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Entry 2022/01/25
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よい子の殺人犯|ネタバレ感想考察解説と結末ラストあらすじ。元ネタとオタクのアーナンに見た“共生あるいは寄生”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー66

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第66回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第65回は、「台湾巨匠傑作選2021」の江口洋子スペシャルセレクトに選出された『よい子の殺人犯』(2018)のご紹介です。

アニメオタクでニートのアーナンは、母親と認知症の祖父と粗末な家で暮らしています。母親は朝は市場で午後はレストランで働き、一家を支えています。

アーナンは自分と同じアニメ好きの女の子に恋をしますが、彼女はオークションでみつけたレアグッズを欲しがります。彼はグッズを落札するためにバイトを始めますが…。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『よい子の殺人犯』の作品情報

(C)2019 ANZE PICTURES Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2018年(台湾映画)

【原題】
The Magnificent Bobita

【監督】
ジャン・ジンシェン

【脚本】
ワン・リーウェン、リャオ・ボーミン

【キャスト】
ホアン・ハー、ワン・チェンリン、タミー・ホー、フー・ルー・ルー

【作品概要】
ジャン・ジンシェン監督の初長編作の『High Flash 引火点』で脚本も手掛け、2017年の優良電影劇本(優秀脚本)賞を受賞しました。本作が長編作の2作目となります。

主演のホアン・ハーは2018年の東京国際映画祭上映作品、『トレイシー』、2020年東京国際映画祭上映作『悪の絵』などに出演し、17歳の時に台湾版エミー賞第44回金鐘奨にて、連続テレビドラマ主演男優賞を受賞した実力派の若手俳優です。

映画『よい子の殺人犯』のあらすじとネタバレ

(C)2019 ANZE PICTURES Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

アーナンは内気で職場になじめず会社を辞め、カラオケで送別会をしてもらいますが、男性上司や先輩女性からのセクハラに、感情をコントロールできなくなり、コップの水を先輩の顔にかけてしまいます。

しらけてしまい同僚たちは帰宅しますが、アーナンは憂さ晴らしをするように、自分が好きな日本のアニメ「ボビッター」の主題歌を熱唱します。

アーナンの母は鮮魚市場で働いています。アーナンを定職につかせようと伝手を使いますが、何をやっても長続きしません。

母が仕事を終え大量の亀を持って帰宅すると、認知症の舅が部屋で放尿しています。後始末をする母、仕事を辞めたというアーナンと問題は山積みです。

仕事をするようたしなめられてもアーナンは、「金には困っていない」と自部屋にひきこもって、オンラインゲームをしたり、“ボビッター”ファングループで動画チャットで楽しむ日々です。

そこではボビッターについてボビッター愛を語り、レアグッズを見せ合ったりする場でした。“推し”のレアグッズを持っていると、羨望の目で見られ一目置かれる存在になれます。

その晩、アーナンはボビッターの立体ブロックを取り出します。仲間から羨望の目で見られたのも一瞬で、それはグループの中心的存在、ガンから借りた物でした。

ガンはもっと見せたいものがあると言って、ボビッターの着ぐるみ帽子を出します。それだけでも称賛されますが、彼が本当に見せたかったものは、帽子を被った“彼女”です。

彼女の名前は“イチゴ”といい、ボビッターのファンでとても可愛い女の子です。アーナンは一目ぼれをしますが、彼にとって彼女は高嶺の花でした。

アーナンの現実は認知症の祖父の世話を手伝うことでした。心優しい彼は祖父を大事に思う青年でした。

悩みの絶えない母は大量の亀を購入しては、川へ放流し「南無阿弥陀仏」と唱え、自らの業を流そうと祈祷します。

母は夕食の支度をしながら、アーナンに新しい仕事をみつけてきたと話します。ところが当の本人は働く気など全くありません。

それどころか厄介なことが増えます。何年も疎遠にしていたアーナンの叔父が、若い女を連れて家に押しかけて来たのです。

叔父のユエンホンも働きもせず、ギャンブルに明け暮れ借金まみれの男です。実家に居座るつもりで帰ってきて、金目の物を物色するありさまでした。

母は亡くなった父の代わりに、気を引き締めるようアーナンに言います。

ユエンホンはお金もないのに、ギャンブル仲間に奢ると見栄を張ります。ところが仲間も彼が無一文なことを知っており、逆に借金のある彼に返済を迫ります。

一方、アーナンがボビッターのアニメを観ていると、イチゴから動画チャットに連絡が入り、日曜日に仲間達のたまり場になっている、アニメショップに行こうと誘われます。

アーナンは彼女が行くならと答えます。アーナンはイチゴから誘われたことに、喜びを顔ににじませました。

以下、『よい子の殺人犯』ネタバレ・結末の記載がございます。『よい子の殺人犯』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2019 ANZE PICTURES Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

