Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/10/06
Update

韓国映画『風水師』あらすじと感想レビュー【王の運命を決めた男】は豪華俳優共演のユニークな時代劇|コリアンムービーおすすめ指南15

  • Writer :
  • 西川ちょり

「風水」が天下を動かす! 最高の運気を宿す地相“明堂”にたどりつくのは誰だ!?

末裔に渡り一族が反映することを望んだ権力者たちが〈最強の土地〉をめぐり争う歴史エンターティンメント『風水師 王の運命を決めた男』が2019年10月25日よりシネマート新宿他にて全国順次公開されます。

【連載コラム】『コリアンムービーおすすめ指南』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

映画『風水師 王の運命を決めた男』の作品情報


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

【公開】
2019年公開(韓国映画)

【監督】
パク・ヒゴン

【キャスト】
チョ・スンウ、チソン、キム・ソンギュン、ペク・ユンシク、ムン・チェウォン、ユ・ジェミョン、パク・チュンソン、イ・ウォングン、カン・テオ、チョ・ボクレ、ヤン・ドングン

【作品概要】
映画『インサイダーズ/内部者たち』(2015)、ドラマ『秘密の森』(2017)などの作品で知られるチョ・スンウが風水師を演じた歴史エンターティメント。チョ・スンウ、キム・ソンギュンら、豪華俳優陣を迎え、監督を務めたのは『仁寺洞スキャンダル ~神の手を持つ男~』(2009)などのパク・ヒゴン。

映画『風水師 王の運命を決めた男』のあらすじ


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

朝鮮王朝の重臣キム・ジャグンとその息子キム・ビョンギ(キム・ソンギュン)は、着々と力を付け、勢力を拡大していました。

そのころ、次期国王が謎の死を遂げ、埋葬する御陵地の選定がおこなわれていました。王宮お抱えの風水師たちが薦めた土地に決定しかけた時、「ここは、王家の子孫が途絶える悪凶の地でございます」と異議申し立てをする者がいました。

それは権力者にひるまず毅然とした態度をとる天才風水師パク・ジェサンでした。しかし、他の風水師たちは、彼の言葉を否定し、結局この地に埋葬が決まります。

ある日、ジェサンのところに旧友のク・ヨンシクが訪ねてきました。彼と一緒に厠(かわや)に立ち、戻ってくるとジェサンの家は炎に包まれていました。

愛する妻子が斬り殺されるのを目にしたジェサンは、駆け寄ろうとしましたが、ヨンシクが彼を必死に抑えました。「もう手遅れだ。奴らの狙いはお前だ。出ていってはならん」。

キム・ジャグンとキム・ビョンギ親子は、自身が埋葬先に決めた土地を否定したジェサンに腹をたて、命を狙ったのです。

悲しみと憎しみを胸に、13年の歳月が流れました。

ジェサンはヨンシクと共に風水鑑定業を営んでいました。運勢の良い家屋を求める裕福な者からはがっぽりお金を取り、貧しい民には、部屋の内装を変えるだけでも運が変わると無料でアドバイスしました。

寂れた市場の住民が泣きついてくると、風水にまつわる様々なアイデアを伝授し、見事に昔のように繁盛した市場に戻してやりました。

お代金は?と尋ねられても、庶民からは金を受け取らないジェサンに、ヨンシクは、「山分けするって言っただろう?」と愚痴るのでした。

そんな活動をしながらもジェサンは密かにキム親子の動静を探っていました。

キム・ジャグンは、今や王室を牛耳るほど力をつけていました。彼らは、悪知恵の働く風水師チョン・マニンと結託し、末裔に渡る一族の繁栄を願い、強い運気が集まる土地“明堂(めいどう)”のなかでも最高峰の“大明堂”を亡き父の埋葬先にしようと企んでいました。

国王である憲宗(ホンジョン)は、キム親子の目にあまるふるまいに制裁を加えようとしますが、いつの間にか兵隊たちもキム親子側についており、王でありながら、その力を封じられてしまいます。

