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Entry 2020/12/05
Update

映画『Mankマンク』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。デヴィッド・フィンチャーを考察解説|Netflix映画おすすめ8

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第8回

今やハリウッドだけではなく、鬼才として世界の映画ファンから注目を集めるデヴィッド・フィンチャー。

その作品『Mank マンク』が、Netflixの配信映画として登場しました。

舞台は1930年代。脚本家として活躍する男、ハーマン・J・マンキーウィッツを通し、ハリウッド黄金期と名作映画誕生の舞台裏を描いた作品です。

好評につき配信開始前の2020年11月20日、一部劇場で先行限定公開が行われました。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

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映画『Mank マンク』の作品情報


Netflix映画『Mank マンク』

【公開】
2020年(アメリカ映画)

【原題】
Mank

【監督・製作】
デヴィッド・フィンチャー

【脚本】
ジャック・フィンチャー

【出演】
ゲイリー・オールドマン、アマンダ・セイフライド、リリー・コリンズ、アーリス・ハワード、トム・ペルフリー、チャールズ・ダンス

【作品概要】
黄金期のハリウッドの光と影を、アルコール依存症に苦しみつつ名作映画を手掛けた脚本家の視点を通し、特徴的なモノクロ映像で描いた作品。

『ゴーンガール』(2014)や『パニック・ルーム』(2002)、『ファイトクラブ』(1999)に『セブン』(1995)を手掛けてきたデヴィッド・フィンチャーが、亡き父の遺した脚本を映画化しました。

主演は『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(2017)でアカデミー主演男優賞を獲得したゲイリー・オールドマン。

『ANON アノン』(2018)のアマンダ・セイフライド、『トールキン 旅のはじまり』(2019)のリリー・コリンズ、マーベル原作ドラマ『アイアン・フィスト』(2017~)のトム・ペルフリー。そしてベテラン俳優アーリス・ハワードとチャールズ・ダンスらが共演しています。

映画『Mank マンク』のあらすじとネタバレ


Netflix映画『Mank マンク』

1940年、経営苦境の映画会社RKOに招かれた24歳のオーソン・ウェルズ。製作する映画に関する全権を委ねられた彼は、誰とどんな映画を作るのも自由でした。

同じ年、ハリウッド映画のロケ地として有名なヴィクターヴィルの宿泊用牧場。

ここにオーソン・ウェルズの盟友の俳優ジョン・ハウスマンと、ハーマン・J・マンキーウィッツ、通称マンク(ゲイリー・オールドマン)が現れます。

負傷した体でベットに横になったマンクに、脚本を仕上げるよう依頼するハウスマン。

彼は口述筆記とタイプ打ちを行うイギリス人、リタ・アレクサンダー夫人(リリー・コリンズ)を紹介しました。

そこに映画『闇の奥』をテスト中(この映画は結局撮影を断念される)の、オーソン・ウェルズから電話が入ります。マンクに脚本を60日間で仕上げろと要求するウェルズ。

この数週間前に、交通事故で入院中のマンクの前にウェルズが現れ、仕事を依頼していました。

ベットの上で語られるマンクの言葉をリタは記録します。映画『市民ケーン』の脚本の執筆が始まると、すぐに登場人物のモデルが誰なのか気付いたリタ。

指摘されると脚本のモデルの男が、愛人の映画に出資した際に知り合った、とマンクは打ち明けます。

1930年を回想するマンク。パラマウント映画のスタジオで働くマンクを、チャールズ・レデラーが訪ねてきました。

ここで名脚本家のベン・ヘクトや、弟のジョセフ・L・マンキーウィッツ、通称ジョー(トム・ペルフリー)ら脚本家仲間と共に、勝手気ままに働くマンク。

彼らは名高いプロデューサーの、デヴィッド・O・セルズニックに呼び出されます。

次回作のアイデアを聞かれ、『フランケンシュタイン』(1931)と似た映画を提案するマンクたち。無論意見は却下されました。

ある日撮影現場で、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)社の敏腕プロデューサー、アーヴィング・タルバーグとルイス・B・メイヤー(アーリス・ハワード)と出会ったマンク。

