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【映画キング TheKing】ネタバレ感想とレビュー評価。ティモシーシャラメに主役を依頼したのはデヴィッド・ミショッド監督のアイデア

  • Writer :
  • 奈香じゅん

Netflixオリジナル映画『キング(原題:The King)』はヴェネチア国際映画祭にて世界初公開

『キング』は、中世のイギリスが舞台。偉大な指揮官として知られるヘンリー五世を描いた歴史ドラマです。

主人公を演じるのは、現在若年俳優で最も注目を集めるティモシー・シャラメ。

ヘンリー五世が信頼するフォルスタッフ役で出演するジョエル・エジャートンと監督を務めたデヴィッド・ミショッドが脚本を共同執筆。『それでも夜は明ける』や『ムーンライト』を手掛けたプランBエンターテイメントが製作。

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映画『キング』の作品情報

【公開】
2019年(アメリカ・オーストラリア合作映画)

【原題】
The King

【監督】
デヴィッド・ミショッド

【キャスト】
ティモシー・シャラメ、ショーン・ハリス、ジョエル・エジャートン、ベン・メンデルソーン、ロバート・パティンソン、トム・グリン=カーニー、トーマサイン・マッケンジー、エドワード・アシュレイ、リリー=ローズ・デップ

【作品概要】
本作の草案はジョエル・エジャートン。シドニーの自宅から2分しか離れていない隣人のデヴィッド・ミショッドにエジャートンが監督業を依頼。

2人で歴史を検証できる物語にしようと脚本を共同執筆。『僕の名前で君を読んで』を観たミショッドは、ティモシー・シャラメを主役に希望したと話します。本作は、11月1日よりNetflixで配信。

映画『キング』のあらすじとネタバレ

スコットランドと激しい戦争が続いていた中世のイングランド。ヘンリー四世に長く仕えていたヘンリー・パーシーは、君主の戦略に異を唱えます。

ヘンリー四世の長男・ハルは父親とは疎遠で、フォルスタッフと一緒に放蕩生活を送っていました。

そんなある日、ヘンリー四世が体調を崩したとフォルスタッフがハルに知らせます。気にもしないハルですが、フォルスタッフの強い説得で父親に会いにいきます。

しかし、ヘンリー四世は、家臣の前で王位を継承するのは二男のトーマスだと宣言。ハルは、王位など望んでいなかったと言い放ちます。イギリス国王は、自分に反旗を翻したパーシーを討ち取るよう意向を明示。

いつ戦闘を開始するのか尋ねるハルに、トーマスは翌日だと返答。ヘンリー四世は、召喚して伝える内容はそれだけだと述べ、ハルに退席を命じます。

ハルは、トーマスが闘いの準備をする最中に現れ、自分がパーシーと一騎打ちをするので、戦争の必要は無いと言います。

父親の死でパーシー家の反発も治まると読んだハルは、戦闘経験の無い弟を守る為に一計を案じたのでした。

一対一の闘いを制したハルですが、プライドを傷つけられたトーマスは反発。フォルスタッフが落ち込むハルを慰めます。

司法卿のウィリアム・ガスコインがハルを訪れ、国王の危篤を知らせます。ヘンリー四世によってイギリス王国は問題が山積し、君主亡き後混乱が生じるとハルに伝えます。

戦闘を継続したトーマスが命を落とし、ハルが王座につくべきだと助言。死の床にある自分を見舞ったハルに対し、ヘンリー四世は次期国王の座につくよう懇願。

教会の司祭が即位式を執り行い、ヘンリー五世が誕生します。

デンマークへ嫁いだ妹・フィリッパも祝賀会に出席。フランス王大使・ドーフィンは、新国王への献上品に何の変哲もないボールを送付。

司法卿は、侮辱する態度を示したドーフィンに、相応の処置を取るようヘンリー五世を促します。

しかし、ヘンリー五世は、父親の外交政策とは異なり、先代が投獄した政治犯に恩赦を与え、他国と関係修復をすることで財政の圧迫を縮小する意向を説明。

司法卿は政権が交代した今こそ国を改革する絶好の機会だと賛成します。

一方、大司教はヘンリー四世の野心を重んじ、女系の王位継承を禁じたサリカ法に縛られるフランスに男子が居ないことから、フランス政権を乗っ取り、エルサレムも視野に入れるべきだと進言。

