連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第5回
ポスト・コロナの時代に挑む、佳作から珍作・問題作まで、世界の様々な映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第5回で紹介するのは、人間の残虐性に焦点を当てたバイオレンス映画『ゲット・イン』。
平凡に暮らす一家が、ある日他人に住居を奪われる。法制度に不備もあり、彼らは家を取り戻す事ができません。人間の営みの根源的となる物を奪われた時、どう振る舞えばよいのでしょうか。
そんな軋轢が、人の中に眠る暴力性を目覚めさせ、事態はそれを残酷な形で表面化させる。そんなテーマを描いた衝撃の作品の登場です。
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CONTENTS
映画『ゲット・イン』の作品情報
【日本公開】
2020年(フランス・ベルギー映画)
【原題】
Furie / GET IN
【監督・脚本】
オリヴィエ・アブー
【キャスト】
アダマ・ニアン、ポール・アミ、ステファーヌ・カイラール、ユベール・デュラットル
【作品概要】
実際に起きた事件を元にして描かれた、現代社会や人間性の中に潜む問題を鋭くあぶり出す社会派バイオレンス映画。監督は監禁や暴力などをテーマにした作品『プリズン・ルーム』(2016)や『テリトリーズ』(2010)を発表したオリヴィエ・アブー。
主演は『シリアルキラーNo.1』(2015)など映画・ドラマで幅広く活躍するアダマ・ニアン。TVドラマ『La vie devant elles』(2015~)に主演し人気となり、BBCドラマ『宇宙戦争(The War of the Worlds )』(2019~)に出演のステファーヌ・カイラール、「未体験ゾーンの映画たち2020」上映作品、『ジェシカ』(2018)のポール・アミが共演しています。
映画『ゲット・イン』のあらすじとネタバレ
夏の休暇をキャンピングカーで楽しく過ごした、黒人の夫ポール(アダマ・ニアン)と白人の妻クロエ(ステファーヌ・カイラール)、1人息子ルイのディアロ一家。
8月30日の夜。バカンスを満喫した一家は、雨の中自宅へ戻ります。しかし一家の使用人でルイが懐いているサブリナと、その夫のエリック(ユベール・デュラットル)にも連絡がとれません。
家の門の前に到着しますが、リモコンを操作しても門は開きません。しかし自宅には電気が付いており、誰かがいることは確かです。
一家は住む場所が無く困っていたサブリナとエリックに、バカンスで留守にしている間、自宅を貸していました。クロエは自宅に電話をかけますが、応答はありません。
そこでポールは塀を乗り越え、敷地に入ると自宅に向かいサブリナとエリックに呼びかけます。ところがそこにパトカーが現れました。
クロエが通報者でないと確認した警官は、塀を乗り越えて入ったポールを、不法侵入者として取り扱います。警官はクロエの抗議にとり合わず、雨の中家族の前で逮捕されるポール。
夫婦は警察署で事情を説明し、ポールは警察の対応には、黒人に対する偏見があったのではないか、と激しく抗議します。しかし警察は住人からの通報に従い対処しただけと説明します。
警察は家の現在の住人は、エリックとサブリナ夫婦になっていると説明します。ポールとクロエは家を留守にして貸す間、光熱費などの費用は支払うように契約を交わしていました。
その結果、住居の維持管理に必要な費用を払ったエリックが、法律上新たな住人に認められたのです。これを正して家を取り戻すには、法律上の手続きを踏む必要があります。
警察も事情は理解しましたが、事態は民事上の当事者の争いであり、もしポールが力ずくで家を取り戻そうとすれば、禁固3年の刑になると説明し軽率な行動を戒めました。
事態はディアロ一家が納得できるものではありません。まずはエリックとサブリナに面会し、大人しく家を引き渡すよう説得を試みます。
キャンピングカーで自宅に向かうと、サブリナがゴミを出していました。急いて敷地に入り門を閉めたサブリナに、困っていたあなたを助けたのに、この仕打ちは酷いと訴えるクロエ。
硬い表情のサブリナは、何も話せないと答えます。現れたエリックは彼女を家に戻らせ、大人しく家を明け渡す意志は無いと示し、ディアロ家宛ての郵便物を渡して去りました。
ポールたちはとりあえず落ち着ける場所を探すしかありません。彼らは車を走らせると、近くにあるキャンプ場に向かいます。