そこで女優のマリオン・デイヴィス(アマンダ・セイフライド)とマンクは言葉を交わします。チャールズはマリオンの甥でした。

撮影中のマリオンの映画の出資者は、新聞王として名高い資産家のウィリアム・ランドルフ・ハースト(チャールズ・ダンス)です。

マンクはハーストに気に入られ、夕食に招待されました。

1940年のマンクの下で働くリタに、イギリス軍のパイロットの夫が行方不明になったとの手紙が届きます。

彼女に無神経な発言を行い、それを恥じたのか、ハウスマンの用意した酒に手を出して昏倒したマンク。

酒には鎮静剤が含まれていました。慌てて駆け付けたハウスマンは、脚本の内容と進行具合に注文を付けます。

マンクは1934年のMGMスタジオを回想します。彼は弟のジョーと、メイヤーを訪ねていました。

先に移籍したマンクと共に、メイヤーの下で働くことになったジョーは、新たな上司の強烈な個性に圧倒されます。

1940年のマンクの元に、MGMで成功を収めたジョーから電話がかかってきました。

新聞王のハーストを敵に回す映画の脚本を、兄が執筆中と知り懸念するジョー。

1933年、サン・シメオンに建つハーストの大邸宅で開かれた、メイヤーの誕生パーティーにマンクも招かれていました。

MGMのアーヴィングがベルリンから帰国した事もあり、ナチスの台頭が話題となり、社会主義や共産主義に話が移ります。

資産家のハーストやメイヤーに遠慮なく辛辣な言葉を浴びせ、愉快な人間だと面白がられるマンク。

しかしマリオンがアプトン・シンクレア(アメリカの社会主義者。映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)の原作者)を話題にすると、一座は沈黙に包まれます。

席を立ったマリオンの後を追ったマンクは、資産家のハーストやメイヤーを糾弾した活動家、シンクレアについて意見を交わし、豪華なハースト邸の庭を散策し親睦を深めました。

脚本の執筆が進まない1940年のマンクを、ハウスマンは期限まで13日しかないと責めます。

執筆が進むように、ハウスマンの用意した物と異なる酒を用意させるマンク。

その態度をリタは非難し辞職を願いますが、マンクがナチス支配下のドイツから多くの人を逃れさせたと知り、彼への印象を改めました。

MGMスタジオ、1934年。撮影所の労働者が不況で困窮する中、ジョーは兄のマンクにも労働組合運動に参加するよう求めます。

それを断ったマンクは、同時にアーヴィングから求めた反シンクレア運動にも参加しません。群れることを嫌う彼は、我が道を進んでいました。

1940年のマンクは、期限内に200ページもの原稿を書き上げ、ハウスマンはその内容を絶賛します。しかし327ページになった脚本はウェルズに削られる、と告げるハウスマン。

また彼は契約では、映画にマンクの名はクレジットしない事になっているが、それで良いのか確認します。

それに対しシャワーとカクテル、妻サラとの生活が手に入れば良いと答えたマンク。

確認したハウスマンは、なぜマンクが新聞王ハーストを題材に脚本を書いたかを尋ねました。

以下、『Mank マンク』のネタバレ・結末の記載がございます。『Mank マンク』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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Netflix映画『Mank マンク』

