ミステリー映画『孤狼の血』は、5月12日(土)より公開。
柚月裕子の同題ベストセラー小説を白石和彌が映画化。昭和63年の広島の呉市がモデルになっている架空の都市呉原市を舞台にした、刑事とヤクザの駆け引きを描いたエンターテイメント。
警察の暴力団係の班長、大上章吾を役所広司、大上の下につき、大上と行動を共にすることになった日岡秀一を松坂桃李が演じます。
監督は『凶悪』『彼女を知らない鳥たち』の白石和彌。
今回は柚月裕子の原作小説のあらすじに書かれた事件の真相の結末と、それを映画化した見どころなどを調査しました。
CONTENTS
映画『孤狼の血』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
柚月裕子
【監督】
白石和彌
【脚本】
池上純哉
【キャスト】
役所広司、松坂桃李、真木ようこ、滝藤賢一、中村倫也、阿部純子、中村獅童、江口洋介、竹ノ内豊、ピエール瀧、田口トモロヲ、石橋蓮司
【作品概要】
若松孝二監督の弟子で、その若松監督を描いた映画『止められるのか、俺たちを』の公開も控えている白石和彌が監督をつとめています。
昭和63年の暴力団施工法施工前の県警対組織暴力を描いています。
正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの戦いの物語です。
柚月裕子プロフィールと作品の特徴
柚月裕子(ゆづきゆうこ)は、1968年5月12日生まれで岩手県出身の作家です。映画『孤狼の血』公開の日が50歳の誕生日なんですね…⁈狙ったのか、偶然なのかはわかりません!
2008年に、『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。
2013年『刑事の本懐』で第15回大藪春彦賞を、2016年に『狐狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
他の著書に『最後の証人』『検事の死命』『蟻の菜園-アントガーデン』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『盤上の向日葵』などがあります。
原作『孤狼の血』のあらすじとネタバレ
呉原東署へ赴任してきた、日岡は捜査二課の所属となり、暴力団係に配属されました。そこでは、捜査二課の主任で、暴力団係の班長をつとめる大上の下につくことになります。
日岡は大上の物騒な噂を、県警に採用される前から聞いていました。暴力団員から2度襲撃を受け、相手を半殺しにしたとか、自らも重傷を負って入院した、との噂もあり、日岡は大上のことを会う前から恐れていました。
呉原東署では呉原市暴力団抗争事件対策本部が、暴力団関連事務所の一斉捜査を計画していた時、新興暴力団組織の系列の呉原金融の経理担当社員、上早稲が3か月行方不明になっており、その上早稲の行方を、大上は追っているのでした。
上早稲の妹は、警察に捜索願を出しています。
暴力団係り等が、エスと呼ばれる暴力団内部の内通者を飼っているもので、使えるエスをどのぐらい持っているかで、刑事としての腕が決まるといっても過言ではない、ということは、日岡でも知っています。
大上はそのたくさん飼っているエスを使って、上早稲を追いかけますが、日岡は次第に大上の行動に疑問を持つようになります。
時に暴力で暴力団員を脅し、
時に大金で内部の情報を買う……
暴力団をうまく付き合う事で、上早稲捜索を前進させようとするところまでは、警察内部でも暗黙の了解としてあるものですが、それが度を越しているのです。犯罪組織と警察組織という関係のバランスが崩れていると、日岡は感じるのでした。
しかし、そんな大上の度を越した捜査によって、上早稲の行き先を突き止めることに成功したのでした。
上早稲が向かったのは無人島の赤松島でした。
『孤狼の血』の原作と映画の違いは?
強烈キャラの大上役に名優!役所広司
本作の監督を務めた白石和彌は、名匠若松孝二監督の弟子で師匠を描いた映画『止められるのか、俺たちを』の公開も控える白石和彌が監督をつとめています。
原作小説では、大上はパナマ帽をかぶって、昭和の雰囲気を醸し出しながら、組織の1ピースにおさまりきらない強烈な個性を発揮。
常に暴走していると感じさせるぐらい、自分がこうと決めたらとことん突き進んでいきます。
そこにもはや、法律という壁があったとしても、法律でも介在する余地がないほどです。
また、大上は、品があるタイプではないものの、料理屋の美人女将が惚れるぐらいなので、男の色気はあります。
役所広司がやり過ぎの悪の部分と、実は情に熱く愛に溢れている男の色気の部分をどう表現しているかが映画の見どころになっています。
日岡を演じる松岡桃李に注目!
また、日岡演じる松岡桃李にも注目です。
日岡は、基本的には頼りないキャラクターなのです。
ドラマ『ゆとりですがなにか』内で演じた役に近いものがあります。
しかし、そこから、大上が自宅待機にさせられ、大上と連絡を取れなくなると、どんどん逞しくなります。
そして、最後には大上の思いを引き継ごうとするのです。日岡の成長に注目です!
まとめ
「世の中にこんなすごい映画があったのかと、脳天かち割られるぐらいの衝撃があった」と話しているのは、原作小説を執筆した柚月裕子。
その柚月が、「『仁義なき戦い』なくして、この作品はあり得なかった」と言っていることからも、分かるように、仁義なき戦いをバリバリ意識して書いた作品です。
また、脇は、江口洋介、竹ノ内豊、中村獅童などが固めまているのも。超豪華!
新時代の東映『仁義なき戦い』になりうるか、はたまた、それを超えるか、あなたの目で刮目してください。
時代を担う、若松イズム継承者白石和彌監督が、どのように昭和のやくざの世界を描いたか、豪華俳優陣を生かすエンターテイメント性を打ち出してくるか、必見です。