連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第46回
「夏はホラー映画」と言うイメージは作品の怖さに寒気がすると言う精神的なものと、作品内で描かれる季節に夏が多いという2つの要素から成り立っています。
そして猛暑が予想される2021年の夏、映像配信サービス「Netflix」に「殺人鬼による猟奇殺人」「サマーキャンプでの惨劇」「ティーンによる真相究明」と言う夏に見たいホラー映画の要素を全て揃えたホラー映画シリーズが登場。
今回は3週連続で公開されるホラー映画3部作「フィアー・ストリート」シリーズの第1作『フィアー・ストリート Part1:1994』(2021)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
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CONTENTS
映画『フィアー・ストリート Part1:1994』の作品情報
【原題】
Fear Street Part One: 1994
【配信日】
2021年7月2日(アメリカ映画)
【監督】
リー・ジャニアク
【キャスト】
キアナ・マデイラ、オリヴィア・ウェルチ、ベンジャミン・フローレス・Jr、ジュリア・レーヴァルト、フレッド・ヘッキンジャー、アシュリー・ズーカーマン
【作品概要】
映画化もされた「グースバンプス」などのシリーズで知られるホラー小説家R・L・スタインによるホラー小説「フィアー・ストリート」シリーズの映像化作品第1弾。
映画『ハネムーン』の監督と脚本を務めたリー・ジャニアクが3部作すべての監督を務めました。
映画『フィアー・ストリート Part1:1994』のあらすじとネタバレ
シェイディサイドの大手ショッピングモールで11人が死亡する猟奇殺人が発生。
犯人のライアンはグッド保安官によって射殺されますが、隣町のサニーヴェイルと違って殺人の発生率が異常に高いシェイディサイドは呪われた町と噂されるようになっていました。
シェイディサイドではかつてサラと言う魔女が住民によって処刑された過去があり、同級生のヘザーが犠牲者となったディーナの高校でもサラの仕業だと話題となっていました。
サニーヴェイル高校とのアメフト試合にチアリーダーの一員として参加したディーナは元恋人のサムと再会。
しかし、試合の前日に行われた追悼式で元々いがみ合っていた2校の対立は決定的になり、移動中にサニーヴェイルのメンバーが乗る車にバスを煽られたシェイディサイドのアメフトチームは車に水をかけ結果的に事故を誘引してしまいます。
その際、怪我をしていないはずのディーナが鼻血を出し、また事故をしたサムは吐血し何かの記憶をフラッシュバックさせました。
サムの現彼氏でありサニーヴェイルのアメフト部のピーターは事故を恨み、シェイディサイドのメンバーを皆殺しにすると宣言。
夜、ディーナは家の前で骸骨の面を被り包丁を持つ人間を見つけます。
ピーターの嫌がらせだと捉えたディーナは友人のサイモンとケイトに電話をかけますが、骸骨面の人間は2人の前にも現れます。
ピーターの仕業だと確信する4人はディーナの弟のジョシュを連れサムの入院する病院に詰問しに行きますが、その場に骸骨面の人間が現れピーターを始めとしたその場にいる人間を殺害し始めます。
襲われたサムを助けるためもみ合いになるうちにディーナは骸骨の面を外すことに成功しますが、その顔はモールで射殺されたはずのライアンでした。
警察署に逃げ込んだ5人はグッド保安官にライアンの件を訴えますが、保安官たちはディーナの意見を狂言と捉え彼女たちを追い返します。
その頃、小便のために逸れていたサイモンが街灯下に佇む女性に剃刀で襲われますが、保安官から銃を奪い現れたディーナによって救われます。
しかし、女性は撃たれたにも関わらず死亡せず一行は家へと逃げ帰りこれまでのことを振り返ります。
ジョシュはサイモンを襲った女性が1965年に発生しその後自殺した猟奇殺人の犯人であると推測し、ライアン含め死んだはずの殺人鬼が生きていると話します。
シェイディサイドでは普通の人間が猟奇殺人鬼と化すことが定期的に起きており、ジョシュ曰くその発端は1666年の魔女サラの処刑にあったと推測。
サラの呪いだとして何故自分たちが執拗に狙われるかに疑問を持つ一行でしたが、事故のあった日、サムがフラッシュバックさせた記憶はサラの記憶であったことがわかり、彼女が魔女を目撃したことで狙われていると確信。
5人は事故のあった森に入り、事故現場を探るとその場所の土中から骸骨が見つかります。
一緒に埋められていたものからその骸骨がサラのものであると確信したジョシュは、事故によって彼女がサラの墓を荒らしたことがことの発端だと考えます。
サラの怒りを収めるため骸骨を埋葬し直す5人でしたが、その場に麻袋を被った殺人鬼が現れ5人を襲撃。
しかし、何故か殺人鬼は追いついたジョシュに目を向けることはなく他の4人を襲い、5人は命からがらその場を去ることに成功します。
映画『フィアー・ストリート Part1:1994』の感想と評価
多くのスラッシャー映画へのリスペクト
十数年に一度猟奇殺人が発生する町「シェイディサイド」を舞台としたホラー映画シリーズ「フィアー・ストリート」。
1作目は1994年を舞台に女子高生のディーナたちと殺人鬼たちの奮闘を描き、2作目は1978年、そして3作目は1666年と物語は猟奇殺人が発生する「呪い」の元凶へと向かい遡って行くことになります。
時系列上、3部作で最も「後」の物語となる第1作では過去のシェイディサイドの殺人鬼たちが蘇りディーナたちを襲撃します。
殺人鬼の容貌は髑髏面を着けた「スクリーム」シリーズを思わせる殺人鬼から「13日の金曜日」シリーズのジェイソンを彷彿させる麻袋姿の殺人鬼まで、伝説と言えるスラッシャー映画たちへのリスペクトを感じさせるビジュアルをしており、登場するだけでホラー映画好きを楽しませてくれる作品でした。
ゴア表現の容赦のなさと真相究明の面白さ
次々と殺人鬼が襲い来るスラッシャー映画としての面白味が深い本作はゴア表現の容赦のなさも魅力的であり、シーンは少ないながらも強く頭に残るほどの衝撃を与えてくれます。
しかし、本作はホラー映画の特徴として「IT/イット」のような「呪い」の元凶を探る真相究明の面白さもあり、主人公ディーナの弟のジョシュが「なぜ」や「どうする」を次々と見つけていく展開に引き込まれます。
呪いを受けてしまった理由や解呪方法は分かれど、「魔女はなぜ処刑されたのか」や「グッド保安官は何を知っているのか」などさまざな謎が残った本作。
謎を解きながら謎を残す、3部作の構成を上手く利用し第2弾を見ざるを得ないほどに引き込む物語展開が秀逸でした。
まとめ
1994年の町での呪いとの攻防は終わることなく、物語は1978年の惨劇を振り返る『フィアー・ストリート Part2:1978』(2021)へと続いていくことになります。
「サマーキャンプ」と「麻袋を被った殺人鬼」、そして「若者たちの夏」を描く第2弾は本作に引き続きホラー映画好きの感性に刺さること間違いなし。
次回作の配信前にスラッシャー映画の詰め合わせセットのような3部作の始動の作品『フィアー・ストリート Part1:1994』を、ぜひ「Netflix」で鑑賞してみてください。
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