映画『MISS ミス・フランスになりたい!』は2021年2月26日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
映画『ミス・フランスになりたい!』は、主人公のアレックスが、少年のころ抱いた「ミス・フランスになりたい!」という夢を叶えるべく奮闘するヒューマンドラマ。
アレックスを演じたのは、ジェンダーレスモデル兼俳優としてNetflixドラマ『エミリー、パリへ行く』などに出演しているアレクサンドル・ヴェテールです。圧倒的美しさと枠にとらわれない魅力に注目です。
映画『MISS ミス・フランスになりたい!』の作品情報
【公開】
2021年(フランス映画)
【監督】
ルーベン・アウヴェス
【キャスト】
アレクサンドル・ヴェテール、パスカル・アルビロ、イザベル・ナンティ、ティボール・ド・モンタレンベール、ステフィ・セルマ、クエンティン・フォーレ、ムッサ・マンサリー、ハディ・プシュナヴァ
【作品概要】
監督、脚本を務めたのは『イヴ・サンローラン』や『あしたは最高のはじまり』などに俳優として出演しているルーベン・アウヴェス。本作が長編映画監督としては2作目の作品。
主演のアレクサンドル・ヴェテールはフランスでジェンダーレスモデルとして活躍している人物です。
俳優としてはNetflixドラマ『エミリー、パリへ行く』やAmazonプライムドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』などに出演し、さらに活躍の幅を広げています。
映画『MISS ミス・フランスになりたい!』のあらすじ
(C)2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS
9歳の頃学校で「ミス・フランスになりたい。」とみんなの前で話したことによって、全員に馬鹿にされた経験のあるアレックスは大人になってから夢はおろか自分らしい生き方ができないで鬱屈とした日々を送っていました。
そんな時再会した幼馴染のアリエスが夢を叶えて輝いている姿を見たことで、意を決してミス・フランスに挑戦することを決めたのでした。アレックスは友人らの助けを借り、大会へ挑みます。
映画『MISS ミス・フランスになりたい!』感想と考察
本作はサクセスストーリーというよりは、自分と真剣に向き合う尊さと勇気を描いたヒューマンドラマです。
ミスフランスになることが夢だったアレックスは、有名になることや美しくなることよりも「自分のやりたいこと」に挑戦したかったのです。
しかし作中でアレックスは、沢山のフォロワーができるなど生活が変わったことで自らを過信し目的を見失ってしまいました。
そんなときに、母親代わりの存在であるヨランダが掛ける言葉が印象的です。「あなたを理解しない人に自尊心を見せびらかすな。」とアレックスに伝えるのです。
人は承認欲求にかられると本来の目的や夢を見失いがちなもの。そんなときにヨランダのようにありのままの自分を受け入れてくれる存在が居てくれることがどんなに救いになり、強さに変えられるだろうかと考えさせられるセリフです。
また、コンテストを仕切るアマンダという女性も本作ではとても重要なキャラクターです。
ミス・フランスという伝統的でありながら、昨今の風潮では批判されかねないコンテストに対して、ポリシーを持って取り組んでいる彼女からは、女性のプライドや自由を守りたい信念が感じられます。
ビジネスのために厳しさは忘れないものの、「何ものかになりたい」というアレックスの強い願いを誰よりも理解していたのは彼女なのかもしれません。
ミス・フランスという題材ながらも、「自分の価値は自分で決める」という力強いメッセージが込められた作品となっています。
まとめ
昨今、トランスジェンダーの役をヘテロセクシュアルの役者が演じることについて批判が上がりがちなことについて、アレックス役を演じたアレクサンドル・ヴェテールがインタビューでこう語っていました。
「別の人間を演じることができるというのが俳優の本質です。ヘテロセクシャルの女性だからトランスジェンダーの役が演じられないのであれば、女優はパン職人の役も演じられないことになります。ジェンダーに閉じ込めることは良くない。しかも、そうした行為は、トランスジェンダーをトランスジェンダーの枠組みの中に押し込めてしまうことになりかねない。」
ジェンダーレスモデルとして活躍している彼が演じたことで、本作の魅力と説得力は増したように感じますが、もしヘテロセクシャルの男性がこの役を演じていたとしても批判が起きない社会になってほしいと願ってやみません。
『MISS ミス・フランスになりたい!』は2021年2月26日TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。