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Entry 2018/10/09
Update

映画『LBJケネディの意志を継いだ男』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 西川ちょり

ケネディ暗殺。その銃弾はもうひとりの男の運命を変えた!

ケネディ暗殺後、アメリカ大統領に就任したリンドン・ベインズ・ジョンソンの苦悩と功績を描くロブ・ライナー監督作品『LBJケネディの意志を継いだ男』をご紹介します。

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映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』の作品情報


(C)2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
LBJ

【監督】
ロブ・ライナー

【キャスト】
ウッディ・ハレルソン、マイケル・スタール=デビッドリチャード・ジェンキンス、ビル・プルマン、ジェフリー・ドノヴァン、ジェニファー・ジェイソン・リー

【作品概要】
ロブ・ライナー監督がメガホンを取り、第36代米大統領リンドン・ベインズ・ジョンソンを描いた政治ドラマ。

リンドン・ジョンソンを『スリー・ビルボード』のウッディ・ハレルソンが演じ、ジョンソンを支える妻に、ジェニファー・ジェイソン・リー、南部の議員ラッセル役を『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたリチャード・ジェンキンスが務めるなど、個性的な俳優が揃った。

長年の実績と実力がありながらケネディ人気の陰に隠れがちだった男が、ケネディ暗殺後、アメリカ大統領に就任。

ケネディを支えてきたエリートたちからは激しい反発を受け、公民権法案に反対する南部の議員たちは譲歩することを拒否。想像を超えた闘いの日々の中、ジョンソンは信念を持って行動を始める。

映画『LBJケネディの意志を継いだ男』のあらすじとネタバレ


(C)2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.

1963年11月22日 ダラス・ラブフィールド空港。J・F・ケネディは飛行機のタラップに降り立ち、大勢の市民に熱狂的に迎えられました。

第35代アメリカ合衆国大統領ケネディと妻のジャクリーンは市民に歩み寄り気さくに握手に応え始めました。

副大統領のリンドン・ベインズ・ジョンソンとその妻レディ・バードもあとに続きますが、人々はケネディ夫妻しか眼中にありません。ジョンソンは妻とともに引き下がり、早々にリムジンに乗り込むのでした。

1960年4月。

交渉能力に長けた実力者として知られるジョンソンは、周囲から大統領候補として出馬するよう要請されますが、固辞します。

幼い頃から大統領になるのが夢だと語っていた彼がなぜ躊躇するのか? 「何を恐れているのだ?」と側近がもらすと、レディ・バードは「愛されないことが怖いの」と応えるのでした。

レディ・バードから説得され、立候補したジョンソンでしたが、民主党大会において第一回投票の段階でケネディに敗れてしまいます。

ケネディはジョンソンに副大統領候補を引き受けてくれるよう要請しました。

ケネディの弟、ロバート・ケネディは「兄の申し出を断って欲しい」と言いにやってきます。

側近からも「割の合わない仕事だ」と反対されますが、ジョンソンは「これまで私は着任したポストを100倍以上力のあるものにしてきたのを忘れたのか?!」と言って、副大統領候補となることを受諾します。

1960年11月8日、接戦の末、大統領選を制したケネディは第35代アメリカ合衆国大統領となりました。ジョンソンも正式に副大統領に就任します。

当時、公民権問題が民主党を二分していました。ケネディはジョンソンに南部の人種分離主義の民主党員と連邦政府との仲介役となってくれるよう要請します。

ジョンソンはルイジアナ州のラッセル議員に、南部にあるロッキード社に軍機の発注するのを条件に、黒人をエンジニア、技能労働者として雇ってほしいと持ちかけます。

他の南部の議員たちと同じく公民権問題に強く反発しているラッセル議員は、その申し出も拒否しますが、「ケネディが勝てたのは黒人のおかげだ。ケネディに少しだけ譲歩してくれ」と辛抱強く説得を続けるのでした。

