Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/07/04
Update

タランティーノ映画最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』【予告から読み取れるものとは?】FILMINK-vol.16

  • Writer :
  • FILMINK

FILMINK-vol.16 How Much More Do We Know About Once Upon a Time in Hollywood after Cannes Premiere?

オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外の映画情報をお届けいたします。


© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

「FILMINK」から連載16弾としてピックアップしたのは、日本では2019年8月30日(金)公開のクエンティン・タランティーノ監督最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。

【連載レビュー】『FILMINK:list』記事一覧はこちら

公開が待たれるタランティーノ最新作

2019年、全世界の映画ファンが最も心待ちにしていると言っても過言ではない『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。

公開された予告編第一弾にますます期待が高まります。

参考映像:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』本国版予告編

イメージを膨らませていたキャラクターたちが動いている実際の映像を見ると、さらに胸が高鳴りますね。

他のクエンティン・タランティーノ作品と同じく、本作も期待を裏切りません。彼の作品には他の映画製作者は決して真似できないであろう、特別なものがあります。

カラフルなストーリー、魅惑的なキャラクター、そしてシャロン・テートやブルース・リー、悪名高きチャールズ・マンソンという1960年代の実在の人物たち。

予告編は多くのファンにとって垂涎必死のものでしたが、それでもまだ謎や想像力を掻き立てる余白が残されています。

本記事ではカンヌでのタランティーノ監督による記者会見内容も含めた情報をまとめてお送りします。

舞台となるのは1969年のロサンゼルス

本作での地理的、時間的な設定は公開されています。

また、タランティーノ監督がマンソンファミリーについて言及することも長い間噂されてきた要素の一つです。

タランティーノはマンソンでは無く、“1969年”という時代についての映画を撮るということを2017年に発表していました。

予告編には眩いネオンの看板や“プッシーキャット・シアター”(ポルノなどを上映するアダルトな映画館)といった60年代を代表するアイコンが登場します。

もちろんマンソンファミリーの事件が本作の要であることも事実。マンソンを演じるのはオーストラリア出身の俳優、デイモン・ヘリマンです。

マンソンの存在が映画をどのくらいコントロールするかはまだ明かされていません。タランティーノという監督は予測できない、カジノの様な人物だからです。

もしかすればマンソンについてが物語の大部分を占めるかもしれませんし、『イングロリアス・バスターズ』のヒトラーの様に面白おかしく誇張されたカメオキャラクターであるかもしれません。

ただ、チャールズ・マンソンを持ち出さずに1969年のハリウッドの話をするというのは不可能に近い、というのは確かです。

彼はヒッピー文化の消滅と大きく関わっています。シャロン・テート殺害を含む、彼が犯した多くの殺人は、自由を愛したヒッピーの60年代を突然に終わらせました。

タランティーノがこの暗黒に満ち謎めいたキャラクターを映画内でどのように用いるかを目撃するとしましょう。

最高のキャストたちを紹介

本作のキャストが発表された時点で大騒ぎされた方も多かったのではないでしょうか。早速この豪華すぎるキャスト陣を見ていくとしましょう。

レオナルド・ディカプリオ

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

ディカプリオが演じるのは架空のウエスタン俳優、リック・ダルトン。

いつも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるディカプリオ。本作でも予告編の時点で、その見事な演技力が明らかになっています。

ブラッド・ピット

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

ピットが演じるのはこれまた架空のキャラクター。リック・ダルトンの親友で彼のスタントダブルであるクリフ・ブースです。

ブースとダルトンのバディは、実在する俳優バート・レイノルズとスタントマンのハル・ニーダムをモデルにしているそう。

映画では、シャロン・テートとポランスキーの家の隣にブースは住んでいる設定です。

マーゴット・ロビー

© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

マーゴット・ロビー以上にシャロン・テート役が似会う女優はほかにいるでしょうか?

ロビーは以前『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にてディカプリオと共演しています。

金髪で少し頭が悪いといった悪意あるステレオタイプを任されることが多かったものの、『アイ・トーニャ』で彼女が持つ演技力を堂々と披露し、現代で最高の女優の一人と絶賛されたロビー。

本作が反フェミニスト的アプローチを取った映画と言われるにも関わらず、なぜ彼女はこの役を演じたのか。魅力溢れる名女優の存在感に注目です。

脇を固める名優たち

メインキャストの彼ら以外にも、マンソンを演じるデイモン・ヘリマン、殺害されたシャロン・テートの当時の夫を演じるラファウ・ザヴィエルチャ、シャロン・テートの友人アビゲール・フォルガーを演じるサマンサ・ロビンソン、マンソンに殺されたカリスマスタイリストのジェイ・セブリングを演じるエミール・ハーシュ、そしてアル・パチーノが出演。

欧州、アメリカの俳優たちが集結しています。

もう一つ、予告編で注目して頂きたい点があります。セブリングは実生活でブルース・リーと親交があり、彼らがトレーニングをしている瞬間が映し出されている、という事実です。

FILMINK【How Much More Do We Know About Once Upon a Time in Hollywood after Cannes Premiere?

