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Entry 2018/08/07
Update

映画『スターリンの葬送狂想曲』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 白石丸

ロシアで上映禁止!史実に基づいた超黒いコメディ!史上最悪の独裁者スターリンの後釜を小悪党たちが奪い合う映画『スターリンの葬送狂想曲』

最高権力者に媚びへつらい、その死の後はグダグダの権力闘争を繰り広げる為政者たち。

彼らの身勝手な都合でバタバタと犠牲になっていく庶民たち。

笑えないんだけど酷過ぎて笑うしかないこの状況。「悲劇は引いてみると喜劇である」を地で行く猛毒ブラックコメディです。

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映画『スターリンの葬送狂想曲』の作品情報


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

【公開】
2018年(イギリス映画)

【監督】
アーマンド・イアヌッチ

【キャスト】
スティーブ・ブシェーミ、サイモン・ラッセル・ビール、ジェフリー・タンバー、マイケル・ペイリン、ポール・ホワイトハウス、ジェイソン・アイザックス、アンドレア・ライズボロー、ルパート・フレンド、パディ・コンシダイン、オルガ・キュリレンコ、アドリアン・マクローリン、ダーモット・クロウリー、ポール・チャヒディ

【作品概要】
1953年にソビエト連邦の最高権力者スターリンが急死。どさくさに紛れて後継者の座に座ろうとする側近たちの策謀と醜態をブラックコメディ。

フランスでベストセラーになったグラフィックノベル「Death of Stalin」をイギリスの新鋭コメディ監督アーマンド・イアヌッチが映画化。

曲者ぞろいのソ連の閣僚たちを演じるために米英の実力派俳優が集結しています。

モスクワ党第一書記フルシチョフに『ファーゴ』のスティーブ・ブシェーミ、秘密警察警備隊最高責任者ベリヤには『ターザンREBORN』のサイモン・ラッセル・ビール。

スターリンの補佐役だったマレンコフは「ハングオーバー!」シリーズのジェフリー・タンバー、スターリンに批判の手紙を送るピアニストのマリヤは『007 慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコ。

外務大臣モロトフにはイギリスの伝説的コメディグループ「モンティ・パイソン」のマイケル・ペイリンと絶妙なキャストがあてられました。

公開された本作は早速今年の1月に本国ロシアで上映中止。各所で話題になっています。

映画『スターリンの葬送狂想曲』のあらすじとネタバレ


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

20年にわたって中央委員会書記長としてソビエト連邦を支配しているヨシフ・スターリン。

1953年3月、彼はモスクワ郊外の別荘で側近達と夜遅くまで宴会を開いて大騒ぎをしていました。

スターリングラードの戦いでの経験を面白おかしく語り爆笑をとるのは、モスクワ党第一書記ニキータ・フルシチョフ。

彼はスターリンのご機嫌をとるために、日ごろからジョークを考える日々を送っていました。

それを聞いて大笑いしているのは秘密警察最高責任者ラヴレンチー・ベリヤ、補佐役ゲオルギー・マレンコフ、国防大臣ニコライ・ブルガーニン。

彼らは宴会を楽しみながらもスターリンの機嫌を損ねないよう注意を払っていました。

一方その裏では秘密警察NKVDが、いつもと同じようにスターリンの作ったリストをもとに政治思想犯や庶民を逮捕し、次々と”粛清”していきます。

さらにそれと同時刻、モスクワのとある音楽堂でモーツアルトの演奏会が行われていました。

スターリンは宴会の途中に音楽堂の責任者に電話をし、演奏を録音して今夜中に持ってくるよう指示をします。

既に演奏は終わったところでしたが責任者は慌てて音楽隊を呼び戻し、適当に道端にいた庶民を中に入れて再度演奏をさせ、レコードに録音しました。

その際に再演を反対していたのはピアニストのマリヤ。彼女は両親と兄弟をスターリンの指示で殺されていました。

彼女はレコードを受け取りに来た秘密警察にファンレターと称してスターリン宛の手紙を渡します。

宴会を終え、自室でレコードを受け取って早速聴くスターリン。マリヤからの手紙を開くとそこには「長年にわたり国家を破壊してきた独裁者よ、その死を祈り、神の赦しを願う」と書いてありました。