1954年の、公共施設において白人と黒人とを分離する法律を違憲とするブラウン判決以降、黒人の公民権の適用と人種差別の解消を求める「公民権運動」がアメリカ全土に広がっていました。

ケネディは議会へ新しい公民権法案を提案することを決断します。「徹底的に潰す」と息巻くラッセル議員に「あなたは10億ドルの契約を勝ち取ったんだ。仲良くよりましょう」とジョンソンは諌めるのでした。

ジョンソンはラッセルをしばしば夕食に招いていました。料理を運んでくる黒人の使用人を「家族の一人」と呼ぶジョンソンに対してラッセルは「私たちの生活を壊されてもいいのか!」と言い放つのでした。

1963年11月22日。

ダラスの市街をパレードしている際にケネディ大統領が狙撃され、騒然となります。後方の車に乗っていたジョンソンも大勢のシークレットサービスに囲まれて、病室の一室に移動させられました。

「空港へ行きましょう」と側近が促す中、「大統領が闘っているのに離れるわけにはいかない」とジョンソンは応えます。しかし、願いも虚しくケネディの死亡が伝えられました。

「プレジデント!」と側近の一人が呼びかけました。「国民に知らせる義務があります」

「大統領のまま兄さんを返したい」というロバート・ケネディには「悲しみの気持ちはよくわかるがアメリカ政府が機能していることを世間に知らしめなくてはならない」と説得し、「宣誓の正しい文言を調べてほしい」と頼みます。

大統領専用機・エアフォースワンの中で宣誓を行い、ジョンソンは第36代大統領に就任しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『LBJケネディの意志を継いだ男』ネタバレ・結末の記載がございます。『LBJケネディの意志を継いだ男』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ジャクリーンを気遣って、ホワイトハウスに移るのを送らせていたジョンソンのもとにラッセルが南部の民主党議員を全員ひきつれてやってきました。

ラッセルはジョンソンの大統領就任を喜び、祝の言葉を述べると祈り始めました。「我々のために働く彼に知恵と勇気を与え給え」

ロバート・ケネディを始め、ケネディが選んだハーバード大学出身の優秀なエリートである閣僚たちはジョンソンに対する反発心を隠そうとしませんでした。

ジョンソンは彼らに対しても辛抱強く対処しますが、夫婦と二人きりでいる時、「私は愛されていない」と本音をもらします。自分が幼い時の母の厳しさも思い出していました。

「お母さんはあなたを愛していたわ。駄目だった時に厳しかっただけよ」とレディ・バードは慰めるのでした。

ケネディの出した公民権法案などの政策を引き継ごうとするジョンソンに対して回りは「これまでの支持者を失う可能性があります」と忠告します。

「駆け引きする気もないし、負ける気もない。大統領は二人いるんだ。ケネディの弔い合戦だ」とジョンソンは返しました。

ジョンソンはケネディのスピーチライターであったセオドア・C・ソレンセンに上院下院合同会議での大統領就任演説のスピーチを依頼します。

「真意がわからない」と困惑するソレンセンでしたが、やがてジョンソンの本気を認めます。

合同会議での演説は議員のみならず国民の胸をうつものでした。場内は万雷の拍手に包まれました。

しかし、ラッセル議員たち南部の議員は、公民権法案に未だに反対していました。

「全力で君と闘うことになるぞ」と怒りを顕にするラッセル議員に対して、ジョンソンは「公民権の時代が来たのですよ」と言い、これまで口に出すのを控えていたが、と前置きして、「あなたは差別主義者だ」と言い放つのでした。

(以後、字幕のみ)1964年7月2日、公民権法案を成立。1964年の大統領選でジョンソンは圧勝。1965年には黒人の選挙権を保証。社会保障や福祉保険の拡大にも尽力しました。

ベトナム戦争での対応に厳しい批判を受け、1968年、民主党代表候補として出馬しない意向を発表しました。

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映画『LBJケネディの意志を継いだ男』の感想と評価


(C)2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.

