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映画『風と共に去りぬ』ネタバレ感想と解説。黒人差別とキャストの存在感

  • Writer :
  • 加賀谷健

映画史の名作『風と共に去りぬ』

アメリカ南部の自然の圧倒的なロケーションの魅力。

4時間をゆうに超える叙事詩の雄大な語り。ハリウッドを代表するヴィヴィアン・リーやクラーク・ゲーブルといったスター俳優たちの豪華共演。

贅沢さに彩られた『風と共に去りぬ』は、いつの時代の映画ファンにも愛され続け、名作として親しまれてきました。

噛めば噛むほどに味が増してゆく、名作の注目ポイントを解説していきます。

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映画『風と共に去りぬ』の作品情報

© Turner Entertainment Co., ©ブレーントラスト

【公開】
1952年(アメリカ映画)

【監督】
ヴィクター・フレミング

【キャスト】
ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、レスリー・ハワード、イブリン・キース、トーマス・ミッチェル、バーバラ・オニール、アン・ラザフォード、ジョージ・リーブス、フレッド・クライン、ハティ・マクダニエル、オスカー・ポルク

【作品概要】
1939年製作の映画史上に残る不朽の名作。

ベストセラーになったマーガレット・ミッチェル原作小説の映画化。

監督は『オズの魔法使』『ジャンヌ・ダーク』のヴィクター・フレミング、脚本はシドニー・ハワード、撮影は『テレヴィジョンの王様』のアーネスト・ホーラーが担当しました。

主演は『欲望という名の電車』のビビアン・リーと『栄光の星の下に』のクラーク・クラーク・ゲーブルが務めます。

第12回アカデミー賞では作品賞をはじめ監督、主演女優、助演女優、脚色、色彩撮影、美術監督、編集、サルバーグ記念、特別と10の賞を獲得しました。

映画『風と共に去りぬ』のあらすじとネタバレ

© Turner Entertainment Co., ©ブレーントラスト

時は1861年、南北戦争の直前のジョージア州アトランタ近郊のタラの大地主ジェラルド・オハラ(トーマス・ミッチェル)の若く美しい娘・スカーレット(ヴィヴィアン・リー)は、幼馴染みのアシュレー(レスリー・ハワード)に想いを寄せていました。

しかし、ウィルクス家で開催される園遊会で、アシュリーが、いとこのメラニー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)との結婚を発表するという話を聞き、スカーレットは激しく動揺します。

スカーレットは思い切ってアシュレーに告白しますが、振られてしまいます。アシュレーの心はすでにメラニーのものでした。

意気消沈するスカーレットですが、そのパーティで、チャールズトン生まれの船長レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)と出会います。

女たらしで有名にレットにスカーレットはなぜか不思議と惹かれていきます。

そのうちに南北戦争が勃発。

失恋したスカーレットはチャールズ・ハミルトン(ランド・ブルックス)の求婚を受け入れます。結婚式の日、アシュリーから祝福されるスカーレットは、叶わぬ恋に涙をこぼしますが、チャールズは、すぐに戦場で病死してしまいます。

こうしてスカーレットは未亡人になりますが、愛のある結婚ではなかったこともあり、喪に服すことに退屈します。

メラニーのいるアトランタに出かけたスカーレットは、陸軍病院で看護婦として働き、そこでレットと再会。

レットは関係を迫りますが、スカーレットは拒絶します。

その頃、戦況は南軍に不利で、アトランタには北軍が接近。

赤ん坊を抱いたメラニーを連れたスカーレットは、レットに連れられて故郷タラに戻ります。しかしタラはすでに北軍に踏み込まれ廃墟となっていました。

結局、戦争は南軍の敗北で終わり、兵士たちは続々と南部へ戻ってきます。

捕虜になったため生き残ったアシュレーも帰還。

再び告白されたアシュレーは、スカーレットにキスをしますが、メラニーや子どもを捨てられないと、スカーレットの愛を拒絶してしまいます。

戦争に負けたタラは重い税金を課され、スカーレットは土地を守るため、バトラーに金を借りに行きますが、断られます。

スカーレットの妹・スエレン(イブリン・キース)の婚約者・フランク(キャロル・ナイ)が事業に成功しているのを知ったスカーレットは、妹から奪ってフランクと結婚。税金も無事に支払われます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『風と共に去りぬ』ネタバレ・結末の記載がございます。『風と共に去りぬ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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未だアシュレーへの想いを断ち切れずにいたスカーレットでしたが、フランクの死後、ついにレットと結婚し娘・ボニーを出産します。

