阿部寛主演「新参者」シリーズ、完結!
映画『祈りの幕が下りる時』は、東野圭吾の同題ベストセラーを映画化。
東野圭吾のデビュー作から続く加賀恭一郎シリーズの日本橋辺の完結編で、原作・映画ともに本作で加賀は日本橋を離れます。
ストーリーはドラマ化もされた「赤い指」と対になる加賀恭一郎の両親との物語。本作で長らく詳細が語られなかった加賀の母親の存在がしっかりと描かれます。
CONTENTS
映画『祈りの幕が下りる時』の作品情報
【公開】
2018年(日本映画)
【原作】
東野圭吾
【監督】
福澤克雄
【キャスト】
阿部寛、松嶋菜々子、溝端淳平、田中麗奈、キムラ緑子、烏丸せつこ、春風亭昇太、音尾琢真、飯豊まりえ、上杉祥三、中島ひろ子、桜田ひより、及川光博、伊藤蘭、小日向文世、山崎努
【作品概要】
主演・阿部寛、東野圭吾原作による「新参者」シリーズの完結編。人気ミステリー「加賀恭一郎」シリーズの第10作の映画化。
2010年にテレビ放送されたドラマ「新参者」と2本のドラマスペシャル、そして映画『麒麟の翼 劇場版・新参者』に続き、阿部寛が刑事の加賀恭一郎を演じています。
キャスト陣は演出家の浅居博美役を松嶋菜々子が演じ、山崎努、及川光博、溝端淳平、田中麗奈、伊藤蘭、小日向文世による共演。監督は「半沢直樹」「下町ロケット」「3年B組金八先生」など数多くのヒットドラマを手がけた福澤克雄。
映画『祈りの幕が下りる時』のキャラクター紹介
加賀恭一郎(阿部寛)
日本橋署の刑事。事件と自分の母親との繋がりを知る。
松宮侑平(溝端淳平)
加賀の従兄弟。警視庁の刑事。
浅居博美(桜田ひより→飯豊まりえ→松嶋菜々子)
舞台演出家。加賀と面識がある。
?(小日向文世)
複数の名前を使っている形跡のある正体不明の男。
田島百合子(伊藤蘭)
過去を隠して仙台で水商売に就いていた。失踪していた加賀の母。
加賀隆正(山崎努)
加賀の父。元警察官。母親の失踪を含めて多くを語らない。
?(及川光博)
博美親子と縁深い人物。
映画『祈りの幕が下りる時』のあらすじとネタバレ
震災の起こる10年以上前の仙台
日本橋署の刑事加賀恭一郎はそこに住む宮本という女性から思わぬ一報を受けます。それはこの地で亡くなった田島百合子こそ加賀の母親ではないだろうかという知らせでした。
百合子はかつて旅で訪れたことがあるというこの地で宮本の経営するスナックセブンで働き始めます。
過去を多く語らない百合子の姿はその陰が逆に魅力となり、店の看板となります。やがて綿部という男性客とも恋人同士にもなっていたようでした。
仙台に駆け付けた加賀は百合子が間違いなく自分の母親であることを確認、決して多くはない遺品を全て引き取りしっそうしてからの母親の人生を深く知ろうとします。
そして現代の東京
小菅のアパートで滋賀県在住の40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見されます。
アパートの住人は「越川睦夫」と名乗る男性で、現在越川は消息不明。
捜査一課の松宮は殺害時期や、現場が近い新小岩での河川敷で発生したホームレス焼死事件との関連性を感じ、DNA検査を行うも一致せず、落胆します。
しかし、従兄弟の日本橋署の刑事加賀恭一郎からDNAを採取したのは、定番のタオル・剃刀・歯ブラシのたぐいであることを指摘されて、改めて他のものでDNAを照らし合わせます。
すると越川睦夫と焼死体で発見されたホームレスが同一人物であることが判明。越川睦夫という人物は明らかに自分の身元、そして事件のありようを偽装していたことがうかがえます。
道子の住む滋賀県での捜査で、中学の同級生で演出家の浅居博美を訪ねに上京したことを突き止めます。
ちょうど博美はそれぞれの事件現場の近くにある劇場・明治座で大胆にアレンジした「曾根崎心中」の上演中でした。しかも博美は加賀の知り合だったのです。
初めは管轄違いの事件と思っていた加賀だが、小菅のアパートで見つかったカレンダーに月ごとに書き込まれた日本橋周辺にある橋の名前が、母の部屋に残されたカレンダーのメモと同じだと気がつきます。
この事件の中心にいるのは加賀の自身であったことを知り、捜査に参加していくことに。
二つのカレンダーの筆跡は一致。少なくともアパートの住人越川睦夫と母のかつての恋人綿部は同一人物であることが分かります。
調べていった中で博美は、母親が作った借金で父親とともに夜逃げ同然で地元を離れていました。
その後父親の忠雄は自ら命を絶ち、博美は施設で暮らしその後上京して女優から演出家の道にすすんでいました。
ちょうど演出家の道を進み始めたころ殺陣の参考にしたいということで、剣道日本一の実績を持っていた加賀を訪ねていたのです。
博美の過去を追っていく中で地元を離れてからも彼女を支えていた担任教師苗村の存在を知ります。
捜査陣では越川そして綿部は苗村ではないかと推理するものの宮本の証言で別人であることを証明されました。
事件の真相は、カレンダーに書かれた橋の名前にあるのではと考えた加賀は、日本橋周辺の橋の写真をかき集め、そしてそこに博美の姿を見つけます。
博美の過去を改めて調べなおした加賀は、伝わってきた博美の過去と実際の出来事と違う点があることに気が付きます。
自死したとされていた父親の忠雄の生死は伝わっていた場所とは別でした。忠雄と越川が同一人物である可能性が出てきました。そして、越川のDNAと博美のDNAを鑑定した結果親子であることが判明します。
越川、田邊、浅居忠雄、そして原発で働いていた横山という4つの名前を使っていた人間は同一人物だったのです。
映画『祈りの幕が下りる時』の感想と評価
原作発表のころから言われていた通り、一言でいえば平成版『砂の器』。『砂の器』同様、罪を抱えた親子が逃亡の末に過去を捨てるところから始まります。
滋賀県と仙台、そして日本橋を縦断するロケ撮影がたっぷり。そしてタイトルが出るのがなんと映画開始約25分後という大作感のある作り。
クライマックスで刑事の語りをバックに真相が映像で描かれる場面は、『砂の器』を意識になかったと言ったら嘘になるでしょう。
真相を語る刑事が『砂の器』が丹波哲郎『祈りの幕が下りるとき』が阿部寛という巨漢というのも軍全ではありますが、絵がそっくりです。
エンドロールではドラマシリーズに登場した杏や香川照之がカメオ出演。日本橋を離れる加賀恭一郎に花を添えています。
まとめ
本作『祈りの幕が下りる時』の演出は、ドラマ『半沢直樹』や『下町ロケット』。また『3年B組金八先生』の人気作品を手がけた福澤克雄監督です。
この作品では「父との確執」や「母の失踪」など、これまで知ることがなかった、加賀恭一郎自身の謎が明らかになります。
そして「新参者」シリーズをドラマで追ってきた方も、原作小説から追ってきた方にも楽しめる作品となっています。