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【ネタバレ】仮面ライダーリバイス バトルファミリア|あらすじ結末感想と解説評価。家族の絆をテーマに盛り込まれたアクション炸裂の集大成作|邦画特撮大全110

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第110章

今回の邦画特撮大全は、映画『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』(2022)を紹介します。

“仮面ライダー生誕50周年記念映画”として製作された『仮面ライダーリバイス』(2021~)の劇場用オリジナル作品。

現在放送中のテレビシリーズも終盤戦となった『仮面ライダーリバイス』の集大成として最後の盛り上がりを見せます。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

映画『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』の作品情報


(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

【公開】
2022年(日本映画)

【原作】
石ノ森章太郎

【監督】
坂本浩一

【脚本】
木下半太

【キャスト】
前田拳太郎、木村昴、日向亘、井本彩花、濱尾ノリタカ、浅倉唯、関隼汰、八条院蔵人、小松準弥、伊藤美来、立石晴香、南誉士宏、中村浩二、春川芽生、橋本祥平、小川輝晃、広瀬仁美、高岩成二、八嶋智人、藤森慎吾、豆原一成(JO1)、ケイン・コスギ、
映美くらら、橋本じゅん、戸次重幸、

【作品概要】
仮面ライダー生誕50周年記念作品『仮面ライダーリバイス』の劇場用オリジナル作品。

前田拳太郎と木村昴らテレビシリーズのメインキャストが集結。『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)のケイン・コスギ、『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016)の立石晴香と特撮ヒーローOBがゲスト出演。

さらに『リバイス』劇中では変身アイテム“バイスタンプ”の音声を担当しているオリエンタルラジオの藤森慎吾、三谷幸喜作品をはじめ、映画・ドラマ・舞台にバラエティーで活躍する個性派俳優・八嶋智人、仮面ライダーファンを公言する人気グループJO1の豆原一成も登場。

脚本は『仮面ライダーリバイス』のメインライター・木下半太が担当し、監督は『仮面ライダーフォーゼ』(2012)のメイン監督のほか、ウルトラマンシリーズ・スーパー戦隊シリーズでも手腕をふるう坂本浩一。

映画『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』のあらすじとネタバレ


(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

五十嵐一輝/仮面ライダーリバイとその相棒の悪魔バイス/仮面ライダーバイス、弟の五十嵐大二/仮面ライダーライブ、妹の五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌの3人は、両親の元太と幸実に温泉旅行をプレゼント。

しかし両親を乗せた旅客機はハイジャックされてしまいます。

大二はジョージ・狩崎の協力を得て事件を追います。ハイジャック事件の主犯は「アヅマ」と呼ばれる男。

アヅマは政府特務機関フェニックスの赤石長官と同様に、3000年前に悪魔の始祖“ギフ”と契約して不老不死の体を手に入れ、人類の行く末を監視してきた存在だったのです。

そして旅客機が不時着したのは“エリア666(トリプルシックス)”と呼ばれる危険区域。ここではかつて科学研究組織ノアが非人道的な実験を行っており、現在は巨大な防御壁に囲まれ閉鎖されています。

一輝とバイス、大二、さくらはさらわれた両親と乗客を救うため、フェニックスの残した戦力を利用してエリア666へ向かいます。

一方、元太と幸実はエリア666内にある不気味な研究所へ連行されていました。2人の目の前に現れたのは科学者の外海。ハイジャック事件の裏で糸を引いているのはこの男で、目的は元太と幸実のようですが……。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』ネタバレ・結末の記載がございます。『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

