Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ドキュメンタリー映画

Entry 2017/01/24
Update

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • yukimura

2013年、世界中を震撼させた、米国政府による個人情報の監視という大スクープ。

告発者は29歳の青年。CIAでアナリストとして働いていたエドワード・スノーデンでした。

その告発劇の内幕を描いた、社会派オリバー・ストーン監督による映画『スノーデン』が公開されますが、こちらはその元ネタとなった本人出演によるドキュメンタリー映画です。

スノーデン本人をはじめ、実際の関係者たちによる衝撃的な証言の数々。あなたの個人情報、政府は全てお見通し?!信じられない事実が次々と明かされます!

スポンサーリンク

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』の作品情報

【公開】
2014年(アメリカ)

【原題】
CITIZENFOUR

【監督】
ローラ・ポイトラス

【キャスト】
エドワード・スノーデン、グレン・グリーンウォルト、ユエン・マッカスキル

【作品概要】
アメリカ国家安全保障局らをはじめとする政府当局が密かに行っていた、国家のスパイ行為ともいえるプライバシー侵害。

命の危険を冒して告発という手段に出た青年と共に、ドキュメンタリー映画監督とジャーナリストが社会の真実を暴きます。

第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞、全米映画批評家協会賞ノンフィクション映画賞ほかに輝きました。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』のあらすじとネタバレ

イラク戦争の映画製作がもとで、当局の監視下に置かれる立場の映画監督、ローラ・ポイトラス。2013年1月。彼女のもとに、匿名の情報提供者から暗号化されたメールが届きます。

「シチズンフォー」と名乗るその人物。最初はジャーナリストのグレン・グリーンウォルトに接触。安全な通信方法が確立できずに断念し、ローラを頼って連絡してきたのでした。

メールの内容は「買い物、電話の相手、メール、友人、閲覧サイトなど、米国民の膨大なデータは全て、NSA(国家安全保障局)に取集されている」という信じられないものでした。

世界ハッカー会議。NSAで、90年代大量のデータ分析方法を開発したというウィリアム・ビニーが語っていました。9.11後、NSAは国民の監視を開始。AT&T社に日々3億件以上もの記録を提供させた。CIAも関与したその事実を告発した後、私は銃で脅された、と。

2013年6月。香港。ローラとグレンは「シチズンフォー」と対面します。彼の名はエドワード・スノーデン、29歳。ブーズ・アレン社のアナリストでハワイ在住。肩書きはシステムエンジニアで、CIAシニア・アドバイザーを勤めているといいます。

彼によると、NSAは他国と協力して全ての通信を把握。電話、メルアド、クレジットカードを入力するだけで個人を確定、過去の記録も全てわかるシステムが確立されているとのこと。

グレンは、スノーデンの記事を発表。CNNで「米国民のプライバシー侵害」と放送されます。一方スノーデンは、告発したことをまだ知らせていないという、恋人の身を案じていました。

スノーデンに恋人から連絡が入ります。家賃を払っていないので家を追い出されると言うのです。家賃は自動引き落としなのにおかしいと言うスノーデン。おまけに、彼の家の前には謎の工事車両が何台もとまっています。不可解な状況にグレンも不安を隠せません。

ついにスノーデンはメディアに身元を明かします。2013年6月21日。米国政府はスノーデンを告訴。2日後、ウィキリークスがスノーデンの政治亡命を計画実行し、彼の飛行機はモスクワへ到着します。ところが米国政府がパスポートを無効にし、入国は不可能となります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『シチズンフォー スノーデンの暴露』ネタバレ・結末の記載がございます。『シチズンフォー スノーデンの暴露』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

グレンは、ブラジルの上院公聴会で発表します。「9.11以降、政府が国民の安全を守るためにとったという政策は、テロとは全く無関係のものです。米国人の盗聴には裁判所の許可がいるが、在米外国人なら許可は不要。重大なプライバシー侵害です」。

モスクワの空港ターミナルで40日間過ごしたスノーデン。政治亡命者として1年間のロシア滞在を許可されます。オバマ大統領は「彼は愛国者ではない」と会見で言います。

2014年3月。NSAの監視に関する議会審問が行われています。ウィリアム・ビニーは、世界中の情報機関が同じことをしていると証言。しかし、審問は途中で中止されます。会場にCIAの二重スパイがいたことが発覚しました。

2014年7月。スノーデンの恋人が、モスクワへ引っ越してきました。グレンのもとには、新しい情報提供者が現れます。それを聞いたスノーデンは「非常に危険だ」と危惧します。

その情報は「ドローン攻撃全てが、ドイツの米空軍基地からなされている」というものでした。スノーデンは唖然としています。さらにグレンは、意思決定の流れをチャートにして書き説明します。その頂点に名が挙げられた人物とは、「米国大統領」でした。

「特筆すべきはこれさ」とグレンが書いたメモには「120万人が監視対象者リストに載っている」とあります。「そんなの国1つ分の人口だ」と、カメラの前で固まるスノーデン。