日曜日、アーナンは祖父を家に残して出かけます。

アニメショップにはボビッターマニアが集い、手に入れたグッズの自慢をし合っています。1人の少年が東京で買ったという、オレンジ味の限定スナック菓子を見せると、ガンはそれは偽物だと教えます。

少年が開けてみると確かに中身は、既製品のお菓子でした。このように人気アニメのキャラクターグッズには、偽物もあってガンはそのことに詳しいマニアでした。

アーナンが店に入っても存在に気づかれません。ところがブロックのボビッター模型をだすと、マニア達が集まってきます。

そして、イチゴも近くに来て偽物だったスナック菓子をあげようとします。その代りにボビッターのモノマネをしてとおねだりします。アーナンはモノマネをして喜ばせますが、すぐにガンが現れてアーナンににらみをきかせます。

ガンは日本で行われる、ボビッターファンクラブ3周年のパレードに参加しないかと提案します。コスプレをして大々的に催されます。

マニア達は興奮気味に乗り気になっていますが、アーナンだけはその輪の外で居心地悪そうにしていました。

イチゴがアーナンにお菓子を差し出してあげると、アーナンはニコッと笑いティッシュに包んで、シャツのポケットにしまいこみ、帰りの電車で至福をかみしめ味わいました。

そこにイチゴから音声メッセージが届きます。「ネットで“よさげなもの”を発見」とはしゃいでいます。

家に帰ると母親は腕にケガをして手当をしていました。そして、テレビと椅子を取られたとつぶやき、遊んでばかりいて責任感もないとアーナンを責めます。

祖父のテレビと椅子はユエンホンが取り上げ、2階に居座るつもりで運んでいました。ユエンホンは故障している2階のトイレを使い、詰まらせたとアーナンを責めます。

アーナンはトイレ詰まりをなんとかするよう命令されます。そんな我が物顔のユエンホンに母は父親をほっといておいて、今さら何をしに来たのかと怒ります。

ユエンホンは父親が認知症になったのは、義姉のせいだと言いがかりをつけ、アーナンは帰ってきて早々、現実に引き戻されてしまいました。

アーナンは録音メッセージのイチゴの声で癒しを求めます。そして、彼女がみつけたという“よさげなもの”をネットで確認しますが、それはオークションに出された非売品のボビッターの着ぐるみです。

落札の即決価格は日本円で600,000円で、その時入札されていたのは450,000円でした。とてもじゃないけど無理だと思ったアーナンは、母親が持ってきたアルバイトのチラシを見ます。

アーナンはアルバイトの面接を受け、働くことになりました。家に帰ったアーナンはボビッターのぬいぐるみをみつめながら、イチゴのことを想像して眠ってしまいます。

イチゴと会う約束をしたアーナンは、非売品の着ぐるみが本物かどうか聞かれます。彼は“2チャンネル”の情報から、実写版ボビッター用に制作され、制作会社がオークションに出したのではないかと説明します。

イチゴはすっかり本物だと信じ、どうしても手に入れたいとアーナンに頼ってきます。彼はイチゴになぜガンさんの力を借りないのか訊ねます。

はっきりとした理由をイチゴはいいませんが、アーナンの方が頼りになると思ったと話します。

彼女はアーナンが自分のことが好きで、言いなりになることをわかっていて、無理難題を言って実行させていきます。

嫌いな男性への嫌がらせや高級車へのいたずら書き、さらにバイクのシートを刃物で傷つけるなどの行為です。

それでもイチゴと一緒にいられることが楽しく幸せだったアーナンは、彼女のためにお金を稼ぎながら、悪い事も重ねていきました。

(C)2019 ANZE PICTURES Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

家ではユエンホンがギャンブル仲間を呼んで、大騒ぎをしています。アーナンはイチゴとチャットをして現実逃避しますが、ユエンホンはアーナンにまでギャンブルの金を無心します。

