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Entry 2021/03/31
Update

映画『コンタクト消滅領域』ネタバレ感想評価と結末あらすじ。見えない敵と戦うラストの兵士のアンハッピーのリアルさ|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー31

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第31回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第31回は、クレマン・コジトア監督が脚本・演出を務めた、映画『コンタクト 消滅領域』です。

ジェレミー・レニエがフランス軍の兵士を演じる、2015年製作のフランス・ベルギーの戦争アクションスリラー映画『コンタクト 消滅領域』。

アフガニスタンの人里離れた谷で、監視任務を任されたフランス軍の兵士たちは、ある日を境に1人ずつ仲間が姿を消していく恐怖に襲われてしまうというのは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

アフガニスタンを舞台に、正体不明の敵に仲間を攫われていくフランス軍の兵士たちが、どう立ち向かっていくかが描かれているフランス・ベルギーの戦争アクションスリラー映画、『コンタクト 消滅領域』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『コンタクト 消滅領域』の作品情報


(C)2015 KAZAK PRODUCTIONS – TARANTULA

【公開】
2015年(フランス・ベルギー映画)

【脚本】
トーマス・ビデガン、ナジャ・ドゥモシェル、クレマン・コジトア

【監督】
クレマン・コジトア

【キャスト】
ジェレミー・レニエ、スワン・アルロー、フィネガン・オールドフィールド、ケヴィン・アザイス、マルク・ロベール、クリストフ・テック、サム・ミルホセイニ、クレマン・ブレッソン、スティーブ・ティアンチュー、エドゥアール・コート、パトリック・リガルデ、ミカエル・ヴァンデル=メラン、クロエ・アスター、ビクター・ポンテコルヴォ

【作品概要】
クレマン・コジトア監督の、初の長編監督作品となる、フランス・ベルギーの戦争アクション・スリラー作品です。

『ホワイト・エレファント』(2012)や『最後のマイ・ウェイ』(2013)などに出演する、ジェレミー・レニエが主演を務め、フランス軍の兵士アンタレス・ボナシュー大尉を演じています。

映画『コンタクト 消滅領域』のあらすじとネタバレ


(C)2015 KAZAK PRODUCTIONS – TARANTULA

2014年、アフガニスタンのワクハン地区。フランス軍の撤退が続く中、フランス軍のアンタレス・ボナシュー大尉率いる分隊は、東西南北に監視所を作り、パキスタンとの国境にあるワクハン川の人里離れた谷での監視任務を任されました。

そんな時、谷の巡回から戻ってきた軍犬が横になった直後、アンタレス大尉たちが少し目を離した隙に、いなくなってしまいます。

突然の軍犬の失踪に戸惑うアンタレス大尉たち。しかも不自然なことに、現地の村人たちが突如、禁止と言い渡したはずの越境をしようとしたのです。

アンタレス大尉たちは、越境しようとした村人に威嚇射撃をしたのち、村に帰し、厳重注意をしました。すると今度は、アンタレス大尉たちは基地への帰り道で、姿が見えない敵からの襲撃を受けたのです。

兵士のウィリアム・デニスが緊張で手がおぼつかず、上手く銃に弾を装填できませんでしたが、全員無傷で基地へ帰還します。

その夜、兵士のステファン・テックとバジル・デルクール、ウィリアムら9人は、2人~3人1組に別れて夜間の監視業務を行いました。

深夜、1人基地に残り、監視所への伝達・司令を行っていたアンタレス大尉の元に、1本の無線が入ります。

連絡したのは北監視所にいた兵士。彼曰く、10人余りの村人が、尾根の方で何かを焼いているようだということでした。

だからといって、村人たちは監視所に近づく様子はなく、何かを燃やした後、すぐに村へ帰っていったのです。

しかし翌朝、アンタレス大尉の元へ、再び北監視所にいる兵士から連絡がありました。お互いのことも監視し合っていたはずの監視所の兵士たち。

ところが、北監視所にいる兵士が村人たちを監視して少し目を離した隙に、南監視所にいたテックとデルクールがいなくなってしまったのです。

村人たちを監視する前、北監視所にいた兵士はテックたちと無線で連絡を取り合っていましたが、その後の無線連絡で応答がなく、様子を見に行ったら監視所はもぬけの殻…。

すぐさまアンタレス大尉や副官のジャン・バプティスト・フレリング軍曹、ウィリアムとパトリック・メルシエ、ジェレミア・レルノフスキーとエティエンヌ・バクサー伍長、ベンジャミン・ジュリアードとカリル・カーンは南監視所とその周辺の捜索を開始します。

