Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/07/11
Update

『Cosmetic DNA』USJの美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-D【自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦5】

  • Writer :
  • 大久保健也

連載コラム『自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦』
第5回「USJの『美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-D』」

2021年7月10日、お疲れ様です。今秋劇場公開予定の映画『Cosmetic DNA』の監督の大久保健也です。

今日も暑かったですね。これからどんどん暑くなっていくことでしょう。夏ですからね。


(C)田中舘裕介:『Cosmetic DNA』を演出した大久保健也監督

夏が好きっていう人は「夏」そのものではなく、夏の暑さを回避するための「快楽」が好きなのではないでしょうか。

アイス、海水浴、冷房ガンガンの部屋……全部夏を回避する「快楽」ですよね。これを機に自分は本当に「夏」が好きなのか、それともそれに付随する「快楽」が好きなのか。自問自答してみるのもいい夏の過ごし方かもしれません。

【連載コラム】『自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦』一覧はこちら

スポンサーリンク

USJの『美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-D』

USJ「美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル 4-D」がグランド・オープン!の動画

今回は『Cosmetic DNA』から少し離れて、2018年に僕が大感動したユニバーサル・スタジオ・ジャパンの期間限定アトラクション「美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル 4-D」の魅力について書きます。

この記事を読んで「楽しそう!!」と思ったところで既に体験する術は全くないので記事としてほぼ無意味なのですが、そんな方には是非、代わりに『Cosmetic DNA』を観てほしい。

連載コラム第3回でも言いましたが『Cosmetic DNA』は遊園地のアトラクションなんです。

みなさん、覚えているでしょうか。今はマリオで爆盛り上がりしているユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、かつて「美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル 4-D」というシアタータイプのアトラクションを2018年に実施していました。

ユニバーサル・クールジャパンという日本発祥の文化をアトラクションにしようぜ!!という、毎年手を変え品を変え行われている期間限定イベントの中のひとつとして登場し、当時はめちゃ人気だったらしく開催期間も予定より延長され、2019年はムーン・パレス編という続編も作られました。

期間限定ということで、建物の内装などは従来の(普段はセサミストリートの4Dとかシュレックの4Dをやってる)シアターを丸ごと改造して作られたものでした。よく考えるとこれをほぼ毎年いろんなコンテンツでやるUSJの財力、エグいですね。

美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-Dのアトラクション概要

すべての乙女よ、立ち上がれ!

憧れのセーラー戦士たちと信じ合い、ともにパークへ襲い来る妖魔の危機に立ち向かえ!みんなを救うため、危険を顧みず戦うセーラームーンに、今、あなたの勇気が呼び覚まされる!幻想的に再現された”伝説の変身シーン”の真っただ中へ入り込む、熱いトキメキが体中を駆け巡る、究極の4-Dアトラクション!

全部の文の最後に「!」がついているのがいいですね。読んでるだけで熱いトキメキが体中を駆け巡りそうです。

さっきも軽く触れましたが、セーラームーン4-Dには2018年の無印版と2019年のムーン・パレス編があって、今は無印版の話をしています。

ムーン・パレス編もとてもとても素晴らしいアトラクションだったんですが、無印版の焼回し感がじんわりあるのと、何より無印版の「アトラクションとしての挑戦的な姿勢」がラブすぎる。では、無印版の何がそんな挑戦的なのか。記憶だけを頼りに書き連ねていきます。

①トキメキ入場

まず、入場しますね。3Dメガネを受け取ります。この3Dメガネ、これがシアターアトラクション及び3D映像を使用するアトラクションが乗り越えるべき難所のひとつです。「なぜゲストはこんなわけのわからんメガネをかけなければならないのか?」という理由の説明です。

例えば同じUSJのスパイダーマン・ザ・ライドでは、あの3Dメガネは夜間調査のための「暗視ゴーグル」という設定になっています。そしてターミネーター2 3Dでのそれは「安全ゴーグル」という(釈然としない)設定に。ゲストに3D映像を「本物の景色」と体感させるためには、3Dメガネを「3Dメガネだ」と言ってはいけない。それが3D映像アトラクションの美学でした。

