Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

斎藤工映画『家族のレシピ』ネタバレ感想。日本とシンガポールのソウルフード料理で描く家族の絆

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『家族のレシピ』は2019年3月9日より、シネマート新宿ほか全国ロードショー!

日本とシンガポールの外交関係樹立50周年を記念して、両国のスタッフ・キャストを集結させた、親子とソウルフードの物語。

監督は『TATSUMIマンガに革命を起こした男』のエリック・クー。

主演は話題作・ヒット作の常連の斎藤工。共演に伊原剛志、マーク・リー、ジネット・アウ、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子。

両国でロケを行い、対照的な風景と歴史を感じさせる作品となっています。

映画『家族のレシピ』の作品情報


(C)Zhao Wei Films/Wild Orange Artists

【公開】
2019年(シンガポール・日本・フランス合作映画)

【原題】
Ramen Teh

【脚本】
ウォン・キム・ホー

【監督】
エリック・クー

【キャスト】
斎藤工、マーク・リー、ネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子

【撮影】
ブライアン・ゴードン・タン

【料理監修】
竹田敬介

【シンガポール料理監修】
レスリー・テイ

【スチール】
レスリー・キー

【作品概要】
2016年にシンガポールと日本の外交関係樹立50周年を記念し、日本とシンガポールのソウルフードであるラーメンとバクテー(肉骨茶)がつなぐ国境を越えた家族の愛物語です。

監督は長編アニメ『TATSUMI マンガに革命を起こした男』で知られるエリック・クー。

2018年の東京国際映画祭のワールド・フォーカス特別上映。

映画『家族のレシピ』のキャラクターとキャスト


(C)Zhao Wei Films/Wild Orange Artists

真人(斎藤工)
日本人とシンガポール人のハーフ。父親とラーメン屋を営む。

政夫(伊原剛志)
真人の父、バブル期にシンガポールで和食料理店を営んでいた。

メイリアン(ジネット・アウ)
真人の母、シンガポール人。日本人である政夫と結婚したため家族とは気まずくなる。

ウィー(マーク・リー)
メイリアンの弟、数十年ぶりに再会した甥の真人の世話を焼く。

明男(別所哲也)
政夫の弟、同じラーメン屋で働く

マダム・リー(ビーストリ・チャン)
メイリアンの母。太平洋戦争では日本人に家族を殺された過去を持つ。

美樹(松田聖子)
在シンガポールの女性。ブロガーとして現地の料理を紹介している。

映画『家族のレシピ』のあらすじとネタバレ


(C)Zhao Wei Films/Wild Orange Artists

群馬で父親の政夫とラーメン屋を営む真人。

母でシンガポール人のメイリアンの死後、父子の関係はぎくしゃくし、いつしかまともな会話もなくなっていました。

そんなある日、政夫が急に倒れ、そのまま亡くなってしまいます。

父親の遺品を整理していた真人はそこでシンガポール生活を記録した写真や日記が出てきました。

幼い頃シンガポールで育った真人ですが、それ以降は日本で過ごしてきたので記憶も断片的で曖昧です。
両親を失った真人は自分の源流をたどるためシンガポールに向かいます。

以下、『家族のレシピ』ネタバレ・結末の記載がございます。『家族のレシピ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
現地で真人を案内してくれるのはシンガポールで暮らす日本人女性の美樹。

彼女がシンガポール料理を紹介するブログを介して真人と以前から知り合いでした。

美樹のおかげでシンガポール人のソウルフードのバクテー屋を営む叔父のウィーと再会を果たします。

しかし、ウィーとメイリアンの母で、真人の祖母マダム・リーとはまともに会話もできません。

リーは夫を戦争で殺されていて、更に娘が日本人と結婚してということもあって、日本人の血が流れる孫の真人に対して複雑な感情を抱えたままでした。

全てを知った真人はラーメンとバクテーを合わせた“ラーメンテー”を生み出し、マダム・リーと日本、シンガポールのそれぞれの家族に披露します。

一つの食べ物が国籍を越えた瞬間でした。

映画『家族のレシピ』の感想と評価


(C)Zhao Wei Films/Wild Orange Artists

料理と映画

人間の三大欲求と人間の生活の基本という両方にあるのが“食”。食べること、食事です。

どんな時も人間の生活に寄り添い続けているものです。

それゆえに、映画のテーマによくなります

大泉洋主演の北海道シリーズ『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『そらのレストラン』は、北海道の雄大な自然を背景に、北海道産の食材を使った素朴で美味しそうな料理が何度も登場します。