1934年、マンクは妻サラが運転する車に乗り、LAのウィルシャー通りを走っていました。

新聞は職を求める、渡り労働者が街にあふれていると報じ、外にはカリフォルニア州知事選に民主党から出馬した、社会主義者シンクレアに反対する看板が掲げられています。

脚本家仲間も政治を語り合う中、マンクはその話題から距離を置く姿勢を続けました。

しかしMGMは職にあぶれた端役役者を使い、新聞王ハーストの金でシンクレアを批判するニュース映画を、捏造して作っていたのです。

それを監督させられた友人のシェリーから、事実を聞かされたマンク。

会社の幹部アーヴィングに抗議したマンクは、ハーストが出資し愛人のマリオンに出演する映画を作るのは、MGMからワーナ・ブラザースに代わったと聞かされました。

ヒット作を生まない女優マリオン・デイヴィスに、MGMは見切りを付けたのです。

MGMスタジオを去るマリオンの車に乗り込んだマンクは、彼女が偽のニュース映画の製作を止める指示を出すよう試みますが、叶えられません。

1940年のマンクは、完成した脚本をチャールズ・レデラーに読ませます。叔母のマリオンに育てられた彼は、内容が彼女を傷付けると怒り、脚本を持って立ち去ります。

1934年、カリフォルニア州知事選の投票日。マンクは妻と共に、MGMのメイヤーらが集まる共和党の集会に参加します。

付き合いで参加したものの、シンクレアが落選しそうな開票結果に、偽のニュース映画を作ったメイヤーを批判したマンク。

彼とメイヤーとの対立は決定的になりました。結局シンクレアは落選し、マンクは会場から去ろうとします。

そこに捏造ニュース映画を監督させられた、友人のシェリーから電話が入ります。責任を感じ失意のシェリーの様子を察し、マンクは動揺しました。

1940年。チャールズから渡された脚本を読んだジョーが、マンクの前に現れます。ジョーは兄に、ハーストに喧嘩を売れば身の破滅で、マリオンも傷付けると指摘します。

それでも兄弟は、互いの才能と頑固さを認め合います。最後に脚本は兄の最高傑作だと言い残し、去ってゆくジョー。

1934年、マンクは友人のシェリーの前に現れます。彼はひどく落ち込んでいました。

今回の件で、人は映画館の暗闇の中で見たものを信じる、俺たちの責任は大きいとの教訓を得た、と語るマンク。

シェリーは自分はパーキンソン病だと打ち明けます。彼はマンクが去った後に、銃で自殺を遂げました。

1940年のマンクの前にマリオンが現れました。彼女は脚本の出来を誉めますが、弱っているハーストを虐めないで欲しいと訴えます。

最初は金のための付き合いだったが、今は互いが大切な関係だと話すマリオン。

彼女の言葉を聞き、この映画が日の目を見たら許して欲しいと告げるマンクに、マリオンはそうならなかったら、どうか許して欲しいと答えます。

1936年。ウィルシャー通りの礼拝堂で行われたMGMの若き名プロデューサー、アーヴィング・タルバーグの葬儀に人々が集まっていました。

礼拝堂を出たマンクは、涙を押さえるのに使ったハンカチを棄てるメイヤーの姿を目撃します。

1940年。マンクにオーソン・ウェルズから電話がかかってきました。

脚本を絶賛したものの、ある者がRKOを買い取り、この映画をお蔵入りさせようとしていると説明するウェルズ。

ある者とはハーストではなく、メイヤーでした。

1937年、サン・シメオンのハースト邸。メイヤーはハーストに、MGMは過去最高の収益を上げると説明しています。

人々が集う中、酔って現れたマンク。彼はハーストとメイヤーの会話を邪魔しました。

映画のアイデアとして、マンクは現代版のドン・キホーテを提案します。それは新聞社を経営する男、ハーストをドン・キホーテに例えた物語です。

その辛辣な内容にメイヤーは怒り、他の客は席を離れます。醜態をさらしたマンクを怒るメイヤー。

お前の給料の半分はハーストが払っていた、理由はお前の話が面白かっただけだと言い残し、メイヤーは立ち去ります。

妻とも再会を終えた1940年のマンクの前に、遂にウェルズが現れました。

メイヤーのRKO買収が拒絶された結果、脚本の映画化に向けた動きは裁判沙汰になると説明するウェルズ。

ウェルズは優れた脚本を評価し、報酬に追加で1万ドル払い書き直し作業からも解放を条件に、マンクは身を引けと提案します。