それを見ても余裕で笑うスターリン。しかし次の瞬間彼は突然の発作で顔を歪め倒れ込みます。

翌朝、メイドが意識不明になっているスターリンを発見。早速側近たちに連絡が行き、彼らはスターリン邸にやってきます。

倒れているスターリンに皆駆け寄りますが、意識不明のせいで失禁していることに気付き、匂いで顔を歪めます。

スターリンが長時間放置されていたのは、警備隊が倒れた音やいつもより起きてくる時間が遅いことに気付いても、彼の眠りを阻害して怒りを買うことを恐れて寝室に行かなかったためでした。

補佐官のマレンコフは狼狽しながらも「書記長は私が代理で務める」と宣言します。

側近たちはその場で協議し医者を呼ぶことにしますが、国内の優秀な医者たちは過去にスターリンの毒殺を企てた咎で投獄中か処刑になっていました。

仕方なく残ったヤブ医者たちが集められ、診察をします。その間に側近たちはそれぞれこれからどうするかを話し合います。

ベリヤは今後上手く立ち回るため、代理書記長になったマレンコフに取り入って手を組みます。

さらにその間にスターリンの娘のスヴェトラーナと酒癖の悪いドラ息子のワシーリーがやってきます。

側近たちはそれぞれ彼らに気に入られようと駆け寄り、悲しみを分かち合うふりをします。

ヤブ医者たちはスターリンが脳卒中でもう回復の見込みがないことを告げます。

スターリンはその後数分意識を取り戻すものの、ほとんど朦朧としており後継者を指名することもなく死亡します。

ベリヤはこのどさくさに紛れて指示を出し、モスクワの警備を国軍からNKVDの部下たちに代えさせます。

一同はモスクワで国葬を執り行うことを決定し、遺体を運び出してトラックに積ませます。

トラックが出発して、その後に誰の車が続くかも後の権力争いに影響すると考えた側近たちは、我先にと発車します。

彼らが去ったあと、NKVDが別荘に大挙してやってきます。

彼らはスターリンを診察したヤブ医者たち、屋敷の使用人、影武者として雇っていたスターリンのそっくりさん、スターリンが倒れた時に何もしなかった警備兵たちをまとめて逮捕して、その場で粛清してしまいました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには「スターリンの葬送狂想曲」ネタバレ・結末の記載がございます。「スターリンの葬送狂想曲」をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

