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Entry 2021/07/08
Update

映画コカコーラvsペプシ|ネタバレ感想結末と内容解説。世界シェアや味の違いから“戦争COLAWARS”とアメリカで言われた企業闘争史

  • Writer :
  • タキザワレオ

コーラ№1をめぐる熾烈な企業戦争を描いたノンフィクション・ドキュメンタリー

1980年代のアメリカを舞台に、炭酸飲料業界で起きたコカ・コーラとペプシのシェア争いをめぐる、史上最大の企業バトル“コーラ戦争”に迫ったU-NEXT独占配信ドキュメンタリー『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』。

お互いを痛烈に批判する比較広告の数々と共に、コカ・コーラとペプシの露骨な“ディスり合い”の歴史を当時の貴重な映像と共に振り返っています。

今回は、アメリカ全土を巻き込んだ“新世代”ペプシの挑戦から、“王者”コカ・コーラのとある決断の歴史と当時の社員たちの口から激闘の裏側が語られる『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』をご紹介します。

映画『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』の作品情報


(C)2021, A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
COLA WARS

【監督】
ニコラス・ウォード

【監督】
クリストファー・エマーソン(日本語音声版:木村昴)

【作品概要】

本国アメリカでは2019年7月1日に配信されたドキュメンタリー。

U-NEXTでの独占配信が決まった日本版では、世界中から集めたコーラの瓶や缶、記念グッズを飾る専用のコーラ部屋があるほど、大のコーラファンである声優の木村昴が、日本語吹き替え版ナレーションを務めています。

映画『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』のあらすじとネタバレ


(C)2021, A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

100年以上にわたりペプシとコカ・コーラは、アメリカのハートと財布を掴むべく、バトルを繰り広げてきました。

両社とも最高の頭脳と何百万ドルもの資本を投入し、ライバル会社潰しを行いました。

炭酸飲料市場で最大シェアを誇るコカ・コーラと、斬新なアイデアで首位を狙うペプシが繰り広げた「コーラ戦争」。

1970年代の「ペプシの挑戦」、1980年代のマイケル・ジャクソンのCMで勢いを増したペプシに対抗するため、コカ・コーラが下した重大な決断はアメリカ中を揺るがしました。

時代を象徴する戦いの歴史に迫ります。

コカ・コーラは、アメリカに登場した最初のコーラで、1886年ジョージア州アトランタの薬剤師が開発しました。

ペプシコーラは、1893年に登場し、20世紀のほとんどの間、コカ・コーラに追いつこうと奮闘していましたが、1970年には、あらゆるコーラの中でコカ・コーラがトップに君臨しました。

BBDOニューヨーク元社長兼CEOのビル・カッツは、ペプシは2番手を狙っていたと語ります。

70年代は、RCコーラ、ドクターペッパーなども、コーラ2番手の座を狙っていました。

ペプシはコカ・コーラと同じ土俵に立つためには大胆な戦略が必要とし、局地的な地方での大胆な広告活動に打って出ました。

それが「ペプシチャレンジ(ペプシの挑戦)」で、「コカ・コーラの英断と誤算」の著者トマス・オリヴァーは、この画期的なペプシの広告が世界を変えたと語ります。

商品名を隠した上で、コカ・コーラとペプシを飲み比べさせたところ、全国で挑戦したコカ・コーラ派の半数以上がペプシを選んだという驚きの結果に。

ペプシ元広報担当、ケン・ロスは、テキサスで始めた比較広告キャンペーンの成功を語ります。

テキサスでは、№1がコカ・コーラ、№2が地元の飲料ドクターペッパー。ペプシは№3であったため、比較広告を打ち出すリスクはなかったと。

当時コカ・コーラはすでにスーパーやファストフード店に入りこんでいました。ペプシの戦略はスーパーさえ押さえれば他も追随するというものでした。

「ペプシチャレンジ」により、コカ・コーラに対するペプシの攻撃態勢は明らかなものとなりました。

コカ・コーラ元マーケティング担当、マイケル・バインドルフは、一口飲むテストでは、ペプシの方がコカ・コーラより甘く、コカ・コーラより1缶10カロリー高い事実を話します。

よって一口飲むだけだと、アメリカ人はより甘い方を選ぶそうです。ペプシはこの傾向を利用したのだとバインドルフは推測しました。
ペプシチャレンジの成功により、ペプシはコカ・コーラと同じ土俵で戦うことになります。