英文記事/Raymond Sands
翻訳/Moeka Kotaki
監修/Natsuko Yakumaru(Cinemarche)
英文記事所有/Dov Kornits(FilmInk)www.filmink.com.au

本記事はオーストラリアにある出版社「FILMINK」のサイト掲載された英文記事を、Cinemarcheが翻訳掲載の権利を契約し、再構成したものです。本記事の無断使用や転写は一切禁止です。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品情報

【日本公開】
2019年8月30日(アメリカ映画)

【原題】
Once Upon a Time in Hollywood

【監督・脚本】
クエンティン・タランティーノ

【キャスト】
レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ、マーガレット・クアリー、ティモシー・オリファント、オースティン・バトラー、ダコタ・ファニング、アル・パチーノ、ジェームズ・マースデン、ルーク・ペリー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、カート・ラッセル、ダミアン・ルイス

【作品概要】
1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件を背景に、ハリウッド映画界を描きます。

クエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットら豪華キャストが出演。

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ


© 2019 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

物語の舞台は1969年、ロサンゼルス。俳優のリック・ダルトンは50年代後半に西部劇のTVシリーズで人気を博しましたが、現在はアルコール依存の為にキャリアは停滞気味。

そんな中、ダルトンのスタントダブルであり長年の親友、また妻殺しと逃走の疑いもかけられているクリフ・ブースはブルース・リーと一緒に格闘技の大会に参加することに。

ダルトンも新しいTVシリーズで悪役をゲットし、賢い子役に一泡吹かせられる現場を過ごしていました。

一方、女優シャロン・テートがポーランド人映画監督で夫のロマン・ポランスキーと共にハリウッドへやってきました。

モノクロ映画からカラー映画への変遷、古きジャンル映画の衰退…そして豪華絢爛のハリウッドに忍び寄る恐ろしい殺人集団の影。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は落ち目の俳優とスタントダブルのバディを主人公にマンソン・ファミリーとの大決闘を描く作品となっています。

【連載レビュー】『FILMINK:list』記事一覧はこちら


関連記事

連載コラム

映画『仮面ライダーゼロワン』ネタバレ感想評価レビュー。最終回後のストーリーを描く決定版|邦画特撮大全79

連載コラム「邦画特撮大全」第79章 今回の邦画特撮大全は劇場版『仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』を紹介します。 2020年12月18日より公開された『仮面ライダーゼロワン REAL×TIME …

連載コラム

映画『ダイヤルMを廻せ』ネタバレあらすじと感想解説。ヒッチコックが小道具を活かした完全犯罪の行く末にあるものとは|電影19XX年への旅11

連載コラム「電影19XX年への旅」第11回 歴代の巨匠監督たちが映画史に残した名作・傑作の作品を紹介する連載コラム「電影19XX年への旅」。 第11回は、『めまい』や『白い恐怖』など、多くの名作を映画 …

連載コラム

映画『スパロークリーク』あらすじネタバレと感想。元ネタがレザボアドックスだけにB級ファンなら見逃すな!|未体験ゾーンの映画たち2020見破録4

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第4回 映画ファンにとって新年初の大イベント、劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020」が、今年も1月3日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷 …

連載コラム

スタローン映画『ロッキー』あらすじネタバレと感想。アカデミー賞の評価に輝く出世作にして名作|すべての映画はアクションから始まる14

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第14回 日本公開を控える新作から、カルト的評価を得ている知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はア …

連載コラム

【ネタバレ考察】君たちはどう生きるか|アオサギ(声優/菅田将暉)正体は《火の鳥》?猿田彦×不死鳥の役目から探る“果てなき空想へ案内する鳥”|君たちはどう観るか3

連載コラム『君たちはどう観るか』第3回 『風立ちぬ』(2013)を最後に「長編アニメーション作品の制作からの“引退”」を表明した宮崎駿が、「宮﨑駿」に改名して挑んだ映画『君たちはどう生きるか』。 奇想 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学