南監視所の中は誰かに荒らされたり、誰かとテックたちが争ったりした形跡はなく、彼らの荷物もそのまま置いてありました。

とりあえずアンタレス大尉たちは、尾根の方へ向かい、村人たちが焼いたものが何か確認しに行きます。

焼かれていたのは羊。昨日の昼間の村人たちとの会合で、越境しようとした羊飼いの男が、威嚇射撃にビックリして飛び出し、鉄条網に絡まって死んでしまったという羊でした。

尾根でその事を話し合っていたアンタレス大尉たちは、羊飼いの男の息子ともう1人の少年が、どこかに走り去っていく姿を発見します。

アンタレス大尉たちはすぐさま少年たちを捕まえ、村に帰すついでに、尾根にいたことやこの谷で何が起きているのか、村人たちに問いただしました。

しかし村人たちは、少年たちが出歩いた理由をはぐらかし、何かを隠し庇っている様子…。アンタレス大尉たちはとりあえず、基地へ戻り、30秒ごとに撮影される衛星写真を見て、深夜に起きた出来事を1つずつ整理していきます。

まず、深夜2時44分に村人たちは村を出て尾根へ向かい、朝6時30分に村へ帰還。その間、国境付近に不審な動きなど何もありませんでした。

そこまで確認したアンタレス大尉は、おもむろにウィリアムを離れた場所に移動させ、防寒用のアルミ製のブランケットを被せます。

次にアンタレス大尉は、メルシエやレルノフスキー、バクサー伍長に暗視ゴーグルでウィリアムが見えるかどうか聞きました。

バクサー伍長たちの答えはノー。ブランケットは熱を遮断してしまうため、暗視ゴーグルにブランケットを被った人間の熱反応が映らないのです。

そう解説したアンタレフ大尉は、皆にブランケットの着用を禁じ、暗視ゴーグルに頼ルナと注意したのち、こう告げます。

「俺は兵士や遺体、車も戦地に残さない。徹底的に探す。」「常に班長から見える場所にいろ、昼夜問わずだ」

「誰も出入りできないよう、銃撃用の窓を閉め、人感センサーのライトを設置すること」「正確な情報が手に入るまでは、失踪したことは家族に伏せ、私用電話を禁ずる」

テックたちの謎の失踪から2日目、監視所周辺の谷を捜索していたレルノフスキーやメルシエら5人は、谷の中に錆びた鉄製の杭が1本、不自然に地面に突き刺さっているのを発見。

すぐさま持っていた金属探知機で調べましたが、何の反応もなく、ただの杭だとレルノフスキたちは判断しました。

その後、アンタレス大尉たちは各監視所の銃撃用の窓を閉めるため、鉄製の板をつけ、監視所のすぐそばに人感センサーを設置しました。

その夜、アンタレス大尉たちが待機する基地へ、1人のアフガニスタン人男性が、バイクに乗って接近。

アンタレス大尉たちは男を警戒し、催涙ガスを投げたのち、男のボディーチェックをします。男が武器を持っていないことを確認した後、アンタレス大尉たちはカリルに通訳を頼み、ここに何しに来たのか尋ねました。

男はパキスタンとアフガニスタンで活動する、イスラム主義組織「タリバーン」のリーダーであるスータン大佐の遣いであり、アンタレス大尉たちに何か伝言することはないか聞きに来たのです。

アンタレス大尉たちはテックたちの顔写真を渡し、タリバーンで何か目撃情報があれば教えて欲しいと伝言を頼みました。

それともう1つ、ジャン軍曹はカリルを通じて、男に「裸の男たちを見なかったか」と尋ねます。すると男は、「裸の男たちは見ていないが、服を見つけた」とだけ言い、夜9時過ぎに基地を去っていきました。

深夜、ある監視所で突如、鉄製の板を壊す勢いで何かが衝突してきた音が鳴り響いたものの、監視所の入り口付近に動物が倒れていただけで、何もありませんでした。

3日目の早朝、南監視所にいたウィリアムは、うたた寝するベンジャミンに、「テックたちが洞窟の中で眠っている夢を見た」と話しますが、黙って仕事しろとだけ注意されました。