憲宗の身を案じた叔父の興宣君(フンソングン)は、王家の権威を取り戻すため、ジェサンを訪ねました。

共にキム親子への恨みがある二人は手を組み、キム親子を倒すべく、キム家の一族の墓がどこにあるのか探り出そうとします。

墓に眠る先祖を掘り起こして彼らの強運を断ち切り、一族もろともキム家を根絶させようというのです。

ジェサンはキム親子が興味を持つだろう情報を流し、屋敷に招かれるように工作します。キム親子は早速、くいつき、ジェサンに声をかけてきました。

屋敷に通され、話を終えたジェサンは、屋敷から一度出たふりをして再び戻り、キム家の墓について書かれた資料を手にいれることに成功しますが・・・。

スポンサーリンク

映画『風水師 王の運命を決めた男』の解説と感想


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

風水をテーマにしたユニークな時代劇

人相を見るだけで、その人物の性格や寿命などすべてを見抜いてしまう天才観相師をソン・ガンホが演じた『観相師ーかんそうし―』(2013)、結婚相手を相性で占うカリスマ占い師を主人公にした『ときめきプリンセス婚活記』(2018)に続く易学三部作の最後を飾るのが風水師を主役にした本作です。

「風水」という言葉は日本にも馴染みが深いものです。映画の序盤に登場する、良い子どもが生まれる家を求めて富裕層がおしかけたり、部屋の中の家具の配置ひとつで運は開けるといった風水鑑定シーンは、ユーモラスで、風水というものを身近に感じることができます。

『観相師―かんそうしー』が15世紀の朝鮮王国で起こった実在のクーデターの記録を基に作られたように、『風水師 王の運命を決めた男』もまた、実在の人物が風水師の助言のもと、「2代に渡り王位に就けるという場所に亡き父の墓を移した」という実際の出来ごとを基にしています。

こうした易学が実際に政治に大きな影響を与えていたことは大変興味深いものがあります。

“易学”をテーマにしたものならではのユニークで新しい時代劇になっています。

“明堂”をめぐる欲望の物語


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

パク・ジェサンは、“明堂(めいどう)”を探し当てる天才風水師です。本作の原題でもある“明堂”とは、人の運命をも変ずる強い運気の土地のことで、必ず国に安寧と繁栄をもたらす場所をさします。

ジェサンは、国の安定と民のために自身の能力を使おうと考えていますが、王室のお抱え風水師は権力に迎合し、権力者たちはひたすら自身の強欲のためだけに、“明堂(めいどう)”を利用しようとします。

信念の人ジェサンと欲望の塊となったキム親子は真っ向から対立します。

パク・ジェサンに扮するのは、映画『インサイダーズ/内部者たち』(2015)、ドラマ『秘密の森』(2017)でも、信念の人を演じたチョ・スンウです。

一方、王を差し置いて最高権力者になろうとするキム・ジャグンに扮したのは、ペク・ユンシクです。

ペク・ユンシクは、1947年生まれのベテラン俳優で、歳を重ねるに連れ円熟味を増してきたと評価されている俳優です。

上品な顔つき、重厚で落ち着いた振る舞いは一見、信頼のおける人格者のようですが、内面は全くの別人で、真の意味での怖さを内包した男を見事に演じています。

その息子、キム・ビョンギを演じるキム・ソンギュンはこれまでも悪役を多く演じてきており、この極悪親子の憎々しさは尋常ではありません。

人間の果てしない“欲望”が渦巻く様にご注目ください。

豪華俳優の共演


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

チョ・スンウはミュージカル俳優としての顔も持ち、舞台、映画、ドラマと多方面で活躍している俳優です。ドラマ『秘密の森』では、幼い頃に脳の手術をし、感情を失ってしまった検事を演じました。検察内部に蔓延る不正に挑むうちに人間らしい感情が芽生えていくという役柄で当たり役となりました。

『秘密の森』で、彼の上司を演じていたのが、ユ・ジェミョンです。敵か味方か、緊張感溢れる関係であったそのユ・ジェミョンが、『風水師』では、チョ・スンウの朋友をコミカルに演じているのです。