②ロビーでのトキメキ前説

しかし、セーラームーン4-Dはというと、まずロビーの前説映像で「セーラームーンたちが活躍する新作3D映画の試写会をやるよ!!今からみんなで3D映画を楽しもうね!!」という説明がなされるのです。なんということでしょうか。今、自分が手に持っているこの3Dメガネ、これは暗視ゴーグルではなく、安全ゴーグルとかいう胡散臭い近未来アイテムでもなく、ただの「3Dメガネ」だったのです!!この設定はすごく活気的だと思いました。

③トキメキメインホール

そしてメインホールに通され、ゲストは「3Dメガネ」をかけ「遠い近未来の世界」でも「存在するはずのないNYの街」でもなく、ただの「3D映画」を観る心持ちでショーの始まりにワクワクするわけです。

そして、スクリーンにまず3D映像で描かれたスクリーンカーテンが映し出されます。そして3D映像で描かれたスクリーンステージにセーラームーンがトコトコ登場して前説めいた何かをベラベラ喋るわけです。「今から映画楽しみましょうね~」みたいな感じで。

そこに!

なんか悪者ですね、さっきのアトラクション概要で言うところの妖魔でしょう、それがやってきて、目の前でスクリーンを魔法か何かでぶち破くわけです。そして建物がぶっ壊れます。そして、建物がぶっ壊れた先にゲストが観る景色、もちろんユニバーサル・スタジオ・ジャパンの景色です!!なぜなら美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-Dはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに存在するアトラクションだから!!

ゲストはそのまま魔法の力でシアターごと持ち上げられ、USJから上空遥か彼方の宇宙まで飛んでいき、宇宙でセーラームーンと妖魔がバトってるのを観戦する、という流れです。

この「シアター丸ごと大移動」は東京ディズニーランドのトゥモローランドにかつてあったミクロアドベンチャー!と似た発想なんですが、この「USJから」宇宙に飛ぶという(下品ですらある)圧倒的リアリズム、衝撃的でした。

アトラクション内でどんな豪勢な美術、どんな面白い筋書きを用意しようが、ゲストは「自分は今USJで休日を楽しんでいる」という事実を忘れることはありません。ならば、その記憶を全力で利用してフィクションのリアリズムを構築していくという。ディズニーランドには絶対にできないギリギリの反則技だと思います。

そして宇宙で始まるセーラームーンのバトルというのも、派手にカットを割ってドラマチックに観せるようなこともせず、ひたすら引き画の定点(たまに物がシアターにぶつかってアングルが変わる)で、舞台演劇的なリアリズムを死守する。

そこで!

最後のピンチの中、セーラームーンが大変身するわけですね。この大変身の時のみ、3D映像の立体深度をマックスに使ったゴージャスで意図と演出にまみれた「映画」になるんです。もう泣かずにはいられません。なんで男なんかに生まれてしまったんだ。セーラームーンになりたかった。月に変わっておしおきしたかった。セーラームーンのアニメひとつも観たことないけど

最後はちゃんと地球に帰ってきて、ちゃんとユニバーサル・スタジオ・ジャパンに帰ってきます。めでたしめでたしで、ゲストはこのままシアターを出て、引き続きユニバーサル・スタジオ・ジャパンを散策できるわけです。さっきまで宇宙の果てでセーラームーンの大乱闘に巻き込まれていたにも関わらずです。

アトラクションが終了し、場内が明るくなると同時に鳴り始める「ムーンライト伝説」。アトラクションの最中は一度たりとも鳴らなくて軽いフラストレーションを感じていた矢先の最後のこの「ムーンライト伝説」です!!最後の最後まで完璧じゃないですか!!

