マジか⁉︎ ニコラス・ケイジの挑んだ仰天、驚愕の実話はコメディになった!
神の啓示を受け「ビンラディン捕獲」の作戦に独りで挑み、全米を騒がせた愛国オヤジの奇妙キテレツな行動と狂気は、まさに若者ならではのお笑い感覚です。
映画『オレの獲物はビンラディン』は12月16日(土)より、シネマート新宿ほかにて全国順次公開!
CONTENTS
1.映画『オレの獲物はビンラディン』の作品情報
【公開】
2017年(アメリカ映画)
【原題】
Army of One
【監督】
ラリー・チャールズ
【キャスト】
ニコラス・ケイジ、ラッセル・ブランド、ウェンディ・マクレンドン=コービー、レイン・ウィルソン、デニス・オヘア、マシュー・モディーン、アメール・チャダ・パテル、ポール・シェアー、アドリアン・マルティネス
【作品概要】
『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』のラリー・チャールズ監督と、アカデミー賞俳優のニコラス・ケイジがタッグを組み、2010年にビンラディンの捕獲を企てたアメリカ人ゲイリー・フォークナーの実話を映画化。
『ロック・オブ・エイジズ』のラッセル・ブランド、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』のウェンディ・マクレンドン=コービ、『スーパー!』のレイン・ウィルソンによる共演。
2.映画『オレの獲物はビンラディン』のあらすじ
アメリカ・コロラド州の田舎町。
愛国主義の中年男ゲイリーは、アメリカ同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディンの居場所を、政府が未だに見つけられないことに怒りを覚えています。
ある日、日課として行なっている人工透析中にゲイリーは、神から啓示を受け、自らの手でビンラディンを捕まえることを決意。
「パキスタンに行って、オサマ・ビンラディンを捕まえるだ!」
アメリカを救えるのは俺しかいないと、使命感と愛国心を燃え立たせ、ゲイリーはビンラディンを捕獲作戦を開始します。
手始めに向かったのはラスベガスのカジノでした。目的は資金集めです。次にサンディエゴへ飛んで渡航手段のヨットを探し、武器となる日本刀を調達します。
突飛な行動続きのゲイリーを元同級生で障がいのある娘を持つマーシは心配するものの、本人はどこ吹く風の様子。
あらゆる波乱を乗り越えて、ようやくたどり着いたパキスタン。
ところがそこでゲイリーを待ち受けていたのは、意外にも陽気でフレンドリーな現地の人々でした。
見知らぬ土地の異文化交流をついつい楽しんでしまうゲイリー。そうしているうちにいつしかCIA職員ドスやシモンズから要注意人物としてマークされてしまいます。
どうなる独りぼっちのビンラディン捕獲作戦?アメリカ政府を悩ますターゲットを探し出し、ゲイリーが信じる“正義”は達成させられるのか?
3.映画『オレの獲物はビンラディン』の感想と評価
① 独自な演出方法で知られた鬼才ラリー・チャールズ監督
本作のプロデューサーであるジェーミー・ステックラーは、2010年にジャーナリストのクリス・ヘスよる、“単独ビンラディン捕獲作戦”を実行したゲイリー・フォークナーにインタビューを行った記事を読み、映画化に乗り出します。
その際に監督候補としてプロデューサーの間で真っ先に名前が挙がったのは、ラリー・チャールズ監督でした。
ラリー監督の映画制作は、一般的なハリウッド映画のようなシステムでは行われません。非常にユニークで、脚本を一切使用しないのが彼独自のやり方です。
なぜなら脚本は偶然性や運、リアリティやランダム性を自ら制御して、無限に広がる映画の創造性を自己崩壊してしまうのを嫌うためです。
そのラリー監督の独自の映画制作主義を知った脚本家を担当したラジヴ・ジョセフとスコット・ロスマンのコンビは、台詞や絵コンテ、登場人物の感情や心理描写を詳細に記載した50ページに及ぶ企画書を作成したそうです。
ラリー監督は一読するとすぐに、「頭の中に映像が浮かんでくるよ。最高だ!」と歓喜したそうです。
こうしてラリー作品でしか生まれ得ない、“既存の体系にとらわれないユニークな脚本”が完成しました。
脚本家スコットはラリー監督について、次のように印象を語っています。
「映画監督は、大体において船の舵をとる船長みたいなものなのだ。でも、ラリーは違う。暴走族を率いる族長なんだよ」