スノーデンは沈黙したあと、グレンに「勇敢だ」と言います。グレンは「米国大統領」と書かれたメモを見ながら答えました。「君の行動力に触発されたんだ」。

スポンサーリンク

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』の感想と評価

なぜ、告発するという行動に踏み切ったのか。そう聞かれたスノーデンは答えます。

「国家権力は、国民の“反対する力”を潰そうとしている。世界中の子どもたちが、ネットで誰もが対等に、自由に意見を言える。しかし政府の監視が原因でそれが不可能になったら?それは知的探求心を制限するものだ。知的自由を奪うことはしてはいけない」。

ホテルの一室で取材を受けるスノーデン。ひたすら盗聴・盗撮されることを気にしています。IP電話なら受話器を置いた状態でも盗聴が可能だからと、電話の線をひっぱり抜きます。

そして、パソコンは新品でないと危ないと言い、SDカードを挿しっぱなしでいるのは危険だと抜き、パスワードがわかったらまずいからと、ブランケットを頭からかぶってカタカタとキーボードを打ち始めます。

事情を知らない人が見たらこれはもうノイローゼです。ジャーナリストのグレンも「被害妄想バグに侵されてるよ!」とジョークを言います。しかし、これが決して過剰反応ではないことが証明されるのです。

インタビュー中、絶妙なタイミングで火災報知器が鳴り出します。全員が一瞬、固まります。スノーデンは電話機を調べ、フロントに確認すると単なるテストだと言われますが、誰もがしばらく黙り込みます。

そして、スノーデンが世間に身元を明かす以前に、勤務先のNSAの人事部と警備員が彼の部屋に侵入するという事件が起こります。さらに、家賃が引き落としであるにも関わらず、なぜか不払いで追い出されそうになり、家の前には謎の工事車両が何台もとまっているというではありませんか。

フィクションではないので、ドラマチックな音楽も、命を狙われ危機一髪なシーンも、まさかの大オチも、何ひとつありません。超ド級の爆弾を落とした張本人スノーデンでさえ、つねに冷静で淡々として見えます。だからこそ恐ろしいのです

新たな調査に挑む、グレンの決意で映画は終わります。スノーデンは、決しておおげさに反応しません。それでも何かを思案しているように黙ってグレンを見つめています。派手な演出も台詞もない、本物の恐怖が見えた思いでした。

まとめ

劇中、「デモ隊へのセキュリティ講習」というシーンがあり、ジャーナリストのジェイコブ・アッペルバウムが、リンカビリティというシステムについて語る内容が凄かったです。

例えば地下鉄のメトロカードクレジットカードのデータを結びつける。それだけですでに買い物した場所、買った商品がわかり、カード使用の時間帯も調べれば、誰とどこで会ったかも簡単に判明する。

それを続ければその人物の人生まで読めてしまう。しかしそれが真実とは限らない。データ上で犯罪を犯したと判断されればそれで最後。その上、指紋や写真までとられればそれはもう大きなリスクになると。

全ては9.11以降、テロリスト犯罪者から全米の国民を守るという大義名分のもと、政府が機密下で行っていたことがどれほど凄まじいことなのか。そしてそれがアメリカだけの話ではないとは。まさに今そこにある危機です。

スノーデンは2015年9月からツイッターを開始していて、1時間もたたないうちにフォロワー数が15万人にもなったとか。現在の居場所は明かされていませんが、ネットの講演やスピーチで精力的に活動しているようです。

関連記事

ドキュメンタリー映画

映画『もったいないキッチン』ネタバレ感想と考察。斎藤工の吹替ナレーションでフードロス問題を追究するドキュメンタリー

食の“もったいない”を美味しく楽しく解決! 映画『もったいないキッチン』は、ジャーナリストのダーヴィド・グロスと通訳のニキが共にオリジナルキッチンカーで日本中を旅し、各地で様々な人と出会い、様々な視点 …

ドキュメンタリー映画

映画『行き止まりの世界に生まれて』ネタバレ感想と考察評価。ラストは未来に希望を持たせる清々しさ

オバマ前大統領が「年間ベストムービー」に選出した話題のドキュメンタリー映画 映画『行き止まりの世界に生まれて』が2020年9月4日(金)より、全国順次公開中です。 『行き止まりの世界に生まれて』は、ア …

ドキュメンタリー映画

映画『ちむぐりさ菜の花の沖縄日記』感想と考察レビュー。“戦争”が続く沖縄の現実を15歳の少女の眼差しを通じて知る

ちむぐりさ、肝苦りさ。 あなたが悲しいと、私も悲しい。 石川県から那覇市の学校にやってきた15歳の少女・坂本菜の花さん。彼女の目を通して、沖縄の明るさの向こう側にある、辛い歴史や、今もなお続く米軍基地 …

ドキュメンタリー映画

映画『ジョージア、ワインが生まれたところ』ネタバレ感想と考察。知識として初心者にも美味しい醸造法を探って見せる

Our Blood is Wine。伝統を守り続けてきたワインの故郷。 カスピ海と黒海に挟まれた南コーカサスの地にあるジョージア。ヨーロッパとアジアの交差点であり、多様な気候と風土に恵まれた土地で、育 …

ドキュメンタリー映画

映画『バスキア、10代最後のとき』あらすじネタバレと感想。天才アーティストに迫るドキュメンタリー

アートを凌駕し、ファッションそして音楽をも刺激する天才アーティスト、バスキア。 没後30年を迎え、その秘密に迫るドキュメンタリー映画が誕生しました。 バスキアが注目を集める前の1970~80年代ニュー …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学