美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-Dの制作に関わった皆様、本当に最高の体験をありがとうございました。この体験で救われた乙女心はきっとたくさんありました。

そして、そんな既成概念をぶち破る、反則技てんこ盛りで、かっこいい女の大活躍が描かれた映画と言えば何でしょうか。もちろん『Cosmetic DNA』ですね。

このコラムを読んで美少女戦士セーラームーン・ザ・ミラクル4-Dを体験したい!!と思ったそこのあなた。絶対に『Cosmetic DNA』を観てください。何回も言うようですが、あなたのために『Cosmetic DNA』を作りました。本当です。

スポンサーリンク

次回の「自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦」は…


(C)穏やカーニバル

今後、定期的に大久保健也が自らを連載コラム通して、インディーズ映画『Cosmetic DNA』の魅力を更新していきます。

『Cosmetic DNA』の劇場公開を終えるまで、粛々と続けていこうと思います。全ての劇場公開が終わった時、それまでの連載コラムの記事を全部読んだという人は自己申告してください。自己申告は大事です。

【『Cosmetic DNA』公式Twitter】
@CosmeticDna

【『Cosmetic DNA』公式facebook】
https://www.facebook.com/CosmeticDna/

【連載コラム】『自主映画監督・大久保健也のニッポン頂上作戦』一覧はこちら

大久保健也監督プロフィール


(C)田中舘裕介

1995年生まれ、大阪育ち。中学時代より自主映画の制作を始め、60本以上の映像作品を制作。近年は様々なアーティストのMVなどを手がける傍ら、自主映画の制作を行っている。

2021年秋公開予定の『Cosmetic DNA』は初の長編監督作となる。

映画『Cosmetic DNA』のあらすじ


(C)穏やカーニバル

化粧を愛する美大生・東条アヤカ(藤井愛稀)は、ある日クラブハウスで出会った自称映画監督・柴島恵介(西面辰孝)に性的暴行を受ける。

泣き寝入りせざるを得ない状態に精神的に病んでいくアヤカだったが、大学院生のサトミ(仲野瑠花)、アパレル店員のユミ(川崎瑠奈)と出逢うことで少しずつ自我を取り戻していく。

しかし、柴島の次なる標的がユミであることを知ったアヤカは突発的に柴島を殺害。やがて死体処理を行う最中に人間の血液こそが理想の化粧品であることに気付くが……。

スポンサーリンク

大久保健也監督へ応援のメッセージをお寄せください。

映画『Cosmetic DNA』を監督した大久保健也さんの連載コラムを読んでいただき、

*本記事は大久保健也監督がnoteに執筆したものを、監督本人に意向を伺いながら再構成した内容になっております。本文の一部の文言について編集部で追記調整した箇所があります。

関連記事

連載コラム

実話映画『ファヒム パリが見た奇跡』感想と考察評価。政治難民の少年がチェスチャンピオンを目指す|映画という星空を知るひとよ10

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第10回 映画『ファヒム パリが見た奇跡』が、2020年8月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開されます。 この映画は、パリへ逃れた政 …

連載コラム

【ネタバレ】シン仮面ライダー|第2号ラストシーン/最後/結末を考察解説!シンゴジラで探る自分の“好き”×他者の“幸せ”を貫くための“自由を守る者”|仮面の男の名はシン9

連載コラム『仮面の男の名はシン』第9回 『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』に続く新たな“シン”映画『シン・仮面ライダー』。 原作・石ノ森章太郎の特撮テレビドラマ『仮 …

連載コラム

映画『検察側の罪人』評価。ロケ地やラスト結末から制作側の意図を読み解く|舞台裏の裏の裏話1

連載コラム「舞台裏の裏の裏話」その1 『日本で一番長い日』や『関ヶ原』の原田眞人監督の最新作であり、原作は「月刊文藝春秋」にて2012年9月号から2013年9月号まで連載された雫井脩介による小説の実写 …

連載コラム

【考察解説】あいみょんがしんちゃん2019を再解釈する『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』|映画道シカミミ見聞録40

連作コラム「映画道シカミミ見聞録」第40回 こんにちは、森田です。 今回は4月19日に全国公開された『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』を紹介いたします。 「野原一家を再 …

連載コラム

『ハンニバル』ネタバレあらすじ感想と結末の考察評価。“脳みそ”など不気味で悪趣味な世界観をリドリー・スコット美学が描き出す|サスペンスの神様の鼓動54

サスペンスの神様の鼓動54 連続誘拐殺人事件解決の為、FBIの訓練生であるクラリスが、天才的な精神科医にして、凶悪犯であるレクター博士に接触する、1991年の傑作サスペンス『羊たちの沈黙』。 その10 …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学