それから少しして、ウィリアムがトイレ休憩しに、監視所の扉を開けたまま出ていきます。そんなウィリアムが監視所に戻ってきた時には、さっきまで一緒にいたベンジャミンの姿が消えてしまっていたのです。

ウィリアムからそう報告を受けたアンタレス大尉たちは、すぐさま南監視所へ集結し、ベンジャミンの捜索を開始。

その間、アンタレス大尉たちから疑いをかけられたウィリアムは、両手を拘束され、小屋に閉じ込められてしまいます。

アンタレス大尉から、次の補給車での帰国を命じられたウィリアムは、自分を監視所に戻し、彼らと同じように眠って真相を確かめさせて欲しいと訴えましたが、却下されてしまいました。

アンタレス大尉はウィリアムを置いて、ジャン軍曹たちと一緒に、いなくなったテックたちの捜索をしていると、スータン大佐率いる「タリバーン」が接近。

彼らはカリルを通じて、アンタレス大尉に「明日の正午、境界線へ来い。そちらと交渉がしたい」とだけ言い、その場を立ち去っていきました。

3日目の正午、境界線にやってきたアンタレス大尉たちは、そこで錆びた鉄製の杭1本と、それに縄で繋がれた1匹の羊を発見します。

これを見たアンタレス大尉は、「羊が繋がれていればその領域は安全、繋がれていない領域は危険という暗号かもしれない」と推測しました。

アンタレス大尉たちが詳しく調べようとしたその瞬間、隠れ蓑を使って隠れていたタリバーンが現れます。何が目的か尋ねるスータン大佐たちに対し、アンタレス大尉はこう返しました。

「いなくなった仲間を返して欲しいだけだ、生きている証拠を出せ」スータン大佐たちは反論します。

「兵士はいない、そちらが我々の仲間を人質に取っているのだろう?返せ」お互いに仲間が突如姿を消し、その原因がどちらかにあるのではないかと疑っているアンタレス大尉たちとタリバーン。

そこでアンタレス大尉は、仲間を見つけ出すまでは停戦協定を結ぼうと持ちかけると、スータン大佐はどこかに電話をするふりをしたのち、この提案を受け入れました。

4日目、アンタレス大尉たちは、火災に見舞われた村を救います。その際、村にスータン大佐の元へ戻っていないと聞いていた、アフガニスタン人の使者が乗っていたバイクがあるのを発見。

それを谷から拾ってきた羊飼いの男の息子は、アンタレス大尉たちに、谷にバイクと荷物だけ残されており、誰もいなかったと話します。

アンタレス大尉たちは、羊飼いの男の息子に案内してもらった場所へ行きましたが、誰かがここで寝泊まりしていた痕跡はあったものの、人影は全くありませんでした。

アンタレス大尉たちは一旦村へ戻り、何かを隠し口を閉ざしている村人たちではなく、羊飼いの男の息子に話を聞いてみることにしました。

すると羊飼いの男の息子は、カリルを通じてこう言います。「山の向こうまで続くこの谷は、ア・ラーの地であり、眠ってはいけないと禁じられた区域がある」

「それはフランス軍の基地ができるより前からある掟で、そこで眠った者はア・ラーに連れ戻される」

以下、『コンタクト 消滅領域』ネタバレ・結末の記載がございます。『コンタクト 消滅領域』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

4日目の夜、アンタレス大尉たちは羊飼いの男の息子を、昨日見つけた羊の場所へ連れて行き、詳しく話を聞きました。

羊飼いの男の息子は、カリルを通じてこう言います。「ア・ラーにああやって杭で繋いだ羊を捧げ、人が立ち入っても良いか許しを請う」

「羊は1日放置したら、村に連れ帰って喉を掻っ切る。」「捧げた羊は、地べたに眠らないからア・ラーに連れてかれない」

「何故なら群れからはぐれた羊は、立ったまま眠るからだ」

犬も兵士も、地べたに寝転んだり眠ってしまったりすると、ア・ラーによってどこかへ連れて行かれてしまうというのです。そう話す羊飼いの男の息子に、アンタレス大尉はカリルを通じて、いくつか質問しました。

