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スーパー戦隊はマンネリなのかを考える③【成熟期】フラッシュマンからファイブマン|邦画特撮大全8

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第8章

1975年に始まったスーパー戦隊シリーズ。第1回は黎明期の『秘密戦隊ゴレンジャー』から『太陽戦隊サンバルカン』まで。

第2回は成長期の『大戦隊ゴーグルファイブ』から『電撃戦隊チェンジマン』について分析してきました。

今回はシリーズの“成熟期”に位置する、『超新星フラッシュマン』(1986)から『地球戦隊ファイブマン』(1990)までの5作について分析していきます。

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親探しの旅『超新星フラッシュマン』

「ある日、地球から5人の子供が宇宙の果てにさらわれた。そして20年後……」
(『超新星フラッシュマン』OPナレーションより)

前作『電撃戦隊チェンジマン』はドラマの比重が敵側によってしまった事もあり、『超新星フラッシュマン』ではヒーロー側のドラマがより緻密に描かれています。

フラッシュマンの5人はかつて何者かによって宇宙に攫われた地球人。フラッシュ星人に救われ、20年間フラッシュ星で育ちました。

5人は改造実験帝国メスの手から地球を守るため、故郷の地球へやってきたのです。

彼らは親の顔を知りません。

メスとの戦いの結末とは別に、彼ら5人の親探しが視聴者の興味を引きつけます。

この“親探し”というテーマは、中国残留孤児問題から発想されました。

フラッシュマンのキャスティングは現在同様若手を中心に選考されていますが、敵や脇役にはベテランが配されています。

怪人を作り出す大博士リー・ケフレンには、実相寺昭雄監督の映画や蜷川幸雄演出の舞台で知られる清水紘治。

5人を攫った張本人サー・カウラーには、現在声優として活躍している中田譲治。

5人に協力する時村博士には、映画『切腹』などで知られる石濱朗。

また敵幹部レー・ネフェルを演じる萩原佐代子は、『科学戦隊ダイナマン』で立花レイ/ダイナピンクを演じていました。

過去に戦隊ヒーローを演じた俳優がその後、敵役を演じるというパターンはその後も複数あります。

本作にダイ/グリーンフラッシュ役で出演した植村喜八郎はその後、『地球戦隊ファイブマン』(1990)で敵幹部・初代艦長シュバリエを演じています。

戦隊版“ロミオとジュリエット”『光戦隊マスクマン』

シリーズ第10作『光戦隊マスクマン』(1987)は“気功”がモチーフの作品で、マスクマンの5人は武術の達人という設定。

宇宙規模の戦いやSF性の強い作風が続いたため、『マスクマン』では真逆の“東洋神秘”がフィーチャーされました。

マスクマンの5人が九字護身法の印を結ぶ、座禅を組み空中浮遊するマスクマンの長官・姿三十郎(演:谷隼人)など、OP映像からその意識が分かります。

レッドマスク/タケルの恋人・美緒の正体は、敵・地底帝国チューブのイアル姫。

タケルを愛してしまったため地帝王ゼーバの怒りを買い、氷の棺に閉じ込められてしまいます。

本来敵味方であるはずの2人の恋愛が物語の縦軸に設定され、さながら『ロミオとジュリエット』のようです。

さらに第27話からはタケルを恋敵として狙う“盗賊騎士キロス”が登場し、後半の物語をさらに盛り上げます。

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学歴社会へのアンチテーゼ『超獣戦隊ライブマン』

関連映像:『超獣戦隊ライブマン』のレッドファルコン役の嶋大輔

当時シリーズ第1作目とされていた『バトルフィーバーJ』から数えて10作目の『超獣戦隊ライブマン』(1988)。

ライブマンのメンバーはスタート時3人。

この人数設定を5人から3人に減らした理由は、知名度のある人物をキャスティングするためです。

結果、天宮勇介/レッドファルコンには嶋大輔、岬めぐみ/ブルードルフィンには森恵と既に知名度の高かった2人が選ばれました。

大原丈/イエローライオンの西村和彦のみが当時まだ駆け出しの若手です。

またシリーズ後半からはメンバーが2人増員されます。

「友よ、君たちはなぜ悪魔に魂を売ったのか?」(OPナレーションより)

『ライブマン』は衝撃的かつ物騒なナレーションから始まります。

それもそのはずで、科学者育成学校・科学アカデミアで学んでいた友人6人がそれぞれ敵味方に別れて戦うという内容なのです。

実はメイン脚本の曽田博久はかつて学生運動の活動家でした。しかし内ゲバの激化に嫌気がさし、脚本家・松浦健郎に弟子入りしたという経歴の人物です。

確証はありませんが「友人同士が敵味方に分かれて戦う」という『ライブマン』の基本プロットは、曽田博久の実体験が反映されているのではないでしょうか。

また『ライブマン』には学歴社会・競争主義へのアンチテーゼも盛り込まれています。

敵の武装頭脳軍ボルトは優秀な天才が世界支配すべきだと考える集団です。

彼らは優れた頭脳のみに意義があると考え、命に価値を見出しません。敵幹部たちは首領・大教授ビアスによって評価を採点され、お互いに競争する形で人類を襲うのです。

80年代の巨大ロボット進化の歴史

この時期のスーパー戦隊に登場する巨大ロボットには大きな変化が見られます。

まず『フラッシュマン』には後半から新たなロボ・タイタンボーイとグレートタイタンが登場します。

いわゆる2号ロボの登場はその後も続き、『マスクマン』にはグレートファイブ、『ライブマン』にはライブボクサーが登場します。

さらに『マスクマン』の1号ロボ・グレートファイブはマスクマンがそれぞれ操縦する5機の巨大マシンが合体。

それまで多くても巨大マシン3機による合体でしたが、玩具技術の進化によって5機合体が可能になりました。

そして『ライブマン』の1号ロボ・ライブロボと2号ロボ・ライブボクサーは合体が可能。

超巨大ロボ・スーパーライブロボになります。巨大ロボット同士の合体は次作『高速戦隊ターボレンジャー』(1989)『地球戦隊ファイブマン』(1990)にも受け継がれ、さらなる進化を遂げるのです。

『ターボレンジャー』『ファイブマン』ではロボット同士の合体によって完成した超巨大ロボが、なんと秘密基地とも合体。

現行の作品にも見られる巨大ロボットの複数登場やロボット同士の合体は、80年代後半から導入されました。

また巨大ロボットの進化の背景には玩具技術の進化だけではなく、玩具メーカーが生産拠点を海外に移したこと、当時バブル景気であったことなどもあります。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は『鳥人戦隊ジェットマン』以降、スーパー戦隊の“改革期”を取り上げる予定です。

お楽しみに。

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