連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第44回
2021年6月11日(金)にNetflixで配信された、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションが制作した、中国・アメリカ合作のファンタジーコメディ映画『ウィッシュ・ドラゴン』。
貧乏大学生の前に突如現れたドラゴンと一緒に彼が幼馴染との再会を願い、陽気な冒険に出発する姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ジャッキー・チェンがプロデューサーとして制作に携わった、中国・アメリカ合作のコンピューターアニメーションによるファンタジーコメディ映画、『ウィッシュ・ドラゴン』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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映画『ウィッシュ・ドラゴン』の作品情報
(C)ソニー
【日本公開】
2021年(中国、アメリカ合作映画)
【監督・脚本】
クリス・アップルハンス
【キャスト】
ジミー・ウォン、コンスタンス・ウー、ナターシャ・リュー・ボルディッツォ、ジョン・チョー、ジミー・O・ヤン、ボビー・リー、ニコ・サントス、ウィル・ユン・リー、ロニー・チェン、アーロン・ヨー、アレクサンドル・チェン、クリス・アッペルハンス
【作品概要】
『ドランク・モンキー 酔拳』(1978)や「ラッシュアワー」シリーズなど、ハリウッドでも活躍する香港出身のアクションスター、ジャッキー・チェンがプロデューサーを務め、クリス・アップルハンス監督のデビュー作を作り上げた中国・アメリカ合作のファンタジーコメディ作品です。
字幕版ではジミー・ウォン、日本語吹き替え版では『進撃の巨人』の下野紘が、それぞれ主演を務めています。
映画『ウィッシュ・ドラゴン』のあらすじとネタバレ
(C)ソニー
中国・上海。母親と2人でボロアパートで暮らしている貧乏大学生ディンは、9歳の時出会った幼馴染の女の子ワン・リナと、ある約束を交わしました。
「何年経ってもずっと、一番の親友でいよう」と。しかしある日、リナは父親と一緒に街を離れ、高級住宅街に引っ越していってしまったのです。
そして現在。19歳になったディンは、10年間ずっと会えていないリナの誕生日を祝うため、大学をサボって2週間、小籠包を届けるデリバリーのアルバイトに勤しんでいました。
ディンは配達中、偶然会った同じ大学に通う友達ウェンに、「代わりに課題を持ってきてくれないか」と頼みます。ウェンから条件付きで承諾を得た後、ディンは最後の配達先へ向かいました。
ところが、ディンが向かった最後の配達先は、崩れた家やその破片が辺りに散乱する廃墟でした。しかも依頼主は、自身を神だと言う、琵琶を弾く老人です。
「ワシは純粋な心を持つお前を選んだ。この急須の中に、お前が必要なものがある」
琵琶を弾く老人(以下、琵琶の神と表記)は、ディンに無理矢理緑色の急須を渡しました。ディンはその後、配達に使う原付バイクをバイト先に返し、急いで紳士服店に行ってスーツ一式を調達。
ディンは、母親にバイトをしていることもその理由も告げていないため、家で夕食の支度をする彼女に嘘を言って、ここ2週間帰りが遅くなったことを誤魔化そうとします。
しかし、課題を持ってきたウェンが、母親や近所の人たちがいる前で、ポロッと口が滑ってバラしてしまうのです。このままサボると、落第の可能性があることも。
当然ディンの母親は怒り、ディンに「勉強という大事な仕事以外に、大事なことなんてあるの!?」と説教します。
ディンは思わず、「大事な親友のリナの誕生日を、特別なことをして祝ってあげたかったからバイトしていた」と言いそうになるも、女手一つでここまで育ててきた彼女の苦労を思うと、何も言えませんでした。
その夜。明日リナに会えると思うと楽しみで眠れないディンは、モデルとして活躍する彼女の広告が見えるアパートの屋上で、1人予行練習をします。
しかし、古着屋でスーツを購入したのがいけなかったのか、ディンが試着したスーツは室外機に巻き込まれ、パンツがボロボロになってしまいました。
