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映画『レッドドラゴン』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。レクター博士と共に殺人鬼の思考に潜り込む

  • Writer :
  • 中西翼

「ハンニバル・レクター博士」シリーズ第三作目『レッド・ドラゴン』

『ラッシュアワー』(1998)や『天使のくれた時間』(2000)のブレット・ラトナーが監督を手掛けた『レッド・ドラゴン』は、トマス・ハリスの同名小説を映画化した作品。食人殺人鬼「ハンニバル・レクター博士」シリーズの第三作目です。

自らをレッド・ドラゴンへと昇華させるために猟奇的な殺人鬼と、『羊たちの沈黙』(1991)のFBI捜査官クラリスとハンニバル・レクターが出会うまでを描いた、ミステリーサスペンス映画。

『エレファント・マン』(1980)のアンソニーホプキンスや、『ファイト・クラブ』(1999)のエドワード・ノートン『シンドラーのリスト』(1994)のレイフ・ファインズが出演し、殺人鬼の深層心理や、犯行の裏に隠れたコンプレックスに迫っていく様子を描いています。

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映画『レッド・ドラゴン』の作品情報


(c)2002-Universal Studios

【日本公開】
2002年(アメリカ映画)

【原題】
Red Dragon

【監督】
ブレット・ラトナー

【キャスト】
アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、ハーベイ・カイテル、エミリー・ワトソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、フィリップ・シーモア・ホフマン

【作品概要】
『ラッシュアワー』のブレット・ラトナーが監督を手掛けたミステリーサスペンス映画。ジョナサン・デミ監督作品『羊たちの沈黙』に繋がる、「ハンニバル・レクター博士」シリーズ第三作品。連続一家惨殺事件の犯人を追いながら、殺人鬼ハンニバル・レクター博士から助言をもらい、その犯人の思考へと迫っていく物語。アンソニー・ホプキンスが「ハンニバル・レクター博士」シリーズでおなじみの殺人鬼ハンニバル・レクターを演じています。

映画『レッド・ドラゴン』のあらすじとネタバレ


(c)2002-Universal Studios

精神科医であるハンニバル・レクターは、FBI捜査官のグレアムに捜査の協力を求められていました。グレアムは、レクター博士をうならせるほどの推理力、想像力で犯人を推測します。

グレアムの想像では、犯人は解剖学の技術を持ち、背中の一部つまり、食べるときに一番おいしい箇所を、食用として切り取っているというものでした。そしてグレアムは、頭脳明晰なレクター博士がこの推理に至らなかったことを不審に思います。

レクター博士がグレアムを残して部屋を去ると、グレアムはその隙に棚をあさり、食人に関する本を見つけるのでした。グレアムはレクター博士こそが犯人だと確信します。しかし背後から、レクター博士に刺されてしまいます。

グレアムは銃で反撃。二人は重傷を負い、ウィルはFBIを辞め、レクター博士は逮捕されました。

レクター博士を捕まえてから数年後、グレアムは、妻のモリー、娘のジョシュと平穏に暮らしていました。そんなある日、FBIから、連続して起こった一家惨殺事件の捜査協力を求められます。

“噛みつき魔”と称される殺人鬼を捕まえられるのはグレアムしかいないと、FBIのクロフォードが言います。グレアムはしぶしぶ、依頼を引き受けます。

殺人現場の鏡は全て割られていました。また、暗闇で夫を殺したのち、妻には夫の死にゆく姿を見せつけた跡がありました。

子ども達は殺されてから両親のもとに運ばれ、家族全員の目には鏡がはめ込まれているという、見るからに異常な殺人事件でした。

グレアムは、被害者の遺体から指紋を検出するようにクロフォードに求めます。持ち前の想像力で、誰も気づけなかった新たな手掛かりを見つけるのでした。

グレアムは、レクター博士の独房を訪れます。レクター博士が獄中で書いた論文を、”素人”の自分でも楽しめたと、グレアムは褒めます。自分自身を捕まえることができたほどの実力者の”素人”という発言に、レクター博士は引っ掛かりました。

グレアムはレクター博士が獄中で欲しているものと引き換えに、二つの連続殺人についての意見を求めます。さらに、巧みにレクター博士を挑発し、レクター博士からの協力を得ることに成功しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『レッド・ドラゴン』ネタバレ・結末の記載がございます。『レッド・ドラゴン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(c)2002-Universal Studios

レクター博士が、犯行現場から犯人の特徴を割り出します。鏡を割ったのは、自身の醜さを見たくないから。整形の可能性や、刺青の可能性を示していきます。また、犯行現場についてもアドバイスを送りました。

レクター博士の元には、トイレットペーパーに書かれたファンレターが届いていました。それをグレアムは発見します。グレアムたちは、手紙に気付いたことをレクターに悟られないよう、平静を装います。