エリア666に辿り着いた一輝たちでしたが、彼らを出迎えたのはアヅマが“キメラドライバー”で変身した仮面ライダーダイモン。

圧倒的な力を見せる仮面ライダーダイモンには、一輝とバイスが変身したアルティメットリバイとアルティメットバイスですら歯が立ちません。

キメラドライバーには“ギフの瞳”が埋め込まれており、その力でアヅマはエリア666上空に強大なバリアを張ります。

一輝たち五十嵐3兄妹を送り届けた門田ヒロミは、3人の救援に向おうとしますがバリアによって阻止されてしまいます。

さらにアヅマはキメラドライバーの力で、一輝とバイス、大二とカゲロウ、さくらとラブコフ、それぞれの体とパートナーである悪魔を強制的に分離。悪魔の本能を覚醒させられたバイスたちは宿主である一輝たちを襲い始めました。

一輝たち五十嵐3兄妹は捕えられて研究所へ連行されました。外海の目的は一輝たちの持つ“ギフの遺伝子”であり、元太と幸実はそのための囮だったのです。

外海は“ギフの遺伝子”を利用して不死身の軍団を作ることが目的でした。アヅマは争いを続ける人類に絶望して世捨て人として生きていましたが、一輝たちがギフを駆逐したことで肉体が腐敗を始めたため、ギフの遺伝子が必要となり外海と手を組んだのです。

そこへ乗客の青年・大谷希望(のぞむ)が現れます。彼はアヅマからキメラドライバーを奪い、五十嵐一家と人質の乗客を解放するように外海に迫りました。

しかし外海は強硬手段に出て、五十嵐一家か乗客のどちらかしか解放しないと逆に迫ります。乗客には出産を控えた妊婦もいることから、幸実は乗客を優先するよう希望に促しました。

一輝たちからギフの遺伝子を採取しはじめる外海でしたが、幸実の子供を思う気持ちと悪に対する怒りから彼女の悪魔が出現!!

幸実の悪魔の放つ強大な威力で状況は一変。バイスたちは正気に戻り、幸実の悪魔の力を吸収したバイスタンプの力で一輝たち3兄妹は合体変身!!

兄妹3人の力を合わせた“仮面ライダー五十嵐”となって敵を蹴散らしていきます。

希望はキメラドライバーで“仮面ライダーキマイラ”に変身。研究所から脱した元太と幸実と共に、ハイジャック犯が変身した悪魔と戦います。

乗客をバスに乗せ脱出しようとしたものの、希望はキメラドライバーをアヅマに奪われ、大量に悪魔も湧いてきます。そんな時どこからか現れた“仮面ライダーギーツ”が敵を引き受けて、バスに先を急がせます。

希望はアヅマの手によって先輩と両親を失い、アヅマへの復讐のために彼を追って旅客機に乗ったのです。元太は自身が一輝たち子供を思う親心から、希望の両親の心を推し量りその復讐心を諌めます。

翌朝、幸実の運転するバスは出発。一輝はアヅマとの一騎打ちに向い、大二は幸実の運転するバスを守り、さくらと元太はバスに留まり乗客を守ります。希望も妊婦の竹田由芽を守るなど自身に出来ることをしていきます。

しかし外海がバスを強襲。外海は悪魔“シック”というその正体を明かし、大二と戦闘に。元太とさくらも悪魔との戦いで疲弊していきます。

そんな五十嵐一家のピンチにジョージ・狩崎、門田ヒロミ、夏木花/仮面ライダーアギレラ、玉置豪、そしてオルテカが駆けつけました。

実はシックの宿主は狩崎で、彼から“ギフの瞳”を奪い逃亡していたのです。ギフの瞳の力によって張られたバリアを破るには、ギフの体内にいたオルテカの協力が必要不可欠でした。狩崎は特殊刑務所に収監されていたオルテカになんとか協力を要請。