ディンが着ているスーツのジャケットも、腕を上げるだけで脇の部分が破れ、散々な目に。落ち込むディンは、リナの広告を見ながら自身の気持ちを打ち明けます。
「もうどうしていいか分からないよ。皆から“将来は安泰だ”って言われて、僕も皆の期待に応えようと努力している」
「でもいつも思う、“何かが足りない”って。僕はただ、あの頃君と交わした約束を守りたいだけなんだ」
(C)ソニー
その時、ディンが持ってきた鞄の中に入っていた緑色の急須が突如動き出し、中からピンクのドラゴンが現れました。
「お呼びかな、我が主!天は開いた、おぬしの願い事は叶えられる。我こそはロン様であるぞ」
そう言うドラゴンのロンは、ディンに「自分は魔法を使えるドラゴン“ウィッシュ・ドラゴン”で、急須の持ち主の願いを3つ叶えることが出来る存在」だと説明しますが、ディンはなかなか信じようとはしません。
そこでロンは、ディンを魔法で宙に浮かせ、彼を色んな姿に変えて、本当に魔法が使えることを証明し信じさせてから、早速本題に入りました。
「ウィッシュ・ドラゴンは10人の主に仕えたら、解放され楽園に行ける。おぬしが最後の1人だ」
「この狭苦しい急須の中に、1,000年もの間閉じ込められてきた。だからすぐにでも願い事を叶えたいのだ」
そう話すロンとディンの元へ、急須を求めるギャング3人が屋上に現れます。ディンはロンが持ち主だと言いますが、ロンの主人であるディン以外には、彼の姿は見えていないのです。
ディンは結局、ギャング3人に急須を渡すよう迫られ襲われ、ついに袋小路へ追い詰められてしまいます。
その時、ディンは咄嗟に、「喧嘩が強かったらな」と願望を口にすると、ギャングとの立場は逆転。突如カンフーの達人に変わったディンは、ギャングたちを圧倒し、彼らを撒いて帰宅しました。
翌朝、ベッドの上で目覚めたディンは、母親が仕事に出かけた後、ロンを呼び出してカンフーの達人になった理由を尋ねます。
急須から出て来たロンは、「1つ目の願い事として、おぬしをカンフーの達人にしてやった。残る願い事はあと2つだ」とディンに言いました。
ただ自分の願望を口にしただけで、願い事1つとカウントされてしまうことに不満なディン。そんな彼に、ロンは早く2つ目の願い事を唱えるよう急かします。
「金貨の山を積み上げ金持ちになることも、遠くにいる大事な人と話すことも叶えられる」
そう告げるロンに、ディンは「金は必要ないし、話ならスマホで電話出来る」と答えます。1,000年もの間、急須の中に閉じ込められていたロンにとって、携帯電話やその着信音すら何のことだか知りません。
ディンのスマホを訝しげに見るロンに、ディンは「2つ目の願い事が決まった」と言い、彼を街へ連れ出します。
以下、『ウィッシュ・ドラゴン』ネタバレ・結末の記載がございます。『ウィッシュ・ドラゴン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)ソニー
リナの父親はこの10年で会社の社長に成り上がり、リナも社長令嬢とモデルとしての地位を確立。高級住宅街にある大豪邸に住んでいたのです。
ディンはリナの自宅で開かれる誕生日パーティーに参加するため、ロンに乗せて貰って空を飛び、彼女の自宅へ到着。そこで2つ目の願いを口にしようとします。
狭苦しいバスの車内も、渋滞にハマったタクシーにいるのも嫌だったロンは、渋々ディンを連れて空を飛びましたが、リナに会うのが目的だと知るとこう忠告しました。
「色恋はダメだ。時間の移動、人殺し、誰かを惚れさせるという願い事は叶えられない」
ディンは色恋ではないと否定し、ロンにリナとの出会いを語った後、2つ目の願い事を唱えました。「1日だけ金持ちになって、ずっと親友でいると約束したリナと再会したい」
その結果、ディンは24時間限定の金持ちの御曹司となり、ロンは人間に変身して彼の要望通り、彼専属の執事兼高級車の運転手になってパーティーに出席しました。
しかし、招待客の対応に追われていたリナに、ディンは自分だと気づいてもらえず、「招待客の1人」としてしか見て貰えませんでした。
そんな時、リナが父親不在のパーティーを抜け出し、厨房に置かれたプレゼントの山に隠れて泣いていました。ディンはチャンスだと思い、彼女を慰めながら自身の正体を打ち明けようとします。