そこの管理人が現れます。彼はクロエの顔を見ると親し気に声をかけます。管理人は彼女の高校時代の同級生、ミカエル(ポール・アミ)でした。
クロエから紹介され、ポールはミカエルと握手します。料金は一晩20ユーロになりますが、他に行く当ても無くキャンプ場内に車を進めるポール。
彼は車を停めると、電話をかけ状況を訴えます。しかし家に住み着いたエリックたちは光熱費など家の管理に必要な経費を支払い、手続き上は完璧な借家人として振る舞っていました。
怒りに満ちた表情のポールに近寄り、煙草を吸いつつ軽くキスをするクロエ。
こうなっては法的な手続きを踏み、家を取り戻すしかありません。夫婦が弁護士の元を訪れ相談すると、彼女は契約書を交わしたのは不利だが、数日中に取り戻せると約束します。
9月5日。ディアロ一家はまだキャンプ場に停めたキャンピングカーで生活していました。教師であるポールは、ここから職場の高校に通っていました。
ポールは授業で、イギリスの哲学者ジョン・ロックが唱えた、人間の基本的な権利である自然権について講義します。
それは全ての人間は、自分の生命と自由、そして所有する3つの権利、すなわち自然権を有しており、それを守ってもらうことを社会に委ねる、社会契約説に関する授業でした。
ところが黒人生徒の1人が、先生が怒らないと約束するなら言わせてくれ、と自説を語ります。そうは言っても、結局強い者が弱い者から奪い取るのが世の習いと語ります。
だからゲイより暴力男が世間で幅をきかせる。その言いぐさに怒り、罰を与えるポール。
反抗した生徒は、先生はココナッツ入りのチョコバー、つまり表面は黒いが、中身は白人かぶれの男だと言い棄てると出て行き、教室は気まずい雰囲気に包まれます。
様々な出来事に怒りを覚えたのか、不機嫌な顔で帰宅した彼を、家族と友人たちがサプライズパーティーで出迎えます。今日はポールの誕生日でした。
友人たちはディアロ夫婦に境遇に同情的でした。ポールは数日中には家に戻れると説明します。妻のクロエが友人の男と踊りに興じても、彼は黙って見つめるだけです。
友人たちが帰った後、夫がセラピーを受けていないと指摘するクロエ。夫婦は問題を抱えていました。ポールは妻の体に触れますが、それ以上の行為を拒みキスをして去るクロエ。
9月15日。判事はディアロ夫妻の訴えは認められないとの裁定します。夫婦の弁護士は、判事が法律を杓子定規に解釈した結果と説明しますが、ポールは納得できません。
窮状を訴えようとポールは役所を訪れますが、結局たらい回しにされただけで、何ら打開策は得られず、怒りだけが募ります。
夜も更けた頃、ポールはキャンプ場に帰ってきます。イライラしていたのか、置いてあった黒人農夫の大きな陶製人形を池に投げ込むポール。
それを管理人のミカエルが見ていました。気まずい表情で詫びるポールに、気持ちは判ると告げ、こっちに来いとミカエルは呼びかけます。
ポールにビールを進めるミカエル。彼は妻に浮気され離婚したが、今はここの管理人として気楽にやっていると告げ、ポールの職業を尋ねました。
自分は歴史の教師だと答えたポールに、歴史上人類最悪の年はいつだと彼は尋ねます。ポールは7万2千年前、スマトラ島の火山が噴火した時だと答えます(トバ事変と呼ばれる学説)。
この大噴火が地球にもたらした気候変動の結果、人類は1万人程度に減ったと説明し、我々は皆、それを生き残った者の子孫だと告げるポール。
ミカエルは人類は進歩したと言われるが、我々は本当に古代の狩猟採集民より幸せか、と尋ねます。その上でそろそろ話せよ、と彼はポールに促します。
ミカエルもポールが不当な手段で家を奪われ、取り戻せずにいるとを知っていました。ポールは争いは法に委ねられ、それを決めるのは判事だと告げました。
するとミカエルは取り戻す方法があると言い出します。ポールがその方法を教えてくれ、と言うと忘れてくれ、他人事だと告げたミカエル。
家を奪った者に沈黙するポールの態度は、実は被害者ぶっているだけだと言うミカエルに、ポールは何も語らず出て行きます。
10月2日。今だ自宅はディアロ夫妻に返ってきません。しかも11月9日に入り冬期を迎えると、法は現在賃借人扱いのエリック夫婦に有利に働き、更に退去させるのが難しくなります。
制度上の不備を付かれたと弁護士は説明しますが、ポールは怒って出て行きます。弁護士の仕事ぶりや、奪われた家のローンを支払う現状の不満を叫ぶ彼を、冷たい目で見つめるクロエ。
翌日ポールが勤め先の高校に出勤すると、生徒たちが喧嘩騒ぎを起こしていました。騒ぎを立ち尽して見つめる彼を、突き飛ばすように駆け付けた他の教師が割って入り仲裁します。
