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映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル音楽の奇跡』感想とレビュー評価。ミュージシャンの姿から見えるテーマとは

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』は2019年9月21日(土)より新宿シネマカリテ、有楽町スバル座ほかで全国ロードショー!

数々の音楽活動やさまざまなセッションで偉大な功績を残したミュージシャン、グレン・キャンベル。

彼は2011年に自身がアルツハイマー病と戦っていることを公表。そしてミュージシャンとして最後のツアーに旅立ったのでした。

ミュージシャンとしてジャンルを超え、多くのアーティストに大きな影響を残したグレン・キャンベルの、最後のツアー「さよならツアー」の模様を辿った『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』

本作は映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を手掛けたジェームズ・キーチが監督を務めた、ドキュメンタリー・ムービー

アルツハイマー病であることを公表しながらも気丈に最後のツアーを楽しむキャンベルと、彼を支える家族のツアーでの模様を、彼から多大な影響を受けた著名なアーティストたちのコメントを交えて描いた作品です。

映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』の作品情報


(c)2014 GC Documentary,LLC.All Right Reserved.

【日本公開】
2019年(アメリカ映画)

【英題】
GLEN CAMBELL I’LL BE ME

【監督】
ジェームズ・キーチ

【出演】
グレン・キャンベル、ブルース・スプリングスティーン、ジ・エッジ(U2)、ポール・マッカートニー、ブレイク・シェルトン、シェリル・クロウ、キース・アーバン、ブラッド・ペイズリー、テイラー・スウィフト、スティーヴ・マーティン、チャド・スミス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、ビル・クリントン他

【作品概要】
カントリーミュージシャンのグレン・キャンベルが、2011年に行った、自身の家族と回る人生最後のツアーを追ったドキュメンタリーです。

物語はアルツハイマー病の宣告を医師より受けながらも、最後のツアーを回ることを決意し最後のステージを目指す姿を、彼を取り巻く人や、彼から影響を受けた人物たちのコメントを交えて描き出します。

監督は、伝説的ミュージシャンであるジョニー・キャッシュの映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を手掛けたジェームズ・キーチ監督。

また劇中では、カントリーミュージシャンのみならずジャンルを超えたビッグアーティストたちが登場しコメントを寄せています。

映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』のあらすじ


(c)2014 GC Documentary,LLC.All Right Reserved.

ミュージシャンとしてグラミー賞を受賞するなど、偉大な功績を築いてきたグレン・キャンベル。

彼は2011年に、自身がアルツハイマー病であることを医師から診断され、そしてギター演奏を断念するよう忠告されます。

しかしそれにもかかわらず、彼は家族を連れてミュージシャンとしての最後のツアー「さよならツアー」に出かけるのでした。

映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』の感想と評価

明確かつ、時流にふさわしいテーマ


(c)2014 GC Documentary,LLC.All Right Reserved.

ドキュメンタリー作品は、何らかの視点でカメラを構え、膨大なフッテージが集まった段階で映画としてのテーマを検討、決定し、そのテーマに従ってフッテージをストーリーとして作り上げていくケースが多くあります。

しかし本作はもともとレイモンド監督が、こういったテーマでやってみないかとオファーを受けたことから製作がスタートしています。

つまり企画ありきのドキュメンタリーであり、ターゲットが明確になっていたという点で、作品としても非常に理解しやすい構成がつくられています。

一方で、当初アルツハイマー病の人物を撮影するということに難色を示していたというレイモンド監督でしたが、撮影前のキャンベルとの対面でその印象を変え、制作へのモチベーションを持ったといいます。

意図した情景を作り出すのが普通のドラマであれば、ドキュメンタリーはあくまで偶然に出会った情景、出来事を描きます。

その意味では、ときにどんなにたくさんのフッテージを集めても、思ったほどのインパクトや感動が与えられるようなものが得られない可能性もあります。

その点、本作では当初から明確に決まったテーマや、被写体に見えるポイントが当初から明確であり、ロードムービー的な構成の中で見る人が印象を受けるポイントがはっきりしています。

時流に従った作品テーマ


(c)2014 GC Documentary,LLC.All Right Reserved.

また作品のテーマ自体も、今この時期に提示されるにふさわしいものであると考えられるところでもあります。

アメリカの公民権運動以降に起こった映画や音楽などの文化は、歴史的に見ると大きな流れを見せてますが、キャンベル自身もそういった流れの中で大きく名を成したアーティストの一人であります。

現代はそんな時代の大きな流れがまた大きく変化しようとしているときであり、改めて過去を見直すという必要に迫られる時代でもあります。

また過去に大きく活躍したアーティストの逝去も度々聞かれるようになった今日改めてそういった存在と自身の生活を振り返りたいという方も、少なくないに違いありません。
 
その意味でも、非常に時流に従った作品であるという見方もできるといえるでしょう。

まとめ


(c)2014 GC Documentary,LLC.All Right Reserved.

物語の冒頭では、キャンベルが最後のツアーに出る直前にステージを披露するシーンがあります。

この曲でつづられる詞はまさしくこの映画で描かれる一連の流れを示しているようでもあり、物語の序盤から映画の雰囲気をしっかりと作り上げてあり、一つの見どころといえるでしょう。

テーマづくりという点で高く評価できる作品でありますが、見る人の共感を呼ぶという点でも非常に多彩な思いを画にしており、音楽ファン、キャンベルのファンでなくても、作品を見る人にさまざまなことを感じさせてもらえる作品となっています。

映画『アルツハイマーと僕 ~グレン・キャンベル 音楽の奇跡~』は2019年9月21日(土)より新宿シネマカリテ、有楽町スバル座ほか全国で公開されます!

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