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静かなる情熱 エミリ・ディキンスン|あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • まこちゃ

生前にわずか10編の詩を発表したのみで、無名のまま生涯を終えたアメリカの女性詩人エミリ・ディキンスン。

死後に約1800編の詩が発見され、彼女の詩は後世の芸術家たちに大きな影響を与えています。

そんなディキンスンの少女時代から晩年、そして死までを、『セックス・アンド・ザ・シティ』のミランダ役でエミー賞助演女優賞を受賞したベテラン女優シンシア・ニクソンが熱演、『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』をご紹介します。

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1.映画『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』の作品情報

(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.

【公開】
2017年(イギリス映画)

【原題】
A Quiet Passion

【監督】
テレンス・デイビス

【製作】
ロイ・ボールター ソロン・パパドプロ

【キャスト】
シンシア・ニクソン ジェニファー・イーリー キース・キャラダイン ジョディ・メイ キャサリン・ベイリー

【作品概要】
アメリカの女性詩人エミリ・ディキンスンの生涯を、シンシア・ニクソン主演で映画化。

北米の小さな町の屋敷から出ることなく、10編の詩を発表したのみで、無名のまま生涯を終えたディキンスンの少女時代から晩年、そして死までを描いてます。

監督は『愛情は深い海の如く』などを手がけたテレンス・デイビス。

2.映画『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』のあらすじ


(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.

19世紀半ばのマサチューセッツ州。

家族と離れ、マウント・ホリヨーク女子専門学校に通っていたエミリ・ディキンスンは、学校での福音主義的な教え方が理解できず、問題児として扱われていました。

エミリは迎えに来た家族と共に家に帰り、弁護士の父親、病弱な母親、兄のオースティン、妹のラヴィニアと過ごすようになり、詩を綴る事を楽しみにしていたエミリは、父親の口添えもあり、地元の新聞に初めて自身の詩が掲載されます。

エミリとラヴィニアは、資産家の娘、ヴライリング・バッファムと友人になります。

女性が男性と同等の扱いをされる事が許されなかった時代に、バッファムは進歩的な考えを持っていました。

信仰を強要する教会への反発で意気投合し、エミリはバッファムの美しい外見とユーモアに富んだ知的な部分に、憧れを抱くようになります。

大学に通っていたオースティンは、父親の弁護士の仕事を手伝うようになり、妻のスーザンを連れてエミリの家族が住んでいる家の隣に引っ越します。

エミリとラヴィニアは、隣人になったオースティン夫婦を喜び、受け入れるのでした。

真夜中の静寂の中、詩を綴っていたエミリにスーザンが気付きます。

エミリは、父の許可を得て詩を綴っており、この時間が楽しみである事をスーザンに伝え、理解を示したスーザンと仲良くなります。

家族と幸せな時間を過ごしていたエミリですが、南北戦争が始まります。

仲間と共に戦う事を望んだオースティンですが、父親は認めず、泣いて懇願するオースティンを突き放します。

父の理解を得られなかったオースティンは、戦争に参加しない事を了承しますが、納得がいかない様子でした。

教会への反感を持ち続けているエミリでしたが、素晴らしい説教をするワズワース牧師に興味を持ち、ワズワース牧師とその夫人を自宅に招きます。

ワズワース夫人は全ての嗜好品を拒み、お茶すらも飲まず、庭の散歩も断る堅物、エミリはワズワース牧師と庭に散歩に出かけ、自身の詩をワズワース牧師に見せます。

ワズワース牧師はエミリの詩を称賛し、エミリは自身の詩を後世に残す事を決意します。

一方、親友のバッファムが結婚。

エミリはバッファムの結婚に戸惑い、心から祝福できません。

更にワズワース牧師が別の土地に旅立つ事になり、エミリを守り続けてくれた最愛の父親も亡くなります。

愛する人達との別れと、変化する環境に動揺を隠せないエミリは、次第に心を閉ざすようになりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』ネタバレ・結末の記載がございます。『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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父親の死後、3日間部屋に閉じこもっていたエミリ。

心配したラヴィニアが部屋に入ると、エミリは父親の喪中にも関わらず、白いドレスを着ていました。

ラヴィニアは、エミリの行動に驚き、厳しく批判するのでした。

部屋に閉じこもって外出しなくなったエミリを、彼女の詩のファンである青年が心配して訪ねます。

エミリを励まし、外に連れ出そうとする青年に対して、エミリは顔も見せず、厳しい言葉を浴びせて傷付けます。

また、エミリの詩を掲載した新聞社の編集長、ボウルズが訪ねてきた際も、エミリは階段の上から応対、その失礼な態度に、ボウルズは「難しい女性」とエミリを批判するのでした。

人を拒絶し続け部屋に閉じこもり続けるエミリは、以前から患っていた、ブライト病という不治の病が悪化します。

更に、病気がちだった母親もこの世を去るのでした。

エミリの自宅で歌を披露するバッファム、彼女の歌に興味を持ったエミリは、遠くからその様子を眺めるだけで、話しかける事はしません。

そして、その夜にエミリは、バッファムとオースティンの不倫現場を目撃、オースティンがスーザンを裏切った事を、エミリは激しく非難します。

兄のオースティンと、友人だったバッファムの裏切りが許せないエミリは、二人との仲が険悪になります。

オースティンは、エミリへの当てつけのように、過去にエミリの詩を掲載した新聞紙が、女性の書き手について批判している記事を読み聞かせるのでした。

孤独になった事を嘆くエミリに、ラヴィニアだけは理解を示し、優しく寄り添います。

エミリは、ラヴィニアに「私は嫌われ者になってしまった」と泣き崩れるのでした。

ブライト病が悪化し、エミリは55歳で亡くなります。

エミリの旅立ちを、オースティンやラヴィニア達が見送ります。


(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.

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3.映画『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』の感想と評価

(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.

エミリは純粋な女性!

純粋であるが為、教会の教えを強要される事や、男尊女卑の考え方に疑問を持ち、納得できなかった為、周囲から孤立する事になるのです。

映画の舞台は19世紀半ばですが、現代社会に生きる我々にも通じる部分があると思います。

周囲の考え方や、やり方に疑問を感じ、納得できない事があったとしても、実際に声を上げる事は非常に難しい事です。

声を上げても、常識という概念や、「空気が読めていない」という言葉によって抑えつけられ、時には「厄介者」として扱われる為、納得がいかないまま、黙って従うという事があるのではないでしょうか?

しかし、エミリはその風潮を受け入れる事ができなかった、受け入れようとしていたのですが、彼女の純粋さがそれを許さなかったのです。

エミリの詩は自然や信仰、愛や死をテーマに、繊細な感性と深い思索のなかで記されており、劇中でも約20篇の詩が織り込まれています。

苦しみや葛藤と向き合った中で綴られてきた彼女の詩は、現代に生きる我々の胸にも響きます。

まとめ

(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.

これまで謎に包まれていた伝説の詩人、エミリ・ディキンスンの生涯を、エミリの熱心な愛読者であるシンシア・ニクソンが挑み、実際にエミリが暮らした屋敷で撮影が行われたという、敬愛に満ちた本作。

人間や世の中の本質を捉えたエミリの作品は、現在でも数多くの芸術家に影響を与えており、苦悩と葛藤に満ちたその人生は、考えさせられるものがあります。

これまで、エミリ・ディキンスンを知らなかった人にこそ、お薦めしたい作品です。

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