ユエンホンと母の確執は深まるばかりで、家に居ても休まることがありません。

また、着ぐるみの落札期限が迫り、イチゴからの催促も厳しくなり、アーナンはバイト代の前借りを頼んでも断られ、数少ない知人に借金を頼んでも断られます。

彼の精神は追い詰められ、八方ふさがりになりつつあったとき、アーナンはこっそり貯めていたヘソクリが無くなっていることに気がつきます。

ユエンホンが盗んでいました。アーナンは彼が寝ている間にズボンのポケットから、財布を抜き取ると、持っているはずのない紙幣が入っていると、彼の仕業だと確信します。

ユエンホンの女は何もせず、家事一切をアーナンの母にやらせ、気に入らないとユエンホンは、腹いせでアーナンに暴力をふるうようになります。

ある日、銀行から祖父宛てにバースデーカードが届き、アーナンが祖父に渡すと預金なんてあるのか聞きます。

祖父は薄れゆく記憶をたどりながら、机の引き出しをあけ奥の方から通帳を探し出すと、アーナンに差し出し「おまえにあげるよ」という仕草をして、笑顔になります。

アーナンが預金残高を見るとその金額に驚きます。そして、これでイチゴとの約束も果たせると、心の底で歓喜しました。

着ぐるみを落札しイチゴとデートした日、2人はボビッターを好きになったきっかけを話します。

アーナンには兄がいて、兄がボビッターを観ていて影響され、好きになったと教えます。イチゴが兄の年齢を聞くと、彼は12歳と答えます。

アーナンが小学3年の時、父と兄は飛び降り自殺をして亡くなったと話し、兄とはボビッターとカールのような仲間だったと言います。

アーナンはイチゴとファーストキスを体験し、彼女はお腹に入れたボビッターのタトゥを見せ、アーナンは同じように腕にタトゥを入れます。

落札した着ぐるみはアニメグッズの店で、お披露目することにします。皆がアーナンを羨望の眼差しで注目します。ガンもしてやられたと消沈していました。

大きな段ボールはアーナンによって開けられ、その様子はライブ配信もされています。そして、カウントダウンでボビッターの着ぐるみが披露目をみます。

しかし、そこにあったのは写真のものとは全く違う、酷いでき損ないのボビッターの着ぐるみでした。アーナンは大金で偽物を買わされたのです。

アーナンは強いショックを受けます。イチゴもそれを見て落胆し、店を出ていこうとします。アーナンは追いかけ、彼女に今度は本物を手に入れると説得します。

しかし、イチゴは泣きながらアーナンのことを「嘘つき」と罵倒し、店を出ていってしまいます。

偽ボビッターの着ぐるみを持ち帰るアーナンの脳裏には、学生時代や兵役時代の嫌な思い出と共に、イチゴの泣き顔と罵声が繰り返されます。

そして、更なる追い打ちが待っていました。物干し場でアーナンが落ち込んでいると、ユエンホンが怒りながらやってきて、金をどこに隠したのかと恫喝し暴力をふるいます。

ユエンホンは2階と3階の階段を塞ぐようにゲートを付け、帰宅した母はユエンホンの凶行に抗議します。

ユエンホンはアーナンを泥棒呼ばわりし、親子で家を乗っ取ろうとしていると騒ぎ始めます。そして、父親の退職金はどこだとわめきだし、母はそれが目当てなのかと怒鳴ります。

その様子を物干し場で静かに聞いていた祖父は、怪訝な顔をしながらアーナンの持ち帰った、ボビッターの着ぐるみを着て、暗い廊下を端の方へトボトボ歩いていきます。

2階では祖父の退職金を巡り大喧嘩がはじまり母は、ユエンホンの勝手にはさせないと叫ぶと、ユエンホンはビール瓶をふりかざし「とっとと死にやがれ!」と、母になぐりかかります。

そこにアーナンがかばって入り、彼の額にビンが直撃し倒れ込み、それと同時に祖父と思われる、ボビッターの着ぐるみが建物の上階から、狭いゴミだらけの路地に落下します。

アーナンは病院に搬送され入院します。ベッドの上から何度もイチゴに電話をかけますが、留守番メッセージだけが無情に流れました。

家では2階と3階の間に作られたゲートのせいで、祖父の様子がわからない母が呼びかけます。その晩、就寝中のアーナンのところに祖父がやってきました。

夜中目が覚めて、急にアーナンが心配になり1人で来たと言うと、祖父がいなくなり1人になっても、何も恐れることはないと意味深なことを言います。

それはアーナンの夢でした。病室のテレビではニュースが流れ、アーナンの住まいがある居住区で、老人が落下し死亡した事件を報道していました。

それはアーナンの祖父でした。ボビッターの着ぐるみをみつけた、通学途中の児童によって発見され、死後3日はたっていると中継されます。

そして、15年前にも老人の息子と孫が貧困を理由に、同じ場所で自殺していることも告げます。アーナンは病室で発狂し自傷行為をして暴れます。

祖父の葬儀の日、アーナンは退院していますが、葬儀にも参列せずボビッターの着ぐるみを抱え、祖父の部屋で悲しみにくれていました。

そして、ボビッターの着ぐるみをかぶって、おもむろに部屋を出ると、ユエンホンの女に出くわします。彼女は被った着ぐるみを外してアーナンを誘惑すると、彼は女の首をハサミの先で突き刺します。

すると今度は文句を言いながら向ってくるユエンホンと出くわし、彼の腹部を無言で刺し、逃げて転んだ彼を背後からめった刺しにして殺害してしまいます。

アーナンの意識はブロックのボビッター模型を持って、どこかへ向かっていました。トンネルを抜けた電車の車窓には笑顔のアーナンが映り、外を眺めたりしながら楽し気にしています。

