映画『半世界』は2019年2月15日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開!
『エルネスト もう一人のゲバラ』『顔』などの阪本順治監督のオリジナル脚本作品である映画『半世界』。
主演を稲垣吾郎が務めたほか、長谷川博己、渋川清彦、池脇千鶴が脇を固めます。
地方に住み40歳を前にした男たちが、今までの人生とこれからの人生をどう考えていくかの姿を描いた本作。なお「半世界」は、本作では「折り返しを迎えた人生」を表現した言葉です。
「稲垣吾郎に“土のにおいのする役”を演じさせてみたい」という阪本監督のコンセプトのもと、稲垣吾郎が本作で演じた主人公の炭焼き職人の姿は、一見ミスマッチなようでスッと収まるキャスティングとなっています。
CONTENTS
映画『半世界』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【脚本・監督】
阪本順治
【キャスト】
稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、竹内都子、杉田雷麟、菅原あき、信太昌之、堀部圭亮、小野武彦、石橋蓮司、岡本智礼、原田麻由、牧口元美、マレロ江口剣士朗、大浦彰希,大橋逸、中津川巧、芳野史朗、上ノ茗真二、西沢智治、保科光志、井谷三枝子
【作品概要】
『どついたるねん』『KT』『亡国のイージス』の阪本順治監督のオリジナルストーリーによる、稲垣吾郎が主演を務めたヒューマンドラマ。
稲垣吾郎は主人公の炭焼き職人の紘を演じ、その妻・初乃役に池脇千鶴が務めます。また主人公の旧友役に長谷川博己、渋川清彦が演じ、実力派キャスト陣の演技合戦が見どころ。
2018年に開催された第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され観客賞を受賞した。
映画『半世界』のキャラクター&キャスト
高村紘(稲垣吾郎):
高校生の子供を持つ炭焼き職人39歳
沖山瑛介(長谷川博己):
紘の幼馴染で元自衛官。故郷に帰ってきた。
岩井光彦(渋川清彦):
紘、瑛介の幼馴染で中古車店の店長。
高村初乃(池脇千鶴):
紘の妻、三人組の縁もよく知っている。
高村明(杉田雷鱗):
紘と初乃の一人息子・高校生。
映画『半世界』のあらすじとネタバレ
黒い喪服姿の男が二人、タイムカプセルを探して山中を探して回っています。
二人は瑛介と光彦の二人。タイムカプセルは学生時代いつも三人でつるんでいた紘と一緒に埋めたものでした。
その少し前、8年ぶりに瑛介が故郷に帰ってきます。瑛介は自衛官を退官しての帰郷でした。
高村紘と岩井光彦、沖山瑛介の三人は学生時代、ずっとつるんでいた三人組でした。
高校卒業後、紘と光彦は地元に残り家業を継ぎ、瑛介は自衛官になりました。
紘の職業は炭焼き職人、親の職業を継いでいました。
炭焼き業の経営はちょっと苦しいところでしたが、紘は何とか踏ん張るつもりです。
紘の息子の明は同級生からいじめを受けているようで妻の初乃は心配していますが、紘は息子との距離感の取り方に戸惑っています。
山の炭焼き場に向かう途中、紘は瑛介と再会します。
瑛介はボロボロの実家での暮らしを始めました。光彦とともに何かと瑛介の世話を焼く紘は瑛介の“心ここにあらず”な様子が心配です。
映画『半世界』の感想と評価
ブロマンス~青春を忘れきれない男たち~
ブロマンス=BrotherとRomanceを合わせた造語、90年代の後半から00年代の男たちの友情を描いた新スタイルの映画ジャンルです。
それまでの男性関係ですと友情ものかBLになるかというところでしたが、その中間の形態といえばいいでしょうか。
1997年公開の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』あたりから始まり、「ハングオーバー!」シリーズ(2009〜2013)でハリウッドで定着しました、「テッド」シリーズ(2012〜)などもそうですね。
アジア圏でも香港映画の『男たちの挽歌』(1986)のシリーズ化や『インファナル・アフェア』(2002)のシリーズ。また韓国映画の『友へ~チング~』(2001)ですっかり定着しました。
日本だとヤンキー映画と相性が良く『クローズZERO』(2007)、「HIGH&LOW」シリーズ(2015〜18)などが分かり易い例でしょう。
最も分かり易い組み合わせで言えば映画『シャーロック・ホームズ』、ドラマ『シャーロック』で登場する対人関係に難のある名探偵シャーロック・ホームズとワトスン医師。
コナン・ドイルが「シャーロック・ホームズ」シリーズを書いたのが1880年代後半のことですから、まさに同シリーズはブロマンスの元祖と言っていいかもしれません。
ダメな父親役を演じた稲垣吾郎
本作『半世界』で稲垣吾郎が務めた主人公の高村紘は、彼がこれまで演じた役柄とは大きく異なるものでした。
幼なじみの旧友とのブロマンスな関係や、けん怠期までとは言わないまでも関係性に慣れきっていた夫。また反抗期の息子に対峙できない父親という、“どこか情けないダメ親父”という役柄を演じます。
このキャラクターを演じることについて、稲垣吾郎は2018年の東京国際映画祭のマスコミ会見で次のように述べています。
ここ数年での自分の環境の変化があり、仕事の仕方も変わり、いろいろなことがあった中で、この作品が役者としては初めてのお仕事だった。
そういった意味では自分でも見たことのない自分がスクリーンに現れる、この作品に巡り会えたことが幸せなことだと思っていますし、それを皆さんにお届けできることを嬉しく思っています。
さらに“自分でも見たことのない自分”についてこうも語っています。
自分じゃない自分がそこに映っていたということは、その役になり切れていた、演じ切れていたのかなというふうに思えています。
それは自分ひとりの力ではなくて、監督をはじめスタッフの皆様、共演者の方、そして三重県の伊勢志摩で撮影していて、その土地に誘われたというか引き込まれたというのもあり、見たことない自分がスクリーンに映っていました。
新たな役柄に挑み、稲垣吾郎が自らこれまでにない、“自分でも見たことのない自分”を、ぜひ劇場でご覧ください。
まとめ
阪本順治監督は紘というキャラクターが生まれた背景について、「稲垣吾朗と会った時に、“ごまかさない、自分を前に出そうとしない”という印象を受けたからだ」と述べています。
そして「たんたんと寡黙に一つの仕事をしている、それが都市部ではなくて、山の中で土にまみれてというイメージが浮かんだ」とも語ってます。
稲垣吾郎の職人気質な一面から生まれた主人公の紘ですが、家庭を省みないようなキャラクター像は、もちろん稲垣吾郎本人とは似ていないと告げたうえで、阪本順治監督はこうも語っています。
「映画は、どこか欠損した人を真ん中に据えた方が、いろんな物語が作れるということ。成熟していく様とか、そういう風に物語を運ぶことができる」。
2018年の東京国際映画祭のコンペティション部門で、観客賞を受賞した作品。きっとあなたの心にも何かが届くはずです。