1970年代終盤には炭酸飲料市場が急成長。加熱するコーラ戦争におされ、ペプシも歴史上初めての急成長を遂げていました。

1970年代初頭ではコーラを飲む人の18%がコカ・コーラを愛飲。ところが「ペプシチャレンジ」の後、それが4%まで急落し、コカ・コーラは困惑。王者は危機感を覚えるようになります。

「ペプシチャレンジ」を受け、コカ・コーラ側は大激怒。

比較広告は不公平な争いだとし、コカ・コーラは、当時のお茶の間の人気タレント、ビル・コスビーを起用した「ペプシチャレンジ」のネガティブキャンペーンに打って出ます。

やがて共和党支持か民主党支持かのように、コカ・コーラ派とペプシ派の争いは消費者同士のイデオロギー対立にまで発展していきました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』ネタバレ・結末の記載がございます。『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

「THE COLA WARS」共著者のハーヴェイ・ヤジジアンは、本作のインタビューの一環として、自身も「ペプシチャレンジ」に挑戦します。彼は見事にどちらがペプシか当てました。

「ペプシチャレンジ」まで、コカ・コーラは長年ほぼ揺らぐことのない成功を手にしていました。ですが、この長年にわたる支配で会社は変化できなくもなっていたのです。

コカ・コーラの秘密の調合は神聖化されており、「マーチェンダイズ・セブン・エックス」と呼ばれていました。その極秘レシピはアトランタの秘密の金庫に保管され、微調整はされたものの、100以上ほぼ変わることは無かったといいます。

これによりコカ・コーラは消費者に対し「商品はその会社にしか作れないもので、調合はトップシークレットだ」というイメージを刷り込み都市伝説を生み出すことにすら成功していました。

重視されていたのはコカ・コーラの調合だけではなく、その商品名もです。1963年にコカ・コーラがダイエットソーダ市場に参入した際に、主力商品以外には「コカ・コーラ」の名を使いたがりませんでした。

そこで登場したのが「タブ(TAB)」です。

タブ・コーラは女性をターゲットにして売り出しました。しかしながら1970年代後半から80年代前半にはタブの売り上げは劇的に落ち込みます。そこで、コカ・コーラは自社ブランドを最大限利用するしかないと悟ります。

1982年7月9日。コカ・コーラはワールドプレミアを開催し、新商品ダイエット・コークを大々的に発表。

80年代に流行したライトビールの影響もあってか、ダイエット・コークは翌年のダイエットソーダ市場一位の売り上げを獲得。さらに84年には、全炭酸飲料の売り上げにおいてコカ・コーラ、ペプシに次ぐ第3位のシェアを獲得しました。

ダイエット・コークの目的はコカ・コーラに次ぐ第2位の売り上げです。

その頃、ペプシコのCEOに就任したのがロジャー・エンリコ。彼はコカ・コーラに反撃するために、社長の立場から率先して広告、宣伝活動に乗り出したのです。

エンリコはすぐさま具体的な策に出ます。それはマイケル・ジャクソンとの500万ドルでのスポンサー契約でした。
CM曲に『Bille Jean』の歌詞を変えた「New pepsi generation」を使用。すぐさまCM製作が取り掛かられました。

事件が起きたのはCM撮影中のことでした。ファーストテイクを撮り終わり、もう1テイク撮ろうとしたところ、マイケルの髪に引火し火傷をを負ってしまったのです。

この悲劇がペプシコ社に大打撃を与えた、ということはなく、ビッグスターをプロモーションに起用したことで業界全体の見通しに変化がもたらされたのです。マイケル・ジャクソンを起用した宣伝の効果により、コカ・コーラとペプシの売り上げの差はわずか5%にまで縮みました。

今存在するセレブカルチャーの源流はマイケル・ジャクソンのペプシのCMにあると、ウォールストリートジャーナルのジョアン・リップマンは語ります。ペプシの宣伝によりアーティストやトップスターが企業のCMに出ても問題ないのだというイメージが浸透していったのです。

その後もペプシはトップスターとのタイアップを繰り返し、ライオネル・リッチー、ティナ・ターナー、ドン・ジョンソン、マドンナなど名だたるスターをプロモーションに起用しました。

