2025年1月31日(金)より、映画『邪悪なるもの』全国順次公開!
「新感覚ホラー」と称されるアルゼンチンのデミアン・ルグナ監督による新作ホラー映画『邪悪なるもの』。
「悪魔憑き」と呼ばれる怪現象に翻弄される世界で、絶望の結末からの逃亡を図る人々の壮絶なさまを描きます。
2023年シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀長編映画賞を受賞、同映画祭ではラテンアメリカの作品として初の受賞を果たしました。
映画『邪悪なるもの』の作品情報
【日本公開】
2025年(アルゼンチン・アメリカ合作映画)
【原題】
Cuando acecha la maldad
【監督・脚本】
デミアン・ルグナ
【出演】
エセキエル・ロドリゲス、デミアン・サロモン、シルビナ・サバテール、エミリオ・ボダノビッチほか
【作品概要】
「悪魔憑き」と呼ばれる怪現象的感染が拡大した世界で、家族を守るべく奮闘する兄弟の運命を描いたホラーストーリー。
『テリファイド』のデミアン・ルグナ監督が本作を手がけました。キャストにはアルゼンチンの人気テレビドラマ『Violetta』(2012)などのエセキエル・ロドリゲス、『テリファイド』(2017)にも出演を果たしたデミアン・サロモン、『Alanis』(2017)などのシルビナ・サバテールらアルゼンチンの実力派俳優が名を連ねています。
映画『邪悪なるもの』のあらすじ
悪魔に魂を乗っ取られ身体が腐敗するという、「悪魔憑き」と呼ばれる怪現象が流行し、社会的に大きな混乱をもたらした世界。
この現象は「処理人」と呼ばれる専門家により適切に処理される必要があり、かつ人々は古くから伝わる7つのルールを守らなければ、「悪魔の力」と呼ばれる怪現象が伝染病のように広がり世界は終わりを迎えるといわれていました。
ある日、ペドロとジミーの兄弟は、村外れの森の中で変死体を発見し、さらに近隣の住民の一家で「悪魔憑き」を隠していることを発見します。
兄弟は7つのルールに従い対処しようとしますが、伝承を信じない人々の無謀な行動によって、ルールに対するタブーが犯されてしまいます。
この偶行で周囲に「悪魔憑き」が伝搬してしまい、兄弟は愛する家族を守るべく姿の見えない「悪」からの逃亡を図りますが……。
映画『邪悪なるもの』の感想と評価
本作のポイントとなるのが「悪魔」という存在の表現。
この物語では「悪魔」という存在のイメージを、なにかの象徴のような具体的な像としては描いていません。にもかかわらず物語の展開からは、「邪悪なもの」「悪魔のようなもの」が確かに存在し、人間に恐怖をまき散らして「悪魔」という存在の恐怖を想起させる物語となっています。
序盤では「悪魔憑き」に遭い体が腐敗した、グロテスクな人間が登場しますが、そのあとに続くのはとにかく不可解な事故、事件ばかり。
まるで伝染病のように広がり、そして凄惨さを増していくさまは、恐怖の対象が見えないだけに強い恐怖感をおぼえることでしょう。
その恐怖感の根源となるのが、具体的な形で存在しない「悪魔」。そして邪悪なものの伝染と現実の凄惨な光景が目まぐるしく交差していくさまにあります。
次々に目の前に現れる異常事態に主人公ペドロは翻弄され、疲弊していきます。
それでも彼は諦めず打開策を求めさまよい、何度も「やり切った」「希望はある」と前向きな気持ちを押し通しながら、次の瞬間にその気持ちをいとも簡単に打ち崩され、絶望のどん底に叩き落とされてしまいます。
そして「悪魔」に家族を一人、また一人と奪われるその怪現象は、なにか意味があってその現象が起こることをにおわせるような節も感じられ、単なるショッキングで残酷な光景では終わらない恐怖の瞬間を映し出していきます。
結果的に主人公は死なないものの、ペドロは死以上の恐怖と絶望感に包まれる/span>。まさにここで描かれた恐怖こそが、作品の重心となるポイントであるといえるでしょう。
まとめ
「悪魔憑き」の伝染していくさまには、やはり多くの人があのコロナ禍を想起していくことでしょう。
古(いにしえ)の時代では、伝染病の流行と悪魔、魔女といった邪悪な存在を織り交ぜて考える思想もありましたが、近代でそのような思想はまず考えられないことであります。
しかしコロナ禍の伝搬は、感染や症状などの具体的なウィルスの性質だけでなく、いわゆる「感染差別」的ともいえる奇妙な現象を社会に巻き起こしており、そのさまはある意味目に見えない「邪悪なもの」の存在すら感じられるものでありました。
このような視点で物語を見渡すと、寓話的でありながら意外に現実離れした現象ばかりではなく、思ったよりも普遍的で身近にある恐怖を扱った物語であるようにも感じられるものであります。
映画『邪悪なるもの』は2025年1月31日(金)より全国順次公開!