映画を観る前は、ジョンソン大統領といってもケネディ大統領とニクソン大統領の時代に挟まれた背の高い大統領というぐらいしか印象にありませんでした。

映画的にも『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016)で、ナタリー・ポートマン扮するジャクリーン・ケネディがホワイトハウスに大統領として登場したジョンソン夫妻を疎ましそうに観るシーンがあったのを覚えているくらいです(演じたのはジョン・キャロル・リンチ)。

監督のロブ・ライナーもジョンソンには特別な関心はなかったといいます。しかし、ジョーイ・ハートストーンが書いた脚本を読み、ジョンソンの新たな一面を知ることとなります。

アメリカ世論的にも、ジョンソン大統領といえば、ベトナム戦争でのアメリカ兵大規模派遣などの方策を激しく非難された人物というのが大半の印象のようですが、実は、ケネディの意志を継いだ公民権法案の制定を始め、人種差別の撤廃や社会福祉などに多大な貢献をした人物でした。

移民問題、差別問題などで社会が分断されているこの時代において、本作が作られたことは大変意義深いことです。

本作におけるジョンソン大統領の私利私欲に走らない実直で我慢強く偏見のない柔軟な姿は、アメリカ大統領としてふさわしい資質を十分に持った偉大な人物として心洗われるような気持ちになりました。

価値観の違う者への対話、歩み寄り、決して袂を分かつことのない粘り強い交渉力etc…。

今の時代に失われがちな政治家としての資質、信念、行動力、包容力がこの映画には描かれています。ロブ・ライナーの狙いもまさにそこにあるのです。

エリート集団のケネディ陣営とは真逆の庶民的で少々下品なジョンソンのキャラクターも親しみやすく、『スリー・ビルボード』での好演が記憶に新しいウッディ・ハレルソンが人間味たっぷりに演じています。

映画は、ジョンソンが、ケネディというカリスマ政治家と常に比較され(主にイメージの面で)陰に回って十分に実力を評価されなかった副大統領時代を中心に、ケネディが暗殺されたため、大統領に就任し、様々な軋轢を乗り越えて、議会での演説に挑む姿を描きます。

この演説シーンがクライマックスになるのですが、さすが、ロブ・ライナー。カタルシスをもたらす演出は右に出るものはないというくらいの巧みさです。

演説するジョンソン、それに聞き入る人々の姿を様々な角度から捉える完璧なカメラ、完璧な編集!名演説に聞き惚れ、見惚れてしまう名場面となっています。

まとめ


(C)2016 BROAD DAYLIGHT LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ウッディ・ハレルソンはジョンソン大統領を演じるに際し、本人の実際の発言や行動などを入念に調べ、話し方や仕草も研究し、完全にマスターして撮影に臨んだといいます。

特殊メイクも使われているそうですが、ウッディ・ハレルソンくらいの人なら、素顔のままでも立派なジョンソン大統領になりきれた気がします。ジョンソン大統領のビジュアルをあまり知らないからそう思うのかもしれませんが。

余談ですが、ケネディ大統領に扮したジェフリー・ドノヴァンもケネディにさほど似ているとは思えませんでした。むしろ彼はロバート・ケネディに似ているように思えました(と思ったら、クリント・イーストウッドの『J・エドガー』で、ロバート役をやっています!)。

ロバート・ケネディにはマイケル・スタール=デヴィッドが扮していますが、こちらは実物よりはかなりハンサムです。でも優秀で冷静なエリートのイメージにぴったりで適役と言っていいでしょう。ロバートとジョンソンの対立も緊迫感があり実に見応えがありました。

大統領夫人のレディ・バードを演じたジェニファー・ジェイソン・リーの落ち着いた演技も忘れがたいです。

ところで、ロブ・ライナー監督の次回作にもウッディ・ハレルソンが出演するようです。イラク侵攻における大量破壊兵器の存在を問うジャーナリストを主人公にした物語だそうで、これまた期待できそうです。今から楽しみでなりません!

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