味のすばらしさやブランドの強さを強調するのではなく、ペプシはフィーリングを宣伝していたのです。消費者を讃え、商品に”象徴”としての意味を与えました。

対してコカ・コーラは長年、映画でのプロダクトプレイスメントに長けていました。統合型マーケティングの強みが出ており、商品がコンテンツの中でリアルな形で用いられていました。映画文化の一部となり、コカ・コーラのブランド力は強化されていったのです。

この分野においては、ペプシもコカ・コーラのマーケティングに追随することになります。
やがて商品のコマーシャル自体が、映画さながらのストーリー仕立てのミニムービーへと変化していきました。

その中でも、ペプシのCM監督を務めたのが、あのリドリー・スコット。「Spaceship」をテーマとした新世代の80年代イメージを前面に売り出したのです。

80年代には、消費者層の分断が明確になってきました。ペプシはアメリカ北部から支持を受け、コカ・コーラは南部で人気を博していました。地域によってブランドの好みが分かれていたのです。そこへお互いを煽るような広告が乗っかり、消費者は選択を迫られました。

コカ・コーラは「ペプシチャレンジ」によって味でペプシに劣る事実を認めざるを得ませんでした。マーケットリサーチの結果、調合を変えるべきではないかと考え始めます。

1985年4月、コーラ戦争を終わらせる決定打になることを願い、コカ・コーラは100年ぶりに味の調合を変える発表をしました。

ペプシはコカ・コーラの発表を事前に掴んでおり、コーラ戦争を勝ち抜くための次なる攻撃の手をすでに考えていました。
コカ・コーラは新商品を出したのではなく、出していた定番商品の販売を辞めたのです。

アメリカを象徴するものとまで言われたコカ・コーラ。その調合を変えるのは、単なる飲み物の変化ではありません。続いてきた伝統が大きく変わることを意味していました。

これに対しアメリカ国民の感情的反発が高まります。コカ・コーラはペプシチャレンジをはじめとしたペプシによる比較広告に完全な後れを取り、消費者を取り巻く状況を間違えるという大きなヘマをしたのです。

ニュー・コーク発表の情報をいち早く手にしていたペプシコ社CEO、ロジャー・エンリコは世論を完全に扇動。コカ・コーラによるニュー・コーク発表に対して消費者は冷ややかでした。

アメリカトップシェアをかけた長きにわたるコーラ戦争は、2位の立場による巧みなプロモーションにより、ペプシが一時的な勝利を収めました。
エンリコはニュー・コーク発表に際し、高らかに勝利宣言をしました。

その後、コカ・コーラは、従来のコーラを「コカ・コーラ クラシック」として再リリース。ニュー・コーラとの併売をする決定を下し、コカ・コーラはマーケティング上のミスをしたことを公に認めました。

その後「コカ・コーラ クラシック」は、ペプシ派に鞍替えしたコーラファンをコカ・コーラに引き戻すまでの劇的なカムバックを見せました。

こうしてコーラ戦争は大量消費とマスメディアの時代を象徴する出来事となりました。

映画『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』の感想と評価


(C)2021, A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

大量消費社会の代理戦争

本作では語られなかった余談ですが、70年代に「ペプシチャレンジ」をCMに取り入れ、80年代にマイケル・ジャクソンをコマーシャルに起用したのは当時ペプシコで事業担当社長をしていたジョン・スカリー。

スティーブ・ジョブズに引き抜かれた彼は後にアップル社社長に就任。1984年のマッキントッシュ発売に携わることになります。

スカリーを口説いたジョブズの「このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか?」という言葉は有名な一節として知られています。

本作は、ジョブズが揶揄するところの砂糖水とその会社が、アメリカの消費者の最も身近な場所で繰り広げてきた企業闘争の歴史とそれに翻弄されるアメリカ社会そのものの壮大さを描いています。

コカ・コーラ、ペプシのどちらかの会社に所属している内部の人間や、商品の熱心な消費者でなければ、本作で繰り広げられるコーラ戦争は、ひたすら不毛な争いであると感じることでしょう。

特にこだわりのない「ノンポリ」な消費者であれば、その時手元にあった方を選ぶはずです。

そしてコカ・コーラもペプシも選択肢として存在するとき、それぞれへの味の印象と同等に重視されるのは、広告から受けた商品へのイメージでしょう。ブランドへのイメージ、つまり外因性によるものです。

