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Entry 2022/03/04
Update

Netflixドラマ『彼女のかけら』ネタバレ原作小説のあらすじと結末感想の解説。おすすめ1番の見どころは“謎に満ちた母の過去の秘密”

  • Writer :
  • 星野しげみ

小説『彼女のかけら』が2022年3月4日(金)よりNetflix独占配信!

米推理作家のカリン・スローターが、2018年に発表したベストセラー小説『Pieces of Her(原題)』がNetflixによって、『彼女のかけら』としてドラマ化されます。

2022年3月4日(金)よりNetflixにて世界独占配信され、シーズン1は全8話(各60分)のエピソード構成予定。

主演には、エミー賞とゴールデン・グローブ賞を受賞したトニ・コレットと、オーストラリアの人気女優ベラ・ヒースコートが母娘役として共演します。

“スローター史上最高傑作” との呼び声高い小説『彼女のかけら』をネタバレ有りでご紹介します。

小説『彼女のかけら』の主な登場人物

【アンディ・オリバー】
母の過去を知るために旅へ出る

【ローラ・オリバー 】
謎多き過去を持つアンディの母親

【ゴードン・オリバー】
アンディの父親

【マイケル・ヴァルガス】
アンディを追跡する謎の男

【ジャスパー・クエラー】
経営者マーティン・クエラーの長男

【アンドルー(アンディ)・クエラー】
経営者マーティン・クエラーの次男

【ジェイン(ジンクス)・クエラー】
経営者マーティン・クエラーの長女

【ニコラス(ニック)・ハープ】
ジェインの恋人

小説『彼女のかけら』のあらすじとネタバレ


カリン・スローター『彼女のかけら 上』(ハーパーBOOKS 2018)

2018年8月20日

警察署通信係の職を得たアンディ、31歳。自宅を離れて6年間ニューヨークで生活していたアンディは、母・ローラから自分が乳癌だと知らされ、3年前に自宅に戻りました。

ローラとは喧嘩もしながらも連れそう様に仲良く毎日を過ごしています。夜勤明けでローラと買い物に出てアンディ。ショッピングモールで少年による銃乱射事件に遭遇します。

偶然居合わせた制服姿のアンディは、警官だと勘違いされ、銃口を突きつけられました。

震える彼女の前に立ちはだかったのは母のローラ。

ごく平凡に生きてきたはずの母親は、犯人のナイフを素手で受け止め、顔色ひとつ変えずに喉を掻き切りました。

呆然とするアンディをよそに、事件の動画は全米に拡散します。母は瞬く間に恐ろしく強い時の人となりました。

一方、乱射事件の夜、パーカー着た男がアンディの自宅に侵入しました。そいつと鉢合わせしたアンディはそばにあったフライパンで頭を殴って殺してしまいます。

いち早く駆けつけたローラは、事件についてアンディに「一切話すな」と言いました。そして、有無を言わさずにアンディを家から逃がしました。

「ジョージア州のキャロルトンの貸倉庫〈ゲッテム・ゴー〉へ行きなさい」と指示を出します。貸倉庫の番号も明確に伝えました。

不安と恐怖のなか指示されるままにアンディはキャロルトンに向かいます。

頭に浮かぶのは、母がなぜあんなに強いのか、そして何のためにそこへ行くのかという疑問です。

何もかもわからないままでアンディが辿り着いた貸倉庫には、逃走用の古い車と24万ドルもの札束、母の写真付きの偽の運転免許証などが用意されていました。

そこにあった箱を開けると、幼少期のアンディとわかる写真や母の若かりし頃の写真などもいっぱいありました。

母のポラロイド写真には、絞められた跡のある首筋や折れた鼻や目の周りの黒いアザなどが写っていました。それはアンディの知らない女性のかけらの数々でした。

1986年7月26日

オスロの「世界経済経営コンソーシアム」の会場で、ある事件が起ころうとしていました。

街の有力者マーティーン・クエラーの子どもたち、長男のジャスパー、次男のアンドルー、長女のジェインは、甘やかされて育っていました。ジェインにはニックという恋人もいました。

坊ちゃん育ちの彼らの知人である43歳になる女性ローラ・ジュノーは、カリフォルニア大学のアレックス・メイプルクロフト教授に変装してこの会場に来ていました。

その会場でローラ・ジュノーはマーティーン・クエラーのヘルスケア・サービス業の悪事を暴きます。話の内容から、メイプルクロフト教授と名乗る女性が偽物だとマーティーン・クエラーも気がつきました。

実はローラの夫であるロバートは、退役軍人でしたが頭の大怪我のために入院を余儀なくされていました。精神的障害もでているロバートを、クエラーのグループホームでは、入院を拒み続けます。