「うっかり地べたで眠ってしまった者が、山から誰かに殺され焼かれても、“ア・ラーが連れ戻した”というのか?」「ア・ラーが連れ戻した者が本人かどうかも、この暗闇では確かめられないのに?」

「見てもいないのに、どうしてそう信じられる?」羊飼いの男の息子はこう返します。「暗闇だと人間の目には見えないが、暗視ゴーグルがあれば、暗闇でも姿を確認できる」

「人が見えないのは、そこにいないからじゃない。暗いのに暗視ゴーグルがないからだ」その直後、基地にいた兵士から、「ウィリアムがバイクに乗って脱走した」という連絡が入り、アンタレス大尉たちはすぐさまウィリアムの捜索を開始します。

5日目、バイクは監視所のそばに乗り捨てられていましたが、監視所の中にいると思ったウィリアムの姿はどこにもありません。

監視所に残っていたのは、ウィリアムの銃と荷物だけ。リュックの中には、睡眠薬が入っていました。

この5日間、いなくなった仲間を見つける手掛かりも、失踪理由も分からず苛立つ気持ちが、アンタレス大尉のやり方への不満にすり替わっていくバルサー伍長ら部下たち。

バルサー伍長は直接アンタレス大尉に文句を言い、彼を脅します。「監視の任務より、今は仲間を拉致した敵と戦うべきだ」

「もういなくなった仲間の家族や軍の上層部に、仲間の失踪を伝える」アンタレス大尉もこれを聞いて怒り、バルサー伍長の荷物をまとめて基地の門の前に投げ捨て、皆にこう言いました。

「明日8時に補給車が来る。基地から去りたい者は去ればいい」「今ここで残るか、基地から去るか決めろ」「ただし、残ると決めた者は肝に銘じてほしい」「何があっても、ここの指揮官はこの私だと」

それからしばらくして、軍用ヘリから1人の黒人兵士が降り立ち、基地を訪れます。従軍師団第35連隊第4中隊のオスカー・バレンヌです。

「兵士の苦しみを知ること」がこの基地に来た使命であるバレンヌは、精神的に追い詰められたバルサー伍長たちを集め、キリスト教の教典の内容を話し、気持ちを落ち着かせます。

バレンヌの話をきっかけに、思い思いにリフレッシュして夜を過ごしたバルサー伍長たち。そのおかげか、6日目の朝8時、補給車に乗り込んだのはバレンヌただ1人でした。

その夜、谷へ向かったアンタレス大尉たちは、監視所の近くに罠を仕掛け、監視所の出入り口には監視カメラを設置します。

ジャン軍曹は監視カメラの映像を監視し、それ以外の兵士たちは、アンタレス大尉がいる監視所周辺の警護をすることにしました。

アンタレス大尉はウィリアムが持っていた睡眠薬を飲み、いなくなったウィリアムたち同様、監視所内の地面に寝そべって、敵の正体を暴こうとします。

つい完全に熟睡しそうになったアンタレス大尉は、突如飛び起き、無線でジャン軍曹にこう言うのです。「洞窟の中に、いなくなったウィリアムたちが眠っている」

7日目、アンタレス大尉はジャン軍曹から、ウィリアムが皆に同じ夢の話をしていたことを聞き、もしやと思って皆を連れて洞窟探しを始めます。

そしたら今度は、谷の中で白い円に囲った中に、錆びた鉄製の杭が1本突き刺さっているのを発見。その直後、アンタレス大尉たちより先に、この場所を見つけ監視していたタリバーンが現れました。

スータン大佐曰く、村人から聞いた話だと、洞窟の中には「スーラ」と呼ばれる住人たちが住んでいるとのことでした。アンタレス大尉たちは杭の周りに器具を突き刺し、パトリックに下に洞窟が隠れていないか調査させます。

するとパトリックは、アンタレス大尉たちに、この杭の3m下に洞窟があり、その近くには水路があると報告しました。アンタレス大尉たちは急いで杭をどかし、杭があった場所を何時間もかけて掘り進めます。

一旦作業を中断した際、スータン大佐はアンタレス大尉たちに、カリルを通じてある物語を伝えました。「都から逃げた4~5人の住人は、洞窟に身を隠し、縋った神を何年もの間眠らせた」