リナはディンの気持ちに気づかず、彼に本音を打ち明けました。「仕事でいつも忙しいパパだけど、今夜だけはそばに居てくれると思ったのに」
「“自分の将来は安泰だ”と皆に言われて、私も皆の期待に応えようと頑張っているけど、この先どうしたら良いか分からない」「それにいつも、“何かが足りない”と感じるの」
順風満帆な人生を歩んでいると思っていたリナも、自身と同じ悩みを抱いていることを知ったディン。彼はリナに名前を尋ねられ、自分の名前を言おうとします。
そこへ、リナの父親の秘書バックレーが現れ、彼が持つタブレットにより、ワン親子はテレビ電話越しに話しました。
ところが、リナの父親がリナにあげたプレゼントは、去年と同じ緑の宝石がついたネックレス。ちょうど今、リナが身に着けている物でした。
ディンがリナの父親のフォローをすると、彼に名前を尋ねられ、ディンはリナに失望されたくない思いから「御曹司のダンク」だと名乗ってしまいました。
ワン親子に気に入られたディンは、リナの父親が手配した高級レストランで、明日リナとランチする約束をしました。
リナと別れ、帰路につくディンはロンから忠告を受けるも、「庶民と金持ちという、貧富の差なんて友情には関係ない。僕たちは強い絆で結ばれている」と言います。
そんなディンに“友達がいないドラゴン”認定されたロンは、ムキになってつい、自分が元は人間であったことを話してしまうのです。
「お前の願いを3つ叶えて、この忌まわしき現世とおさらばして天国に行き、中国史上絶大な富を築き、民に愛された我の帰りを待つ民たちと凱旋パレードを開く」
「支配者たる我は、お前より人間のことを知っている。だから現世の問題を、いち早く解決できるお金が欲しいと願え」
そう要求するロンに、ディンは「それが、ロンが1,000年生きてきて学んだことなの?」と言います。ロンはこの問いに何も答えられませんでした。
夜22時過ぎ。帰宅したロンは、帰りを待っていた母親へ嘘の話をして誤魔化そうとしました。しかし、姿が見えず声が聞こえないことをいいことに、ディンが言う言葉に茶々を入れてくるロン。
ディンのロンへの反論を自分に向けられたものと捉えた母親と、ディンは喧嘩に発展。彼は咄嗟に「もうこんなボロ屋は嫌だ」と言ってしまうのです。
翌日。ディンは母親と仲直りできぬまま、ロンと一緒に変身して高級レストランへ向かいました。
金持ちの振舞い方が分からないディンは、皇帝であったロンの助言に従ったものの、その横柄な態度によってリナは激怒。
ディンがリナへ謝罪しようとすると、ディンが残したスーツのジャケットを頼りに、彼の居場所を突き止め尾行していたギャング3人が襲撃。
(C)ソニー
ディンはリナを守りながら、ギャング3人と戦い、高級レストランを出て旧正月で賑わう街中に逃げ込みます。その際、ロンはディンに言われて龍のハリボテに変身。
するとギャングたちも、どこからか調達した龍のハリボテで対抗し、観客から姿が見えないことをいいことに、ディンに猛攻撃を仕掛けます。
街中で戦うディンたちとギャング。その結果、ビルの屋上からロンに捕まって空を飛んだディンたちは、無事ギャングを撒くことができました。
ところが、ディンたちがディンの自宅周辺で着陸した際、ディンにかかっていた魔法が解けてしまいました。ダンクの正体がディンだったと知るリナ。
リナはディンの嘘を知ってもなお、彼に幻滅することはなく、むしろ彼と一緒に懐かしい街を走り回ったり、彼の自宅で夕食を囲んだりして楽しみます。
その夜、アパートの屋上で昔話に花を咲かせる2人。ディンはリナに、「今度本当のデートをしよう」と誘いましたが、断られてしまいました。
「今夜は一緒に過ごすことが出来て嬉しかった。でも今の私は、あの頃とは違う生活をしていて、キャリアと将来も、パパが必死に働いて用意してくれたの」
「私もその気持ちに応えたい」「僕じゃその期待に応えられない?」「分かってもらえないだろうけど、今の私が見ているのは現実だけなの」
そう話すリナと別れた後、自宅でも母親に「現実を見なさい」と言われてしまうディン。彼は今までずっと、お金なんてなくてもリナと友達でいられると思っていました。
