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『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』あらすじ感想と評価考察。宮崎大祐監督×映画美学校アクターズコースで贈る“SF青春群像劇”

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』が2024年6月15日(土)よりシアターセブンにて公開!

VIDEOPHOBIA』(2020)、『大和(カリフォルニア)』(2018)の宮崎大祐監督が、映画美学校アクターズコースとのコラボレーションで制作しました。

未来の地球と火星の世界を描いた「MY LIFE」と、様々な事情で森の中を彷徨う「BUSH OF GHOSTS」の2部構成で、宮崎監督とアクターズコースの生徒14人が共同で脚本を担当しました。

過去の人の人生がデータ化され、追体験できるようになった遥か遠い未来。ゲームに夢中になっていた青年は、マシーンが壊れてしまい……。「MY LIFE」

タイ料理店の同僚と一夜を過ごしたミスズは、匂いに誘われて森の中へ迷い込むも……。「BUSH OF GHOSTS」

独特の世界へと誘う群像劇。

映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』の作品情報


(C)2022 THE FILM SCHOOL OF TOKYO

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督】
宮崎大祐

【手話通訳】
立石聡子、村山春佳、山崎晋

【キャスト】
三好藤紀、秋本ふせん、村岡佳奈、川野邉修一、坂本彩音、渡部智子、悠太、岡澤由佳、こばやしかのん、谷田部美咲、レオ、今井彰人、今井ミカ、百花亜希、渡邉智美、渚まな美、奏衛

【作品概要】
『PLASTIC』(2023)、『#ミトヤマネ』(2023)と立て続けに制作をしている宮崎大祐監督が、映画美学校アクターズコースと共に制作した映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』。

アクターズコースの生徒14人と共に脚本を制作し、アクターズコースの生徒や卒業生がキャストとして顔をそろえます。

映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』のあらすじ


(C)2022 THE FILM SCHOOL OF TOKYO

第一部「MY LIFE」

はるか遠い未来。過去の人の人生を追体験できるようになった世界で、ある青年はゲームに夢中になるもマシーンが壊れてしまいます。

近い未来。ミチとイチロウは、共に地球から火星に行くことを夢見ていましたが、申請が通ったのはイチロウだけでした。ミチは先に行って待っていてよと言います。

遠い未来。地球への修学旅行にやってきた学生たち。昔の自動販売機を見つけてはしゃいでいます。

第二部「BUSH OF GHOSTS」

タイ料理店で働くミスズ。同僚と一夜過ごした後、匂いに誘われて森へ。

ハローワークで仕事が見つからなかったヤタベは、気晴らしにピクニックをしようと森へと向かいます。

大学生のスダは、退屈な日々に嫌気がさし、森で一服をすることにしますが、そのうちに寝てしまい……。

映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』の感想と評価


(C)2022 THE FILM SCHOOL OF TOKYO

近未来を描く第一部「MY LIFE」と森に迷い込んだ人びを描く第二部「BUSH OF GHOSTS」の2部構成になっている映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』。

遠い未来、そう遠くない未来…地球や火星などを舞台に描かれる近未来。

しかし、近未来は、今生きている現代社会とそう遠いものではないのかもしれません

もしかしたら今の私たちの記憶はデータベース化されて追体験できるようになるかもしれませんし、環境破壊が進んだ地球を捨て人類は火星に移住しているかもしれません。

特に、地球に修学旅行でやってくる人々は防護スーツを身に纏い、地球が環境破壊によって安全ではなくなったことを感じさせます。

年々異常気象が加速し、コロナパンデミックを経験した私たちにとっては、あり得ない近未来ではなく、もしかしたらあるかもしれない未来に感じるでしょう。

そのような独特な近未来の世界を舞台にしつつも、描かれているのは人々の出会いや別れ、何気ない日常会話の積み重ねです。

現代社会と何も変わらない人々の営み。時代や環境が変わっても変わらないものがあるように感じます。

奇妙な世界観と変わらない人々の営みというチグハグにも感じるバランスが本作の特徴といえます。

また、第二部「BUSH OF GHOSTS」では、近未来とはまた違う異世界を森が演出します。

森の中を彷徨う人々を通して、観客もどこかにトリップしたかのような不思議な感覚に陥ります。彷徨う中で人々は何を見つけるのでしょうか、そして観客は何を思うでしょうか。

神秘的でどこかざわつく空気感、それは受験的な映画を撮ってきた宮崎監督ならではの世界観です。宮崎監督と映画学校の生徒とのコラボレーションによって作られた本作は、日常と異空間の融合がクセになります。

映画で描かれる異空間は、決してあり得ないものではなく、私たちの日常のすぐそばにあるものかもしれません。

まとめ


(C)2022 THE FILM SCHOOL OF TOKYO

VIDEOPHOBIA』(2020)、『大和(カリフォルニア)』(2018)の宮崎大祐監督が、映画美学校アクターズコースと共に制作した映画『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』。

そうなるかもしれない未来を生きる人々の何気ない日常を描いた第一部「MY LIFE」。様々な事情を抱え森を彷徨う人々を描いた第二部「BUSH OF GHOSTS」。

独特な世界観に導かれ、ふと日常を見つめ直してみると、何が見えてくるでしょうか

私たちが普通だと思っている世界ももしかしたらそうではないのかもしれませんし、異世界はすぐ隣にあるのかもしれません。

また、映画の中では“異世界”として描いていたものは、私たちが日常的に直面する信じがたい出来事……無差別な暴力や災害などを意味するのかもしれません。

私たちが出会うすべてのものは説明ができるものとは限りません。流れに身を任せ、ふらりと彷徨い歩きたくなるような気持ちになります。

本作が誘う異世界へのトリップに身を任せてみるのも良いかもしれません


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