ヘンリー五世は、父親の戦略を踏襲しないことを明言します。そんなある日、司法卿がフランス国王・ドーフィンがヘンリー五世に差し向けた刺客を連れてきます。

亡命を条件に、ヘンリー五世を殺害する命を受けたと刺客は告白。宣戦布告とも取れるフランスの行為に対し反発が続出。

司法卿も暗殺を目論むフランスを看過できないと周囲の声に賛同し、平和は調和だけでは達成できず、強さと自信が必要だと国王に助言します。

黙って聞いていたヘンリー五世は、フランス国王当てに「戦争を望むなら、イギリス国王を過小評価して暗殺者を差し向けるような臆病な真似はせず、全軍事力を持って臨め」と書状を送るよう命じます。

そんな頃、ヘンリー五世と幼い頃一緒に育った従兄のケンプリッジ公とエドワード一世の子孫トーマス・グレイにフランスから派遣された密使が陰謀を画策。

ケンブリッジ公とグレイは司法卿に事情を明かし、放蕩息子だと思われていたハルが王位についたことに納得していない周囲の声を伝えます。

司法卿は国王に会い、問題を解決せずに放置すれば危機に発展すると諭し、国内を結束させる機会だと主張。

ヘンリー五世は、フランスとの開戦を宣言し、ケンブリッジとグレイの処刑を決定します。

その後、周囲を信頼できず孤独に苛まれるヘンリー五世は、フォルスタッフを訪問。突然国を治める立場になりフォルスタッフを蔑ろにしたことを認め、友人であり信頼するフォルスタッフに側近となるよう頼みます。

王は友人を持たず、あるのは従者か敵だけだと最初はふて腐れるフォルスタッフですが、飲み屋のツケを清算することを条件に承諾。

フォルスタッフを指揮官に据えたヘンリー五世のイギリス軍隊は船でフランスへ侵攻します。

以下、『キング』ネタバレ・結末の記載がございます。『キング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ヘンリー五世にわざわざ面会を求めてやって来たフランス王大使のドーフィンは、鼻先でイギリス国王を小者だと嘲笑します。

なるべく味方の血を流さない戦法を取っていたヘンリー五世は、一気に侵攻を加速する決断を下します。

ドーフィンの挑発行為が続く中、イギリス軍は、フランス軍の大群が高台で待ち伏せていることを知ります。

劣勢を憂う声が上がる中、フォルスタッフは降雨を利用するべきだと進言。フランス軍は重装備で騎兵隊が大部分であり、ぬかるみに誘い出せば重量で身動きが取れなくなると戦略を立てます。

フォルスタッフの言葉通りその晩雨が降れば、作戦を決行するとヘンリー五世は告げます。

フォルスタッフの予期した通り雷を伴う大雨が降ります。フォルスタッフは、言いだしっぺの自分が先頭に立って敵をおびき寄せると告げ、ヘンリー五世に、フランス軍全兵士が罠に落ちるまで動くなと釘を刺します。

死を覚悟したフォルスタッフの覚悟を悟ったヘンリー五世は、ドーフィン率いるフランス軍を1人訪問。フランス国王チャールズの代弁者ではないドーフィンに対し、一対一の決闘を申込み、それ以上無駄な血を流す必要は無いと提案。

しかし、ドーフィンは降伏しろと譲らず戦闘へ発展。フォルスタッフが先頭を率いるイギリスの歩兵部隊を高台から馬に乗ったフランス軍が襲い掛かります。

ドーフィンの合図で1群ずつフランス兵隊が戦闘へ参加し、山に潜むヘンリー五世はフォルスタッフの言った時が来るのをじっと待機。

フランス全軍が戦闘を始めるのを見た瞬間、ヘンリー五世は自分に続けと走り出します。激闘が続く中、鎧をまとったドーフィンがヘンリー五世に決闘を申し込みます。

明らかに戦闘慣れしていないドーフィンは何度もぬかるみで転倒。ヘンリー五世の合図でイギリス兵がドーフィンを簡単に打倒。ヘンリー五世は、フォルスタッフの亡骸を見つけ涙を堪えます。