生活苦に陥ったロバートは一家心中をはかり、自分も拳銃で自殺。辛うじて生き残ったローラは、マーティーン・クエラーへの復讐を誓って、計画を練ってきたのです。

それは、世界が注目するステージでマーティーン・クエラーに恥をかかせようというもの。その計画をたてたのが、カルト教団のリーダーでもあるニックたちでした。

自分の正体がばれたとき、ローラ・ジュノーは持っていた紙袋にあったリボルバーを取り出し、マーティーン・クエラーの頭を撃つと、迷うことなく銃口を自分のあごにあてて命を絶ちました。

2018年8月21日

アンディは母ローラが用意したと思われる、逃走用の古い車と24万ドルもの札束、母の写真付きの偽の運転免許証などを目にして、これからどうすればよいのか、途方にくれていました。

別れるとき母は連中が追ってくるから逃げなさいと言いました。連中って誰? 悩みながらもアンディはその日ホテルに宿泊することにしました。

宿泊予定のホテルの近くでアンディは、昨日の事件のあと病院で見かけた男を見ました。向こうもアンディのことを覚えています。

マイクと名乗った彼から逃げたいアンディ。けれどもマイクはアンディに近寄ってきます。下心見え見えで……。

1986年7月31日

オスロの発砲事件から5日後。父親を失ったジェイン・クエラーは事件について悩んでいました。

そもそもあの事件は、ジェインとアンドルーとニックという、更生軍グループのメンバーたちが引き起こした事件です。

ジェインが恋人のニックと知り合ったのは6年前でした。天涯孤独といったニックですが、そのリーダーシップはみごとなもの。

事件についてFBI捜査官が来てもうまく切り抜けられるよう、ジェインも何度も事情聴取の練習をさせられます。

そして事情聴取で、現在ニックの子どもを身籠っているジェインは、本物のアレックス・メイプルクロフト教授が誘拐され身代金が要求されたことを初めて知ります。

FBI捜査官はニックが反社会組織のカルト教団のボスだと言います。全てを知っているようでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『彼女のかけら』ネタバレ・結末の記載がございます。『彼女のかけら』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

2018年8月20日

逃亡中のジェインとアンドルー。長兄のジャスパーは正式には更生軍のメンバーに加入していないため、ジャスパーがFBIに秘密を洩らしたとも考えられ、苦悩していました。

実はアンドルーはひどい薬物依存症で、そのことが家族の悩みの種でした。コカイン所持でつかまるたびに父が手をまわしていたのですが、2年前にニックとアンドルーが捕まって逮捕されました。

その時逮捕した保安官は正義を貫き通し、2人を「クエラー・ベイサイド・ホーム」に入所させました。ここはロバート・ジュノーが最後に入所したホームです。

2人はここで、ローラ・ジュノーと知り合います。そして、あの計画が生まれます。

ニックはその後、ジェインの父がロバート・ジュノーが自害したあとも補助金を着服し、ジャスパーがそれに荷担していたことをつきとめ、証拠書類を箱に隠していました。

その中には、父から暴行を受けていた幼いジェインのポラロイド写真もありました。

ジェインとアンドルーが用意された隠れ家につくと、ニックと仲間のポーラたちもいました。

計画を実行したことで取り返しのつかない事態になっていました。そして、ベッドの傍らには、猿轡をされたメイプルクロフト教授がころがされていました。

2018年8月23日

アンディは、母・ローラが名前を口にした、ポーラ・クーンデを訪ねようと思いました。

パソコンで検索し、やっとポーラの自宅に着きました。ポーラはやはり母・ローラのことを何か知っているようでした。

親切そうに話しだしたポーラですが、いきなり「あたしを罠にかけるためにあの女に送り込まれたのね?」と言い出しました。

ポーラにショットガンで撃たれそうになり、逃げ出したアンディ。玄関ドアをあけると、そこになぜか、マイクが現れました。驚いたアンディは彼の股間を蹴飛ばし、逃げ出します。

秘密を知っていると思われるポーラは、イリノイ州のクラス・ベラミーという人を訪ねるように言いました。

庭に止めてあったマイクのトラックに乗り込んだアンディは、ダラスからオクラホマ州、そしてミズーリ州、イリノイ州へと、丸二日間の旅に出ました。

1986年7月31日

ニックの隠れ家に誘拐されたメイプルクロフト教授がいました。猿轡をはずされると、大きな声で泣き叫びます。

黙らせようとしたニックは、力任せに縛られたままの彼女を殴り続けました。鼻が折れる音がし、倒れた拍子にこめかみをベッドフレームにぶつけた彼女は血の海の中で動かなくなりました。

