人生を変えてくれたのはペンギンだった!実話を元にしたヒューマンドラマ
奇妙なペンギンとの出会いが、ミッシェルの人生を変えていく物語『ペンギン・レッスン』。
1976年のアルゼンチン。人生を諦めていたイギリス人のトム・ミッシェルは、名門寄宿学校に赴任します。
軍事政権下で混乱する社会、授業をまともに聞こうとしない生徒たち。そんな中、旅先でトムは知り合った女性と共に重油に塗れたペンギンを助けます。
女性には振られてしまいますが、ペンギンはトムを命の恩人と思っているのか、トムについていきます。
実在の教師トム・ミッシェルが、自らの体験を綴った回顧録『人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日』は世界22カ国で刊行されベストセラーとなりました。
そんなベストセラーを『フル・モンティ』(1997)のピーター・カッタネオが映画化。トム・ミッシェルを演じたのは『ロスト・キング 500年越しの運命』(2023)などの名優スティーブ・クーガン。
映画『ペンギン・レッスン』の作品情報

(C)2024 NOSTROMO PRODUCTION STUDIOS S.L; NOSTROMO PICTURES CANARIAS S.L; PENGUIN LESSONS, LTD. ALL RIGHTS RESERVED
【日本公開】
2025年(スペイン・イギリス合作)
【原題】
The Penguin Lessons
【原作】
トム・ミッシェル『人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日』
【監督】
ピーター・カッタネオ
【脚本】
ジェフ・ポープ
【キャスト】
スティーブ・クーガン、ビビアン・エル・ジャバー、ビョルン・グスタフソン、アルフォンシーナ・カロッチオ、ジョナサン・プライス
【作品概要】
世界22カ国で刊行されベストセラーとなったトム・ミッシェルの回顧録「人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日」を、『フル・モンティ』(1997)のピーター・カッタネオが映画化。
主演を務めたのは、『ロスト・キング 500年越しの運命』(2023)などの名優スティーブ・クーガン。脚本を担当したのは、『あなたを抱きしめる日まで』(2014)でスティーブ・クーガンと共に脚本を手かげたジェフ・ポープ。
トム・ミッシェルが赴任する名門高校の校長役は、『2人のローマ教皇』(2019)、『天才作家の妻 40年目の真実』(2019)のジョナサン・プライスが演じました。
映画『ペンギン・レッスン』のあらすじとネタバレ

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イギリス人のトム・ミッシェルは、英語の教師としてアルゼンチンにやってきました。
ミッシェルが赴任する名門学校の校長は、「政治的なことは学校に持ち込まないこと」と言います。
1970年代、アルゼンチンは軍事政権による独裁が続いていました。
ミッシェルが赴任してきて早々、軍事クーデターの影響で1週間学校が休みになります。
ミッシェルは数日ほどウルグアイに行くことにします。するとなぜか同僚のタビオも一緒に行くといいついてきます。
タビオは、道中ミッシェルの話を聞きたがりますが、ミッシェルは話さず、タビオは妻がいたが、別の男性とともになり別れたと話します。
ミッシェルはタビオと共にクラブに行き、気になる女性とダンスをします。ミッシェルはダンスをした女性と海岸を歩きながら会話をしています。
すると、重油まみれのペンギンたちが海岸で死んでいました。
ところが1匹だけまだ息をしているペンギンがいます。助けようとする女性に「自然のものには触らないほうがいい」とミッシェルは言います。
「重油は自然じゃない。人間がペンギンを殺している」と女性は言います。
ミッシェルは女性といたい気持ちからペンギンをホテルに連れて帰り、浴室で重油を洗い助けます。
その後女性と関係を持とうとしますが、女性は「結婚しているの。今日は思い切り遊ぶつもりだったのに、だめだった」と言ってホテルを後にしてしまいました。
ホテルには、ミッシェルとペンギンだけが残されます。
翌日、ミッシェルは海にペンギンを返そうとしますが、ペンギンはミッシェルの後をついてきます。
ホテルに置いて帰ろうとしても連れて帰らないと逮捕すると地元警察に言われ、入国審査でも連れて行かないと逮捕と言われ……、やむなくミッシェルはペンギンと学校に戻り暮らし始めます。
映画『ペンギン・レッスン』の感想と評価

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実話を元に、人生を諦めていた教師がペンギンと出会って変わっていく姿を描いた映画『ペンギン・レッスン』。
ミシェルとともにもう1人の主人公ともいえるペンギンのフアン・サルバドールは、2羽のマゼランペンギンが演じたといいます。
CGに頼らず絶妙な演技を披露するペンギンたちに、観客の心は鷲掴みにされます。
しかし、本作の魅力はペンギンの可愛さ、ほっこりするエピソードにとどまらない骨太なドラマにあります。
1970年代後半から80年代前半にかけ、アルゼンチンでは軍事政権による独裁がしかれ、「汚い戦争」と呼ばれる白日テロが行われていました。
共産主義をはじめとした左翼組織への取り締まりを名目に労働組合員や活動家、学生、ジャーナリストなど多くの人が逮捕され、拷問されました。
エンドロールに映し出されていましたが、今もなお3万人もの人が行方不明のままで、「プラザ・デ・マージョの祖母たち」をはじめとした人権活動家団体は、今も闘っています。
そんな1970年代のアルゼンチンの社会問題をベースに、人生を諦めていたミシェルが変わっていく姿が描かれていきます。
ミシェルは他者に干渉せず、人生に何の期待も抱いていませんでした。そうなってしまったのは、娘を亡くしたことが関係しているのでしょう。
ミシェルはソフィアと出会ったことで娘を思い出し、そんなソフィアを助けなかった自分に対して、やるせなさと後悔を抱きます。
人と関わろうとしなかったミシェルが変わるきっかけとなったのは、サルバドールでした。
サルバドールの存在がミシェルと他者を繋ぎ、諦めていたミシェルが誰かのために行動する、その一歩を踏み出し始めます。
それはミシェルの仕事への関わり方にも影響します。
ミシェルが赴任した名門学校の生徒の多くは裕福な家庭で生まれ育ち、親は権威側の人間です。
まともに聞いてもらえなくても気にせず、生徒の成績を上げることにも無関心であったミシェル。
しかし、自由への比喩を込めた詩や独創的な授業を通して、単に英語を教えるのではなく、生徒の心と向き合う授業をするようになります。
親の世代とは違う自由な意見を言える大人になれるようにという思いがあっても行動に移す勇気はなかったミシェルが変わったからこそ、生徒たちの心にも届くようになります。
ソフィアは原作小説にはいない登場人物であり、映画化にあたってより社会的なテーマとミシェル自身のパーソナルな部分が重なるドラマに作り上げたのでしょう。
そのメッセージは今を生きる私たちにもつながる大切なものです。
まとめ

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『フル・モンティ』(1997)のピーター・カッタネオ監督がトム・ミシェルのベストセラーを映画化。
ミシェルは、英語の授業を通して生徒たちに喩え表現を教えています。
ミシェルの授業ではないですが、本作におけるペンギンのフアン・サルバドールの存在も見方を変えれば比喩的であるといえるかもしれません。
思いがけない出会いによって人生が変わった、何かが変わったという経験は皆さんもあるかもしれません。
自分にとってのフアンとは?とつい考えてしまうような、映画を見た後も観客の心に何かを残す映画になっています。


