それを断り自分の名をクレジットに載せろ、これは俺の最高傑作だと要求するマンク。彼はウェルズと向き合います。

1937年のハースト邸では、マンクと新聞王ハーストが向き合っていました。

マンクの肩を抱き、オルガン弾きと猿の例え話を語るハースト。

山から連れてこられて芸を覚えた猿が、着飾らさせられオルガンに合わせ大勢の観客の前で踊るうちに、自分が主役でオルガン弾きを従者と思うようになった話です。

それを聞かせると、ハーストはマンクを屋敷から送り出しました。

1940年のウェルズは、マンクが傑作を書けたのは、自分がチャンスと環境を与えた結果だと指摘します。

クレジットに載ればリスクと責任を負い、その結果ハリウッドで仕事が出来なくなるぞと叫ぶウェルズ。

マンクは脚本も金も、約束の守る者との信用も失うと警告します。

ウェルズに才能がある故にあなたは将来、ハリウッドから疎まれると告げたマンク。

クレジットには載せると言い放ち、ウェルズは荒れたまま立ち去りました。

その時マンクを最後まで支えたリタの元に、夫の無事を知らせる手紙が到着します。2人は抱きあって喜び、走り去るウェルズの車を見送ります。

1942年2月、マンクことハーマン・J・マンキーウィッツは、オーソン・ウェルズ監督作品『市民ケーン』の脚本でアカデミー賞を獲得します。

『市民ケーン』はアカデミー賞に9部門ノミネートされながらも、受賞できたのはマンクとウェルズが共同で手掛けた脚本賞のみで、2人は授賞式に不在でした。

記者からマンクへのメッセージを求められたウェルズは、「俺のケツにキスをしろ」と言葉を贈り、笑いを誘います。

その言葉に対し受賞スピーチを求められたマンクは、ウェルズ不在で受賞できて嬉しい、とのメッセージを贈りかえしました。

なぜ共同脚本とクレジットされたと聞かれ、マンクは「それが映画の魔法だ」と答えます。

マンクは以降オーソン・ウェルズと組むことなく、この11年後アルコール依存症の合併症で55年の生涯を閉じました。

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映画『Mank マンク』の感想と評価


Netflix映画『Mank マンク』

父の遺した脚本を映画化した作品

本作は『市民ケーン』(1941)をテーマにした映画で、物語だけでなく、『市民ケーン』に使われた数々の映像テクニックが再現されています。

例えば遠近とも焦点のあった、ディープフォーカス(パンフォーカス)で撮影された映像。

それと対になる映像、手前の被写体に焦点を合わせ背景をボカすシャロー・フォーカスや、極端なクローズアップが繰り返し登場すると、誰もが気付くでしょう。

しかし『Mank マンク』はそれだけの映画ではありません。1930~1940年の間の、黄金期と呼ばれるハリウッド映画界を描いた作品です。

登場人物には創造された架空の人物もいますが、それ以外の主要な人物は全て実在の人物。

この時期を代表する脚本家、映画監督、プロデューサーの名前が並び、よくぞこれだけ登場させたと驚きました。

同時に世界恐慌に始まる不況が世界を支配した時代です。時代はドイツでナチスの台頭を招き、やがて第2次大戦が勃発します。

アメリカも不景気に襲われ企業の倒産・人員整理が相次ぐものの、状況に適応した富裕層はかえって豊かになりました。

『市民ケーン』の主人公のモデル、ハーストの築いたメディア帝国は有名ですが、MGMも不況を乗り切り巨大企業へ変貌します。

アーヴィング・タルバーグの死後、事実上1人でMGMを支配したメイヤーは「アメリカ一の高給取り」と呼ばれる存在になりました。

貧富の差が拡大した結果、労働組合や社会主義、共産主義活動に身を投じる者も現れます。

経済的・政治的に社会は分断され、プロパガンダやフェイクニュースが人々を扇動し、世界に戦争の影が忍び寄る。現代への風刺と映る状況が本作に描かれました。

しかし、本作の脚本はデヴィッド・フィンチャーの父、ジャック・フィンチャーによって1990年代に書かれたものです。

映画館で育ち、脚本家・ジャーナリストとして活躍したジャックは、間違いなく息子デヴィッドの映画の父でもありました。

60代になって何をすべきか尋ねた父に、デヴィッドはハーマン・J・マンキーウィッツについて書かないか、と提案します。こうして本作の脚本は誕生しました。