後始末をしようとするニックとポーラたち。そのとき、隠れ家がFBIに襲撃されました。

ニックは皆を連れて、地下室からのびる地下通路に逃げ込みました。地下通路を出たところにある倉庫の番号は、全員が知っているものでした。

中にあるライトバンに、ポーラ、ジェイン、ニック、アンドルーが乗り込み、シカゴの隠れ家に向かいました。

シカゴの農場につき、一週間ぐらい滞在することになるのだろうかと思っていると、ニックたちを待っていた女性が出迎えてくれました。

その女性はプリマ・バレリーナのクララ・ベラミーでした。ジェインはクララに打ち解けていきました。

しかし、ジェインは、アンドルーの具合が悪くなったのに気がつき、アンドルーがエイズにかかったことを悟ります。

アンドルーをおいて、ニックと逃げるのか。ジェインは選択を迫られます。ジェインはニックから離れられないと悟りました。

2018年8月26日

イリノイ州についたアンディは、さっそくクララ・ベラミーを調べました。なんと彼女はプリマ・バレリーナでした。

彼女の自宅の庭に乗ってきたマイクの車をとめたアンディ。マイクの荷物を調べると、4枚の運転免許証が出て来た驚きます。

その時、窓をたたく音がしてクララが顔を出しました。初対面のはずのアンディを見て、「アンドルーはどうしてあんなことになったのか」とか「ジェイン、なんて残念なことかしら」と言います。

クララは病気のようでした。アンディは考えをめぐらし、クララにパソコンを借りることにしました。

そしてポーラのことを調べると、「更生軍への関与」とともに32年前の事件のことが出てきました。

自分にそっくりなジェインという女性のこともわかってきました。クララはアンディにジンクス・クエラーという女性の演奏会の動画を見せました。

ジンクス・クエラーはジェイン・クエラーであり、アンディは彼女が母・ローラであることを確信しました。

アンディはついに母親へ電話をかけます。「あなたは誰?」アンディの最初のひとことでは母・ローラは何かを察したようです。

話しかけようとした時、一人の男が飛び込んできて電話越しにローラと話を始めました。そのとき、銃声がして、アンディは撃たれました。

1986年8月2日

ジェインはコンサートホールで演奏した夢をみました。目を覚ますと、シカゴの農場の母屋でした。

ジェインはニックに首を絞められたことを思い出しました。今から思うと、父から暴力を受けていたあのポラロイド写真を利用して、ジェイのために怒れとアンドルーをたきつけたのでしょう。

ニックが信じられなくなったジェインに、ニックを崇拝するポーラが嫉妬心をあらわに襲い掛かります。寸前で頭を箱で殴って気絶させたジェインは、アンドルーを連れて車で逃げ出しました。

アンドルーを病院へ入院させてホッとしたのもつかの間、病院に長兄ジャスバーがやってきました。そして、ジャスパーは、ニックと名乗っている男は、実はクレイトン・モロウというペテン師だと、教えてくれました。