「住人の人数は7人と、犬1匹の説もある」「犬を連れた羊飼いが、途中で住人たちに合流したからだ」「犬はまるで、洞窟を守る番犬のように前足を伏せ、目を開けたまま何年もの間眠っていた」

その話の最中、突如掘った穴から爆発音が聞こえ、そこから白い煙が立ち込めてきました。

アンタレス大尉とジャン軍曹、バルサー伍長にスータン大佐、彼の部下1人が、穴の中に入って何が起きたか調べてみます。

すると穴の下には、成人男性が屈んで立ち上がれるほどの高さと、成人男性5人くらい座れる広さの小さな洞窟があったのです。

しかし、そこにいなくなった双方の仲間の姿はありません。アンタレス大尉たちは唯一の手掛かりが失敗に終わったことで、絶望と遣る瀬無さを感じました。

しばらくして現れた羊飼いの男に、穴を埋めるよう注意されたアンタレス大尉たちは、それぞれの基地へ戻ります。

8日目、基地に置いてあるテレビには、「国際治安支援部隊(ISAF)」がアフガニスタンから撤退したとニュースで報じられていました。

それを誰も見ようとしないぐらい、意気消沈しているアンタレス大尉たち。そんな中、レルノフスキーはアンタレス大尉にこう言います。

「最初は何もなかった場所に、神は木を植え、女・男・動物を作りました」「しかし、やがて神は、この土地から人間を連れ戻していった」「それはいずれ世界中に広がり、子供が消え、自分たちの父と母も全て連れ戻し、1人たりとも残らず消えてしまう」「誰かがどんなに叫ぼうと、誰も応えようとしない」

その夜、アンタレス大尉たちは、消息不明のウィリアムたちの生存の可能性はないと判断し、彼らの荷物を積めた箱と彼らの寝床を火で燃やします。

9日目の早朝、ウィリアムたちの捜索を諦めきれなかったアンタレス大尉は1人、ブランケットを身に纏い、監視所へ向かいました。

すぐさま探しに向かったジャン軍曹たち。彼らがアンタレス大尉を見つけた時、咄嗟に逃げようとして坂から転がり落ちたアンタレス大尉は、顔に大怪我を負いながら涙を流していました。

村での治療後、アンタレス大尉たちは昨晩、羊飼いの男が放置した羊を、祈りの後に殺している様を黙って眺めていました。アンタレス大尉はジャン軍曹たちに、4匹の羊の毛を刈り、谷へ連れて行けと命じます。

その間、アンタレス大尉は、何度もメールや衛星通信で夫の安否を尋ねるウィリアムの妻、サラへ彼に代わってメールを送りました。

「また戦争が始まったが、詳しくは書けない」「だが兵士は何も話せない。ただ戦い、目も口も閉じている」「だから僕も、目も口も閉じるよ」「姿を消して、怯えながら山にいる」「そして僕らの家で、君たちを見ている。時々目を開けながら」

そしてアンタレス大尉たちは、毛を刈った4匹の羊を谷へ連れて行き、1つの円になるよう囲んだ4本の杭に縄で羊を繋ぎます。

アンタレス大尉たちは一旦基地へ戻り、タリバーンの戦闘機だろうか、3発の爆撃が羊に向かって降り注ぎました。

10日目にアンタレス大尉たちは、爆撃によって死んだ4匹の羊のバラバラの遺体を、事前に刈っていた毛と一緒に大きな袋に4つ積め、基地に持って帰ります。

アンタレス大尉たちは、軍の上層部や他の兵士たちに、ウィリアムたちの失踪を秘密にし、「アンタレス大尉が誤射を引き起こし、4人を殺した」とフランス軍に報告しました。

その報告を受け、軍用ヘリに乗って駆けつけたアルメネット将校は、アンタレス大尉に国際司法裁判所への出頭と、調査が終わるまで身柄を拘束すると言い渡します。

アルメネット将校らフランス軍の兵士は、ウィリアムたちの遺体が入っていると思っている袋に、実は羊の遺体で偽装しているとは知らず、アンタレス大尉たちと共に彼らを弔いました。