まったく違った関係性なのが愉快で、俳優というものの変幻自在ぶりに改めて感嘆してしまいます。

前述のペク・ユンシクも、チョ・スンウとは『タチャ イカサマ師』(2006)、『インサイダーズ/内部者たち』などいくつかの作品で共演しています。

興宣君を演じたチソンは、チョ・スンウとは初共演です。主にテレビドラマで人気のある俳優ですが、2014年の映画『コンフェッション 友の告白』では主役のひとりを演じ、その演技力が高く評価されました。

本作でも、第21代国王・英祖の子孫で今は没落した王族であるという複雑な役割を存在感たっぷりに演じています。

殺された父の恨みをはらそうとジェサンたちに協力する妓楼の女将チョソン役のムン・チェウォンは、パク・ヘイル主演の『神弓-KAMIYUMI-』で主人公の妹を演じ青龍映画賞、大鐘映画賞の最優秀新人賞を受賞している実力若手女優です。

個性的な面々が、己の目的のために火花を散らすエキサイティングな史劇エンターテインメントに仕上がっています。

まとめ


(C)2018, JUPITER FILM & MEGABOX JOONGANG PLUS M , ALL RIGHTS RESERVED

土地や地形が重要な役割を果たすため、空撮が多く用いられています。撮影監督のペク・ユンソクは、車の屋根にクレーンを設置したロシアン・アームや、ドローンを使用し、壮大な空間を映し出しました。

終盤のクライマックスにおける舞台設定にはあっと驚くことでしょう。

易学三部作としては本作が最後になるそうですが、「風水」というテーマは非常に興味深く、映画序盤に主人公が風水鑑定師として活動している場面の生き生きとした様は忘れがたいものがあります。

新たに「風水三部作」として、庶民たちの生活を軸にした風水鑑定師シリーズを期待したいところです。もちろん、主役はチョ・スンウで。

映画『風水師 王の運命を決めた男』は、シネマート新宿、シネマート心斎橋他にて10月25日(金)より全国順次公開されます!

次回のコリアンムービーおすすめ指南は…


(C)2019 CJ CGV Co., Ltd., banzakbanzak Film, All Rights Reserved

次回は、リーガル・サスペンス・ストーリー『8番目の男』を取り上げる予定です。

お楽しみに。

【連載コラム】「コリアンムービーおすすめ指南」記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

映画『ゴジラ対メカゴジラ(1974)』感想と評価。人気怪獣と“爆発の中野”の誕生!|邦画特撮大全26

連載コラム「邦画特撮大全」第26章 今回取り上げる作品は『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)です。 ゴジラ誕生20周年記念作品として本作は製作されました。本作は人気怪獣メカゴジラが初登場した映画です。 …

連載コラム

映画『ザ・スリープ・カース 失眠』ネタバレ感想。香港ホラーに日本人俳優の姿も⁈|未体験ゾーンの映画たち2019見破録29

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第29回 今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。様々な58本の映画が公開中ですが、今回は極 …

連載コラム

映画『君の名は。』から新海誠の「セカイ」を輪郭を読む|新海誠から考える令和の想像力1

連載コラム「新海誠から考える令和の想像力」第2回 序章では「セカイ系」の定義(特徴)をひとまず「ひとり語りが激しい=自意識」という点と「きみとぼくの関係が世界の危機に直結する」という点に求めました。 …

連載コラム

映画『エクスペリメント・アット・セントレオナルズ女子刑務所』ネタバレ感想と考察評価。ゾンビVS女囚人のプリズンバトルが勃発!|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録15

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第15回 世界のあらゆる国の、隠れた名作から怪作・珍品映画まで紹介する、劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第 …

連載コラム

映画監督の二宮健が広島尾道でイベント開催!スペシャルライブ企画などで濃密な時間を【SHINPA Vol.12後編】シネマ尾道の名もなき映画イベント2

第4回尾道映画祭中止なるも、ファンの要望に応え一部開催 新型コロナウイルス感染拡大防止のあおりをうけ、2020年2月28日~3月1日にかけて開催予定となっていた第4回尾道映画祭は中止することが決定。 …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学