250人の脱走成功を目論むたくましき男達
ポール・ブリックヒルの同名小説を、『荒野の七人』(1961)ジョン・スタージェス監督が映画化した異色の戦争映画『大脱走』。戦闘シーンのない集団脱走を描きます。
『荒野の七人』(1961)のスティーブ・マックィーン、『雨の訪問者』(1970)のチャールズ・ブロンソン、『戦争のはらわた』(1977)のジェームズ・コバーンら名優たちが顔を揃えます。
250人の集団脱走計画を成功させるために、囚われの身の連合軍将校が力を合わせて奔走します。
不屈の男達が眩しい本作の魅力をご紹介します。
映画『大脱走』の作品情報

(C)1963 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. AND JOHN STURGES. All Rights Reserved
【公開】
1963年(アメリカ映画)
【原作】
ポール・ブリックヒル
【監督】
ジョン・スタージェス
【脚本】
ジェームズ・クラベル、W・R・バーネット
【編集】
フェリス・ウェブスター
【キャスト】
スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン
【作品概要】
史実を基にしたポール・ブリックヒルの同名小説を、『荒野の七人』(1961)のスティーブ・マックィーン、『雨の訪問者』(1970)のチャールズ・ブロンソン、『戦争のはらわた』(1977)のジェームズ・コバーンらオールスターキャストで映画化した戦争ドラマ。
連合軍兵士とナチス軍のせめぎ合いや、集団脱走の顛末が壮大なスケールで描かれます。監督は『OK牧場の決斗』(1957)『荒野の七人』(1961)の巨匠ジョン・スタージェス。
エルマー・バーンスタインによるテーマ曲「大脱走マーチ」は世界中で愛されています。
共演はリチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ガーナーほか。
映画『大脱走』のあらすじとネタバレ

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第2次大戦末期、新たに作られた絶対に脱走不可能といわれるドイツの捕虜収容所に、連合軍将校たちが運び込まれました。
彼らは脱走常習者で、ここでもすぐに脱走計画を決行します。それぞれに仕事を請け負い、捕虜250人を脱走させるため、森へ抜ける数百フィートのトンネルを数本掘り始めました。
1本のトンネルはドイツ兵らに発覚したため、別のもう1本から脱走することとなります。
※(ネタバレはこちらの記事で↓)
映画『大脱走』の感想と評価

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不屈の男達の輝き
軽やかなテーマ曲に乗って終始明るさを失わず、スリリングに希望ある集団脱獄を描く傑作です。実話であることに驚かされます。
ドイツ軍の捕虜収容所に送られてきた連合軍将校たち。彼らは何度も脱獄を企てた札付きばかりで、脱走が難しいこの収容所にまとめて入れられたのでした。
到着するなりすぐに脱走をはかるものの、すぐに見つかって捕らえられてしまいます。生命力の強い彼らは皆とても魅力的で、冒頭から面白くなりそうな空気感が漂います。
脱走計画のリーダーの「ビッグX」ことバートレットの指示のもと、捕虜たちはそれぞれ仕事を分担し見事に遂行します。さすがは有能な元将校たちです。
厳しい収容生活の中でも彼らは「生きる」ことを諦めず、脱走を成功させるために突っ走ります。
自らの自由を求めると同時に、逃走によって敵地を攪乱するためという大きな目的がありました。彼らは収容所にいても尚、敵と戦い続けていたのです。
情報屋のマック、トンネル王のウイリーとダニー、偽造屋のコリン、土の分散屋のアシュレー、測量屋のカベンディッシュ、製造屋のセジウィック、調達屋のヘンドリー。そして一匹狼の独房王のヒルツとモグラのアイブス。
特に生き生きとして魅力的なのは、スティーヴ・マックイーン演じる主人公のヒルツです。いつもボールとグローブを手に飄々としていて、何度も脱走をはかっては独房に放り込まれますが一向にめげません。
苦しい環境の中で育まれた真の友情に胸を打たれます。
長い捕虜生活に耐えきれず、発作的に鉄条網に上って射殺されたかわいそうなアイブス。そんな友の無念を晴らすために、ヒルツは集団脱走に協力することを決心します。
目が見えなくなったコリンを守りながら一緒に逃げ続けるヘンドリー。コリンは死の間際にも、ヘンドリーに感謝の言葉を捧げます。
閉所恐怖症のダニーを最後まで励まし見捨てなかったウイリー。最期の時まで「幸せだった」とマックに笑顔を見せるバートレット。
結果がどうなろうと関係なく、彼らは戦い続けることしかできなかったに違いありません。その中で仲間で力を合わせて過ごした濃密な時間は、永遠の輝きを放ち続けることでしょう。
最後まで逃げ切ったのは誰か

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250名を脱走させるという壮大な計画でしたが、トラブルによって途中で歩哨に気づかれたため、合計76名がトンネルからの脱走に成功しました。
脱走後の顛末も、本作では長い時間をかけて丁寧に描かれます。
アシュレーはバートレットらを守るために身を投げ打って命を落とします。バートレットとマックはフランス語、ドイツ語を駆使して逃げ続けたものの、思わぬ失敗で敵に見つかり銃殺されました。
ヘンドリーとコリンはナチスの練習航空機を盗んでスイスを目指すものの墜落し、降り立ったコリンはドイツ軍に撃たれて死亡。ヘンドリーは収容所へ戻されます。
ヒルツは知恵を使ってバイクを奪い取り、草原を逃走しますが、ついにはドイツ軍に捕らわれて収容所に送り返されました。
収容所に戻ったヘンドリーとヒルツは、実は自分達がとても幸運だったことを知ります。悲しいことに、逃げたうち50名はドイツ兵によって射殺されていました。これは史実に沿った事実です。
では、最後まで逃げ切れたのはいったい誰だったのでしょうか。
結果から言うと、ダニーとウイリー、セジウィックのたった3名だけでした。
ダニーとウイリーは川をオールをこいでボートを走らせて海にたどり着き、貨物船に潜り込みます。
最も強運だったのはセジウィックです。盗んだ自転車で走って貨物列車に乗り込んだ後、たまたま立ち寄ったカフェがレジスタンスのアジトでした。彼らの手引きで無事スペインへと逃げ延びることができたのです。
手こぎボートと自転車という、目立たない移動手段を使った男達だけが生き残りました。生来の勘の良さと強い心臓が彼らを守ったに違いありません。
まとめ

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強く個性的な男達の笑顔がいつまでも心に残る名作『大脱走』。
敏捷な身体で駆け回るヒルツ、ニヒルな笑顔を見せるバートレット、コリンを大切に抱えて逃げるがっしりした体格のヒンドリー。何度でも観返したくなる魅力に満ちています。
収容所という何も手に入らないはずの場所で材料を調達し、知恵をしぼってそこからトンネルの支柱、滑車を生み出すたくましさ。逃亡後の身分証の偽造、普通の服へのリメイクなど、先まで見通す計画性。
捕虜生活という重苦しさの中にありながら、自由を夢見る明るさに満ちています。
どんな中でもネバーギブアップの精神を持ち続ける彼らから、明日への勇気をもらえる作品です。


