動かず何もしなかった彼を、生徒が黙って見つめます。心の中に沸き起こる思いを発散させるかのように、トラックを1人走るポール。
キャンプ場に戻ってきたポールに、車に乗った管理人のミカエルが声をかけます。車にはミカエルの友人、フランクも乗っていました。
ミカエルはフランクと共に憂さ晴らしに行こうと、ポールを誘います。車に乗り込んだ彼は、そこに銃が積んであることに驚きます。
陽気なフランクに誘われビールを渡されたポールは、妻の電話を無視し彼らと出かけました。
そこはミカエルの仲間の男女たちが集まって酒を飲み、乱痴気騒ぎを繰り広げる廃墟でした。その雰囲気に呑まれるポール。
ミカエルはポールに酒を勧め、仲間の一員として迎え入れます。ミカエルの仲間たちも、ポールが不当に家を奪われたことを知っていました。
彼らは家を取り戻すのに協力する、と言ってきます。無理だというポールに、あんたの家だとけしかけるミカエルたち。
皆にはやし立てられ、その気になり水を満たした電話ボックスに飛び込み、水中でビールを一気飲みし喝采を浴びるポール。大人しい彼も雄叫びを上げました。
騒ぎが落ち着くと男たちは、銃を持ち廃墟で待ち構えます。やがて夜の闇の中に豚が現れると、彼らは面白がってそれを撃ちます。
ミカエルはポールも豚を撃てと誘いますが、それに応じず騒ぎを傍観するポール。
夜が明けると、廃墟の外には撃たれた豚が転がっています。ポールは死にきれず金切り声を上げる豚の前に立ち尽していました。
そこにミカエルが現れ、この廃墟となった工場は、元はフランクの父のものだと説明します。
閉鎖され廃墟となった工場に、逃げてきた豚が棲みつき繁殖していました。だがそれがいい、全ての物事は時間が解決すると言うミカエル。
ポールはミカエルの手から銃を取り、目の前でうめく豚に発砲します。
キャンプ場に帰ると、ここを引き払うので清算を求めたポールに、ダチからは金を取らないと告げるミカエル。親密に別れを告げる2人を、クロエが見つめていました。
ディアロ一家のキャンピングカーは、キャンプ場を後にして自宅へと向かいます。車は敷地を囲む柵を突き破り、家の前の庭に停車します。
息子のルイに車にいるよう告げ、ポールとクロエは家から現れたエリックと対決します。直ぐ出ていけと迫る夫婦に、追い出したいなら提訴しろと居直るエリック。
ルイは事情を知ってか知らずか、家の中に駆け込みます。慌てて夫婦も追いますが、エリックは彼らを家に入れません。
ルイはかつて親しかった、元使用人のサブリナと共に出てきます。息子は中にあったゲーム機を取りに戻っただけでした。
それ以上は何も、ディアロ一家が飼っていたオウムすら、エリックは渡す意志を示しません。サブリナと共に家に入り、窓を閉めた彼はポールに中指を立てます。
ポールは家族と共に庭で暮らし始めます。エリック夫婦は家の「正当な」賃借人であっても、この物件の所有者ディアロ一家を、敷地から追い出すことは出来ません。
クロエは夫に、今は家を諦めて現状を受け入れようと訴えます。いつか家は取り戻せるので、それまでは力になってくれる友人の世話になろうと提案します。
俺は逃げないと答えるポール。彼は今や、自分の家を取り戻すことを頑なに望んでいました…。
映画『ゲット・イン』の感想と評価
参考映像:『わらの犬』(1971)
家族や財産を保有し、社会のルールに従って平穏に日々を暮らす人々。しかしそれが暴力で打ち破られると、人は野生に目覚めて争うことになる。
様々な映画や、それ以前には文学でも描かれたテーマです。そんな映画の代表格と言えばサム・ペキンパー監督作品『わらの犬』、文学の代表と言えば映画化もされた小説『蝿の王』でしょうか。
作品のテーマだけでなく、『ゲット・イン』のラストの襲撃シーンの状況は『わらの犬』、豚の使い方は『蝿の王』にオマージュを捧げている、と見て良い作品です。
実際に多くの人から現代版の『わらの犬』と評されている本作。実際の事件をモチーフにしたとされる本作を、まずその背景を探ってみましょう。
法の不備が悪用された事件
建物を不法占拠して住む、というのは日本ではあまり一般的ではない行為ですが、ヨーロツパ諸国では歴史的背景もあって、住む人の権利がより手厚く保護されています。
戦災や社会的貧困から、人々が生活を営む場所を守ろうとの考えが根底にあり、放棄された家にやむなく住んだ人を、追い出すには様々な手続きが必要とされる国が多いのです。
当然ながら、これを政治運動的に利用する者もいれば、中には犯罪的に所有者がいる住居を占拠し、住めるだけ住むと破壊して出て行く輩も現れます。このような占拠者を英語ではスコッターと呼び、イギリスでは社会問題化して法改正が行われました。
