“本当は、なんで殺したと思ってるんですか?本当のことに興味はないのかな、あなたはー。”
この呼びかけは被疑者である三隅が、弁護士の重盛に伝えた言葉。山中社長という咲江の父親の命を奪った真相へと、三隅が重盛を揺さぶりかけた言葉です。
今作『三度目の殺人』をご覧になったあなたは、この映画が“3人の父親と娘3人の物語”に見えた方もいたのではないでしょうか?
そして気になったのは、福山雅治演じる重盛の娘ゆか役の女優が誰なのか?
今回は物語の中で、万引きしたことで補導された重盛の娘ゆか役の俳優について調べましたのでご紹介します。
1.映画『三度目の殺人』の作品情報
【公開】
2017年(日本映画)
【原案・脚本・編集・監督】
是枝裕和
【キャスト】
福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功
【作品概要】
『そして父になる』の是枝裕和監督と福山雅治が、ふたたびタッグを組んだ作品で、是枝監督自らオリジナル脚本で挑んだ法廷心理ドラマ。
第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品。
是枝組には初参加となる役所広司が殺人犯の三隅役で、福山雅治と初共演を果たしました。また、『海街diary』の広瀬すずが重要な鍵を握る被害者の娘役を演じています。
2…広瀬すずの演じた娘咲江と相対する重盛の娘ゆか
殺害された山中社長の娘咲江
三隅のような前科者など、訳ありの従業員たちを安い賃金で食品工場で労働させ雇用していた山中社長。
その娘が広瀬すず演じる山中咲江でした。
咲江に対して三隅は、自分の娘と上手くコミュニケーションできなかったことを、埋め合わせるような気持ちで彼女と接していました。
また、そのような気持ちがまるで伝播するように重盛もまた、自分の娘ゆかと器用に接することのできない関係を、被害者とされていた咲江に重ね合わせていきます。
福山雅治演じる重盛の娘ゆかは、物語の中では数多くは登場しませんが、その存在感はとても光る演技を女優は見せていました。
あなたの記憶に一番の残っている場面は、スーパーマーケットのバックヤードで、万引きが見つかり補導された女子高生が座らせられたシーンではないですか。
もちろん、レストランでのふたたび嘘泣きをする場面をあげる方も多いかもしれませんね。
それでも父親の重盛と娘ゆかが初めて物語に並んで登場して、関係性がギクシャクしていると観客に理解させたのは、スーパーマーケットのバックヤードですね。
父親の重盛が数人のスタッフを抱える弁護士事務所を構えながらも、家庭的には決して上手くはいっていない父親である様子が見て取れた場面でした。
しかも、万引きという悪い行為を行なった娘ゆかを注意を促すどころか、叱ることもしない父親の重盛。
重盛は弁護士な訳ですから万引きが窃盗罪ということは理解していたのでしょう。
しかし、娘のゆかが万引きを何故したのか、また、何故父親を困らせようとしたのか。
そんな事実や真実など重盛は気が付くどころか、実のとこ興味がないのです。
これもまた、被疑者の三隅からは突っ込まれるようなことですね。
「お母さんよりも、お父さん(重盛)のほうが、弁護士ってことで呼びやすかった」という風に告げる娘ゆか。
言葉通りではなく、思春期の孤独の気持ちの揺れからSOSを発信していた裏返しの心境の言葉だったに違いありません。
そんな気持ちなど思いもよらない重盛。
ゆかは自分に本当の意味で父親は関心がないのだと知ると、彼女は涙を流していました。
物語では嘘泣きだと娘ゆかは父親に嘯いていましたが、あの涙は本物だったのでしょう。
とても映画を引き締めた素晴らしい場面で、重盛と三隅の関係をその後ダブらせていく上でも重要なシークエンスです。
また、何よりも娘ゆか役を演じた女優の演技力の高さを伺えた味わい深いシーンでしたね。
重盛の娘ゆか役の女優は誰?
日本生命CMに出演しています!
福山雅治演じる重盛の娘役ゆかを演じた女優は蒔田彩珠(まきたあじゅ)です。
2002年8月7日に神奈川で生まれた女優。事務所はユマニテ所属。
2012年に放送されたテレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』で、阿部寛の娘役(坪井萌江)で出演した際に、是枝裕和監督から演技を高く評価された女優です。
その後、是枝裕和監督の2016年の作品『海よりもまだ深く』には良多の姪で出演しています。
つまりは、『三度目の殺人』のみに出演している訳ではなく、女優・蒔田彩珠は是枝組みの常連なのです。
また、福山雅治の娘役は『三度目の殺人』が初めての経験ではないようです。
JCBオリジナルシリーズ かけがえのない毎日篇
このCMも是枝裕和監督と福山雅治がタッグを組んだ作品ですが、すでにここでも蒔田彩珠は福山の娘役を演じています。
さすがにこれは驚きましたね。
『三度目の殺人』重盛の娘ゆか役の演技は、是枝裕和監督と蒔田彩珠が幾度となく、コミュニケーションを重ねた上で成り立っている演技力だということが証明されました。
是枝裕和監督に才能を見込まれた蒔田彩珠の今後の活躍に期待したいですね。
まとめ
今回は『三度目の殺人』に登場する重盛の娘ゆか役を調べたことで、蒔田彩珠の名前も判明しました。
そして何よりも、『三度目の殺人』は是枝裕和監督の円熟期に1本の影には、一足飛びでは作り得なかった俳優の演技であることや、是枝監督の繋がりを大切にする仕事の姿勢が見えたような気がします。
育まれた演技や長く関係を紡いでいくことこそが、是枝裕和監督の大切にする姿勢が見えたような気がしますね。
メイン・キャストである福山雅治、役所広司、広瀬すずに負けないほどの女優・蒔田彩珠の存在感と演技力、また彼女のプロフィールをご紹介しました。
ぜひ、劇場で蒔田彩珠の演技力“嘘泣き”をご覧くださいね。ぜひお見逃しなく!