連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第197回
映画『リバウンド』は、廃部寸前の弱小バスケットボール部の新任コーチとたった6人の選手が全国大会進出を果たすスポーツ青春ムービー。
2012年、韓国。わずか6名の選手で全国大会決勝進出を成し遂げた釜山(プサン)中央高校バスケットボール部の物語、映画『リバウンド』は、4月26日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショーです。
本作は、韓国全土に衝撃と旋風を巻き起こした実在する高校バスケットボール部の奇跡の物語を、構想11年の時を経て映像化したものです。
たった6人の選手が全国大会進出を果たした奇跡の実話。 新任コーチとバスケットボール部員たちが織りなす挫折と栄光の8日間を描きだします。
映画『リバウンド』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
리바운드
【英題】
REBOUND
【監督】
チャン・ハンジュン
【脚本】
クォン・ソンフィ、キム・ウニ
【キャスト】
アン・ジェホン、イ・シニョン、チョン・ジヌン(2AM)、チョン・ゴンジュ、キム・テク、キム・ミン、アン・ジホ
【作品概要】
『リバウンド』は韓国全土を熱狂させた実在の高校のバスケットボール部が起こした奇跡と感動の実話を完全映画化したものです。
監督は本作が6年振りの新作となる、『記憶の夜』(2017)のチャン・ハンジュン。主役の新任コーチ役は、実力派俳優アン・ジェホンが演じ、若手俳優イ・シニョンを筆頭に、2AMで俳優としても活躍の幅を広げているチョン・ジヌン、チョン・ゴンジュ、キム・テクといった新鋭俳優たちが共演。
日本の『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)に次ぐ、韓国初の本格バスケ映画として話題沸騰。
映画『リバウンド』のあらすじ
バスケットボール選手出身の公益勤務要員(※)であるカン・ヤンヒョン。ある日、廃部の危機に瀕した釜山中央高校バスケットボール部の新任コーチに抜擢されました。
しかし、部員も揃わないバスケットボール部です。ヤンヒョンは部員集めに走り回り、なんとか6人の部員を集めて練習を始めます。
しかし、全国大会での初試合の相手は高校バスケットボール最強者の龍山(ヨンサン)高校。チームワークが崩れた中央高は惨敗という恥辱の結果を生みます。
学校はバスケットボール部解散まで議論しますが、ヤンヒョンは自分がMVPを受賞した高校時代を思い出し、再び選手たちを集めました。
ヤンヒョンと選手たちの「勝つこと」に向けた練習が始まります。
誰も注目しなかった最弱チームの新任コーチと6人の選手が、ついに2012年の全国高校バスケットボール大会への出場を果たしました。試合はまだ始まったばかりです。
映画『リバウンド』の感想と評価
日本のバスケットボール映画『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)を意識したような『リバウンド』。ですが、これが韓国での実話というから驚きです。
たった6人の部員で全国高校バスケットボール大会への出場を果たすという奇跡を、チャン・ハンジュン監督が若手俳優たちを集めて、感動的な作品に仕上げました。
主役を演じるアン・ジェホンは10キロ増量し、実在のバスケットボール部のコーチに似せた体型で熱演しました。
また、作品のリアルさにこだわり、400人を超えるオーディションで選抜されたキャストたちは、実際にバスケットボールのトレーニングをして撮影に挑んだと言います。
映画『リバウンド』では、バスケットボールの試合が半分を占めています。本番さながらの白熱した試合をリアルに再現するこの作品では、監督を始めとするキャストたちの努力が存分に発揮されるプレーの数々に目を奪われます。このような本格的なプレーシーンは本作一番の見どころです。
ところでタイトルの「リバウンド」とはどういう意味があるのでしょう。バスケットボールでは、シュートが不成功のとき、ボールがはね返ることを「リバウンド」と言います。ミスをチャンスに変え、失敗を成功に導くことの意味でもあります。
タイトルに抜擢されたこの言葉の意味するところは深く、ひたむきにバスケットボールに打ち込む若者たちからは、前向きに生きる力をもらえることでしょう。
まとめ
韓国発のスポーツ青春ムービー『リバウンド』をご紹介しました。
廃部寸前の弱小バスケットボール部の新任コーチと6人の選手が韓国全国大会を目指す奇跡の実話。控え選手のいない中央高校バスケットボール部員は、体力勝負の試合に文字通り死に物狂いで戦います。
ここまで彼らを夢中にさせたのは何だったのでしょう。球技への愛、仲間たちとの友情、コーチへの信頼……。まだまだあるかも知れませんが、一つの目標に向かって皆で取り込んでいくことの素晴らしさがにじみ出ています。
本作は、若者ならではの夢も挫折も織り交ぜたリアルな青春ムービーで、バスケットボールに熱中する彼らに胸が熱くなることは間違いありません。
映画『リバウンド』は、4月26日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。