映画『よい子の殺人犯』の感想と評価

(C)2019 ANZE PICTURES Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

“アーナン”は実在した人物がモデル

映画『よい子の殺人犯』の脚本をてがけるきっかけとなったのは、ジャン・ジンシェン監督の遠い親戚の不幸がきっかけでした。

監督は上映に先立ちインタビューで、モデルとなった親戚について語ります。その方は50代でしたが、主人公アーナン(阿南)のように日本のアニメが好きで、自室に引きこもっていました。

引きこもってしまった理由は身体的な障害によって、職を失ったからだといいます。その方は不幸なことに自室で亡くなってしまうのですが、数日間、家族に発見されなかったと語ります。

同じ屋根の下に暮らしながら数日の間、発見されなかったということが、監督にとってショッキングなことで、家族の絆が希薄になりつつあると感じたといいます。

そして、監督が脚本を構築する過程で、台湾の若者に自分の世界に引きこもる人達がいることを認知したと語りました。

日本と台湾は文化がよく似ています。似ているというよりは、日本のサブカルチャーが台湾の若者に受け入れられています。

さらに日本で起きているニートの問題や、2チャンネルと呼ばれる電子掲示板を利用した、まことしやかな噂や不確かな情報、それに付随した犯罪などに巻き込まれる事件も多く発生しています。

日本のサブカルチャーが台湾で人気が出るように、日本で起きている事件に類似することが、台湾でもおこりつつあると問題視し、放置しておけば、闇は深くなる…そんな傾向を予見した作品といえます。

“共生”するアーナンと“寄生”する者たち

アーナンは社会に適応できない若者でした。それには幼い頃に兄を道連れに、父が自殺をしたというショッキングなできごとがあったことも影響しているでしょう。

それに加え、成長するにつれ祖父は認知症、母親からの期待と…責任感が大きくのしかかってきたことで、何もかもやる気が失せてしまったように感じます。

唯一、現実逃避できたものが“ボビッター”という、アニメキャラクターとそのマニア達との交流でしたが、アーナンはマニア達の中でも、自己顕示欲や承認欲求はなく孤独な方でした。

その理由は大黒柱のいない貧困家庭で、母親が苦労していて我を通せない環境だったからです。

アーナンは働けないわけではなく、働く原動力を失っていました。夢や希望を抱ける余裕がなく、まるで命を温存しながら共生しているようでした。

本来、実父を養う立場であるユエンホンが、父親の残した家財と退職金を搾取しに来て、義理の姉を罵倒し召使のように扱う、寄生ぶりはまるで悪魔です。

そして、あの可愛らしいイチゴですら、アーナンに寄生していたように思います。あのボビッターの着ぐるみに関しても、最初はガンにおねだりしたかもしれません。

しかし、目利きのあるガンはそれが本物かどうかや金額など、慎重に考え反対したのだと考えられます。

なんでも思い通りにしてきたイチゴは、自分に気のあるアーナンにお金を出させ、自分の欲求を満たそうとして失敗しました。

そんなイチゴ自身は自分では努力せず、今まで男を手玉に取ってきたのではないでしょうか。

優しく純粋なアーナンはお金も心も搾取され、唯一の逃げ場だったアニメショップ、マニアのサークルに顔向けできないほどの敗北をしたのです。

そして、優しい祖父も失ったアーナンには、失うものすら無くなってしまい、殺人という凶行にはしらせました。

まとめ

『よい子の殺人犯』は貧困家庭で暮らす、アニメオタクの青年が抱えた孤独、引きこもりなどの社会問題を盛り込んだ作品でした。

しかし、台湾において“引きこもり”がどのくらい深刻な問題なのか、作中では表しきれていません。キャッチコピーの“台湾社会の闇”と銘打つには、パンチが弱いともいえる作品です。

日本ではこうした闇を感じる事件が起きているので、妙なリアルさを覚えますが、台湾には無縁と感じる部分があるからでしょう。

また、サブカルチャーが引きこもりやニートの原因ではありません。問題は社会と政治であるからです。

実際、台湾には日本のアニメショップが出店しており、秋葉原や池袋のようなオタクの聖地と呼ばれるような、サブカルチャー街も存在しています。

どちらかといえば台湾は、サブカルチャー及び“オタク”には温い国で、オタク達はその国で共生しています。

また、ネガティブな要因はあるにせよ、台湾人の若年層の社会や政治への関心率を見る限り、頼もしさを感じ羨ましさすら覚えます。

もともと台湾は“家族愛”や血族という、団結力の強い国というイメージがあります。その民族性は2020年に入って以降、国際的にも示している通りといえるでしょう。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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