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『あの日のオルガン』あらすじネタバレと感想。実話の映画化に挑んだ平松恵美子は山田洋次の秘蔵っ子で松竹で2人目の女性監督

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『あの日のオルガン』は、2019年2月22日(金)より全国ロードショー!

東京も安全ではなくなった1944年に、実際に行われた保育園の疎開。

その難題に挑んだ保母たちの闘いを朝の連続テレビ小説のヒロインにも決定した戸田恵梨香主演映画化。

共演に大原櫻子、夏川結衣、田中直樹、田畑智子、橋爪功などの実力派が並びます。

また、保母には1000人を超えるオーディションで選ばれた佐久間由衣、三浦透子堀田真由、福地桃子、白石糸などの注目の若手女優陣が並びました。
 
監督は長きにわたり、山田洋二監督を支えてきた平松恵美子監督。松竹としては2人目の女性監督でもあります。

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映画『あの日のオルガン』の作品情報


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
久保つぎこ『あの日のオルガン 疎開保育園物語』

【エグゼクティブプロデューサー】
李鳳宇

【脚本・監督】
平松恵美子

【キャスト】

【主題歌】
アン・サリー『満月の夕2018Ver』

【挿入歌】
童謡 『どんぐりころころ』『雀の学校』『金太郎』『かごめかごめ』『赤とんぼ』『春の小川』『ふるさと』他多数。

【作品概要】
第2次大戦末期に東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の保母たちと園児たちの実話を、戸田恵梨香と大原櫻子のダブル主演で映画化。

名匠山田洋次監督の作品の多くで脚本と助監督を担当した平松恵美子が自ら脚本を執筆し、監督を務めました。

戸田恵梨香が保母たちのリーダーとなる板倉楓役を演じ、大原櫻子が天真爛漫で音楽が好きな保母の野々宮光枝役を務めました。

映画『あの日のオルガン』のキャラクターとキャスト


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

板倉楓(戸田恵梨香)
戸越保育所の怒れる乙女と呼ばれるリーダ―気質の保母

柳井房代(夏川結衣)
ベテランの保育館の主任で疎開保育園を支援する

野々宮光枝(大原櫻子)
房代の遠縁の娘で保母。子供たちと同じ目線でモノを見る、半人前圧化されて怒られることも

神田好子(佐久間由衣)
光枝の姉代わりの保母

堀之内初江(堀田真由)
房代の保育園で働く保母

山岡正子(三浦透子)森静子(福地桃子)江川咲子(白井糸)大沢とみ(奥村佳恵)
疎開保育園の保母

脇本滋(田中直樹)
戸越保育所の所長。頼りない部分もあるが決めるときは決めるタイプ

近藤作太郎(橋爪功)
疎開策の平野村の世話役。


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

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映画『あの日のオルガン』のあらすじとネタバレ


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

1944年、空襲に遭う可能性が出てきた戸越保育所の板倉家では、埼玉への疎開保育を提案します。

幼子と引き離そうとする楓の考えは、親から反発を受けますが、“空襲は人を選ばない”という意見も出て、疎開が実現します。

少し頼りない所長の脇本が見つけてきたのは、埼玉県平野村の妙楽寺という寺。

しっかりした立派な寺という触れ込みだった、妙楽寺は実際には、廃寺寸前の建物でした。


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

しかし、贅沢も行っていられない楓は、約50人の児童を引き連れて妙楽寺で疎開保育所の生活を始めます。

出発前日にはB29による初の東京への空襲があり、最初は反対していた親たちも今では楓に全てを託すしかないと考えるようになっていました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『あの日のオルガン』ネタバレ・結末の記載がございます。『あの日のオルガン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