スコットの脚本家らしい例えですが、ラリー監督の人間的な骨太さが伝わるものですね。
②おさらい!ラリー・チャールズ監督の映画予告編集
『ボブ・ディランの頭のなか』(2003)
『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(2006)
『レリジュラス 〜世界宗教おちょくりツアー〜』 (2008)
『ブルーノ』(2009)
『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』(2012)
これらの予告編を見たあなたは、すでに本作『オレの獲物はビンラディン』の映画の持つ世界観や作風の雰囲気伝わったのではないでしょうか。
ラリー・チャールズ監督はこれまで、ボラット、ブルーノ、ラリー・デヴィッドといった、破天荒なアンチヒーローを常に生み出してきました。
しかし、実はラリー作品のすべてが率直な人間ドラマであり、人間の経験した物語を彼も率直に伝えようとしています。
なぜなら、人間の経験というものがいつでも大体が愉快で面白いものだからです。
あなたが本作をスクリーンで観た際に、主人公ゲイリーは田舎者で馬鹿なアメリカ人だなと感じるかもしれません。その一方で人間らしさ、親みやすさといった愛しさすら物語の中から伝わってきます。
そのような映画の主人公をこれまでにアメリカ映画で、あなたは見たことがあるのでしょうか。
綺麗にCGなどでデコレーションされたヒーローや、理想的に美しく描かれた人物造形に、本当の意味での人間味を感じてきたのでしょうか。
ラリー・チャールズ監督は、プロデューサーから現場スタッフまで、多くの人が口を揃えて唯一無二の映画監督と言うそうです。
それは彼がアメリカの現代監督を代表する伝説的な男(暴走族の族長)な人物にほかならないのです。
怪演俳優としての本領発揮。新生ニコラス・ケイジの誕生!
本作において何よりも重要なのは、主人公ゲイリー・フォークナーをどんな俳優をキャスティングするかということでした。
ゲイリーのようなチョッと一般的には厄介なキャラクターで騒がしく、ワイルドな変人を演じるためには、とことん大胆でラリー監督のビジョンにどこまでも付き合える俳優でなければなりません。
しかしラリーは初めから適任な俳優を決めていました。それはニコラス・ケイジです!
ニコラス・ケイジ主演作『コン・エアー』(1997)
ニコラス・ケイジという俳優は、大胆でリスクを惜しまず、今のアメリカ映画界に稀な存在だとラリー監督は彼を絶賛します。
今までに数多くの映画に出演しているニコラス・ケイジですが、本作のゲイリー役は明らかに俳優としての新境地を開拓しようとしている姿勢の証だと、ラリー監督は指摘しました。
このことはラリー監督と俳優ニコラスの2人が互いに、アーティストであり精神的に冒険家である唯一無二の存在だという繋がりでもあるのでしょう。
ニコラスはラリー監督が自ら電話を掛けてきた出演依頼を受けることに迷いはなかったようです。その後ニコラスの元に送られてき脚本には、即興的な演技の提案がたくさん書いてありました。
一般的な脚本のような制限に縛られず、その場その場で即興的な演技ができることに、ニコラスは興奮を覚えたそうです。
俳優として演技プランを考え始めたニコラスは、ラリー監督とともに実際のゲイリー・フォークナーに初めて会うことになります。
その際にゲイリー本人の懐に飛び込むように、髪を伸ばして白く染め、髭を生やし、中身だけでなく外見のアプローチの努力も惜しまなかったそうです。
ゲイリー本人と面会した後のニコラスは、「髪、髭、体系、声、思考、すべてが、ゲイリー以外の何者でもなかった」と、ラリー監督は役者魂に圧倒されたそうです。
そのことは、これまでのニコラス・ケイジの出演してきた数々の映画を観て見てきた、あなたなら、とても驚かされること間違いなし!
白髪を無造作に束ねた髪型や中年肥りした体型、またリアルにパンツのゴムが伸びたような姿で日本刀を振るニコラス。
まさしく、近年のニコラスが演じた役ではスマッシュヒットな怪演といえるでしょう!
彼の今後の俳優としての伸びしろが知れるのが、本作だといっても過言ではありませんよ。
まとめ
映画『オレの獲物はビンラディン』は12月16日(土)より、シネマート新宿ほかにて全国順次公開!
実話の人物をどのようにニコラス・ケイジが演じ上げ、ラリー・チャールズ監督が自由に人間ドラマのコメディとして描いたのか⁉︎
ぜひ、お見逃しなく!