けれどもジェインは、不正にまみれた人生を歩もうとするジャスパーが許せません。ジャスパーと決別しました。

2018年8月26日

撃たれたアンディは、よろめきながらクララを捜しました。廊下にポーラ・クーンデが立っています。

電話からは母・ローラの声がしていました。ローラが状況を察知したのに、ポーラは「いまからあんたの娘を傷付けてあげる」と言います。

そのとき、外にいた警官が銃を撃ち始めました。閃光が走ってすべてが真っ黒になりました。

アンディが再び気付くと車のトランクの中にいました。アンディを連れ去ったのはポーラです。ポーラはアンディを隠れ家に連れて行きました。

途中で、アンディは2歳になるまでクララに育てられたことを聞かされました。

そして、ローラことジェインが2年間刑務所にはいっていたことや、証人保護プログラムに入ってかつての仲間たちを裏切ったことなども聞きました。

爆破予告をして世間を騒がせ、身代金を奪った更生軍。彼らのとった行為はテロであり、そのメンバーはほとんどが刑務所に入っています。

アンディは実の父がニックと名乗ったクレイトン・モロウと教えられ、少なからずショックを受けました。

そして、アンディが股間を蹴飛ばしたマイクは、証人保護プログラムの執行を担当する連邦保安局から派遣された、ローラの保護観察官でした。

アンディは、母・ローラが今でもジャスパーの不正証拠書類を隠し持っていることも知りました。

そこへ部屋をノックする音がし、母・ローラが飛び込んできました。ポーラがアンディと引き換えに証拠書類を持ってこさせたのです。

章類を取り上げ、ローラを痛めつけるポーラ。格闘のすきをつき、ローラが隠し持った剃刀の刃でポーラの喉を切り裂きました。

一カ月後

メリーランド州の連邦刑務所の外に、ローラ・オリバーの姿がありました。

ローラは、今ではローラの過去のほとんどを知ったアンディとともにここを訪れ、ここに収監されているニックことクレイトン・モロウと面会をしました。

ローラが行った今回の面会はニックを自分から遠ざけるためのものだったのです。

小説『彼女のかけら』の感想と評価

米推理作家のカリン・スローターのミステリー小説『彼女のかけら』は、上下の2巻からなっています。

主人公は、三十路を過ぎた女性のアンディ。警察署の通信係をしながら、何の楽しみもない鬱々とした日々を過ごしていました。

最愛の母親ローラは、優しいけれどもどこか言いつけに背けない厳しさを持っています。ニューヨークで1人暮らしをしていたのに、母が乳癌だと知らされ、実家に戻って来たアンディ。

ある日事件に巻き込まれ、自分を庇って男性を殺してしまうローラは、アンディが全く知らない母の姿でした。

「すべてあなたのためにしたことなの」という謎の言葉を残すローラ。

ローラが指示する所を訪れるアンディは、そのたびに自分の知らない母の過去と秘密を知ってしまいます。それはそのまま、アンディが何者であるかということにも繋がるものでした。

母はスパイなのか、秘密諜報員なのか、それとも殺人者なのか。

母・ローラの正体がつかめないでアンディが苦悩する前半は、次に何が起こるのか全く読めない展開になっています。

そして後半になると、2018年と1986年の話が交互に出てきて、ローラの過去が明らかに……。

実父から暴力を受け、カリスマ的魅力を持つニックに骨抜きにされ、テロ行為の仲間にひきこまれる若き日のジェインことローラ。

ですが、お腹にいる子どもがローラに生きる力と希望を与えてくれました。

娘を守るためにあえて過酷な道を選び、愛も家族も大切なものもすべて捨てさったローラは、娘の命が危ないと知ったとき、反射的に体が動いてとんでもない殺人技を披露してしまったのです。

ローラが自分の半生を嘘で固めていたとしても、その嘘は悲しみと愛情にあふれた嘘と言えます。

母が自分の過去を隠そうとしますが、一方の娘のアンディは世界の誰よりも知っているはずだった母の秘密を解き明かしていくうちに、一人立ちできるほど大きく成長しました。

謎に包まれた母の過去は、娘のアンディの母への思慕を強める原動力であったのでしょう。

ミステリアスな母娘の複雑に入り組んだ愛にあふれるサスペンスでした。

ドラマ『彼女のかけら』の見どころ


(C)1997-2022 Netflix,Inc.

米推理作家のカリン・スローターの小説のドラマ化。

平穏な町を突然襲った凶悪な事件をきっかけに、スパイ教育を受けたような母・ローラの所業に驚く娘・アンディ。

ローラの勧めに従って逃亡するアンディは、彼女にまつわる暗い過去の断片をつなぎ合わせていくことになります。

ローラが身を潜めていた脅威とおぞましい秘密が明らかになって行くさまと、謎の追っ手から逃げ惑うアンディが遭遇する恐怖が、スリリングな展開を見せます。

謎多き母・ローラを演じるのは、『ミュリエルの結婚』(1994)『シックス・センス』(1999)『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)『ナイトメア・アリー』(2022)などに出演し、エミー賞とゴールデン・グローブ賞を受賞したトニ・コレット。

娘・アンディは、『ネオン・デーモン』(2017)『高慢と偏見とゾンビ』(2016)『ダーク・シャドウ』(2012)のベラ・ヒースコートが演じています。

2人の名女優が奏でる母娘の愛情と襲い掛かるスリリングな展開に注目です。

ドラマ『彼女のかけら』の作品情報

【配信】
2022年(アメリカドラマ)

【原作】
カリン・スローター:『Pieces of Her(原題)』(ハーパーBOOKS)

【キャスト】
トニ・コレット、ベラ・ヒースコート、ジェシカ・バーデン、ジョー・デンプシー、オマリ・ハードウィック、ジェイコブ・スキーピオ、デヴィッド・ウェンハム、ギル・バーミンガム、アーロン・ジェフリー

まとめ

母の過去を奇しくも娘が辿ることになるサスペンス小説『彼女のかけら』をご紹介しました。

母娘の間であっても存在する、娘に知られたくない過去。母はそれを隠そうとし娘の存在を守ろうとします。

ある意味自分勝手でダークとも言える母の愛ですが、娘にとっては純情すぎるほど真っ直ぐな愛だったのです。

ドラマ『彼女のかけら』は2022年3月4日(金)に全国公開予定!



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