でも現実は違い、リナと一緒にいるためには金が必要だと知ったディンは、ロンに「自分を金持ちにして、金貨の山を作って」とお願いします。
「お金さえあれば、ロンが言うように大勢の人に崇められ、皆が自分と友達になりたがる」と自暴自棄になるディン。
ロンはそんなディンに、魔法で自分が皇帝として君臨していた宮殿跡地を見せ、生前の自分について語りました。
「皇帝の一族だった我は、幼くして“黄金とは権力の源だ”と教わった。故に我は、富を増やすことに邁進し、その勢いはとどまることがなかった」
「民は忠実で、長年にわたり休むことなく働いた。17人の妻との間にできた娘たちは皆、裕福な家に嫁ぎ、国の繁栄を支えた」「そして息子には、宝の略奪に向かわせ、(盗賊に殺されて)英雄となって戻った」
「我はさらに富を得て、領土を広げ、歴代の王よりも多くの記念碑を築いた」「しかし我が死の床についた時、家族や家臣たちが見舞いにくるのを待っていたが、誰も来なかった」
「我は、己を忘れた者たちを呪いながら死んだ。天国への門に行けば、盛大に歓迎されるものと思っていた」
「だが神は、我が身を龍に変え、褒美ではなく罰として、急須の中に封じ込めたのだ。地上に返されたのは、10人の主に仕え、人生とは何か学ぶためだ」
「1,000年にわたり、多くの主に仕えたものの、まだ何も学べていない。おぬしに出会うまでは」
「まだ人生が何か分からない。だがおぬしの家族や大切な友たちは、我のどんな宝よりも尊い。どんなに金貨を積んでも手に入らない」
「願いを叶えよう、本当に心から欲するものは何か」そう告げるロンに、ディンは自身の本当の願いを告げようとします。
そこへ、ギャングたちを連れたリナの父親が現れ、ディンに急須を渡すよう要求しました。
実はリナの父親は、業績悪化により会社が倒産してしまったのです。リナの将来を心配したリナの父親は、現状を打開する方法を模索した結果、急須の存在を文献で知りました。
リナの父親は、藁にも縋る思いでギャングたちを雇い、急須を手に入れるよう仕向けていたのです。それを知ったディンは、急須を手放すことを拒否。
ギャングのボスはブロックを蹴り、急須をアパート隣の竹の足場まで飛ばしてから、ディンと急須を巡って戦いました。
その結果、両手と足を駆使して猛攻撃を仕掛けるギャングのボスに、ボコボコにされたディンは下のネットまで転落。
その間、どさくさに紛れて急須を手に入れたリナの父親も、自分が王となるために急須を欲したギャングのボスの裏切りに遭い、足場から地面まで転落してしまったのです。
ロンの魔法により、触れたものを金属化させる左手を手に入れたギャングのボスが、手下を連れて車に乗って逃走。
それとすれ違うように、父親を心配して駆けつけたリナは、父親の本心を知って涙を流し、息を引き取った彼の死に嘆き悲しみました。
ディンはロンを助けるため、足場近くにあった鉄球付きのクレーンを使って、道路を走るギャングたちの車に着地。
狭い車内や車体の上、金属化したせいでコントロールを失った車に投げ出され、宙を舞ってもなお、急須を巡って戦うディンとギャングのボス。
2人は同時に急須に触れ、ロンを呼び出して彼の背に乗りながら、急須を巡って戦います。その際、ロンは身を挺してディンを守り、金属化してしまうのです。
ディンに殴りかかった左手が、ロンに触れた部分から自身の体に伝わり、金属化してしまったギャングのボス。彼は海への落下の際、道路脇にぶつかって粉々に砕け散りました。
同じく海へ落下したディンは、金属化したロンを救おうとしましたが、重さに耐えきれず浮上。壊れた車の破片に乗り、ロンの死に嘆き悲しみます。
その頃ロンは、天国への門の前に立っていました。琵琶の神はロンを、10人の主に仕え、願いを全て叶えた褒美として天国へ行くことを許可します。
門の向こうの凱旋パレードに心奪われるロンでしたが、琵琶の神に「地上に戻りたい」と要求。琵琶の神は戸惑ったものの、意地でも地上に戻ろうとするロンを見て、条件付きで地上に返すことにしました。
無事地上に戻ったロンは、自分と一緒に海の底へ沈んでいた急須をロンに手渡し、最後の願い事は何か尋ねます。
ディンの最後の願い、それは「リナの父親の蘇生」でした。ディンの願いを3つ全て叶えたロンは天へ昇り、彼が入っていた急須の消滅後、ディンは海岸から立ち去りました。