コカ・コーラとペプシの企業間戦争とは、マスメディアと大量消費の時代がもたらした象徴的な資本主義下の内戦を意味していました。

80年代アメリカの消費者にとっては、税制改革でもミサイルの増強でもなく、コーラ戦争が最も身近で関心のある政治的話題だったのです。

生活に身近な炭酸飲料会社間の対決は決着が予測できないことから、人々を熱狂させ、ブランドへの信仰心を高めました。

ペプシ派の消費者は「コカ・コーラは死んでも飲まない」という志を変えず、コカ・コーラ派の消費者はペプシ派の消費者層との間に明確な壁を作っていたほどに。

同時に、コーラ戦争は2社の企業努力を促進させたという肯定的な評価もあります。

本作では主にコカ・コーラという絶対的王者に挑戦するペプシ側の視点からコーラ戦争の歴史を振り返っていますが、強権的な立場にあるコカ・コーラこそアメリカを象徴する企業でと言っても過言ではないでしょう。

それはコカ・コーラが、常に一番であり続けることと勝利の象徴であり続けることを重んじる資本主義社会そのものを映す大企業だからです。

国家機関や軍隊ではなく、巨大な民間企業こそが独立した力を重んじるアメリカらしさを最も物語っています。

全世界のアメリカ的資本主義社会化は、本作冒頭でも語られている通り、世界130か国に流通させたコカ・コーラという企業(商品)を輸出することで、精神的な征服として既に行っています。

肥大した大量消費社会に端を発するブランドへの信仰心は、ポスト・コーラ戦争の現在、ブランドへの信仰の自由すら保障されることも一般化しました。

特定の商品を買う・買わないという意思表示をすること自体は、もはやアメリカ的ではなく、資本主義社会においては消費者に与えられた当然の権利であります。

ペプシの広告やコカ・コーラのスポンサー契約を不信に思えば、同社の商品をボイコットし、それを表明する権利は消費者個人に委ねられています。

メディアを駆使したプロモーション合戦


(C)2021, A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.
映画ファンにとって、タイアップやプロダクト・プレイスメントの影響で印象深いのはペプシの方ではないでしょうか。

ペプシが印象的に登場した代表的な映画をいくつか挙げてみると、意識せずとも視界に入っていたことに気が付くかもしれません。

『ターミネーター2』(1991)では、登場人物の数名が手に持っていたり、ジョン・コナーがT800と対面するT字路にペプシの自動販売機が置かれているなど、画面の端々に複数回登場。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)では、50年代にタイムスリップしたマーティがダイナーで砂糖抜きペプシを注文すると、(シュガー)フリーのペプシが無かった50年代の店主に「無料(フリー)のものはねぇ」と時代の違いから会話が噛み合わないことを表す例として登場。

近年の作品でも『ボヘミアンラプソディー』(2018)では、クライマックスのライブエイドを再現したシーンにて、史実に基づき、フレディの演奏するピアノの上にペプシのカップが置かれています。

ありとあらゆる名作映画の中でわざわざ商品名までセリフの中に組み込まれるなどして、存在感を放っています。

作劇上でもペプシが活躍した作品のうち、ひと際異彩を放ち印象的だったのが『ワールド・ウォーZ』(2013)で、物語のクライマックスにて、露骨に大写しになるペプシの缶が、とある重要な役割を果たしています。

同作に代表されるように、その商品がプロダクト・プレイスメントであることを強調したわざとらしい劇中の活躍も、振り返って観返すとその滑稽さとともに商品の絶対的な広告力、支持層の厚さを感じます。

実際のキャッチコピーすらも映画に登場させたのが、『ウェインズ・ワールド』(1992)。映画内で露骨に宣伝するという開き直ったギャグで登場。

複数のプロダクト・プレイスメントを1つのシーンでこなす(済ます)くだりのオチとして「It’s the choice of new generation!(新世代の選択)」と言うキャッチコピーとともに堂々とウェインの顔の横にペプシの缶が掲げられていました。

70年代の「ペプシチャレンジ」を経て、コカ・コーラに勝利したペプシが打ち出したイメージは、コーラ界における“新時代”の王者。

新時代というキャッチコピーは以降ペプシが80年代、90年代と押し出し続けたスローガンでもあり、『Billie Jean』をペプシとのタイアップ用にアレンジした『Pepsi Generation』の歌詞にも「New Generation」が強調されています。