スカーレットが自分ではなくアシュレーを愛していることを知るレットは、娘・ボニーへ愛情を注ぎます。彼の子煩悩ぶりは街中のうわさです。

しかし、馬で障害を飛び越える姿を2人に見せたいというボニーは落馬し、命を落としてしまいます。

レットは悲しみに沈み、ボニーの遺体が横たわるボニーの部屋に閉じこもり、2日にわたり出てこなくなります。

娘・ボニーの死により、スカーレットとバトラーを結ぶものはこうしてなくなってしまうのです。

2人の仲裁に入るメラニーでしたが、弱い体での妊娠と過労のためか、倒れてしまいます。

死の床につくメラニーは、スカーレットを呼び、息子やアシュリーの面倒を見てあげて欲しいと頼み、レットに優しくするようにと語ります。

メラニーが病死し、スカーレットがアシュレーの元に行くと思ったレットは、チャールズトンへ去っていきます。

しかしこの時、スカーレットはいつしか自分がバトラーを愛していたことに気付きました。スカーレットは、レットへの愛を必死で訴えるのですが、レットは受け付けません。

1人残されたスカーレットは、どうしたら良いか分からずに、階段にうずくまってしまいます。

父やアシュリーやレットの、タラについての言葉がよみがえってきたスカーレットは、レットを再び取り戻す方法を考えるために、タラに戻ることを決意するのでした。

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映画『風と共に去りぬ』の感想と評価

浮き上がる政治性

参考映像:『國民の創生』(1915)本編映像

映画『風と共に去りぬ』は、「世界の名作」として広く映画ファンに愛され続けてきました。

クラーク・ゲーブルとヴィヴィアン・リーというトップスターの豪華共演と、『オズの魔法使い』(1939)のヴィクター・フレミング監督らしい色彩豊かな画面が観客たちの心を捉えて離しません。

その一方で、その政治性が時折、批判の対象にされてきました。

“映画の父”と呼ばれるD・W・グリフィス監督の『國民の創生』(1915)がすでに政治的な妥当性(ポリティカル・コレクトネス)を欠く作品であることは周知の通りですが、黒人奴隷による大農場経営を描いた本作『風と共に去りぬ』も、そうした妥当性の観点から見てみると、あまり具合いのよいものではなくなってきます。

実際、黒人の使用人たちの南部訛の発音がかなり意図的に強調されています。

日本語字幕をみると、必ず「〜ですだ」というような語尾表記になっていることが分かるでしょう。

このように南北戦争を戦かった白人たちの物語は美化されたものであり、その裏では「黒人差別」という歴史の暗部が影を落としているのです。

ヴィヴィアン・リーの肖像

参考映像:『欲望という名の電車』(1951)予告編

とは言え、本作の大衆的人気は揺るぎないものでしょう。

何より、そのようなポリティカルな問題など一切お首にも出さない主人公スカーレット・オハラを演じるヴィヴィアン・リーの存在感が圧倒的です。

大農園の令嬢として何の苦労も知らずに育てられたスカーレットの屈託ない表情をみていると、その美貌も相まってか、国民たちが主食であるパンを食べることすら事欠く時代のフランスにあって、「ケーキ(ブリオッシュ)を食べればいいじゃない」と言い放ったマリー・アントワネットの有名なフレーズがふと頭をかすめてしまいます。

激動の時代に翻弄されていく姿もアントワネット同様です。世間知らずなスカーレットというキャラクターはまるでヴィヴィアン・リーのために用意されたかのようです。

本作に出演した動機も恋人であるローレンス・オリヴィエをイギリスから追ってきてのことだというのですから、これは筋金入りの奔放さの持ち主。

ゴシップに富んだ私生活の中、精神のバランスが次第に不安定になっていくリーがキャリアをかけて臨んだ『欲望という名の電車』(1951)は白眉といえる熱演でしたが、その萌芽はすでに『風と共に去りぬ』に認められ、偉大な女優の足跡には改めて感服させられます。

ヴィヴィアン・リーという女優の特徴は、どんなキャラクターでも瞬時に掌握し、自分にしか出来ない表現やってのけてしまう憑依型の演技力にあります。

驚異的な表現力によって迫真の演技を発揮するリーの女優としての躍進を記憶付けるているのが、スカーレットが故郷へ想いを馳せるラストの台詞です。

After all …
Tomorrow is another day. 「明日という日がある!」

本作には印象的な台詞が多くありますが、スカーレットに憑依したこのリーの台詞をもってして、『風と共に去りぬ』は「名作」の座を欲しいままにしているのです

まとめ

南北戦争の時代のアメリカ合衆国を舞台にした本作は、遠い故郷の地であるタラの丘を想い続けるアイルランド系の移民家族の物語でした。

イタリア系移民を描いた『ウエストサイド物語』(1961)や『ゴッドファーザー』(1972)など、アメリカ映画の名作にはこうした移民たちの歴史を背景にもった作品が多く、『風と共に去りぬ』はその先駆けです。

いずれの物語の主人公もアメリカの外に心のアイデンティティを持っています。しかし彼らはアメリカの地にあってこそ明日をみ続けます。

その意味でスカーレットの名台詞は象徴的です。

アメリカ映画の最大の魅力は、観る者の心に「明日もまた生きて行こう」という活力を植え付ける楽天性、ただその一点にのみ集約しているのではないでしょうか。

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