勝利したイギリス軍は若い新国王に忠誠を誓います。更に進軍するイギリスに、フランス国王は降伏。娘のカトリーナを妃にして欲しいと申し込みます。

司法卿はフォルスタッフの死を悲しむヘンリー五世を慰め、イギリス史上最高の国王に成ったと湛えます。

歯に衣を着せぬカトリーナは、服従はしないと述べ、自分に対する敬意を見せるようヘンリー五世に要求。そして、何故フランスに戦争を仕掛けたのか尋ねます。

フランス国王が自分を暗殺しようとしたと答えるヘンリー五世ですが、自分を殺害する計画など存在していなかったことを知ります。

多くの兵士が命を落とした戦争の大義させ持ち合わせていない事を知ったカトリーナは、簡単に騙される若い王だと咎める表情。

ヘンリー五世は、暗殺者と自分を引き合わせた司法卿を訪問。どのように刺客が接触して来たのか質問します。

司法卿は、通りを歩いていた時に向こうから近づいて来たと返答。しかし、暗殺者が司法卿の名前も知らずに接触する訳がないと突かれた司法卿は、話が二転三転します。

芝居は辞めろと怒鳴るヘンリー五世に、司法卿は側に来て跪きます。イギリスの勝利を祝う市民の歓声が外から聞こえる中、司法卿はヘンリー五世の望みを叶えてやったと言い返します。

外の歓声は平和の声であり、ヘンリー五世の偉大さを象徴するものだと首を垂れる司法卿。

ヘンリー五世は剣を抜き、司法卿の首を突き刺して殺害。カトリーナの所へ来たヘンリー五世は、常に本心だけを自分に話す以外は何も望まないと伝えます。

それだけは約束して欲しいと目を見つめるヘンリー五世に、カトリーナは約束すると答えます。「国王万歳」と叫ぶ声を聞きながら、ヘンリー五世はカトリーナの両手を取り、正式に妃に迎える気持ちを示します。

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映画『キング』の感想と評価

史実に沿った政治的要素に主眼が置かれた『キング』は、従来のシェイクスピアとは異なり、古典的な英語を台詞に使いながらもスタイリッシュな物語として映画化されています。

監督を務めたデヴィッド・ミショッドとフォルスタッフを演じたジョエル・エジャートンが脚本を共同執筆。

歴史的な事実こそ興味深いと思った2人は、シェイクスピアのヘンリー五世にしなかった理由を舞台劇に描かれない史実を取り上げたかったと語ります。

ヘンリー四世の息子・ハルがイギリスの国王として即位したのが26才。ティモシー・シャラメが演じる若い君主は、前国王とは異なり、力ではなく友好的な方法で国内の紛争を解決しようとする理想主義者として描写されています。

アジャンクールの戦い前にヘンリー五世が行うスピーチは大変有名で、名優ローレンス・オリヴィエやケネス・ブラナーがシェイクスピアの史劇を踏襲した映画でヘンリー五世を過去に演じています。

一方、本作では、ヘンリー五世が疲弊しきった兵士を鼓舞する場面として描かれ、より現実的なシナリオです。

王位継承を拒絶されたハルが即位後、暴君の父親を反面教師にするという結論も自然であり、且つフランス軍に勝利したヘンリー五世が戦争捕虜を処刑した史実もきちんと盛り込まれています。

また、エジャートンとミショッドは、装甲騎兵隊が身に着けたコスチュームを史実通りに再現し、架空の人物とされていたフォルスタッフが中世のイギリスに実在した軍人ジョン・ファストルフとして描写。

更に、アジャンクールの戦いで命を落とした兵士の大多数が、降雨後に泥沼化した地面に埋もれて窒息した事実も調べて演出しています。

司法卿ウィリアム・ガスコイン役のショーン・ハリスやヘンリー四世役のベン・メンデルソーン等実力派俳優が脇を固め、作品全体が情感溢れる歴史劇としてよくまとまった作品。

シェイクスピアを忠実に再現した名優達のヘンリー五世を古典芸術と定義すると、若いティモシー・シャラメのハル王子は、海千山千の貴族や教会に囲まれながらも偉大な指揮官と歴史に名を残した26才の青年と言えます。

まとめ

15世紀のイギリス。父親・ヘンリー四世に反発し気ままに暮らすハル王子は、国王の死に伴いヘンリー五世として即位します。

山積した国内問題を融和的に解決し平和を希求しますが、陰謀の罠に落ちたヘンリー五世は長く敵対していたフランスを侵攻。

権力闘争や領土争奪戦など現代に通じる壮大な時代劇として史実に則り映画化された『キング』は、欲と裏切りにまみれる政治を巧みに乗り切った若き国王を描いた作品です。

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