屋根の下で暮らす権利が、国民の基本的権利とされるフランスでも、不動産を賃借して住む者が不当に追い出されないよう、居住者を保護する様々な法律が整備されています。
ところが本作のように、この法制度を悪用して賃貸物件を占拠する者も現れます。主人公たちが彼らを追い出そうにも、簡単に解決できない背景にこのような事情がありました。
日本では、廃墟でも所有者がいれば住居・建造物侵入罪に問われ、所有者はいない場合も軽犯罪法に問われる可能性があります。考え無しに心霊スポットの廃墟に行ってはいけません。
日本で本作と同じような状況の作品といえば、宮部みゆきの小説でドラマ化され、映画版は大林宣彦が監督した『理由』(2004)を思い浮かべるべきでしょう。
実は知的なバイオレンス映画
そんなフランスの、住居の関する法律事情を背景に起きた争いが、暴力沙汰に発展し、現代人に眠る獣性を目覚めさせた、というバイオレンス映画が本作です。その暴力描写が意外に大人しい、と感じるのは私だけでしょうか。
無論女性を殴って血みどろにし、服を引き破り肌を露わに……という描写を、“大人しい”と表現する私は本当にどうかしてます。B級映画の見過ぎで感覚が歪んでますから、心から反省します。
しかし最初にジョン・ロックの社会契約論に触れ、頭の悪い襲撃者のはずのミカエルが、現代人は狩猟採集民より幸せかと問うなど、何かと知的なアプローチを試み物語は進んでいきます。
社会的なストレスで「不能」であった主人公が、暴力を通じて性を取り戻す姿も、人間の本質を捉えた描写ですが、同時に類型的とも言えます。言うなれば知的に理論武装した上で描いた暴力や獣性、何だか全編にインテリ的な雰囲気を感じました。
同じフランスで数々の問題作を生んだギャスパー・ノエや、『ハイテンション』(2003)で衝撃を与え、今はハリウッドで活躍するアレクサンドル・アジャ、『マーダーズ』(2008)や『ゴーストランドの惨劇 』(2018)のパスカル・ロジェ、こういった監督の作品と同様の、理不尽なまでに圧倒的な暴力描写を期待すると、肩透かしを喰らいます。
これにはフランス映画界の、暴力映画は芸術にあらずと、低く見る風潮があるのが一因だと思われます。こういったテーマに触れる時は、ことさらに芸術性や社会風刺、知的な描写を伴わないと、正当に評価されない結果でしょう。
近年そんな暴力描写に対して、フランス映画界が歴史的に抱いていた偏見も、弱まりつつあるようです。そんな背景を解説しつつ、ニューウェーブ・フレンチ・ホラーを紹介したドキュメンタリー映画『BEYOND BLOOD』(2018)が、こういった事情を教えてくれるのでぜひご覧下さい。
まとめ
世間一般にも、大多数の映画ファンにも衝撃的な暴力映画の『ゲット・イン』、覚悟して見て下さい。しかしバイオレンスホラー映画の数々を目撃してきた、B級映画が大好きな猛者には物足りないかもしれません。
なおこの作品のフランス語原題は「Furie」、しかし英語題に「GET IN」を使用しています。
それはNetflixで配信する時、同じタイトルのベトナム製アクション映画があったという、身も蓋もない事情と、アメリカの黒人差別を背景に描き、大ヒットしたホラー映画『ゲット・アウト』(2017)にあやかった上での判断だとされています。
本作が『ゲット・アウト』にあやかった理由はお判りでしょう。フランスで底辺層の白人より成功を収めた黒人、しかも白人を妻にした主人公が体験する不条理と恐怖は、『ゲット・アウト』の後日談と捉えることも出来ます。
主人公が暴力を嫌うだけでなく、妻の不貞に向き合う事もできないという設定など、劇中では彼の存在を「ココナッツ入りのチョコバー」と表現しています。本作が実に多層的に、フランス社会の様々な問題を描いた作品であるかを、ご理解頂けるでしょう。
主人公と最後に対決するミカエルを演じたポール・アミ、彼は『ジェシカ』でも反社会的に生きる凶暴な若者グループの一員を演じています。見るからにごつい顔で適役そのものです。
『ジェシカ』では日本刀を、本作ではバットを振り回す危ない奴を演じていますが、いかつい顔の男優が好きの女性映画ファンに実にアピールする顔立ち。これを機会にご注目下さい。
次回の「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」は…
次回の第6回は、本当に実話!?死体安置所に起きた恐怖を描くホラー映画『モルグ 死霊病棟』を紹介いたします。お楽しみに。
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