連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第201回
香月秀之監督の映画『お終活 再春!人生ラプソディ』が、2024年5月31日(金)全国公開。
人生を謳歌するための「お終活」を提唱し、シニア世代に笑顔と勇気を与えた前作『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』(2021)のシリーズ第2弾です。
熟年夫婦の悲喜こもごも、親子の葛藤、介護の本音など、いくつもの問題を抱えながら、いくつになっても人生を諦めない「お終活」ファミリーたちが、痛快な笑いと胸を熱くする感動を呼び起こす感動作。
そのテーマは「再春」です。誰の心の中にもきっとある若かりし頃の夢や憧れに挑戦するシニア世代の主人公たちを描いた本作、『お終活 再春!人生ラプソディ』をご紹介します。
映画『お終活 再春!人生ラプソディ』の作品情報
【日本公開】
2024年(日本映画)
【脚本・監督】
香月秀之
【音楽】
MOKU
【挿入歌】
『愛の讃歌』
作曲:Margueritte Angele Monnot 訳詞:カツキヒデユキ 歌:高畑淳子
【キャスト】
高畑淳子、剛力彩芽、松下由樹、水野勝、西村まさ彦、石橋蓮司、藤吉久美子、増子倭文江、LiLiCo、窪塚俊介、勝俣州和、橋本マナミ、藤原紀香(友情出演)、大村崑、凰稀かなめ、長塚京三、橋爪功
【作品概要】
本作は前作『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』(2021)に続くシリーズ第2弾。前作に続いて香月秀之が監督・脚本を手がけました。
『月』(2023)などにも出演する高畑淳子が主役の千賀子を演じ、千賀子の夫・真一役には『闇の歯車』(2019)などの橋爪功、亜矢役の剛力彩芽といった前作のキャストに加え、長塚京三、凰稀かなめ、大村崑らが新たに参加。シニア世代の悩みや生き方をリアルに描き出します。
映画『お終活 再春!人生ラプソディ』のあらすじ
大原家は千賀子(高畑淳子)と真一(橋爪功)、それに一人娘・亜矢(剛力彩芽)の3人家族です。
夫婦は結婚50年の金婚式を迎え、亜矢も高級介護施設の栄養士となり、恋人の菅野涼太との結婚も目前となりました!
喜びあふれる大原家ですが、真一の認知症疑惑という新たな問題が浮上します。
その一方で、千賀子は若い頃に習っていたシャンソンの恩師の娘・丸山英恵(凰稀かなめ)と出会い、それがきっかけで、再び歌のレッスンに通うようになりました。
音楽ライブプロデューサーでもある英恵からステージでシャンソンを歌わないかと勧められ、千賀子は大張り切り。
ですが、コンサート目前に開催が危うくなり……。
はたして、千賀子はステージで歌えるのでしょうか!? そして大原家は一体、これからどうなるのでしょう。
映画『お終活 再春!人生ラプソディ』の感想と評価
人生百年時代の到来も身近になった現代。「お終活」という言葉も頻繁に聞かれるようになりました。
「終活」は自分の死後、身内に迷惑をかけないように自分の身の周りのことを片付けていくことだと思い、それを実行するにはやはりある程度の踏ん切りと決意が必要と思われがちです。
ですが、本作で語られる「終活」は、老後を暗い隠居生活と考えがちなシニアたちにとって、明るい光をもたらしています。
シニアになっても夢を持っていいのではないか。青春時代に果たせなかった夢を追い求めているのはなんと素晴らしいことと思えます。
千賀子の夫に訪れた認知症疑惑も何のその。病気に対する不安も夫への不満も夢が吹き飛ばしてくれました。
幾つになっても青春! タイトルが示すように、青春は再び訪れるのです。人生をまだまだ謳歌する千賀子たちに勇気と元気をもらうことでしょう。
主役の千賀子を演じる高畑淳子は、本作で溌剌とした歌声を披露し、夫役の橋爪功もひょうひょうとした人間味あふれるいいオヤジを演じています。
こんな風に年齢を重ねていきたいと心のどこかで願うような、ハートフルな作品です。
まとめ
シニア世代に笑顔と勇気を与える「お終活」シリーズ第2弾『お終活 再春!人生ラプソディ』をご紹介しました。
金婚式を迎えた千賀子と真一は、娘の結婚話や真一の認知症疑いなど、山あり谷あり人生を体験することになります。
自身の老後を考えながらも、青春時代の夢を叶えようとする千賀子。果たして千賀子は無事に夢を叶えることができるのでしょうか。
千賀子を演じる高畑淳子の熱演ぶりと、真一を演じる橋爪功のほのぼのとした優しさが伝わる演技が微妙にマッチし、笑いを含みながらも人生を見つめ直す感動作に仕上げています。
映画『お終活 再春!人生ラプソディ』は、2024年5月31日(金)全国公開!!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。