同様のキャッチコピーは1997年のスパイス・ガールズとのタイアップ曲『Move Over』でも、サビの部分で「Generation Next」として繰り返されており、新しさと銀色に煌びやかなCMが90年代末期のペプシのイメージを刷新。若者からの支持を得続けました。

コカ・コーラの印象的なプロダクトプレイスメントも忘れてはなりません。

本作中では『E.T.』(1982)『スーパーマンⅡ』(1980)『ウエスト・サイド物語』(1961)が引用されていましたが、その他にも印象的なプロダクトプレイスメントはあります。

『ダイ・ハード』(1988)では、ナカトミ商事の重役でコカインの常習者であるハリーエリスが、テロリストに「コークをくれ」とコカインを隠語で注文したところ、コカ・コーラを渡されて一瞬困惑するシーンもありました。

近年でもNetflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス』(2016)にて、イレブンが超能力でコカ・コーラの缶を潰すシーンが印象的でした。

コカ・コーラと映画と言えば、マーチャンダイズにおいて忘れてはならないのが映画『ゴースト・バスターズ』(1989)で、当時の配給会社であったコロンビアピクチャーズは、89年にソニーに買収されるまでコカ・コーラが所有していたこともあり、同作のプロモーションにおいて、コカ・コーラが使用されコラボキャンペーンも数多く行われた歴史も外せません。

そしてコカ・コーラとペプシ、両社とのタイアップ経験があるフランチャイズとして、最も有名なの作品はもはや言うまでもないでしょう。「スター・ウォーズ」シリーズです。

1作目『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977)公開当時、炭酸飲料業界をほぼ独占していた王者コカ・コーラとのタイアップを行なっており、瓶のふたの裏に劇中シーンを印刷した全50種類の王冠が付いてくるキャンペーンが日本でも行われていました。

それに対抗する形で90年代にペプシが『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)とのタイアップでボトルキャップフィギュアをリリース。シールをめくって当たりが出ないと手に入らないスペシャルボトルキャップや抽選で当たるディスプレイ用のタトゥイーンを模したコレクションステージなど、レアリティやコレクション性という付加価値をつけ、スター・ウォーズファンの購買意欲をかき立てました。

現在、カリフォルニアにあるテーマパーク、ディズニーランド内スター・ウォーズエリア「Galaxy’s Edge」で販売されているのはコカ・コーラ。スター・ウォーズの世界観に馴染むような独特な形をしたボトルで販売されています。

またスーパーボールの試合の合間に流れた、マーベルスタジオ映画『アントマン&ワスプ』(2018)のプロモーションを兼ねたコカ・コーラのCMでは、コカ・コーラのミニボトルをめぐってアントマンとハルクが追いかけっこをする約1分ほどの新規映像が公開されました。

このようにディズニー関連作品との関わりの強いコカ・コーラは、現在においてもあらゆるメディアにおいて一定の存在感を保っています。

王者としてのコカ・コーラの絶対的な立場は世界規模の流通でもって明白です。一方、他コーラ飲料との比較として強烈なカウンター―を王者に浴びせたのがペプシ。

新しいコーラのイメージ、80年代以降のタイアッププロモーションにおいて強烈な印象を人々に与えた点など、戦略的に行われたメディアへの露出においてはペプシに軍配が上がります。

まとめ


(C)2021, A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

『COLA WARS/コカ・コーラvs.ペプシ』では、70年代から00年代にかけて資本主義大国アメリカで行われてきた熾烈な代理戦争の模様を時系列とマーチャンダイジングの取り組みに沿って描いていました。

広告の打ち出し方やセールスは、2社とも互いを意識した上で非常に戦略的に企画しており、象徴としての「勝利」を重要視する資本主義社会の根底にある精神性が垣間見えます。

本作の視聴者でもあり、消費者でもある我々は、ブランドイメージや微妙なテイストの試行錯誤に立ち会ってきました。

手もとにコカ・コーラとペプシの瓶やボトルを用意し、飲み比べながら本作を鑑賞すると、味へのこだわりや「ペプシチャレンジ」が実体験できるため、本作に最も適した楽しみ方ができると断言できます。

また、本作をきっかけにして過去の名作映画に隠れていたコカ・コーラ、ペプシの広告を探してみるのも面白いかもしれません。

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