新感覚ホラーとしてスマッシュヒットした『イット・フォローズ』の製作陣が新たに放った“外は恐怖。中は狂気。のサスペンスホラー!
映画『イット・カムズ・アット・ナイト』は、11月23日(金・祝)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー。
夜襲い来る“それ”の感染から逃れるように、森の奥深くにある一軒家に家族が住んでいました。彼らは外界との接触を断ち、ひっそりと暮らしていましたが、ある日、そこに別の家族が助けを求めて転がり込むと…。
CONTENTS
映画『イット・カムズ・アット・ナイト』の作品上情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
It Comes at Night
【脚本・監督】
トレイ・エドワード・シュルツ
製作総指揮
ジョエル・エドガートン
【キャスト】
【作品概要】
監督作『ザ・ギフト』や『レッド・スパロー』のジョエル・エドガートンが主演だけでなく製作総指揮にも名を連ねているほか、同じA24スタジオ製作の『アンダー・ザ・シルバーレイク』でヒロインを務めたエルビス・プレスリーの孫娘ライリー・キーオなどが共演として名を連ねています。
映画『イット・カムズ・アット・ナイト』のキャラクターとキャスト
ポール(ジョエル・エドガートン)
一家を支える主人、元教師
サラ(カルメン・イジョゴ)
ポールの妻
トラヴィス(ケルビン・ハリソン・ジュニア)
ポール、サラの息子
ウィル(クリストファー・アボット)
ポールの一家に迷い込む一家の長
キム(ライリー・キーオ)
ウィルの若き妻
アンドリュー(グリフィン・ロバート・フォークナー)
ウィルとキムの息子
映画『イット・カムズ・アット・ナイト』のあらすじ
“それ”による感染拡大で人類が滅亡の危機に瀕していた中、元教師期のポールは森の中の一軒家を目張りし、昼なお暗い環境の中で家族と過ごしていました。
しかし、その一方で義父のバドが感染、ポールは断腸の思いでバドを銃殺、息子のトラヴィスとともに彼を埋葬。
ポールがまだ十代のトラヴィスにすべてを目撃させることを、妻のサラは責めます。
そんなある夜、一家の家に侵入者が現れます。
男の名前はウィル。彼は水を求めてさまよい、廃墟と思ってポールの家に侵入したんです。
ウィルは水と、自分が持つ多くの食料との交換を持ち掛けてきました。
80キロ先にいるウィルの妻子キムとアンドリューを迎え入れたトラヴィス一家。
ぎこちないながらも新しい形の生活が始まります。
特に若いキムと幼いアンドリューの存在は一家に活気を与えました。
トラヴィスもウィルに慣れ、ポールもウィルとお酒を酌み交わすまでなりました。
しかし、アンドリューが感染した可能性が出てきて一同に亀裂が入ります。
映画『イット・カムズ・アット・ナイト』の感想と評価
いま面白映画の保証マークは“A24”
2012年に設立されたニューヨークの映画制作会社A24。
2018年秋冬だけでも『ヘレディタリー継承』『イットカムズ・アット・ナイト』『アンダー・ザ・シルバーレイク』『ア・ゴースト・ストーリ』『バクダッド・スキャンダル』と話題作が続きます。
映画制作会社の名前が映画の一つの売りになるのも珍しい現象といっていいでしょう。
映画製作プロダクションは基本的にはハリウッドメジャーとその傘下の映画スタジオ、または監督・俳優の個人プロダクションぐらいしかない中で、こういう存在が出てくるのは非常に珍しく、かつとても貴重な存在です。
ミラマックスやニュー・ライン・シネマ、ワーキング・タイトルと言ったスタジオが独立系スタジオとして活躍しましたが、今は全てハリウッドメジャーの傘下に入ってしまいました。
資金面での安定を確保するためには必要な流れではあるのですが、やはりというかその後はカラーがキープされることはなく徐々に埋没していきました。
A24にもハリウッドメジャーから傘下に入らないかという誘いがあるかもしれませんが、できることなら独立系の雄として今の位置を確保し続けて欲しいところです。
“それ”が示すもの
『イット・フォローズ』のイットは言わば、青春(大人になっていくこと)・貞操(SEX)といったものを脅威の存在として描いた作品でしたが、今回のイットが指し示すものは“不安”“疑心”。
冒頭にペストの流行を描いたタペストリーが登場し、主人公のポールが教師でローマ帝国のことなら任せてくれと言うなど、暗に示すというには少し丁寧すぎるくらいですが、その分シンプルでよくわかります。
そして、映画の中で本当の恐怖として描かれるのも襲い掛かる何かではなくて、それによって人々の間で生まれる“不安”と“疑心”です。
『ITそれが見えたら終わり』ではもっと露骨にペニーワイズという存在が登場しますが、目に見えない“イット”こそ実は本当に怖いモノなのかもしれません。
まとめ
本作『イット・カムズ・アット・ナイト』の監督を務めたのは、1988年生まれのトレイ・エドワード・シュルツ。
長編デビュー作品『Krisha』では多くの新人賞を受賞しています。また、ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2016年の映画ベスト1に選出されています。
トレイ監督が本作『イット・カムズ・アット・ナイト』のテーマに選んだのは、2つの家族の内と外に潜む「死、恐怖、後悔」から増幅する暴力的な感情です。
ポール役を務めたジョエル・エドガートンをはじめ、他のキャストたちが、それぞれのどのように感情崩壊を見せるのか、ぜひ怖いもの見たさに、この映画をご覧ください、
観る者を心理的に追い詰めていきますよ。