目同様に『ある用務員』(2020)などで知られる阪元裕吾監督が自身のオリジナル脚本のもと本作を手がけた。
ドラマ『生き残った6人によると』(2022)、映画『わたしの幸せな結婚』(2023)の髙石あかり、スタントパフォーマーとして活躍する伊澤彩織が、主人公のちさと役・まひろ役をそれぞれ再び演じた。
また第2作目の新たな敵として二人の立ちはだかるゆうり・まこと兄弟を『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』(2020)の丞威、『ウルトラマンジード』(2017)の濱田龍臣が演じた他、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼(ラバーガール)、渡辺哲が脇を固める。
映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』のあらすじ
ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、また途方に暮れていた……ジムの会費、保険のプラン変更、教習所代など、この世は金、金、金。金がなくなる……。
時を同じくして殺し屋協会アルバイトのゆうり(丞威)とまこと(濱田龍臣)兄弟も、途方に暮れていた……。
上からの指令ミスでバイト代はもらえず、どんなに働いたって正社員じゃないから生活は満足いかない。この世は金、金、金。金がほしい……そんな時「ちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できる」という噂を聞きつけ、作戦実行を決意。
ちさと・まひろは銀行強盗に巻き込まれたり、着ぐるみバイトをしたりとさあ大変。そんな二人にゆうり・まこと兄弟が迫りくる……!
育ってきた環境や男女の違いはあれど、「もし出会い方が違えば仲良くなれたかなぁ」なんて思ったり思わなかったり、ちょっと寂しくなったりならなかったりする物語である。
ライター:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。
2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、映画情報サイト「Cinemarche」編集部へ加入。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける(@youzo_kawai)。