連載コラム「銀幕の月光遊戯」第65回
映画『WAR ウォー!!』が2020年7月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田他にて全国順次ロードショーされます!
世界で一番映画が作られている国・インドから、最強のスパイアクション・ムービーがやってきた!
リティク・ローシャン、タイガー・シュロフというインドの次世代を担う2大スターの豪華共演が実現。2019年、インド国内興行収入第1位を記録し、世界30ヶ国を熱くした、“キング・オブ・ムービー”がいよいよ日本上陸です。
CONTENTS
映画『WAR ウォー!!』の作品情報
【公開】
2020年公開(インド映画)
【原題】
War
【監督・脚本】
シッダールト・アーナンド
【キャスト】
リティック・ローシャン、タイガー・シュロフ、ヴァーニー・カプール、アーシュトーシュ・ラナー、アヌプリヤーニー・ゴーエンカー
【作品概要】
リティク・ローシャン、タイガー・シュロフというインドの大人気スターが共演したインド産スパイ・アクション映画。2019年、インド国内映画興行収入の第一位に輝き、世界30ヶ国で封切られ大ヒットを記録しました。
映画『WAR ウォー!!』のあらすじ
「カビールが裏切った!」 インド対外諜報を担う調査・分析部RAWに衝撃が走りました。
国際的なイスラム教過激派テロリストを追った、RAWの中でもNo.1の腕利きスパイであるカビールが、作戦決行中に味方の高官を射殺して逃亡したのです。
RAWはカビールを抹殺することを決定。優秀な若手スパイのハーリドは自身がその役割を果たすと名乗りを挙げますが、2人の上司であるルトラ大佐は、2人の関係は近すぎると心配します。
国家を裏切った父のせいで、ハーリドは母と共に長い間苦しんできたという過去がありました。汚名を返上し、自身は国家のために立派な諜報員になることを誓った彼のことを最も理解してくれていたのがカビールだったのです。
2人は指揮官と部下として数々の作戦を成功に導いてきた師弟コンビでした。
ハーリドは個人的な想いを封印し、使命感に燃えカビールの行方を追いますが、それでも心の片隅に「なぜ?」という疑念がくすぶり続けていました。
カビールの目的は何か? ハーリドは任務を遂行できるのか? 2人の凄腕スパイの死力を尽くしての戦い<WAR>が開始されました!
※RAW:(Research and Analysis Wing) -インドの対外諜報機関。
映画『WAR ウォー!!』の感想と評価
一級のアクション映画
インド映画『WAR ウォー!!』は、「ミッション:インポッシブル」シリーズや、「ボーン」シリーズなどハリウッド作品を彷彿させる、スリリングなスパイ・アクション映画です。
当然、世界をまたにかけた展開が繰り広げられ、エキゾチックなロケーションが次々と登場してきます。
氷上のカーチェイスは「ワイルド・スピード」シリーズを意識したものでしょうし、飛行機に飛び移って敵陣に飛び込み、ドアが開いたままの状態で戦うシーンは「ミッション:インポッシブル」シリーズのいくつかの作品を思い出させます。
ポルトガルの山頂に続く道をオートバイで進む激しい追跡シーンは、映画の撮影のために道路を封鎖しているふうには見えず、普通に一般人の車が傍を走っている中、ロケしているのでは?と、別の意味でもハラハラさせられます。
オートバイから始まってカーチェイス、空中アクション、最後は砕氷船まで登場するという徹底ぶりで全てが見せ場ですが、それでもやはり最大のみどころは、人間と人間の肉弾戦にあります。
序盤から敵のアジトのど真ん中へ無防備に飛び込んでいく主人公。最初は銃をぶっ放していた敵もいつの間にか銃には触れなくなり、素手と素手の激しい応酬が始まります。
武器を捨てて最後は肉体の勝負へとなだれ込むのはアクション映画のひとつのセオリーであり、醍醐味です。その舞台も凝っており、とりわけラストの決戦はアクション映画ファンを“にやり”とさせるものになっています。
