連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第22回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画の数々をCinemarcheのシネマダイバーがご紹介する紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第22回は、アジア映画の流れを変えたともいわれているチェ・ドンフン監督の『10人の泥棒たち』。
巨大カジノから世界に1つしかない幻のダイヤモンド「太陽の涙」を盗み出すという一大計画を請け負った10人の泥棒たち。それぞれの技を駆使して奪取を目指します。
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CONTENTS
映画『10人の泥棒たち』の作品情報
(C)2012 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND CAPER FILM ALL RIGHTS RESERVED.
【配信】
2013年(韓国映画)
【監督・脚本】
チェ・ドンフン
【キャスト】
キム・ユンソク、キム・ヘス、イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、サイモン・ヤム、キム・スヒョン、キム・ヘスク、オ・ダルス、アンジェリカ・リー、デレク・ツァン
【作品概要】
韓国を拠点とする窃盗団のボス、ポパイ(イ・ジョンジェ)のもとに、かつてのパートナー、マカオ・パク(キム・ユンソク)から巨大カジノから世界に1つしかない幻のダイヤモンド「太陽の涙」を盗み出すという一大計画が持ち込まれます。
これを請け負った韓国窃盗団の5人は香港に赴き、そこで中国人の4人組と合流。生き方も目的も異なる10人がチームを組み、太陽の涙奪取を目指します。本作では、『チェイサー』(2009)のキム・ユンソク、『イルマーレ』(2001)のイ・ジョンジェ、『猟奇的な彼女』(2003)のチョン・ジヒョン、『エグザイル 絆』(2006)のサイモン・ヤムほか、アジアの豪華スターが集結しました。
映画『10人の泥棒たち』のあらすじとネタバレ
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伝説の泥棒マカオ・パクは、マカオのカジノで一夜にして88億ウォンを稼いだという伝説の持ち主。本音を顔に出さず、ポーカーフェイスを崩さないので誰からも信用されていません。
そんな彼が幻のダイヤモンド「太陽の涙」を強奪するため、韓国、中国から昔の仲間を香港に集合させます。
韓国チームのリーダー・ポパイ、美貌の金庫破り・ペプシ(キム・ヘス)、ロープ使いの達人・イェニコール(チョン・ジヒョン)、演技力で相手を欺くベテラン泥棒・ガム(キム・ヘスク)、韓国チームで一番若いながらも誰に対しても臆さないザンパノ(キム・スヒョン)。
豊富なキャリアを持つ中国チームのリーダー・チェン(サイモン・ヤム)、韓国人で中国語が堪能なアンドリュー(オ・ダルス)、金庫破りのジュリー(アンジェリカ・リー)、無口なガンマン、ジョニー(デレク・ツァン)。
最強の韓国、中国チーム10人が集まり、香港・マカオ・プサンを舞台に太陽の涙強奪への計画がスタートします。
映画『10人の泥棒たち』の感想と評価
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韓国、マカオ、香港を舞台にしたスケールの大きさ
冒頭では、ポパイ、ガム、イェニコール、ザンパノの4人がチームを組んで、イェニコールが誘惑した男が館長を務める韓国の美術館から高価な美術品を盗み出します。泥棒とはいえ、プロの鮮やかな手口に感心してしまうのですが、このあとマカオ、香港を舞台にスケールの大きい物語が展開していきます。
太陽の涙を盗み出す手口は巧妙で、10人がそれぞれの役割を担う作戦は複雑。作戦以外に泥棒たちが欲にかられて独自の行動を取るので、予想外の出来事が起きます。
また、ワイアーアクションや逃走する際の銃撃戦の迫力も相当なもの。後半、マカオ・パクを演じるキム・ユンソクの鮮やかなワイアーアクションが披露されますが、これだけのアクションをスタントなしでこなしたというから驚きです。
そして韓国映画ならではの衝撃的なシーンも健在。中でも恋仲になったチェンとガムが事故死する場面はゾッとするものがあり、「そこを映すか!」といいたくなるようなシーンに、しばし茫然としてしまうでしょう。
美しすぎる泥棒、ペプシ&イェニコール
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ワイアーアクションや激しい銃撃戦など「男臭さ」が前面に出ている本作ですが、女性の泥棒、ペプシとイェニコールの美しさが際立つ作品でもあります。
ペプシを演じるキム・ヘスが金庫破りをするシーンでは、その横顔の美しさに見とれてしまいます。
なかなか開かない金庫にハラハラする一方で、真剣に金庫破りに挑むペプシの美しい姿をもっと見ていたいと矛盾した気持ちを抱いてしまうほど。クールでスタイリッシュ、でもマカオ・パクへの愛を隠すことができない一途なところも魅力的です。
イェニコールは、典型的な性悪女で、抜群のルックスとスタイルを武器に男たちをだまし、金品を奪います。ロープ使いの達人で、見事なアクションを見せるのですが、ペプシと大きく違うのは、おどけた仕草をするところです。
太陽の涙を手にした時のはしゃぎっぷり、香港でペプシと再会した時、かつて騙した美術館の館長を見て焦り、思わずプールに飛び込むシーンなど、お茶目でかわいらしい泥棒をチョン・ジヒョンが魅力的に演じました。
まとめ
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本作の魅力はなんといっても豪華な俳優陣です。ドラマ『サイコだけど大丈夫』(2020)などで、現在大活躍のキム・スヒョンがスクリーンデビューを飾った作品でもあり、『星から来たあなた』(2013)で共演したチョン・ジヒョンとのコンビに喜んだファンもいることでしょう。
キム・スヒョンは流暢な中国語を披露し、初々しいけれどイェニコールをかばって逮捕される骨太さもある役を素敵に演じていました。
もう一つ、映画『イルマーレ』(2000)で共演したイ・ジョンジェとチョン・ジヒョンのツーショットも忘れてはいけないポイントです。
甘く切ない恋物語を演じていたイ・ジョンジェとチョン・ジヒョンが、本作では泥棒仲間として、最終的にイェニコールにはめられたポパイが悪態をつくというのが面白いところです。
豪華なキャストで、壮大な物語を豪快なアクションで楽しめる、数少ない映画だといえるでしょう。
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