モスクワについた側近たちはいったん自宅に戻ります。

外務大信モロトフの家に、数年前に逮捕されて死んだと思っていた彼の妻ポリーナが戻ってきます。

ベリヤがスターリンが死んだ直後に彼のリストを破棄し、自分の陣営にモロトフを引き込むため彼女を解放したのです。

ちなみにモロトフもスターリンのリストに載せられていた人間だったので命拾いした形になります。

その後、側近たちで会議が開かれるのですが、正式に書記長に推薦されたマレンコフは第一副議長にベリヤを指名。

フルシチョフはそれに反対しようとしますが、会議はそのまま進み、彼はスターリンの国葬委員長という面倒な役回りを押し付けられてしまいます。

ベリヤは優柔不断なNo1のマレンコフを操り、自身の人気取りの政策を始めます。

スターリンの死を口実に、粛清予定だった囚人たちを恩赦で釈放し、スターリンの粛清リストも正式に破棄します。

そして国葬当日、大勢の国民が訪れる中、ロシア清教会の司教がやってきていました。

スターリンは凄まじい宗教弾圧行ったのになぜ司教が?不審に思う側近たち。

それはベリヤがスターリンの時代は終わったとアピールするために嫌がらせも込みで招待していたのです。

いよいよ怒ったフルシチョフは、とある手段に出ます。

ロシア全土から国民がスターリンの国葬にやってくると、混乱を呼ぶので列車の運行が規制されていたのですが、彼は勝手に指示を出して運行を再開させてしまいます。

結果全土から国民が押し寄せ、モスクワ市内で「同志スターリンに会わせろ!」と半分デモ化してしまいます。

警備を任されていたNKVDは粛清は得意ですが、民衆の誘導や制御は専門外で混乱し、最終的に民衆に向かって発砲してしまいます。

混乱は拡大し、最終的には一晩で1500人の死者が出てしまいました。

フルシチョフは狙い通りと大喜び。

彼は会議で公然と犠牲が出たのはベリヤの責任だと非難します。

しかしベリヤもフルシチョフの弱みを見つけていました。

ベリヤはスターリンの自室でマリヤがスターリンに宛てた非難の手紙を発見していました。

さらにマリヤがかつてフルシチョフの姪のピアノ教師をしていた際に、彼女とフルシチョフが不倫をしていたことまで調べ上げていたのです。

そのことで脅しを受けたフルシチョフは、何としてもベリヤを排除せねばと決意を固めます。

彼はベリヤを失脚させ、最終的に粛清することを狙い、国軍元帥ジェーコフにその計画を持ち掛けます。

国軍とNKVDはもともと対立していた上に、直近でベリヤが軍を押しのけてNKVDに警備をさせていたため、ジェーコフはベリヤの排除作戦に賛同します。

それかしばらくして7閣僚たちの会議が行われます。

フルシチョフは、ベリヤのせいで1500人死んだこと、彼が利権を独り占めしようとしていることなどその場で彼を徹底非難。

そこに国軍を引き連れたジェーコフがやってきます。

彼はベリヤをその場で逮捕。ベリヤは何とか言い逃れしようとしますが、モロトフやブルガーニンもフルシチョフ陣営に取り込まれ、なす術がありません。

倉庫で拷問付きの形だけの裁判が開かれ、ベリヤは国家反逆罪に、扇動罪、婦女暴行罪などある事ない事様々な罪を着せられ、そのまま庭に連れ出されて射殺されガソリンをかけられて火葬されました。

その後ソ連の首相はマレンコフが務めますが、わずか2年でフルシチョフの陰謀で失脚。

フルシチョフはブルガーニンに首相をやらせながら第一書記として実権を握りました。

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映画『スターリンの葬送狂想曲』の感想と評価


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

本作を鑑賞された方や上記のあらすじを読んだ方は思うのではないでしょうか。

「サラッとめっちゃ人死んでない?」と。少なく見積もっても1500人以上が劇中で亡くなっています。

長年独裁者が国を支配した結果、その死後残されたのは思考停止して長い物にまかれたり、ご機嫌取りや嘘をつくことだけが得意な側近たち。

そんな小物たちがお互いを出し抜いたり、誰かにスターリンの死の責任をとらせようとした結果、庶民や末端の兵士や医者がバタバタ死んでいく。いつだって上の失策の被害を真っ先にこうむるのは弱い立場の人間です。


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

恐ろしい事ですがこれは実話であり、極端な例ではありますがどんな国でも起こり得る事態です。

こんな話をコメディとして描く映画なので、上映中止となったロシアをはじめ激烈な反応を呼ぶのは当然ですね。

逆に言えば本作品『スターリンの葬送狂想曲』は、上映中止にされなければならないくらい危険なパワーを秘めているということです。

政治ブラックコメディとしては最高の栄誉でしょう。


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

この実話自体が不謹慎ながらも面白いだけでなく、名優たちによる小悪党の側近たちの演技も素晴らしく、ちょっとした表情やせりふ回しでも笑わせてくれます。

また、スターリンが倒れているのに医者を呼ぶか否か会議で多数決を採ったり、誰がスターリンを積んだトラックに続くか車の順番で争ったり、自分が処刑されるギリギリで恩赦が出て助かりなんとも言えない表情を浮かべる囚人などは、笑ってはいけないけど思わず笑ってしまうような場面の連続です。

また、本作はソ連の最高指導者が死亡するという話でありながら、一般国民の目線を敢えてほぼ排除しています。


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

それによって国の行く末を考える政治家たちが非常事態に自分のことばかり考えて行動し、恐ろしい事態を招いていることの馬鹿馬鹿しさがより際立っています。

最初に庶民側であるピアニストのマリヤの手紙を読んで独裁者スターリンが死亡、国民の恨みが届いた!と思いきや…という話の構成も意地悪ですね。

登場人物たちが悪人一辺倒なわけではなく間抜けでとても人間的なので感情移入させられそうになるのも怖いところです。

まとめ


(C)2017 MITICO – MAIN JOURNEY – GAUMONT – FRANCE 3 CINEMA – AFPI – PANACHE -PRODUCTIONS – LA CIE CINEMATOGRAPHIQUE – DEATH OF STALIN THE FILM LTD

笑うしかない恐ろしい実話というのが本作品『スターリンの葬送狂騒曲』の率直な感想です。

60年以上たって今、この話が作られていることにも意味があります。

馬鹿な人間たちによって国民の命運が左右されてしまうという怖さは、いつの時代のどの国の政治にもあります。日本ももちろん無関係ではありません。

そういう話は悲劇として大真面目に描くのもアリですが、本作のようにわざと軽いタッチのブラックコメディとして描く方がより怖さが身近に迫ってきます

ここまで攻めた内容の映画は年何本も見られるものではないので、ぜひ劇場で大勢で笑いと恐怖を味わってみてはいかがでしょうか。

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