当初デヴィッドは、本作を1997年か98年に映画化するつもりでした。しかし他の作品の製作と重なり中止、そして父ジャックは2003年に亡くなります。

その脚本が『Mank マンク』として映画化されました。

90年代の観客には理解しにくいフェイクニュースが身近な存在になるなど、結果として時代に合う作品になった、とデヴィッドは語っています。

『ファイト・クラブ』のパンクな精神が復活


Netflix映画『Mank マンク』

デヴィッド・フィンチャーが本作の映画化を構想した時期、彼は『ファイト・クラブ』(1999)を発表しています。

冷戦に勝利し、経済的にも軍事的にも並び立つ国も無く、世界を支配するかに見えた当時のアメリカ。同時にグローバル化した資本主義が世界を支配します。

拝金と物欲に支配された世を嫌い、殴り合いで自らを解放した男たちが、大企業などを攻撃対象にテロ行為を繰り返し、最後にクレジットカード会社の高層ビルを爆破する『ファイト・クラブ』。

同じ年公開の『マトリックス』(1999)と共に、この時代の社会構造と体制に反旗を翻した映画として、今もカルト的人気を誇っています。

その原点は1930年代のハリウッドを描いた、父の脚本の中に存在したのです。

しかし2001年に発生した9.11同時多発テロが、世界のリーダーはアメリカとの幻想を打ち砕き、フィンチャーがパンクな映画を作る機会も失われました。

グローバル化経済は中国、ロシアなど世界各国に富裕層を生み出し、今や世界中が恐慌時代のアメリカ以上に貧富の格差が拡大した、歪んで不安定な社会が誕生しました。

そんな時代に映画化された、黄金期のハリウッドを反骨精神で生きた脚本家の物語に、デヴィッド・フィンチャーのパンク精神の復活を感じました。

お気づきでしょうか。デジタル映像の作品である『Mank マンク』の画面の右上に、フィルム映画のリール交換の印、切り替えパンチ(パンチ)が映り込んでいることに。

これはモノクロ映像と共に30~40年代の映画の再現を意図した、一見お遊びのような行為です。

思い出して下さい。『ファイト・クラブ』の主人公、ブラッド・ピットはフィルム映画の映写技師であり、映画の中にイタズラでサブリミナル映像を編集していたことを。

『ファイト・クラブ』の劇中で映画の画面に映るパンチを解説し、その本編映像そのものに、サブリミナル映像が挿入されていたことを。

『Mank マンク』の画面に映るパンチに、この映画は『ファイト・クラブ』と同じく、パンク精神あふれた作品だ、との監督からのメッセージを受け取りました。

まとめ


Netflix映画『Mank マンク』

デヴィッド・フィンチャーのパンク魂と、父への思いが詰まった映画『Mank マンク』。

彼の映画への拘りは、様々な形で健在です。画面比率は日本の映画館では、まず忠実に再現できない70mmフィルムサイズの2.20:1。

このサイズは映画館で映写する映画より、配信映画にこそ相応しい時代となった、とのフィンチャーからのメッセージでしょうか。

古き良き映画の再現にこだわって、本作はなんと音声をモノラルで収録。これを忠実に楽しむには、通常の家庭のテレビやスマホでは不可能。

この映画は古き良き映画のように、モノラル音声を忠実に楽しめる映画館で見て欲しい。これこそがフィンチャーのメッセージでしょうか。

完璧主義者の監督の作品だけに、様々な解釈が頭をよぎります。しかし根底には古き良き映画への、父から学んだ深い愛情があるのは確かです。

本作の主人公の友人は、パーキンソン病にかかります。これはハーマン・J・マンキーウィッツが『市民ケーン』の次に脚本を手掛けた映画、『打撃王』(1942)へのオマージュでしょう。

パーキンソン病に似た症状を持つ難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した野球の名選手、ルー・ゲーリッグを描いた映画が『打撃王』。

身勝手でだらしない振る舞いの多い主人公は、この経験から何かを学んだと創作したシーンです。『打撃王』もアカデミー賞脚色賞にノミネートされた作品です。

凝りに凝った映像以外にも、様々なメッセージが込められた映画『Mank マンク』。この記事を、それを読み解く手がかりにして頂ければ幸いです。

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