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Entry 2021/06/27
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映画『カウラは忘れない』あらすじ感想とレビュー評価。最大の捕虜脱走事件を基に戦争下での不完全な人間の性質を探るドキュメンタリー

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『カウラは忘れない』は2021年7月2日(金)より岡山:シネマ・クレール、7月9日(金)より香川:ソレイユ2にて先行上映、2021年8月7日(土)より、ポレポレ東中野、東京都写真美術館ホールにて全国順次公開

1944年のオーストラリア・カウラで何が起こったのか? 戦争の中で巻き起こった事件の真相を探るドキュメンタリー映画『カウラは忘れない』。

第二次大戦下のオーストラリアにあった日本人捕虜収容所で起きた一つの出来事をめぐり、事件当時の日本人、オーストラリア人の生存者や現代人などさまざまな目線から事件を見つめ、その真相を探っていきます。

『クワイ河に虹をかけた男』を製作したKSB瀬戸内海放送によるドキュメンタリー作品の第二弾で、第一弾作品に続いて満田康弘が本作を手がけました。

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映画『カウラは忘れない』の作品情報

(C)瀬戸内海放送

【公開】
2021年(日本映画)

【監督・脚本】
満田康弘

【作品概要】
本作は太平洋戦争中、オーストラリアの田舎町カウラにあった捕虜収容所で起きた、日本人捕虜集団脱走事件の真相に迫るドキュメンタリー。『クワイ河に虹をかけた男』(2016)の満田康弘が監督を務めます。

映画『カウラは忘れない』のあらすじ

(C)瀬戸内海放送

1944年、オーストラリアのカウラにあった第十二収容所。1000人を超える日本人軍人たちが集団で脱走を試みるという事件が発生しました。

この作品では当時の収容所の風景や現在のカウラの様子とともに、事件の生存者たちが語るエピソードにより事件の真相を探ります。

彼らのコメントや表情からは、1941年1月に東條英機陸軍大臣が、戦地における兵士の行動規範として示達した訓令「戦陣訓」より「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿(なか)れ」と教わった彼らが、死ぬ決心をしながらも生きたいと願った切実な心情が浮き彫りにされていきます。

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映画『カウラは忘れない』の感想と評価


(C)瀬戸内海放送

2020年に終戦75周年という節目の年を迎えた現在は、まさに戦争という出来事の影響を改めて考えていくべき時代に差し掛かっています。

その意味において本作は、非常に明確なポイントを指示した作品であるといえるでしょう。未だ世界で起きている国同士の対立や、さまざまなトラブルを対比すると、例えば本作のような出来事が意外に合致していることを認識することもあります。

この作品で取り上げられたポイントは、事件の当事者である日本兵たちの振る舞い、つまりオーストラリア・カウラ収容所脱走という行動にあります。

カウラの収容所に収容された日本人捕虜たちは、オーストラリアの戦場で確保されここに収容されたわけですが、当時の生存者の話からは、収容所の生活は決して厳しい生活ではなく、むしろ大きなストレスもなく当時としては快適な生活を与えられていたようです。

しかしそれにもかかわらず、収容所側からの一つの指示に日本兵たちは納得できず、この事件に及んだといわれています。

この事件を検証すると、事件の実行は決して成功を望めるものではありませんでした。にもかかわらず、日本兵たちがこの事件に及んだ根拠を検証すると、当時の日本の人々が置かれた立場が彼らの思想に大きく影響していることが分かります。

まさしく彼らは日本という国が飲み込まれた軍国としての大きな波に流された人たちであります。

そしてこの事件は、一人の日本兵がオーストラリアの戦場で消息を絶ったことに対して、明らかになった驚愕の事実と密接に関係しています。

多くの人にその存在すら知られず亡くなったこの兵士は、何故その存在を知られなかったのか? 実はそこにもこの事件の真相が埋め込まれています。

例えば現代の日本の人たちが彼らの事件を知ると「愚かだ」と認識するかもしれません。

しかし現代ですらその意図も分からないままに進められている政治の施策などを見たときに、ひょっとして「カウラの事件」は、未だ身近にも存在する出来事ではないか、と考えることができるでしょう。

このドキュメンタリーでは、事件を残された資料とともに当事者の生き残り、そしてオーストラリア人の当事者、さらに第三者的な現代人の視点などとさまざまな視点で客観的に見つめています。

現代の若者による目線で事件を追ったユニークな場面では、当初は理解できなかったその経緯や意思を懸命に解明しようとする姿が垣間見られます。

当時の日本兵の行動は決して肯定できるものではありませんが、明確な理由が示されないにもかかわらず、彼らが行動に及んでしまったその理由が、作品を見ることで妙に納得できてしまいます。

ある意味「映画の力」、ドキュメンタリー作品の力を認識できるような作品であるといえるでしょう。

まとめ

(C)瀬戸内海放送

この作品で最も印象的なのは、やはり当時の事件に立ち会った日本兵の生き残りたちが証言時に見せるそれぞれの表情にあります。

証言として、当時事件を起こす前の事前の談合があった際に「自身としては正直乗る気ではなかったが、皆に従わざるを得なかった」と揃って語っている部分は、まさにこの事件の大きなポイントを指示しています。

語っている彼らには、何かを訴えたい真剣なまなざしの人がいる一方で、どうしてもインタビュアー側から目線をそらしてしまう人、あるいは当時を振り返って泣く人などがあり、それぞれ異なる表情の中にさまざまな思惑が見えてきます。

果たしてこの事件は「繰り返してはならない悲劇」と一言で片づけられてしまうものなのか。事件の悲惨さの奥に見える複雑な真相も浮き彫りにされる中、人間の本質の不完全さを改めて考えさせられる作品となっています。

映画『カウラは忘れない』は2021年7月2日(金)より岡山:シネマ・クレール、7月9日(金)より香川:ソレイユ2にて先行上映、2021年8月7日(土)より、ポレポレ東中野、東京都写真美術館ホールにて全国順次公開


6月23日 11:57

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