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Entry 2018/03/04
Update

映画BPM ビート・パー・ミニットのあらすじとキャスト。カンヌグランプリ作品とは

  • Writer :
  • 西川ちょり

実話から生まれた、魂を激しく揺さぶる鮮烈な愛と人生の物語!

ロバン・カンピヨが監督・脚本を手がけた『BPM ビート・パー・ミニット』が、3月24日より公開されます。

1.映画『BPM ビート・パー・ミニット』の作品情報


(C)Celine Nieszawer

【公開】
2018年(フランス映画)

【原題】
120 battements par minute

【監督】
ロバン・カンピヨ

【キャスト】
ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルノー・ヴァロワ、アデル・エネル、アントワン・ライナルツ

【作品概要】
エイズ患者やHIV感染者に対する差別や不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などへの変革を求めた実在の団体「ACT UP-Paris」。

そのメンバーとして命を懸けて闘う若者の姿を描き、第70回カンヌ映画祭でグランプリと国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した感動作。

2.ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート(ショーン役)のプロフィール


(C)Celine Nieszawer

ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは、1986年3月6日生まれのアルゼンチン出身。

ブエノスアイレスの美術学校に入学後、演劇のワークショップに参加したのをきっかけに役者の道へ。舞台やテレビを中心に活躍。

2008年、パブロ・フェンドリク監督の『Blood Appears』(La Sangre brota監督)に出演し注目を集めました。

作品はカンヌ国際映画祭批評家週間に選出され、プロモーションでパリを訪れた際、ブノワ・ジャコー監督の目にとまり、『肉体の森』(2010)の主役に抜擢されます。医師の娘に催眠術をかける流浪人を演じ、強烈な印象を残しました。

2014年の『All Yours』(デヴィッド・ランバート監督)では、カルロヴィヴァリ国際映画祭で男優賞を受賞するなど、実力派若手俳優として高く評価されています。

『BPM ビート・パー・ミニット』は、HIV感染による差別や不当な扱いに抗議し変革に挑んだ実在の団体「ACT UP-Paris」に携わった人々の姿を描いた作品ですが、ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは、団体のカリスマ的存在であるショーンを演じました。

カンピヨ監督はオーディションにおよそ9ヶ月を割き、彼をショーン役に抜擢しました。

3.アデル・エネル(ソフィー役)のプロフィール


(C)Celine Nieszawer

アデル・エネルは、1989年1月1日生まれのフランス・パリ出身。

2002年『クロエの棲む夢』(Christophe Ruggia監督)に主演。スクリーンデビューを果たします。

『水の中のつぼみ』(2007/セリーヌ・シアマ監督)では第33回セザール賞有望女優賞にノミネート

昨年日本でもロードショー公開された『あさがくるまえに』(2016)のカテル・キレヴェレ監督の2013年の作品『スザンヌ』では、問題児の姉を献身的に支える妹を演じ、セザール賞有望女優賞の助演女優賞を受賞しました。

また、『Les Combattants』(2014/トマ・ケレー監督)で、同賞主演女優賞に輝いています。

ベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督の『午後8時の訪問者』(2016)、クリス・クラウス監督の『ブルーム・オブ・イエスタディ』(2017)の名演も記憶に新しく、人気と実力を兼ね備えたフランスを代表する若手女優です。

4.アルノー・ヴァロワ(ナタン役)のプロフィール


(C)Celine Nieszawer

アルノー・ヴァロワは、ル・クール・フローランの役者コース出身。

2006年に『Charli Says』(ニコール・ガルシア監督)に出演し、スクリーンデビューを果たします。

『A French gigolo』(2008/ジョジアーヌ・バラス監督)、『The girl on the train』(2009/アンドレ・テシネ監督)に出演。

数年間の活動休止の後、本作で、ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート扮するショーンと大きく関わるナタン役に抜擢されました。

5.映画『BPM ビート・パー・ミニット』のロバン・カンビヨ監督とは?

ロバン・カンビヨは、1962年8月16日、モロッコ生まれ。

IDHEC(Institut des Hautes Études Cinématographiques)で学び、ローラン・カンテ監督と知り合います。

カンテ監督作品の『タイム・アウト』(2001)、『南へ向かう女たち』(2005)、『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)、『フォックス・ファイア 少女たちの告白』(2012)で共同脚本と編集を務めました。

参考映像:『パリ20区、僕たちのクラス』

フランスの教育現場を赤裸々に描いた作品『パリ20区、僕たちのクラス』は、第61回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞

2004年には『奇跡の朝』(2004)を初監督。ベネチア国際映画祭をはじめ世界各地で絶賛されました。

監督2作目の『イースタン・ボーイズ』はベネチア国際映画祭でオリゾンティ賞(最優秀作品賞)を受賞。2015年のセザール賞作品賞・監督賞にもノミネートされました。

『BPM ビート・パー・ミニット』は彼の3作目の監督作品です。

彼は当時、実際にACT UPのメンバーでした。その体験をもとに、脚本家のフィリップ•マンジョとともにストーリーを構築。魂を揺さぶる鮮烈な作品を作り上げました。

6.映画『BPM ビート・パー・ミニット』のあらすじ


(C)Celine Nieszawer

1990年代初頭のパリ。

エイズの治療はまだ十分ではなく、社会ではエイズ感染者に対する露骨な偏見や差別が広がりつつありました。

政府や製薬会社は、いつまでたっても本腰をあげようとしません。

エイズ患者やHIV感染者への不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などに変革を求めて活動する団体「ACT UP-Paris」には様々な人々が集まっていました。

新しくメンバーに加わったナタンは、自身はHIV陰性ながら、ミーティング活動や抗議運動に積極的に参加していきます。

「ACT UP-Paris」の中でもっとも活動的なショーンはカリスマ的な存在として知られていました。

彼はHIV陽性を抱えており、現状を変えるためには多少の過激さは必要であると考えていました。

メンバーのまとめ役のチボーや、オーガナイザーのソフィーはそんな彼の行動に、時に反発しながらも、政府や製薬会社のあまりに無責任な態度に腹を立て、彼と行動を共にします。

日に日に活動が激しさを増していく中、ナタンとショーは互いに惹かれあっていきます。

しかしショーンの体は病魔に蝕まれていました。ショーンのために何が出来るのか、ナタンたちは厳しい現実に直面します…。

7.まとめ


(C)Celine Nieszawer

本作『BPM ビート・パー・ミニット』は、第70回カンヌ映画祭でグランプリと国際映画批評家連盟賞をダブル受賞しています。

カンヌでの熱狂は各地に飛び火し、アメリカの映画批評家協会賞を始め、世界の映画祭でノミネート、受賞が続いています。

「ACT UP-Paris」のメンバーたちの鮮烈な生き方とともに、当時のパリの光景が生き生きと描き出されます。

デモ行進や、ダンス•ミュージックが響くパリのクラブシーンなども見どころの一つです。

9ヶ月もかけたオーディションで選ばれた役者たちが奏でる熱くほとばしる魂のエネルギーを映画館で是非体感してください!

注目の劇場公開は2018年3月24日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペース他にて全国ロードショーされます!

↓ 詳しいあらすじ、感想

(C)Celine Nieszawer

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