映画『新解釈・三國志』は、2020年12月11日(金)全国ロードショー。
コロナ禍での公開ながらヒットを記録した『今日から俺は!!劇場版』の福田雄一監督がオールスターキャストで描く「三國志」の物語。
中国の『三國志』に独自の解釈を加え、今回が初タッグとなる大泉洋を主演に迎えた歴史エンタテインメントです。
今から1800年前、中国大陸では中華統一をめぐって「魏」「蜀」「呉」の三国が群雄割拠していました。民の平穏を願う武将・劉備が立ち上がり、やがて魏軍80万と蜀・呉連合軍3万という、圧倒的兵力差が激突する「赤壁の戦い」が巻き起こりました。
映画『新解釈・三國志』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【脚本・監督】
福田雄一
【キャスト】
大泉洋、賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岡田健史、橋本さとし、高橋努、岩田剛典、渡辺直美、磯村勇斗、矢本悠馬、阿部進之介、半海一晃、山田孝之、ムロツヨシ、佐藤二朗、西田敏行、小栗旬
【作品概要】
中国の歴史を基にした一大叙事詩“三國志”を福田雄一監督が“新解釈”しなおして描く歴史ドラマ。
劉備を演じる大泉のほか、ムロツヨシ、山田孝之、佐藤二朗、賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岩田剛典、渡辺直美、小栗旬ら福田組おなじみの顔ぶれを含めてオールスターキャストが集結。
さらにベテラン西田敏行が、「三國志」の新解釈を講義する歴史学者・蘇我宗光役で福田作品に初出演し、徹底的に緩い物語を展開します。
映画『新解釈・三國志』のあらすじとネタバレ
今から、1800年以上前、中国大陸では黄巾の乱が勃発、時の漢王朝は衰退の一途をたどります。
そんな中、黄巾の乱を収めようと、多くの若者たちが立ち上がり、やがて英雄、英傑と呼ばれるようになり、群雄割拠の時代になりました。
その中には関羽、張飛という2人の豪傑と義兄弟の契りを交わした人徳の人・劉備や、エリートで野心家の曹操などの姿もあり、彼らは離合集散を繰り返しながら切磋琢磨していくことに。
劉備、曹操たちの当面の敵は幼い皇帝を意のままに操り、私腹を肥やし大きな勢力を誇っていた董卓です。
そこで、劉備は董卓とその右腕で最強の戦士と呼ばれる呂布とを仲たがいさせるために、趙雲将軍が見つけてきた絶世の美女・貂蝉を贈り込みます。
貂蝉の美貌に魅了された董卓と呂布の関係は悪化、結果として董卓は呂布に打たれ、呂布もまた都を離れ徐々に勢力を失っていくことになりました。
その後、劉備は軍師に天才と呼ばれる諸葛孔明を招き蜀を建国。対して曹操は大国・魏を作り、これに若き指導者・孫権が建国した呉が並び、魏・呉・蜀による三国時代が始まります。
しかし、国としての勢力でいえば、曹操の魏が他の2国を圧倒していました。そこで劉備と孫権は同盟を結ぶことになります。
それに対して曹操は、80万もの大軍を率いて呉に攻め込んできます。対する呉・蜀の同盟軍の数は僅かに3万。この圧倒的な戦力差を独自の戦略で補おうと諸葛孔明と孫権の軍師・周瑜は様々な策を練り始めます。
映画『新解釈・三國志』の感想と評価
主人公は劉備を演じる大泉洋です。彼が所属する演劇ユニットTEAMNACSと福田監督とは公私とも縁が深く、テレビなどでは競作もありましたが、福田雄一監督の映画についに大泉洋が登場します。
『水曜どうでしょう』などのバラエティタレントとして独自の立ち位置を確立し、大河ドラマ『真田丸』や『龍馬伝』のようなドラマや、『こんな夜更けにバナナかよ』『探偵はBARにいる』といった映画などで、シリアスからコメディまで何でも演じきる大泉洋が、緩い“三國志”を程よく引っ張ります。
そんな大泉洋を迎えるのが「今日俺」「銀魂」「勇者ヨシヒコ」シリーズなどで福田雄一ワールドを彩った豪華キャスト達。
賀来賢人、橋本環奈、岩田剛典、岡田健史、山本美月、山田孝之、城田優、西田敏行そして小栗旬など、普通に映画で主演を張れるようなメンバーが続々と登場しては、のびのびとばかばかしくふざけています。
もちろん、福田監督作品のレギュラーのムロツヨシと佐藤二朗も登場。
ムロツヨシはなんと天才軍師諸葛孔明役です。大泉洋とボケとツッコミというコミカルな関係を築きました。
佐藤二朗は物語の前半に登場する独裁者の董卓を演じていますが、彼が演じるのでとても庶民的というか、親しみを感じてしまうから不思議です。
このようにひたすら緩く、グダグダな三國志が続くのですが、城田優演じる呂布と橋本さとし演じる関羽、高橋努演じる張飛との1対2のバトルや、岩田剛典演じる趙雲が劉備夫人とその子供を助ける場面などは迫力のあるモノに仕上がりました。
この辺りは「銀魂」や「今日俺」で1対1、1対多数、多数対多数など様々なアクションを撮ってきて経験値を高めた福田監督の手腕が光ります。
実は出演者の多くは、もともと他の映画やドラマ、舞台ではキレのいいアクションや立ち回りを見せてきたキャストが多いのです。
いざアクションをと、求められればちゃんとできる人たちによって展開される魅せるアクションが続き、たっぷりと堪能することができます。
ただ、それを繋ぐのが緩い“福田三國志”というわけです。『新解釈・三國志』はいつまでもシリアスになり過ぎず、笑いを誘うのも事実なのですが……。
まとめ
赤壁の闘いをクライマックスにした三國志の映画といえば、日本でも大ヒットしたジョン・ウー監督の『レッドクリフ』(2008)がありますが、間違ってもそれを想像して、この映画『新解釈・三國志』に臨んではいけません。
同じ古代中国を舞台にした『キングダム』(2019)の実写版とプロデューサーが同じだったりしますが、そちらからも想像してはいけません。
本作は、徹底的に緩く、大小のギャグと小ネタに溢れた作品に仕上がった映画なのです。
ドラマ版の『今日から俺は!!』や福田監督の初期の映画作品、または演出を手掛ける舞台作品のように、ストーリー全体の繋がりは強くありません。
逆に一つの場面の中で最大の笑いを誘うことを重視して作り、それを連ねていくような形の映画になっています。
壮大な歴史絵巻というよりも、もしかしたらこうだったかもしれないという新解釈で、面白おかしく語られる場面の連続という映画をイメージしていただければいいでしょう。