『南極料理人』や『かもめ食堂』『深夜食堂』などの食堂をメインにしたものもあれば、『UDON』『ちょんまげプリン』などの一品勝負の作品もあります。

もちろん、食事は昔から大事なものなので時代劇ベースの『武士の献立』などもあります。

海外ですと料理人の生きざまを描くスタイルが多くて『二ツ星の料理人』『レミーのおいしいレストラン』『シェフ~三ツ星フードトラック始めました』などがあります。

洋の東西、現在と過去、関係系なく食事はいつも人間のそばに居続けます

シンガポールのソウルフード“バクテー(肉骨茶)”


(C)Zhao Wei Films/Wild Orange Artists

日本人のラーメンと対になるものとして登場するシンガポールのソウルフード“バクテー”

過酷な港湾事業に従事していた労働者が解体後に骨に残った僅かな肉とニンニクと漢方を合わせた栄養補給を目的にしたスープです。

その後、経済発展に伴って、様々なバリエーションが生まれ、一般的な存在となりました。

本作(英語タイトル『Ramen The 』)では政夫とマリアンヌとの出会いのきっかけ、そして子供の頃にシンガポールで育った真人の思い出の料理として登場します。

まとめ

本作『家族のレシピ』は、2018年に行われた第31回東京国際映画祭のワールド・フォーカスにて特別上映

人気俳優の斎藤工が主演したこともあり、当時、大きな話題となりました。

斎藤工は主人公真人役を演じ、共演の松田聖子は美樹役を務めています

群馬県高崎市でラーメン店を経営している真人は、突然、亡くなってしまった父親の遺品から古いノートを見つけます。

ノートには真人が10歳の時に亡くなった、シンガポール人の母親が書いた料理のレシピとともに、写真や様々な思い出が綴られていた。

真人は忘れかけていた過去を確認するため、シンガポールへと旅立つのだが…。

映画『家族のレシピ』は2019年3月9日より、シネマート新宿ほか全国ロードショー!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『マーティン・エデン』あらすじと感想考察。ルカマリネッリがベネチア映画祭で男優賞を受賞したジャックロンドンの自伝的小説の映像化

意識しようがしなかろうが、 僕らみんなのなかにマーティン・エデンは存在する。 アメリカ人作家ジャック・ロンドンの自伝的巨編「マーティン・イーデン」が、映像化となりました。 ジャック・ロンドンの代表作『 …

ヒューマンドラマ映画

映画『#ハンド全力』あらすじと感想レビュー。人気子役として活躍した加藤清史郎が“俳優へと昇華”

映画『#ハンド全力』は2020年7月24日(金)より熊本先行上映、 7月31日(金)よりシネ・リーブル池袋、イオンシネマほかにて全国ロードショー! 熊本を舞台に、とある少年がSNSにアップした写真をめ …

ヒューマンドラマ映画

映画『HERO 2020』あらすじと感想レビュー。舞台版キャストの廣瀬智紀×北原里英が“厄介さと可笑しさ”を演じる

映画『HERO 2020』は、2020年6月19日から、シネ・リーブル池袋他で、全国順次公開予定 「2年限定の交際」を条件に、恋人として付き合っていた広樹と浅美。 約束の2年目を迎え、広樹が浅美との別 …

ヒューマンドラマ映画

映画『BLUE/ブルー』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。松山ケンイチの演技力でボクシング関係者を慈しむ

理想と現実の間に悩みながらも努力を尽くす挑戦者たちの生き様を描く! 『犬猿』(2018)などの作品で知られる吉田恵輔監督が、自身が30年以上も取り組んできたボクシングを題材に脚本を執筆。拳闘シーンの殺 …

ヒューマンドラマ映画

【犯罪小説集】あらすじネタバレ。映画『楽園』として綾野剛×佐藤浩市らキャスト共演

動機とは、時に些細な出来事から生まれるもの。 誰の心にも潜むもの。 これまで素晴らしい数々の賞を受賞してきた人気小説家・吉田修一の短編集『犯罪小説集』が、綾野剛、杉咲花、佐藤浩市など豪華キャストで実写 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学