バスに群がる悪魔をヒロミと花、玉置が変身した仮面ライダーオーバーデモンズたちに任せ、元太とさくらは大二の援護に。

3人は変身して親子兄妹でシックを撃破。しかしシックは仕掛けていた爆弾を起動させてしまいます。

一方、一輝とアヅマの一対一の勝負。旅客機と家族を守ろうとする一輝の行動を、人類のために多少の犠牲は必要と考えるアヅマは理解できません。

一輝は家族や旅客機の乗客を「愛する家族、仲間」と言いました。アヅマは不老不死の体を得たことで、愛する者が常に自分より先に亡くなっていた過去を語ります。

一輝はアヅマの強い孤独と使命に楽しみを見出せていないこと、そして彼の最期が近いことを悟ります。一輝はアヅマにバイスタンプで与え、2人は激しくぶつかり合います。

そして戦う中で友情を深めていった一輝とアヅマ。一輝はアヅマの意志を受け継ぎ、アヅマは安らかに最期を迎えました。

爆発の中、五十嵐一家と仲間たち、乗客は無事にエリア666を脱出。しかし一輝はまだ戻ってきていません。爆発の中、バイスに支えられて一輝が帰って来ました。

バスでは妊婦の竹田由芽が無事出産。由芽は自身を守ってくれた希望の名前を子どもに付けます。新たな命の誕生を五十嵐一家、乗客たちは祝福しました。

映画『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』の感想と評価


(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

本作『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』はそのタイトル通り、主人公・五十嵐一輝たち“五十嵐一家”が悪と戦う姿を描いた作品です。『仮面ライダーリバイス』のテーマは“家族”でした。

前作『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』ではゲストである百瀬龍之介と百瀬秀夫の家族の絆を軸としたドラマが描かれましたが、本作では主人公・五十嵐一輝たち五十嵐一家が家族を思う姿を描いた作品となっています。

両親を救うために死地へ向かう3兄妹、子供たちを思う元太と幸実夫婦と『リバイス』の集大成に相応しい物語が展開します。

そしてその象徴が母・幸実の力によって3兄妹が合体変身した“仮面ライダー五十嵐”の登場でしょう。

五十嵐一家を軸にドラマが展開される中、両親の復讐を果たそうとする大谷希望や妊婦・竹田由芽をからめることで“家族の絆”をより奥行きのあるドラマにしていきます。

本作を手がけた坂本浩一監督はこれまで『仮面ライダーフォーゼ×オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』(2011)ほか、仮面ライダーシリーズの中でも評価の高い劇場作品を多数手掛けています。

禁断の地“エリア666”からの脱出劇は、ジョン・カーペンターの代表作『ニューヨーク1997』(1981)をヒントに構想されたそうです。

カーアクションにバイクアクション、変身前のいわゆる“素面アクション”ふんだんにアクションを盛り込み、さらにアクションシーンにテレビシリーズの主題歌・挿入歌を重ね、さらに爆炎爆発で彩ることでより盛り上げて行きます。

本作のメインゲスト、アヅマ/仮面ライダーダイモンを演じたのは、『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)のジライヤ/ニンジャブラック役のケイン・コスギ。

同時上映の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のゲストが、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002)の霞一鍬/クワガライジャーの姜暢雄であることから、両作とも“忍者戦隊”からのゲスト出演となりました。

劇中では一瞬ですが、忍者姿も見せてくれます。例年の仮面ライダーシリーズの劇場作品であれば、クライマックスのアクションはCGバトルが展開されます。

しかし本作では仮面ライダーリバイと仮面ライダーダイモンの一騎打ち。ケイン・コスギの高いアクション能力と坂本浩一監督の演出によって、クライマックスのバトルは非常に迫力あるものとなりました。

また注目点は、アヅマの人物造形です。かつてヒーローを演じたケイン・コスギが演じるため単なる悪役とはならず、戦いの中で一輝と友情を結ぶというキャラクターとなっています。

特にラストの2人のやり取りは、かつてヒーローから現在のヒーローにバトンを繋いでいるようにも見えます

まとめ


(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 (C)テレビ朝日・東映AG・東映

“家族の絆”をテーマに奥行きのあるドラマと、ふんだん盛り込まれたアクションが展開される本作『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』。仮面ライダーリバイスの集大成としてふさわしい娯楽作となっています。

『仮面ライダーリバイス バトルファミリア』は2022年7月22日から全国公開中。ぜひ劇場へ急ぎましょう。

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