Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2022/10/01
Update

クリエイション・ストーリーズ|あらすじ感想と評価解説。90年代音楽界にアラン・マッギーが旋風を巻き起こす!

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』は2022年10月21日(金)より全国ロードショー!

90年代の音楽シーンにおいて大きな嵐を巻き起こした音楽レーベルの創始者。彼の波乱に満ちた生い立ちを描く映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』。

オアシス、プライマル・スクリーム、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどといった世界的にも大きな知名度を誇るビッグネーム・バンドを数多く輩出し音楽シーンに嵐を巻き起こしたイギリスのレーベル、クリエイション・レコーズの創始者アラン・マッギーの青年期から現在に至るまでの姿を追っていきます。

ユエン・ブレムナーを中心にイギリスの個性派俳優陣が集結し、映画『トレイン・スポッティング』のスタッフらとともにマッギーの人生をユーモラスに描きます。

映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』の作品情報


(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2022年(イギリス映画)

【原題】
Creation Stories

【監督】
ニック・モラン

【キャスト】
ユエン・ブレムナー、スキ・ウォーターハウス、ジェイソン・フレミング、トーマス・ターグーズ

【作品概要】
1990年代のブリットポップ・ムーブメントを牽引したイギリスの音楽レーベル、クリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーの波瀾万丈な人生を映画化。

『スラムドッグ$ミリオネア』などのダニー・ボイルが製作総指揮を手がけ、アービン・ウェルシュが脚本、ユエン・ブレムナーが主演を務めるなど、映画『トレイン・スポッティング』の強力タッグが再集結しました。

監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』などにも出演した俳優のニック・モラン。また同作に出演したジェイソン・フレミングも本作に出演。

他にも『あと1センチの恋』のスキ・ウォーターハウスらイギリスの実力派俳優陣が脇を固めています。

映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』のあらすじ


(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

スコットランドの一般家庭に生まれたアラン。彼はパッとしない青春の中でロックスターを夢見ていたが、保守的な父親とは度々衝突してばかりいました。

そんな故郷に嫌気がさし、ついに家を飛び出してロンドンに移り住んだ彼は、仲間と共にクリエイション・レコーズを設立。次々と世界をあっと言わせるアーティストを輩出し、そのレーベルマネージャーとしての才能を開花させていくアラン。

しかし一方で彼は、レーベル運営の様々な問題や家庭での対立など、複雑に絡み合うさまざまな問題によって追い詰められていくのでした。

映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』の感想と評価


(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

本作で描かれるマッギーの人生は、まるで「自分が変われば世界も変わる」という言葉を裏と表両方で具現化したような物語。

幼少から父に虐げられ、コンプレックスを抱えながら生きてきた彼にとって音楽は自分のすべてであり、新たな音楽に出会ったときの衝撃は、まさに大きな世界の変革でした。

他方でその音楽が世界を変えたかといえば、劇中での展開は、結局その爆発的なアピール力をよからぬ方に利用されたり、傲慢性を見せてみたりとどうしてもお粗末な方向に向かってしまいます。

現代につながる90年代、そしてクリエイション・レコーズが終焉を迎えた1999年、その中心人物であるアラン・マッギーにスポットを当てていることに大きな意味があります。

音楽という文化が映像などと絡んで大きな変革を見せた80年代、そして音楽が一大頂点を極めたのが90年代でした。

クリエイション・レコーズに所属したアーティストは、現在に至る後続のバンドに多くの影響を与えただけでなく、音楽を通してこの時代の文化を示すアイコン的な存在の一つにもなっていきました。

その意味で、この時代において音楽は社会に大きな影響を及ぼしたものの一つともいえるのですが、現代における音楽の立場としてどこか社会の中心から見ると、なにかのお飾りのような扱いを受け、娯楽の一部として売り買いされるだけのものとなった側面も見えてきます。


(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

本作に描かれたマッギーの生い立ちの中には、そんな社会構図の一部を思わせるようなものも描かれており、大きく変化していく自分の世界、反して狂っていく外世界とのギャップに、どこかやるせなくなるような空気を生じさせていきます。