その夜、アンタレス大尉たちは、ウィリアムたちへの弔いのため、信号弾を4発、空に打ち上げます。その間、アンタレス大尉はウィリアムに成りすまし、サラにこうメール送りました。「今夜攻撃が始まった、怒号が飛び交い火を噴いている」

「僕は深く息を吸い、ゆっくり座り込む」「大地はゆりかごのように、家を飛び出した息子をあやす」「死者の声が聞こえる。亡き仲間たちが、僕を呼び戻す」

「サラ、僕は眠っていない。去っていないし消えてもいない、留守にしているだけ」「ドアの向こうで君を待つ」「世界の中の世界、世界の隣の世界。世界の周りの世界で」

アンタレス大尉たちは荷物をまとめ、迎えに来た軍用ヘリに乗り、基地を後にしました。

映画『コンタクト 消滅領域』の感想と評価


(C)2015 KAZAK PRODUCTIONS – TARANTULA

見えない敵に立ち向かう兵士たち

アフガニスタンの人里離れた谷に監視所を設け、パキスタンとアフガニスタンの国境付近を監視する任務を任されたフランス軍の兵士、アンタレス大尉率いる分隊。

しかし彼らは、この任務が正体不明の見えない敵によって、謎の恐怖に震えることになるとは、考えもしません。

この映画を観る人は最初、フランス軍の兵士たちが国境付近を監視し、そこに現れる敵と戦う戦争アクション映画だと思うことでしょう。

しかしながら、この作品はアクション映画というよりも、見えない敵とどう戦うか、どうやったら仲間を守れるのかという緊張感が続く、スリラー要素が多めの映画です。

最初は軍犬1匹だけでしたが、そこから兵士が1人、2人と消えていく謎の恐怖感。

アンタレス大尉たちはそれを肌で感じつつ、仲間を絶対見捨てず、自分たち同様仲間がいなくなった「タリバーン」と協力して捜索を続けます。

何日も何日も…。手掛かりはア・ラーという神による、この谷の言い伝えと村人が語る物語のみです。

誰もが挫けてしまいたくなる展開ばかりなのに、最後まで必死に仲間を探そうとしたアンタレス大尉たちの格好良い勇姿は、涙が自然と流れてしまうほど感動します。

ハッピーエンドにならないのが悲しい


(C)2015 KAZAK PRODUCTIONS – TARANTULA

アンタレス大尉たちの勇姿は本当に格好良くて、男同士の強い絆を感じます。

一度は仲間がバラけてしまう危機さえ乗り越え、最初は信じようとしなかった言い伝えや夢の話にも、藁にも縋る思いでそれを手掛かりに探していくのです。

しかし、そんなアンタレス大尉たちの苦労が、最後まで報われることはありません。

いなくなってしまったウィリアムたち4人と、軍犬1匹、「タリバーン」の仲間を見つけ出すことが出来なかったのです。

まさかの仲間を見つけてハッピーエンドではなく、不完全燃焼で捜索を断念するしかない、バッド・エンドで終わってしまうとは思いもしないでしょう。

この谷で起きた事件は、誰にも知られずに闇に葬られてしまった、何とも言えない気持ちが襲い、悲しくなってきます。

まとめ

アフガニスタンを舞台に、見えない敵に仲間を奪われてしまうフランス軍兵士の苦悩と奮闘を描いた、フランスの戦争アクション・スリラー作品でした。

ジェレミー・レニエ演じるアンタレス大尉の、今も過去も仲間を絶対に戦地に置き去りになんてしない、その仲間想いなところが、物語が進むにつれて心にじんと響いて感動します。

最初に洞窟の中で眠る仲間の夢を見たウィリアム、彼は睡眠薬を飲んで同じように眠ったから、いなくなってしまったのでしょうか。

実際にウィリアムたちがいなくなった場面は、劇中で一切出てきません。また、ウィリアムたちを消した敵も謎のままです。

見えない敵にどう立ち向かえばいいか分からず、ただ眠らないようにするだけしかできないフランス軍の兵士たちの姿は、観ているこちらまでその緊張感が伝わってきて、終始ドキドキハラハラします。

フランス軍の兵士たちが激しい銃撃戦を繰り広げるのではなく、見えない敵と10日間も眠らずに戦うスリルと、仲間を捜索し続ける緊迫感が伝わってくる戦争アクション・スリラー映画が観たい人に、オススメしたい作品です。

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