さらに、アクション映画というのは、単にアクションシーンがド迫力であればいいというものでもありません。
アクションをいかすも殺すも物語次第。その点でも本作は油断ならないストーリー展開を見せ、最後まで飽きさせません。
ゴージャスな美男美女たち
このように、ハリウッド映画顔負けのアクションを見せてくれる本作ですが、インド映画の面白さはここからといっても過言ではありません。
映画の中盤、タフな主人公たちが突然、笑顔で歌い踊る、ゴージャスなミュージカルシーンが登場! さっきまで華麗なガンアクションや武道を披露していた主演俳優、タイガー・シュロフ、リティク・ローシャンが滅茶滅茶高度なダンスを披露しています。
ヒンディー語の曲としては初めて、イタリア南部のアマルフィ海岸にあるポジターノのビーチで撮影されたというこのシーン。ミラノから150人を超えるダンサーを迎え、壮大なものとなりました。
これこそが“マサラ映画”の魅力です。歌、ダンスは勿論、人間ドラマ、ラブロマンスなど様々なジャンルがたっぷり詰め込まれたエンターテインメントのおもちゃ箱のようです。
出てくる人物は男性も女性も皆、ゴージャスな美男美女ぞろい。作り手は、誰よりも、彼ら彼女たちを魅力的に撮ってやろう、彼ら彼女たちを一番素敵に撮れるのは自分だ!という野心のもと撮影に挑んでいるはずです。
“スター映画”の魅力とはまさにそこにあり、スターはますます輝きを増していくのです。
インド映画を牽引する二大スター
では、この映画に出てくる2人のスター、リティク・ローシャン、タイガー・シュロフとはどのような人物なのでしょうか。
No.1の腕利き諜報員カビールに扮するリティク・ローシャンは、1974年生まれ。1970年代、80年代に一世を風靡したスター俳優で監督でもあるラーカーシュ・ローシャンを父に持つ二世俳優です。
父の監督作でインド版『E.T.』ともいわれる『Koi…Mil Gaya(誰かに…出会った)』(2003)や、仮面のヒーロー「クリシュ」シリーズ(2006~)が大ヒット! 『Jodhaha Akbar(ジョーダとアクバル)』(2008)では歴史劇に初挑戦し、主演男優賞に輝くなど、人気、実力を兼ね備えたトップ俳優のひとりです。
ハーリド役のタイガー・シュロフは、1990年生まれ。両親とも俳優の芸能一家に育ちました。テコンドーの黒帯所持者で、『WAR ウォー!!』でも素晴らしい格闘シーンを演じています。代表作に『タイガー・バレット/Baaghi 2』(2018)などがある人気若手俳優です。
2人共、甘いマスクと鍛えられた精悍な体を持ち、ダンスにも優れているのですから、インド映画俳優のスキルの高さにはまったく驚かされます。
リティク・ローシャンと絡むゴージャスな美女ナイナに扮するのは、ヴァーニー・カプール。彼女も素晴らしいダンスを披露しています。
また、アヌプリヤー・ゴーエンカ扮するアディティは麗しいウェディング姿を披露しています。
昨今のアクション映画における女性の役割は、「あっさり死ね」か「なくてはならぬ活躍をする」の両極端に分かれるようなところがありますが、2人の美女の動向にも注目です。
まとめ
監督のシッダールト・アーナンドは、原案、脚本も担当。トム・クルーズの『ナイト&デイ』をリメイクした『バンバン!』(2014)などアクション映画を得意としている監督です。
興行収入トップ10の常連で、『WAR ウォー!!』で初めて1位を獲得しました。次回作は『ランボー』の正式なリメイクだそうで、また壮大な作品となりそうです。
映画『WAR ウォー!!』は、リティク・ローシャン、タイガー・シュロフのファンや、インド映画ファンの方は勿論のこと、あまりインド映画は馴染みがないという方にも観ていただきたい作品です。
大きなスクリーンでのご鑑賞をおすすめいたします。
次回の銀幕の月光遊戯は…
8月08日(土)より新宿 K’sシネマ、大阪 シネ・ヌーヴォ、神戸 元町映画館にて同時公開、以降全国順次公開予定の映画『れいこいるか』を取り上げる予定です。
お楽しみに。