犯人は変身という言葉を用いて、ヨハネの黙示録を引用していました。

FBIは犯人を煽る記事を出し、グレアムを襲わせるところを捕まえようとします。しかし、犯人に狙われたのは、FBIに利用された悪徳な記者でした。

記者は椅子に身体を貼り付けられていました。犯人は背中に掘られた”レッドドラゴン”の刺青を見せつけます。

美術館では、レッドドラゴンの絵を食べるという事件が起きました。FBIはミスターDという男に辿り着きました。

一方、産まれたときから口が裂けていたダラハイドは、幼少期、おねしょをするたびに陰部をちょん切ると脅されていました。

そんなダラハイドは、盲目の女性、リーバと出会います。自らの容姿に強くコンプレックスを抱くダラハイドは、全盲のリーバに惹かれていきます。

ダラハイドはリーバとの将来を考え、殺人を終わらせようとします。そして、ブルックリン美術館で絵を食べ、妄想の中での変身を果たすことにしました。

ダラハイドはリーバを家へと招き、リーバを殺して自らも死ぬことを決意します。しかし、ダラハイドにリーバを殺すことは果たせず、彼は自殺してしまうのでした。

死んだかのように見えたダラハイド、しかし、家の中の遺体はダラハイドではありませんでした。

ダラハイドはグレアムの息子を人質に、グレアムの前に現れます。恐怖のあまり、息子は放尿してしまいます。そして、情けなくおねしょしてしまった息子を、グレアムが罵倒します。

「ちょん切ってやろうか!」。かつて自分に投げかけられたその言葉に、ダラハイドは焦りを隠せないでいました。焦りは一瞬の隙に繋がり、グレアムはダラハイドを襲います。

なんとか息子を助けることには成功しましたが、二人は扉越しにけん制し合います。そんなところに、妻モリーの姿が見えます。

ダラハイドはモリーを襲います。しかし、そこをグレアムに撃たれ、モリーにとどめを刺されるのでした。事件は、ダラハイドの死で幕を閉じました。

独房でグレアムに手紙を書くレクター博士に、新たな面会予約が入ります。若い女性。その女性の名前を、レクター博士は尋ねました。

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映画『レッド・ドラゴン』の感想と評価


(c)2002-Universal Studios

レクター博士という魅力的な人物と共に事件を追っていくという点では『羊たちの沈黙』と同じです。しかし、レクター博士に関するシーンが無い分、本作品の方がスッキリとした作りになっています。

シリーズ最高傑作の『羊たちの沈黙』を超えているとは言いがたいものの、同情してしまうほどに弱々しく哀しい殺人鬼ダラハイドの描写が素晴らしいです。

ダラハイドが望んだ力とは

レッド・ドラゴンとは、多くの人々を惑わす悪魔だと推測されています。ヨハネの黙示録では、女と竜(レッドドラゴン)が対峙していますが、その女というのも、聖母マリアであるといった推測や、イエスキリストを女と表現しているなど、諸説あります。

そんな強大な力を持つレッドドラゴンを、ダラハイドは絶対的なものだと考えていました。また、ダラハイドが体の中に取り込んだウィリアム・ブレイクの絵画では、レッドドラゴンが聖母を圧倒している瞬間が描かれています。

叔母に恐怖を植え付けられたダラハイドにとって、自身を苦しめた叔母にすら勝利するレッドドラゴンは、まさに憧れでした。

殺人鬼の思考を重ねる体験のスリル

「ハンニバル・レクター博士」シリーズの映画の魅力の一つに、殺人鬼にとことんスポットライトを当てるという点があります。

レクター博士やグレアムのような、想像力に富んだ人たちが物語を引っ張っていることにより、犯人像が詳細に描写されています。

そして、殺人鬼の思考が発覚していくと、殺人鬼も私たちと同じ人間で、ただ不遇な生まれだっただけにすぎないのかもしれないと思わせます。

犯人の思考や生い立ちを想像していくことによって、追って追われてのサスペンス的展開とは異なるスリルが生まれていました。

殺人鬼の思想に重点を置くことで犯人を追う状況よりも、犯人の深い内面の部分や、殺人に至るまでの境遇を楽しむことができます。

まとめ


(c)2002-Universal Studios

クラリスと出会う前のレクター博士、そして優秀なFBI捜査官のグレアムが殺人鬼ダラハイドを捕えるまでを描いた『レッド・ドラゴン』。

殺人現場は、非常に残虐でショッキングですが、そんな殺人鬼の弱さや恐怖、トラウマを植え付けられた生い立ちまで、詳細に描かれています。

ダラハイドは、自らのトラウマを払拭するために、レッドドラゴンへと変身しようと考えていました。一人で背負いきれなかったトラウマは、人生を暗く閉ざすかもしれません。

トラウマを乗り越える方法が殺人だったダラハイドという存在が、ただただ哀しい『レッド・ドラゴン』。加害者もまた自分たちと同じように生き、同じように苦悩している人間だと考えさせられる映画です。

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