連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第178回
多文化が花咲くロンドンを舞台にした“今”のラブストーリー『きっと、それは愛じゃない』が2023年12月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国公開されます。
『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(2013)『ラブ・アクチュアリー』(2003) 『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001)の制作陣が恋愛のカタチを映像化しました。
『きっと、それは愛じゃない』の監督は、アカデミー賞7部門にノミネートされた『エリザベス』で世界的名声を獲得したシェカール・カプール。実写版『シンデレラ』(2015)のリリー・ジェームズが、本作でも主演を務めます。
SNSや出会い系アプリが溢れかえっている現代において、あえて親が進める相手と見合い結婚をしようとする幼馴染みの男性・カズ。結婚に愛は必要か? そんな疑問から自分の気持ちに気が付く主人公・ゾーイ。
果たしてゾーイの思いはどうなるのでしょう。映画『きっと、それは愛じゃない』をご紹介します。
映画『きっと、それは愛じゃない』の作品情報
【日本公開】
2023年(イギリス映画)
【原題】
WHAT’S LOVE GOT TO DO WITH IT?
【監督】
シェカール・カプール
【キャスト】
リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、シャバナ・アズミ、エマ・トンプソン、サジャル・アリー
【作品概要】
『きっと、それは愛じゃない』の監督はアカデミー賞7部門にノミネートされた『エリザベス』(1999)で世界的名声を獲得した、インド映画界の生ける伝説シェカール・カプール。本作は『エリザベス:ゴールデン・エイジ』以来、15年ぶりの新作となりました。
主演を務めるのは、『シンデレラ』(2015)をはじめ、『ベイビー・ドライバー』(2017)や『イエスタデイ』(2019)などの話題作に出演してきた人気俳優リリー・ジェームズ。
主人公の母を演じるのは、『ハワーズ・エンド』(2019)でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、『ラブ・アクチュアリー』(2003)や「ハリー・ポッター」シリーズなどの人気作にも出演するエマ・トンプソンも共演しています。
映画『きっと、それは愛じゃない』のあらすじ
ドキュメンタリー監督を仕事としているゾーイ。隣人の結婚式に招かれ、そこで幼なじみの医師カズと久々に再会しますが、彼が見合い結婚をすると聞いて驚きます。
ゾーイは、今の時代になぜ親が選んだ相手と結婚するのかと疑問に思いました。そして、彼女は、カズの結婚までの軌跡を追う新作ドキュメンタリーを制作することにします。
実はゾーイ自身は運命の人の出現を待ち望んでいました。この人こそと思って何人もの男性と付き合うのですが、みなダメ男ばかりで、失敗を繰り返していたのです。
そんな頃に、条件の合う相手が見つかったカズは、両親も交えたオンラインでお見合いを決行。
数日後、カズから婚約の報告を受けたゾーイは、これまで自分で気が付かないふりをしてきたカズへのある思いに気がつきます。
映画『きっと、それは愛じゃない』の感想と評価
ドキュメンタリー監督のゾーイと幼馴染みの医師カズのドタバタラブストーリー。
仕事に没頭するゾーイですが、慌ただしい毎日の中でも、素敵な恋人を見つけたいと常にアンテナをはっています。ですが、なぜかゾーイが恋人とするのは、ダメ男と呼ばれる部類の男性ばかり。自分の恋に苛立ちを覚え始めたとき、カズがお見合い結婚をすると知り、驚きを隠せません。
自由に異性と知り合い恋愛をして生涯のパートナーを見つけられる今なのに、なぜお見合い結婚なのか。このギャップが面白いとゾーイはカズのお見合いを密着してドキュメンタリー作品を作ることにします。
ゾーイはカズに張り付いて取材をします。お見合いの席にも同行し、カズ自身と両親が決めた結婚相手を見ました。そして気が付く自分の気持ち……。
一番気心が知れて安心できる相手なのにあまりに身近にいると、その存在すら意識しないことは多々あることでしょう。ゾーイの場合もそうでした。
SNSなどが発達している現代ではマッチングアプリなど出会い系サイトも多くあり、新たな出会いを求めるには不自由はしませんが、相手の全部の性格や日常の生き様などが短い期間で分かり合えるのでしょうか。
「運命の人」は身近にいるとは限りません。ですが、本当に自分のことを分かってくれる人というのは、そうそう頻繁に現れるものではありません。
パートナーとして生涯を共にする相手に何を求めるのかが、結婚を意識したときの大きなポイントとなることは間違いないでしょう。
まとめ
映画『きっと、それは愛じゃない』をご紹介しました。心の痛みを感じつつ、自分の疑問を素直にカズにぶつける主人公・ゾーイは、リリー・ジェームズが演じました。
『シンデレラ』(2015)のナチュラルな演技で周囲を魅了したのは記憶に新しいところです。本作では、揺れ動く女心を時には愛らしく時には小悪魔的に、さまざまな顔で表現していますので注目してください。
恋愛かお見合か。結婚についての大きな選択肢を題材にした本作は、愛についての教訓も含まれているので、素敵な出会いを求める人は必見です。
映画『きっと、それは愛じゃない』は2023年12月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。