妙楽寺での生活は難題ダラケ、風呂はなく、便所も一つだけ、食料も村人から分けてもらっているという状況です。

村の人々は何も貢献しない疎開保育所は、“消耗班”でしかないと言って歓迎しているわけではありませんでした。

それでも世話役の近藤親子に助けられ問題を、ひとつひとつクリアしてい行く日々を迎えます。

戦争は拡がり続け、預かっていた子供の父親も出征します。

そして45年の春、東京大空襲が起きます。

偶然、仕事のために上京していた楓は、戦火に巻き込まれます。

何とか生き残った楓ですが、家族を失い自分もケガをしてしまいます。

ボロボロの状態で妙楽寺に帰ってきた楓からは、児童の家族も多数亡くなったことを知らされます。

常に強気で来ていた楓の心も弱まっていきます、追い打ちをかけるように脇本にも赤紙が届き、疎開保育園の運営は行き詰まっていきます。

そして埼玉にも空襲が始まるようになりました。

8月14日、無条件降伏の前夜には熊谷にも空襲が。

そして戦争が終わりました。

疎開保育所の子供たちは、生き残った親や親族に一人、また一人と引き取られていきます。

最後の一人が引き取られたとき、ピンと張りつめていた緊張の糸が切れ、それまで怒り続けてきた楓がまるで生まれたての赤ん坊のように号泣するのでした。

映画『あの日のオルガン』の感想と評価


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

師弟関係にある監督

本作の平松恵美子監督は長年にわたり山田洋二監督の助監督して支えた人で、『たそがれ清兵衛』(2002)や『家族はつらいよ』(2016)などにも参加、一部では山田監督と共同で脚本を担当しています。

同じように助監督として経験を積んで『夜明け』(2018)で長編デビューを飾った広瀬奈々子監督は、『万引き家族』の是枝裕和監督の門下生。

同じく是枝監督のプロデュースでデビューした西川美和監督のもとでも助監督を務めていました。

2019年2月1日公開の『雪の華』の橋本光二郎監督は、『陰陽師』(2001)や『北の桜守』(2018)の滝田洋二郎監督の助監督出身です。

『散り椿』(2018)で脚本を担当した小泉堯史監督は、長年黒澤明監督を支えて、その後『雨あがる』(1999)で監督デビューを飾りました。

いわゆる映画スタジオシステムが崩壊してから、なかなか監督が後進を使いながら育てるという事が減っていきましたが、それでも映画監督の師弟関係は今も続いています。

師匠に当たる人物を知ると、また作品の見た目が変わってくると思いますよ。


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

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まとめ


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

第2次世界大戦末期、東京都品川区戸越の保母たちが園児たち53人を連れて、埼玉に集団で疎開した実話を映画化。

日本人は礼儀正しい国民性であると実しやかに言われていますが、実際に戦時中は、東京から避難してきたものを“疎開モン”と呼び、避難してきた人たちを忌み嫌って差別を行ってきました。

弱い立場の彼らに、食べ物を分けることや、生活するのに十分な環境を与えてくれなかったと、疎開経験のある高齢者からは、度々聞く話でもあります。

また戦争を題材に扱うと、広島や長崎の原爆投下における被害者のことを語る作品が多く見られますが、その爆撃の被害者数としては、5回の東京大空襲の場合は、それよりも多い10万人以上の人々の尊い命の犠牲が出ています。

今も隅田川に架かる橋ゲタのたもとには、当時の人間の脂が燃えた跡が生々しく残ってもいます。もちろん、その中には多くの幼い子たちの命もありました。


(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

本作『あの日のオルガン』で描かれたことは、ただ子どもたちの命を守りたいという執念をみせた、保母たち真実の物語

若い保母たち、そして彼女たちに守られた園児たちは、戦時下で日々噴出する様々な問題に直面しながらも、生きることを一番にお互いに励ましあいながら奮闘した人たちの記録にも思えます。

名匠・山田洋次の秘蔵っ子である平松恵美子監督が映像化した作品です。ぜひ、お見逃しなく!

映画『あの日のオルガン』は、2019年2月22日(金)より全国ロードショー!

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