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テレビ版『ウルトラマンR/B(ルーブ)』ネタバレ感想と考察。過去シリーズとの共通点から楽しさを読み解く|邦画特撮大全36

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第36章

2019年3月8日からの公開が控えている劇場版『ウルトラマンR/B(ルーブ)セレクト!絆のクリスタル』。

本作は2019年に放送された『ウルトラマンR/B』の劇場版です。

『ウルトラマンギンガ』(2013)からスタートした“ニュージェネレーション”シリーズの第6弾で、平成最後のウルトラマンとなった『ウルトラマンR/B(ルーブ)』。

今回はそのテレビシリーズを振り返っていきましょう。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

テレビシリーズ『ウルトラマンR/B』の作品情報

【放送期間】
2018年7月7日~12月22日

【シリーズ構成】
中野貴雄、武上純希、伊藤公志

【監督】
武居正能、田口清隆、市野龍一、辻本貴則、伊藤良一、神谷誠

【キャスト】
平田雄也、小池亮介、其原有沙、深水元基、眞鍋かをり、山崎銀之丞ほか

テレビシリーズ『ウルトラマンR/B』の作品概要

【市野龍一監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』次回予告の次回予告 第23話「滅びのクリスタル」

シリーズ構成は『ウルトラマンギンガS』(2014)、『ウルトラマンX』(2015)『ウルトラマンオーブ』(2016)の中野貴雄、第1回金城哲夫賞の大賞に輝いた伊藤公志、かつて『ウルトラマンティガ』(1996~1997)や『ウルトラマンコスモス』(2001~2002)などに参加していたベテラン脚本家・武上純希の3人が共同で務めています。

メイン監督は前々作『ウルトラマンオーブ』、前作『ウルトラマンジード』(2017)に参加していた武居正能監督。武居監督にとって『ウルトラマンR/B』は初のメイン監督作品です。

2018年の特撮作品は『仮面ライダービルド』(2017~2018)の上堀内佳寿也監督、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018~2019)の杉原輝昭監督と、若手監督たちがメインを張った作品が多かった印象です。

ウルトラシリーズの現在―『R/B』と過去シリーズの共通点

『ウルトラマンレオ』(1974~1975)

『ウルトラマンR/B』は父が営むセレクトショップ“クワトロM”を手伝う湊カツミと大学生・湊イサミの兄弟が、それぞれウルトラマンロッソ、ウルトラマンブルに変身して怪獣と戦います。

シリーズ初の試みとなる“兄弟ウルトラマンによるダブル主人公”が全面に押し出されているのです。

兄弟ウルトラマンというと『ウルトラマンレオ』(1974~1975)のウルトラマンレオとアストラを想起する人もいると思います。しかし『レオ』のあくまで主人公のおおとりゲン/ウルトラマンレオであり、兄弟2人が主人公ではありません。

シリーズ当初はロッソとブルにそれぞれ変身して戦いますが、第15話から2人が合体変身する究極フォーム“ウルトラマンルーブ”が登場します。

合体変身というと南北斗と星夕子が2人で変身する『ウルトラマンA』(1972~1973)が想起されますが、ウルトラマンルーブは一度ウルトラマンに変身した後に、合体変身して別のウルトラマンになっています。

そのため映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』(2003)に登場する、ウルトラマンコスモスとウルトラマンジャスティスの合体・ウルトラマンレジェンドに近いでしょう。

“ウルトラシリーズ”というと科学特捜隊やウルトラ警備隊のような防衛隊の存在を思い浮かべるかもしれませんが、本作にはそういったものが登場しません。

『ウルトラマンR/B』は全体的にホームコメディテイストの作風でした。そのためカツミとイサミの兄弟、妹のアサヒ、父のウシオの湊一家を中心としたドラマが展開されます。

また舞台も彼らが住む綾香市という架空の都市に限定されています。そのため物語のスケールが他のシリーズに比べると小さく感じてしまいます。

しかしカツミとイサミが深夜にひっそりと特訓したり、はしゃいで大空を飛びまわったりするなど普通の男の子が“ウルトラマン”に成長する様、大きな力を手に入れた際の素直な反応をコミカルかつ丹念に描いているのです。

ウルトラマンの敵はウルトラマン?

初代『ウルトラマン』(1966)

『ウルトラマンR/B』は大企業アイゼンテックの社長・愛染マコトが敵として2人の前に立ちはだかる前半と、謎の美少女・美剣サキとの戦いとその正体を描いた後半の2つに大きく分けられます。

前半の敵・愛染マコトの正体は精神寄生体のチェレーザ。ウルトラマンの力を求めて宇宙から飛来し、愛染マコトの肉体に寄生していました。

宇宙からやって来た存在が地球人の肉体に宿るという設定は、初代『ウルトラマン』(1966)と共通しています。愛染はウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツに変身して、2人と戦うのです。

愛染はウルトラマンという存在そのものを敬愛しているため、カツミとイサミが変身するウルトラマンを頑として認めません。

【辻本貴則監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』次回予告 第8話「世界中がオレを待っている」

第8話「世界中がオレを待っている」で愛染は2人に“ウルトラ通信簿”なるものを渡し、落第点という評価を下した上お説教を始めます。その内容は「ルックスだけ」「喋りすぎ」「いちいち悩むな」など、硬派なファンが感じるようなメタ的なものでした。

一方、シリーズ後半から登場する美剣サキの正体は先代ウルトラマンの妹です。そのため美剣サキも自身の兄たちと比較して、カツミとイサミをウルトラマンとして認めようとしません。

つまり愛染は過去シリーズやファン心理などの『ウルトラマンR/B』という作品の外側から、美剣サキは作品の内側から2人の兄弟ウルトラマンに批評的な視線を送っているのではないでしょうか。

まとめ

【武居正能監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』次回予告 第10話「湊家の休日」

兄弟ウルトラマンのダブル主人公、ホームコメディテイストなど新機軸が打ち立てられた『ウルトラマンR/B』。

劇場版では妹のアサヒもウルトラウーマングリージョに変身。兄弟妹の3人で変身するため興味をそそられます。

次回の邦画特撮大全は…

『劇場版 ウルトラマンR/ B(ルーブ) セレクト!絆のクリスタル』最新公式PV

次回の邦画特撮大全は続けて劇場版『ウルトラマンR/Bセレクト!絆のクリスタル』(2019)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

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