海岸には、戦いの最中に急須を偶然手にした手下たちがおり、大柄な手下は「子犬が沢山いるペットショップを開きたい」、小柄な手下は「自分の足を長くしたい」という願いが叶って満足そうに立ち去っていきました。
帰宅したディンは、母親と仲直りをしたのち、感謝を述べに訪問したワン親子と一緒に、10年ぶりに食卓を囲みました。
後日。ディンと母親、ワン親子の4人は、1人アルバイトを雇って、一緒に中華料理屋を開くことにしました。
開店直前、湯呑を取りに倉庫へ行ったディンは、白地に金の装飾が施されたドラゴンの急須を発見。ディンは試しに、店の裏でロンを呼び出します。
現れたロンは、自ら望んで天国行きを断り、再び急須の中に入って地上に帰ってきたことを報告。
「また新たに10人の主に仕えねばならないが、それは我が自ら望んだことだ。我は生まれて初めて、“自分も人々に知恵を授け、この世を変えられるかも”と思った」
そう話すロンは、だんだんと照れ臭くなってきたのか、ディンに「パレードには(地上で気に入った)えびせんがなかった」「まだ巨大な金属の鳥(飛行機)に乗ったことがない」と愚痴をこぼします。
そんなロンが、自分の為に戻って来てくれたことが嬉しくて抱きつくディン。ロンも優しい目で彼を見つめ、抱きしめ返しました。
その後ロンは、ディンに「旅に出たい」とお願いします。ディンはロンの願いを叶えるため、店の前を偶然通りかかったリアカー付自転車の荷台に急須を乗せました。
そのリアカー付自転車に乗っていたのは、琵琶の神でした。
映画『ウィッシュ・ドラゴン』の感想と評価
(C)ソニー
再会したディンとリナの友情
10年ぶりに再会したディンとリナは、一緒に遊んでいた9歳の頃とは違い、住む世界がそれぞれ変わってしまいます。
リナは社長令嬢とモデルとして活躍する一方、ディンは昔と変わらず、ボロアパートに暮らす貧乏大学生のままです。
お金なんて友情には関係ないと豪語するディンの言葉には、観ている人も思わず心にグッと刺さって感動することでしょう。
そんな純粋なディンですが、物語の後半ではリナの告白により、辛い現実を直視しなければならなくなります。
自暴自棄になるディンでしたが、ロンのおかげでリナとの友情を取り戻し、最後には一緒に店を開いていました。
ディンとリナの、10年もの間一緒にいられなくても強い絆で結ばれた友情の行方、そして新たな関係に進もうとしている2人に、観ているこちらもハラハラドキドキさせられます。
ロンの悲しい過去
最初はディンをただのお気楽で間抜けな小僧だと思い、少し舐めた態度で接するウィッシュ・ドラゴンのロン。
物語の前半では、現代社会を知らないロンが色んなことに驚き、時には踏んだり蹴ったりな思いをする面白い場面が満載です。
それが一転する物語の後半。自暴自棄になったディンに語ったロンの過去は、悲しく辛い人生でした。
権力の源と学んだ富を築くため、家族や家臣たちを蔑ろにしてきたロンの最期は、思わず目をそむけたくなるほど悲しいです。
そんなロンがディンと出会ったことで、変わろうとしている姿、そんな彼を優しく見守る琵琶の神とのやり取り。その場面こそ、本作で一番泣ける感動の場面<です。
まとめ
(C)ソニー
10年ぶりに再会したディンとリナの友情、そしてウィッシュ・ドラゴンのロンとディンの友情、この2つの友情を描いたファンタジーコメディ作品でした。
本作の見どころは、ディンとリナ、ロンとディンのそれぞれの友情と成長です。2つの友情を描いた本作には、笑える面白い場面もあります。
琵琶の神と現代人ディンの温度差と、現代社会を知らず、あらゆることに驚くディンの一挙手一投足。天国の門前で交わされるロンと琵琶の神の口論。
他にも、ディンを襲うギャングたちの少し間抜けな姿。そのどれもが、アニメーション映画ならではのコメディで面白いです。
字幕版はもちろん、声優の杉田智和演じるロンと、声優の下野紘演じるディンのやり取りが聞ける日本語吹き替え版も、両方観ることをオススメします。
字幕版も吹き替え版も両方面白い、ドラゴンと人間たちの友情に泣いて笑えるファンタジーコメディ映画を観たい人に、とてもオススメな作品です。
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