また物語で興味深いのは、彼の父の物語が端々に出てくるところにあります。父の存在が物語の途中で消えてしまっていればこの物語は単なるマッギーにの偉業の物語になったことでしょう。

しかし劇中で若い息子がロックに興じる姿を叱咤する父は、時とともにその気持ちに変化を見せていきます。

この変化を断片的に見ると、息子が徐々に大成していく姿に理解を示しているという印象にもなりますが、違う視点からはマッギーの持っていた反抗心、彼を突き動かしていた大きなエネルギーが放出し続けられた後、彼自身が持っていた闘争心が崩壊していく姿とオーバーラップしているようでもあります。

とある人物の伝記という観点で見れば、まさに「兵どもの夢のあと」的な雰囲気しか残らないわけですが、クリエイション・レコーズの衰勢、そして家族の物語と、本作では様々な要素が巧妙に絡められることで、深いメッセージ性が感じられる作品となってます。

まとめ


(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

イギリスを中心とした音楽にまつわる一人の人物の話、そしてイギリス人キャスト、スタッフによって、文字通りイギリスのブラックコメディー的な要素が満載となった本作。

伝記という性質を重視しリアリティーを追究した物語でなく、このどこか人を食ったようなユーモアの端々には、物語の芯にあるメッセージを見る者に訴え、様々なことを想起させる要素を含んでいます。

物語の終焉に映し出されるのは、かつてマッギーが若き日に夢中でレコードを探したレコードショップ。

そのエンディングは激しく展開する物語中盤あたりに比べて、どこか寂しい風景にも見えますが、マッギーという人物に波乱の人生を送らせた音楽というものの真実が映し出され、清々しさのような空気すら感じられることでしょう。

映画『クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~』は2022年10月21日(金)より全国ロードショー!



関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画BPM ビート・パー・ミニットのあらすじとキャスト。カンヌグランプリ作品とは

実話から生まれた、魂を激しく揺さぶる鮮烈な愛と人生の物語! ロバン・カンピヨが監督・脚本を手がけた『BPM ビート・パー・ミニット』が、3月24日より公開されます。 1.映画『BPM ビート・パー・ミ …

ヒューマンドラマ映画

映画『タレンタイム〜優しい歌』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【ヤスミン・アフマド代表作おすすめ感動の渾身の秀作】

今回ご紹介する『タレンタイム〜優しい歌』は、稀にみる優しさと美しさを兼ねそなえた作品。 派手なハリウッド映画に疲れている映画通のあなたに、自信を持ってお薦めできる作品です。 2009年に他界されたヤス …

ヒューマンドラマ映画

映画『ワイルド・ローズ』あらすじと感想レビュー。楽曲主題歌を歌うジェシー・バックリーがシングルマザーへ応援歌

映画『ワイルド・ローズ』は、2020年6月26日(金)から全国公開。 『ワイルド・ローズ』は実在の人物をモデルに生まれた物語です。主演のローズ役は『ジュディ 虹の彼方に』(2019)での好演が光った、 …

ヒューマンドラマ映画

映画『輝ける人生』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

勇気を出して、ホップ・ステップ・ダンス! 幸せのステップで、泣いて笑って第二の人生を生きていくシニアたち。 若者もカリスマな人も出てこないのですが、れっきとした心温まる青春映画です。 映画『輝ける人生 …

ヒューマンドラマ映画

『エレファント・マン 』解説と内容考察。4K版で映画監督デイヴィッド・リンチが改めて“人間の尊厳”を問う

鬼才デイヴィッド・リンチの不朽の名作が4K修復版でよみがえる 第53回アカデミー賞にて、作品賞、主演男優賞、監督賞など主要8部門ノミネートされた、1980年製作の『エレファント・マン』。 この不朽の名 …

Cinemago|想像力の海へ、シネマダイビング。
ACT1|次の物語は、人からはじまる。
Cinemagoオンラインショップ|DVD・鑑賞チケット・オリジナルグッズ
『血を吸うスマトラオオコンニャク』
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学