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Entry 2020/10/19
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映画『ココディ・ココダ』あらすじ感想と考察評価。タイムループで殺人鬼サイコパスや人喰い犬からエンドレスに襲撃される!【シッチェス映画祭2020】|SF恐怖映画という名の観覧車125

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile125

一度心に根差した後悔の気持ちは、自責の念が強ければ強いほど悪夢のように何度も人の心を蝕みます。

暗く薄暗い「後悔」と言う危険なヴェール。

今回は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」第4弾として、「後悔」を主軸としたタイムリープスリラー映画『ココディ・ココダ』(2020)の魅力をご紹介させていただきます。

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映画『ココディ・ココダ』の作品情報


COPYRIGHT 2019 JOHANNES NYHOLM PRODUKTION, ALL RIGHTS RESERVED

【原題】
Koko-di Koko-da

【公開】
2020年(スウェーデン・デンマーク合作映画)

【監督】
ヨハネス・ニーホルム

【キャスト】
レイフ・エードルンド・ヨハンソン、イルバ・ガロン、カタリーナ・ヤコブソン、ペーテル・ベッリ

『ココディ・ココダ』のあらすじ


COPYRIGHT 2019 JOHANNES NYHOLM PRODUKTION, ALL RIGHTS RESERVED

一人娘のマヤ(カタリーナ・ヤコブソン)を愛する父のトビアス(レイフ・エードルンド・ヨハンソン)と母エリン(イルバ・ガロン)。

3人はマヤの誕生日を祝うためデンマークのスケーエンを訪れますが、現地の料理を食べたエリンが貝アレルギーを発症し病院に運ばれてしまいます。

治療が早かったためエリンは一命を取り留めますが、同じ料理を食べたマヤが貝の毒素に当たり命を落としてしまいます。

3年後、マヤの死以降夫婦関係が冷めきっているトビアスとエリンは、2人の関係を取り戻しマヤの3周忌の祝いをするため森の中でキャンプをすることにしますが、そこには恐ろしい殺人鬼が徘徊していて…。

逃げ場の無いタイムリープスリラー


COPYRIGHT 2019 JOHANNES NYHOLM PRODUKTION, ALL RIGHTS RESERVED

『いつも心はジャイアント』(2017)で高い評価を受けたヨハネス・ニーホルムによって製作された最新映画『ココディ・ココダ』は、「タイムリープ」を題材としたスリラー映画として日本では公開前でありながらも作品を期待することが多く上がっています。

本作の特徴は殺人鬼たちに殺される時間を繰り返す「タイムリープ」と「スリラー」を組み合わせた「タイムリープスリラー」にありますが、「タイムリープスリラー」そのものは2017年にアメリカで製作された『ハッピー・デス・デイ』(2019)など今では珍しいジャンルではありません。

しかし、本作は巻き戻る時間の開始地点が「殺人鬼に発見される直前」であるため、ループに気づいた主人公の取れる行動が少なく、より強烈に「タイムリープ」による絶望感を味わうことになります。

誰も助けてくれる人のいない森深く、殺人のループに気づかず仲の冷え切った妻エリンを連れたトビアスの絶望の夜を体験することが出来る作品でした。

頭に強く残る殺人鬼たち

本作に登場する殺人鬼たちは独特で異様な風体をしており、嫌でも頭に残る強烈さがあります。

汚れひとつない白のスーツを全身に纏い、陽気な喋りで他の殺人鬼と凶暴な犬を操る殺人鬼のモグ。

1950年代よりデンマークで活躍する歌手ペーテル・ベッリが演じるモグは紳士的な服装でありながら言動の全てに異常性を感じさせ、命乞いが無意味であることを鑑賞者にまで理解させる説得力があります。

モグに付き従う巨漢のサンポとぼろぼろのドレスを着たチェリーも、モグと同様に話が通じる可能性を即座に否定するような工夫が成されており、説明の必要がない震え上がるような狂気による恐怖を登場するだけで感じさせてくれていました。

様々な考察の余地を残す精神的作品


COPYRIGHT 2019 JOHANNES NYHOLM PRODUKTION, ALL RIGHTS RESERVED

最愛の愛娘の死から始まる本作は殺人鬼に無限に追い回される「タイムリープスリラー」映画でありながら、後悔と再生の物語が根幹に存在します。

夫婦の2人が心に抱える深い「後悔」は、殺人鬼に襲われる恐ろしいタイムリープの理由と密接に関係していることが作中で示唆されます。

しかし、これらの要素は作中ではうさぎを主人公とした影絵芝居でのみほのめかされ、具体的な言及はされません。

タイムリープを抜ける方法や殺人鬼一家の正体を理解するためには、作中の描写を残さず捉え考察する必要があります。

夜が明けたとき、2人が見る景色とは

監督のヨハネス・ニーホルムは「Daily Dead」のインタビューにおいて、本作が「夢」と同じ構造を持った映画であると発言しています。

理不尽で残虐とも言える暴力のループは制御の付かない「夢」の残酷さと同一であり、時間軸のブレや監督が意識したとする映像自体のコントラストなど、随所随所に「夢」のような要素を感じることが出来ます。

本作が「夢」と同じ構造を持った作品であるならば、当然目が覚める「覚醒」の時間が存在します。

悪夢とさえいえる絶望的な夜、苦悩を抱える2人の夫婦は夜明けにどのような光景を見ることになるのか。

さまざまな考察が生まれること間違いなしのラストシーンをぜひその目で確かめ、物語の意味を考察してみてください。

まとめ

タイムリープによって繰り返し恐怖に遭う夫婦と、その精神を描いた異色の映画『ココディ・ココダ』。

本作は「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」において劇場で公開予定。

「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020」はヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、シネマスコーレ(名古屋)の3劇場で開催予定。

日程をご確認の上、ぜひ会場に足を運んでみてください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile126では、引き続き「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2020開催記念特集」として、身体を自由に動かすことの出来ない少女がウイルスによって凶暴化した犬に襲われるサバイバルホラー映画『VS狂犬』(2020)をご紹介させていただきます。

10月26日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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